人生満喫上位者in鬼門方面キヴォトスK-3   作:バージ

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まだ弱い→強くなりそう→つよい(確信)
のノリ。



1-D2-まだかわいそうじゃない

 

「何かお困りですか?」

 

 スケルトンパイレーツが昨日撃退されたばかりの現場。

 所々に骨が転がっており、そのうちの一つを気まぐれに眺めていたら、そう声をかけられた。相手はシスターの恰好をした生徒で、シスターフッドに所属しているものと見受けられる。持っている袋にはいくらかの骨が入っていた。

 話したことはないけど見たことあるな…たしか伊落マリーといったか。

 

「いや、先日のイレギュラーの骨を見ていてね。そちらは…もしかして骨の回収で?」

「はい、シスターフッドの皆さんと一緒に、ボランティアできているんです。よろしければお受け取りしますね」

 

 拾った骨をマリーが持っている袋に入れる。それを見届けた後のマリーの視点からして、こちらの仮面とローブを気にしているようだ。

 地鎮祭正式装備のローブはきれいな星々が描かれていて何だかんだ見た目も良いし、仮面もシンプルながらオシャレを忘れてはいない。なので不審者とは言われない服装だし、ゲヘナでは大して気にもされないとはいえ、トリニティだと珍しいかもしれない。

 しかしそもそもこの服装は装備者の存在感を消す機能を持つし、私自身も気配は薄めていた。ほとんどの人には察知されない状態だったのにマリーからは普通に見つかったらしい。

 ちなみにこのローブはそれ以外にもいろいろ機能を備えているぞ。今は起動していないしここぞというときにしか使わないものの、光学迷彩的な透明化能力もある。

 

「あの、もしかしてポラリスの方ですか?」

「…そうだけど、どうしてそう思ったんだい?地鎮祭というだけならともかくポラリスを…。地鎮祭も知ってる人は知ってるから、似たような恰好をしている人もいるって聞くよ。実際、単に黒外套と仮面だけなら、誰でも用意できるものだしね」

 

 なんだかんだでデザイン担当が本気を出した結果、地鎮祭の装備はぱっと見分かりづらいだけで実際は結構凝ったデザインをしているから、よく見れば真偽はすぐに分かるだろう。

 しかしそもそも地鎮祭の、それもポラリスの装備を近くでじっくり見られる機会なんてないから、デザインの情報はほとんど周知されてない。

 詳しい情報がないから各々で勝手に想像でコスプレできる。こんなところでうろついている人なら、その手の手合いだと考える方が自然だ。…ちなみにコスプレするだけなら問題ないけど、地鎮祭の偽物を語る奴はかなりひどい目にあうゾ。

 

「それは、その…。霞の様でありながら、どうしてか目が離せないような。この人は絶対にすごい人としか思えないような……」

「…すごいね。気を抜いていたとはいえ、大抵の人は私を見つけられなかったはずだよ」

「そ、そうなのですか?申し訳ありません…」

「あはは、気にしなくていいよ。今日は単に散歩してただけだから」

 

 マリー本人にも言語化が難しそうな様子だ。

 日常の全く気を張っていない状態とはいえ、こうも確信をもって見破られるとやれやれと言った気持ちになる。それに隠形を見破っただけでなく、中身をただ者じゃないと確信しているのも全く普通ではない。

 ちなみに急に出会った相手が初対面で見破ってきたわけだが、特に相手を疑う必要はない。この程度で驚いていたらゲヘナじゃやっていけないしな。

 

 普通じゃない生徒なんていくらでもいるものだから、むしろ個性的なところの一つや二つはないと何を隠しているのかと疑わしくなる。

 ちなみにトリニティの光の普通詐欺(ヒフミ)は別だぞ。あのアウトローが普通なわけないぞ。一等個性的な奴だ。

 

「良ければ一緒に行ってもいいかな?」

「よろしいのですか?それでは、ぜひ!…あ、と。私、伊落マリーと申します。シスターフッド所属の一年生です。あなたのことは何とお呼びすればよろしいでしょうか」

「私のことはそのまま、ポラリスと。ポラリスのメンバーは、全員がそう名乗る決まりなんだ」

「ではポラリス様、よろしくお願いいたします」

「こちらこそよろしくね、マリー」

 

