人生満喫上位者in鬼門方面キヴォトスK-3   作:バージ

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2-A3-意外と大厄災戦の共闘率が高い人

 

 雪山に閉じ込められたこの状況ではやれることも限られるため、ミネと雑談に花を咲かせていた。

 

「ところで物資は何人分くらい届けてきたのですか?」

「だいたい八十人くらいだな」

「それだけの量、どうやって運んだのですか?」

「四次元ポケットで」

「よじ…何です?」

「一定の体積を持つ異空間につながるポケット」

「…未来の世界の猫型ロボットでしょうか?」

「イメージ的にはそう。私のはそこまで大した容量はないけど、まあ何とか入ったよ」

「……あの…ええと……地鎮祭で開発したのですか…?」

「術だよ、術」

 

 なんて話をして驚かれたり。

 

「こう寒いと、余計に温かな紅茶が欲しくなりますね。よろしければ、今度ご一緒しませんか」

 

 再開のお誘いを受けたり。そうしてしばらくの時間が過ぎたあと、ミネが私にも覚えのある話を始めた。

 

「ところでヤチトさんは三年前の赤い雪の事件、参加されていましたか?」

「ああ。私もいたよ、プランダラ―と撃ちあったりしてた」

 

 ミネが話しているのはかつて大厄災"赤い雪"が引き起こした大事件だ。

 赤い雪は名前の通りに赤い雪が降る天候そのものを指すイレギュラー。様々な悪影響を伝染病という形で、領域内の生物(機械系も含む)に無差別かつ防御を貫通して感染させる。機械系は境界が曖昧なところだけど、とりあえず生物的なAIをしている存在は無機物でもみんな感染する。

 肉体や神秘の強さ、防護服すら無視して感染するから防ぐのが不可能で、赤色の雪が降る範囲にとどまっていると、大量の病気にかかって行動不能になる。

 

 だから被害者を救助するためには全員範囲外に出さなきゃいけないんだけど、この症状は病気の形をとって伝染するから避難者経由で周囲に感染拡大する。さらに言うと赤い雪の範囲は感染者の増加と相関して増えてくから負担は増える一方。

 大厄災認定は伊達じゃないないって感じの脅威度だ。ポラリスツヴァイやペイルライダーもそうだけど、病気系は厄介な奴が多い。

 吹雪の山も同じ天候系で雪だし、防御無視の範囲効果で共通点が多いけど、被害が比較にならない上に赤い雪の方は屋内にいても遅くなるだけでそのうち感染する。

 

 で、まあこれだけでも十分恐ろしい存在だが、さらに困るのは他のイレギュラーを巻き込んだ時だ。感染経路になる生物系も、自分だけ一切デバフが効かない非生物系もどちらにせよ厄介になるという、もう存在そのものが厄介だ。

 

 この事件だと藍色の艦隊(デプスフリート)という、驚異度の高い機械系イレギュラーが内部に陣取って…というかこいつらがいた場所を赤い雪が飲み込んだんだが。ちなみに特殊飛行空母バラクーダと同じ勢力のイレギュラーだが、いづれにせよこれが大問題になった。

 

 デプスフリートは陸上や、ものによっては空中でも移動可能な無人の戦闘艦船で、ロボットアニメの宇宙戦艦みたいなやつらだと思えば想像しやすいだろうか。装備もかなり高度で、ミサイルや大砲どころかビーム砲やバリアまで装備している。

 当時は、赤い雪の性質上病気の効かないミレニアムの自動機械群が積雪域に突撃した訳だが、デプスフリートのVLSから放たれたミサイルの雨で一方的に壊滅してしまった。地鎮祭の人以外はみんな苦々しい顔してたけど、正直笑ってしまった記憶がある。あまりに一方的過ぎて、大変なことは承知でそれでも面白かったんだよね。

 ただし何万人という感染者が死屍累々となっている野戦病院に艦砲射撃をぶち込むのはもはや非人道なんてレベルじゃなかったけど。

 

「デプスフリートもかなりの規模でしたね。では、パドルガン吶喊を?」

「いや、吶喊成功後の主力艦隊との正面衝突の方」

 

 パドルガンはバカ火力自走砲というか、機関砲を十門並べれば火力も十倍!みたいな頭の悪い兵器…駆逐艦?だ。あんなのでも火力はマジでヤバい…というか総合的にかなりの強敵。

 パドルガンを象徴する垂直旋回式の6連装砲から放たれる弾丸の雨は、横には撃てない代わりに戦艦すらも蜂の巣に出来る。遠距離で撃ちあっても火力で勝てないので突っ込むわけだが、相当難易度が高くてかなりの精鋭でなければ当然のように撃ち落されて失敗する。

