人生満喫上位者in鬼門方面キヴォトスK-3   作:バージ

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1-E3-身バレ(相手がセリナなら仕方ないから!)

 

「キヴォトスには、二人の超人がいると言われています。連邦生徒会長と、"ゲヘナの星"遠星操夜さんです。

 ゲヘナの星はすごく有名な人で、ここトリニティにも噂は轟いていました。強く優しく輝き、人々を導き、人々に見上げられる星。その由来は空が雲に覆われようと、たとえ何が起ころうとも決して失われることはなく、その上で輝き続けるものであるということなんだとか」

 

 森の中の開けた場所。草原にレジャーシートを敷いて座り、視線の先にはメルフィーと呼ばれるカラフルな生物が走り回っている。

 メルフィー達の様子を見ながら、視線をそのままにセリナが話し出した。

 

「彼が風紀委員長となってから栄えた悪はなく、星上がいる限りたとえどれほどの厄災が起ころうとも心配する必要はないと。

 星の話は、トリニティでもいい意味で扱われています。ゲヘナの人物のことがトリニティでこんなに肯定的に扱われるのは、私が知る限りでは初めてです。連邦生徒会長が進めるエデン条約も、星上がいるならと、そういう雰囲気がありました。

 星上がいなくなった時も、いくらか荒れてはいましたけど、彼を知る人ほどこういいます。星は見えないだけで、今もどこかで輝いているのだと」

 

 セリナは胸に手を当てて、自らを落ち着かせようとしているように見える。セリナに話したのは私=ヤチト=地鎮祭幹部というところまでで、さらに遠星操夜ともイコールであることは話していない。

 しかしこのタイミングでこの話をされるというのは、こちらとしても考えさせられる。まあもしバレてても仕方ないかな…という気持ちではあるのだけど。少なくともこちらからうっかり真実をバラしてしまうような事態は避けるように気を付けておく。

 

「実は私、遠星操夜さんと会ったことがあるんです。4年前のアンプリファイドのときに」

 

 アンプリファイド、大地の隆起を引き起こす特殊なイレギュラー、あるいは引き起こされた大地そのもの。戦力評価0、危険度35.6、Pリスク3と結構な評価のワンダーイレギュラー。明確な敵が存在しないだけでなく、悪意すら感じられないイレギュラーであるが、これによる被害を減らすことは極めて困難だ。

 

 敵がいる訳でもなければ事態を引き起こしている元凶が中心でふんぞり返っているなんてこともない。ただただ大地が割けて盛り上がり、あるいは沈んでいくのは地震や大雨などの災害と変わらない。違うのは発生位置を特定できないせいで対策することも難しいということ。

 耐震強度を高めるとか、水道を整備するとか、堤防を作るとか、そういう対策は最低限発生する地域に目星がついていないと成立しないからね。

 

 アンプリファイドは規模にもよるけど、盛り上がった地点と沈んだ地点で100メートル以上の高低差が付くこともある。人の寄り付かない秘境にでも行かないと見られないような断崖絶壁と深い渓谷がそこら中に出現する。

 大地の隆起によって発生したそそり立つ崖を前にして、まともに移動することが可能な人物などそうはいない。

 

 確かに4年前のアンプリファイドの救助活動には、地鎮祭を率いて私も参加していた。

 

「中等部の救護騎士団に所属していた私もすぐに出動しました。…でもあの高低差の前には、ヘリコプターでもなければ移動は叶いません。救護騎士団が保有するヘリを総動員しても全く数が足りず、被災地の外縁で要救助者が運ばれてくることを待っているしかありませんでした……私の力では、誰かを連れ出すことはできませんから」

 

 セリナの能力は、誰かを連れて瞬間移動できるようなものじゃないから、そのことを言っているのだろう。できたところで、一人で救助できる人数には限りがあるしね。

 

「救助活動は遅々として進みませんでした。…そんな中、崖なんてないかのように走って怪我人を運んでくる人たちがいました。今思えば、あの人たちが地鎮祭だったんですね。満天の星を描いたローブを来た……ヒーローのような人たち」

 

 セリナが私のローブに視線を向ける。内容自体はセクターや隊によって異なるものの、星空を描いたローブであることは共通している。

 ああ、私も思い出した。あの時、自分たちとは別に特異な能力を発動している人物の痕跡を見つけていた。救助活動の途中から、どれだけ移動してもちょくちょく感知されていることを私も気づいていた。

 地鎮祭の調査能力をもってすれば、意外とすぐに見つかったその人物。それこそがセリナだったのだ。そういえばあの時コードネームを考えながらアドラーって口にしちゃってたな。

 

「その人たちの中で、明確に一人だけ違う人。ダイヤモンドダストのような緑色の光…あんなに美しい光景は見たことがありませんでした。そんな光を踏みしめて、平野を行くように空と崖を駆ける星…遠星操夜さんの姿は今でもはっきり覚えています」

 

 なるほど。私は原点体である××ー×ー×××の特性というか、本体の都合というか、そのせいで緑の光を出してしまうことがある。というかこの光は何もしなければ勝手に出てしまうものだ。

 人間に害もないから私がゲヘナ学園所属の時は隠していなかったけど、代わりに正体を隠しているときは緑色の光が出るのを止めていた。…つまりゲヘナに入学する前は地鎮祭としての活動でも出ちゃってるときがあったんだよね。

 

「だから数年後にゲヘナの星としての姿を見たときは、なんだかすごく納得したことを覚えています。…改めて遠星操夜さん、あの時はありがとうございました」

 

 バレてる。これは確信されてるね。

 

「なんだかえらく確信した様子だけど…もしかしてこの姿見たから?」

「いえ。ずっと色々疑ってました。一番最近だと、ミネ団長を背負って走る姿が、そっくりでしたし。…ふふ、アドラーってもう一回呼んでもらえませんか?」

「アドラー…って、対面では二回しか呼んでないはずなんだけど」

 

 四年前とついこの間の二回しか言ってないんですけど、どうしてそんなこと覚えてるんですかね。いや、実際すごいな…脱帽です。

 

「だって、ずっと耳に残ってたんですから。それにあの後も私、操夜さんのことを何回も見ていたんですけど、そのう、気づいていました?」

 

 え。知らない。いや、能力で見られていたならすぐわかるけど。地鎮祭って表立って活動してるときは普通に注目されるから悪意とかが混じってないなら普通にスルーしてるんだよね。

 

「…対策してるから、例の能力で遠くから感知はされてなかったはずだけど」

「そうですね、視線を固定することはできませんでした。でもゲヘナで何か大きな問題が出たとき、いつも最前線にいたじゃないですか。それでその、後方の野戦病院にいると、怪我人を担ぎこんで来る姿が見えていたので…」

「えっ…あ、そういう…………世の中知らないことってあるもんだな」

 

 そういえば救急医学部でも風紀委員会でもない人がたまに救護活動にまぎれてるって話をセナがしていたことがあったような。あれセリナだったのか。

 

主人公以外のオリキャラ(主に地鎮祭の)について、どのくらい詳細に描写するかのアンケートです。あまり前面にオリキャラを出しても…と思いつつ、物語を厚くするならある程度はするべきでもあり。

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