 二人で一緒に歩きながら骨拾いをする。内容的にはゴミ拾いと何も変わらないけど、拾い集めるのが人骨なだけあってかさばるし、少々不気味である。

 ただスケルトンパイレーツの骸骨の骨は本物の人骨じゃなくて、骨の形をしたカルシウムというか、人間個人のものではないことが判明している。だからまあ怖がる必要はないのだけれど、多少見た目が猟奇的なのは仕方がない。

 あまり好かれないことだからこそ、ばらまかれた骨を集めるのはシスターフッド的には積極的にやるべきボランティアなのだろう。

 

「ポラリス様は、もしかして昨日のスケルトンパイレーツのことで来られたのですか?」

「いや。実は、この前ちょっと怪我をしてね。それほど大した怪我じゃなかったけど、今はゆっくり体を動かしたくて散歩に来たんだ」

「そうなのですね…大きなけがでなくてよかったです」

「マリーは地鎮祭やポラリスについてどこで知ったんだい?それほど一般人には知られていないと思うけど」

 

 イレギュラー事件で出会うこともあるだろうから、じわじわ一般人にも知られてきてはいるけど。知らない人の方がずっと多数派なことは間違いない。

 

「実は私の友達が大ファンでして。それで地鎮祭のことはよくお話に聞いていました。学区の区切りなく活動できる地鎮祭はすべての人が公平に、最後に頼ることのできるヒーロー。キヴォトスの真の守護者であり、最大の功労者。地鎮祭がなければ今のキヴォトスはすでに崩壊していただろうと」

「すごい言うね…」

 

 少し笑ってしまった。ぶっちゃけ事実だから否定できない。

 ここのところ…というかこの十年くらいか、大厄災も何度か現れているし、キヴォトスがなくなるかどうかはともかく半分以下の規模に縮小しているくらいは可能性が高い。

 

「それに地鎮祭の方に助けられた方はたくさんいらっしゃいます。そういう方の話をお聞きするたびにうれしく思っていました」

「うん?トリニティだとそれほど活動してないはずだけど」

「シスターフッドの活動で、トリニティの外で活動することもあるのですが…そういえば、確かにトリニティの外でお話お聞きすることが多いです」

 

 

 そのあとはしばらく雑談しながら二人で骨拾いを続ける。スケルトンパイレーツは船で移動するだけあって、大分広範囲に分散していた。

 実際に話すのは今日が初めてだけど、マリーはなんというか実に純粋で優しい少女だった。シスターフッドの不穏な噂は聞いたことがあるけれど、そういう雰囲気は全くない。初戦はうわさに過ぎないか、おそらく末端からすれば全く関係ないのだろう。

 

「そうだ、お会いしたらお見せしたいものがあるんでした。ちょうど近くにシスターフッドで管理している部屋がありますので、少し休憩しませんか」

 

 特に断る理由もないのでついていってみれば、やってきたのはトリニティではごく普通のマンション。そのうちの一室が目的地らしく、三階に上がって通されたのは1LDKの比較的広い部屋。シスターフッドの所有する物件としてはおかしいのかおかしくないのか判断つかないが、マリーを見てみると何となく胸騒ぎがする。

 何だろうと思いつつもそのまま奥の居室へ通されると、そこにはあまり生活感の無い部屋で、ベッドや机、化粧棚など一般的な家具が揃えられている。

 しかし少なくともこの時、マリーにおかしな様子は見受けられなかった。私が見抜けないほどの異常があるのだとすれば、それは相応に厄介なことだと言わざるを得ないだろう。

 




様子がおかしかったり、妙に強かったり、特異な能力を持っていても、それが平常なのか異常なのかの見分けがつかないのがキヴォトス。
実際おかしいと思っても本人たちからすればいつものことだったりする。ゲヘナとかだと特にそう。

主人公以外のオリキャラ(主に地鎮祭の)について、どのくらい詳細に描写するかのアンケートです。あまり前面にオリキャラを出しても…と思いつつ、物語を厚くするならある程度はするべきでもあり。

  • 全体的にガッツリ詳細まで記載
  • しっかり
  • そこそこ
  • 少なめ
  • どれでもヨシ!
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