 あの時は私は違う方にいたけど。

 

「ポラリスもいたし、各校の精鋭が揃ってて豪華だったな。ミネは?」

「私は当時の救護騎士団とともに前線での救護に参加していました」

 

 ミネが言う"前線"というのは赤い雪範囲内ではなく、範囲の外側に展開された野戦病院のことだろう。

 

 赤い雪は感染者を十分に減らすことで消滅する。由緒正しい感染症対策である「隔離して浄化」を行うのでない限り、最前線は戦士の元にはない。キヴォトスでは「隔離」はともかく、当然だけど「浄化(みなごろし)」はできないからね。

 

「あれは医療従事者こそが最重要で最前線だからな」

「…一面に被害者の皆さんが無数に並べられた光景は決して忘れられません」

 

 私も頷いて同意する。あれは一般的に言うところの絶望的な光景だった。"前線"を砲撃された時のあの異様としか言いようのない雰囲気は、多分あの時あそこにいた当事者達には一生忘れられないだろう。

 

「あの時は学区を問わず医療従事者がかき集められた…地鎮祭からもね。指揮した者も、それぞれの治療に専念した者も、それをサポートした者も、みな見事だった」

 

 戦士とはまた別の過酷な戦場の中にいた。地鎮祭は直接戦闘だけでなく医療側の手伝いもしていた訳だが、その報告書だけでも激戦であったことがうかがえる。

 

「あの時は必死だったので確かなことは覚えていないのですが…地鎮祭の方たちは、何というかポジティブで…皆さん、自身と余裕があったように思います。あれはなぜだったのでしょうか」

「…それは慣れてるからっていうのもあるし…仲間たちを信じてるのもあると思う。地鎮祭はみんなやりたくてやってる人達だから、難事を楽しむ土台があるし。最悪ポラリスがいれば何とかなるって実感してることもあるかな」

 

 地鎮祭もそれぞれに思うところあるから、人それぞれではあるけどね。真面目にキヴォトスを守りたくて地鎮祭にいる人もいないわけではないし。そういう人にも組織の方針にはちゃんと従ってもらってるから、その辺に隙はない。

 

「あの時はツルギ委員長と…そういえばゲヘナの星、遠星操夜さんも参加していましたね」

「(自分のことなので目では)見てはいないけど、(自分のことなので当然)同じ戦場にはいたね」

 

 これ、探りを入れられている訳じゃないよね?……つい最近似たようなことがあった気がするなぁ!なお、その時にはすでに確信されていた模様。現場猫の出勤先はここですか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-----<<<未来予告>>>-----

 

 

 

 今期もまたあの大会が始まった!LWIからの挑戦状!イレギュラー対策競技大会!!キヴォトス中の命知らず達が集まっているぞ!!

 

 己の腕をキヴォトスに知らしめんとする者!腕試しがしたい者!イレギュラーとの戦闘経験を望む者!とにかく強い相手と戦いたい者!

 共通しているのはただ一つ、全員が等しく挑戦者!より強い者へと挑む気概を持つ者達!!

 

 ご存知トリニティの戦術兵器!剣先ツルギ!

 今日はどんなトンチキ兵器を見せてくれるのか、ミレニアム警備部選抜チーム!

 裏世界の最強が表に出てきたぞ!仮装天人花団!

 安定して高品質な仕事ぶりに定評があります!高級機械化傭兵団、水平線追跡団!

 最も第四ステージに近い存在、ゲヘナ学園風紀委員長空崎ヒナ!

 

 キヴォトス中から集まった熱き闘志の戦士たちが生の戦場を作り出す!前人未到の第四ステージに到達できるものは現れるのか!

 期待して待て!イレギュラー対策競技大会!カミングスーン!

 




 作者と読者両方のテンションを上げることを期待して次回予告ならぬ次節予告…というか宣伝みたいな感じですが、書いてみました。2-Bイレギュラー対策競技大会編はSASUKEみたいなノリです。デプスフリートも単艦じゃなく艦隊で出ます。

 デプスフリートは参考元があって、「FromTheDepths」というゲームを元ネタにしています。かっこいい造詣の船が実際に動いて撃ち合いするのを眺めるのが楽しいゲーム。
 バラクーダとかは艦載機が飛行甲板上じゃなくて船の真横にくっついてるという、初見だと何だこれっていう空母なのですが、戦闘開始時に艦載機が二隻ずつ綺麗に発艦していって、落とされるフレアで空がキラキラしていく様は美しさすら感じます。

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