神様、あなたの推しを配信します~ダンジョンの中を配信するので俺にも世界を救えるように投げ銭ください~   作:犬型大

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嘘か誠か3

「だいぶ連携も取れるようになってきたな」

 

「ま、まあ私の方が先輩ですし? それに魔法ってやっぱり強くて便利だなと」

 

「私の方が優秀だから」

 

「なっ!? か、可愛くない!」

 

「……ははっ」

 

 連携は取れそうだけど仲良くなるのはまだまだ時間がかかりそうだ。

 

「とりあえずそれなりに倒したし、互いがどんな動きをするのか分かったと思う。トマト持って外に出ようか。それなりにしっかり買い取ってくれるから良いもの食べに行こう」

 

 人気のないゲートダンジョンだとはいっても全部のトマトヘッドを狩り尽くして後の人のことを考えないのもいけない。

 ある程度トマトヘッドを倒したところで切り上げる。

 

 確保したトマトを潰さないようにしてみんなで慎重に運ぶ。

 

「どうもまいど〜」

 

 ゲートを出ると人がいた。

 スーツ姿の細目の男性で仮面を付けたマサキたちを見ても驚くこともなくニコリと笑って頭を下げた。

 

「ええと……誰ですか?」

 

 待ってました、みたいに外にいたけれど知らない人である。

 レイは小さく首を傾げた。

 

「私、レビオス商人会の浦安(ウラヤス)と申します」

 

 やや関西訛りの言葉遣いのウヤラスはサッと名刺を取り出した。

 マサキが代表して名刺を受け取る。

 

「私是非ともそちらのトマトヘッドのトマトを買い取りたくてこのようにお待ちしておりました次第でございます」

 

 商人会に所属しているのだ、商人だろうことはマサキにも分かる。

 

「どうしてわざわざ?」

 

 トマトは覚醒者協会に持っていくつもりだった。

 そこから検品されて流通するのだから協会から買えばいいのにゲート前で攻略を待っている理由が気になった。

 

「一度協会を通すと値段も高くなりますし、他のところにも流れてしまいますからね」

 

 ウラヤスは気を悪くした様子もなく答える。

 協会に引き取ってもらえば品質などを協会で見てくれる反面協会の取り分が乗っかるので値段は多少上がってしまう。

 

 さらには他にも欲しい人がいれば数量は限定されるし、より需要が高ければ値段も上乗せされることがある。

 品質が担保されるなどのメリットもあるが、手元に来るまでの速度も遅くなってしまうしデメリットもあるのだ。

 

 欲しいモンスターの素材があれば直接攻略した人に交渉にいくということは時に素早く素材を確保するためにあり得ることだった。

 

「それでトマトを?」

 

「その通りです。協会よりも高値で買取いたしますよ」

 

 たとえ協会よりも高く買っても協会から買うよりも安く済むし早い。

 ウラヤスはマサキたちが狩ってきたトマトを買い付けるために待っていたのである。

 

「おいくらで?」

 

「売るの?」

 

「値段によっちゃな。持ってくのも面倒だし高めに買い取ってくれるなら文句はない」

 

 トマトは崩れやすい。

 覚醒者協会まで慎重に運んで、買取受付までも慎重に運ばねばならない。

 

 それならこの場で高値で買い取ってもらえば余計な苦労もなくていい。

 イリーシャとしてはウラヤスのことを怪しく思っているようだが、マサキはレビオス商会というものを知っていた。

 

 ウヤラスのことは知らないがレビオス商会は商会と名乗る覚醒者ギルドの一つでもある。

 ただ商会と名乗るように商売もしている。

 

 主にモンスターの素材を扱い、色々な国で活動しているかなりの大規模ギルドなのである。

 仮にウラヤスが自身の信用と高めようとしてレビオス商会を騙っているのならかなり馬鹿なことをしているといえる。

 

 それほど厳格なギルドでもあるのだ。

 だからある程度信頼してもいいだろうとマサキは思った。

 

「傷のない品質の良いものはこれぐらいで」

 

 ウラヤスは懐から電卓を取り出すとトマトの値段を打ち込んだ。

 

「…………」

 

「お気に召しませんか? ではこれで」

 

 あえてマサキは黙って返事をしなかった。

 高値といっても本当に少し高いぐらいだった。

 

 ウヤラスは焦った様子もなく再び値段を提示する。

 

「うん、これぐらいならいいかな」

 

「ふふ、交渉上手でいらっしゃる」

 

 トマトの相場もマサキは知っていた。

 ウラヤスも商人として少し足元を見たような提示をしてきたのだ。

 

 高値であることは間違いないのだし最初の値段で受けたとしても文句は言えなかった。

 だがウラヤスはマサキの空気感を察してすぐに値段を上げてきた。

 

 ウラヤスも上手いものである。

 

「あちらにトラックを用意してございます。検品は私が行いますので狩りとったものをお運びいただければと思います」

 

「分かりました」

 

 交渉は成立した。

 マサキたちは何往復もしてトマトを丁寧にトラックに運ぶ。

 

「どのトマトも非常に綺麗です」

 

 ウラヤスの機嫌は良かった。

 マサキたちが持ち込んできたトマトはどれも傷がなく非常に品質が良かったからである。

 

 トマトヘッドのトマトは傷がつくとあっという間に品質が下がっていく。

 だがレイとイリーシャはトマトヘッドのトマトはしっかりトマトを外して倒していた。

 

 トラックの荷台に集めてみると意外とトマトヘッドも倒したものだとマサキは思った。

 

「これならば……もう少し色をつけて……」

 

 トマトが全部綺麗だったので個別に値下げとか考えずにも済んだ。

 ウラヤスは電卓を叩いて最終的な金額を計算する。

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