第二ステージともなると同時並行で行われる数も減り、二チームずつ演習が行われる。参加者は先に出場したほかのチームの勝敗を時折確認しながらも、待ち時間は控室で集団戦部門の方を観戦するような形だ。
私たちホワイト&ホワイトの出撃は真ん中の辺りであり、半分ほどのチームが戦闘を終えた後だった。さすがに難易度が高いらしく、その時点で挑戦した内の半数程度のチームが脱落していた。
敵は量産型ケテルが三体。演習だからともかく、実際にこれが敵として出てきたらかなり難儀することだろう。
戦闘は私たちのチームも一戦目とは打って変わって激しいものとなった。現実に即した戦いをする意図で、今回はミネを主攻に据える。ある程度強い生徒じゃないと、量産型ケテルを相手にして有効打を当てるのは難しいからだ。
実際にミネがケテルと戦うとなった時に、どうやって戦えばいいか、有利に立ち回るためにどんな役割が必要か。それが分かるような戦いにすることが、個人的には追加目標だ。
カイリとゼレーナには二体の足止めをしてもらい、残りのメンバーで一体を集中攻撃する。
セリナとハナエはひたすら走らせて牽制に終始させる。小口径の銃でケテルの装甲を抜くのは普通は無理だ。装甲の境目を狙うとか、銃口を狙うとかやり方がないわけじゃないが、そういうのは一定の腕がないとできない。正実でもできる人の方が少ないくらいだろうから、大多数にはできないだろう。
銃の技術も普通に学校の科目に含まれているから、トリニティくらい偏差値の高い学校なら、技術自体は平均して高いはずだ。しかし勉強でできるからと言って実践でもできるとはならないのは当然の話。訓練場ではしっかりしていても、実戦ではいまいち…というのがトリニティでは大多数だろう。その点ゲヘナではこれが逆になるのだから面白い。閑話休題。
ダメージを与えるのが難しいからと言っても、やれることはたくさんある。
今回二人には不定期だがケテルのワイヤーの射出先を銃撃させている。ワイヤー自体を切ることができなくても、射出先の固定している部分を撃てば崩れてバランスを崩す。これを不定期に行うことで相手をけん制する。
ほかにもウイークポイントを当たらないまでも銃撃させたり。そうやってヘイトを買いすぎない程度に妨害させる。
防御面はヘイトコントロール以外にも、ガンガン走らせることによってやられるのを防ぐ。ワイヤーを狙うためにはかなりの移動が必要になるので、その意味もある。
二人とも救護騎士団なだけあって体力はかなりのものだ、それを生かしてもらう。
「セリナはワイヤー狙い射撃準備!ミネはセリナに合わせて攻撃!ハナエはポイントDB8までダッシュ!」
「了解しました!」
「了解です」
「わかりました!」
インカムで指示をだしながら自分の位置取りにも気を付ける。敵から狙われず、戦場が見えて、何かあった時にはすぐに援護できる位置をキープする必要があるから、これはこれで難しい。
攻撃の要であるミネにはとにかく攻めさせる。ミネの打撃なら普通に装甲の上から有効打を打てるし、至近距離なら外さないという脳筋戦法でウイークポイントを攻撃することもできる。一発一発は装甲をいくらかへこませるくらいだけど、何度も打ち込めば破壊できる……だいぶすごい肉体強度してるよな。
ケテルがくらいついてくるミネに集中するようならセリナとハナエに邪魔をさせる。二人を狙うようならミネに痛撃を入れさせる。この状態を維持するために敵と味方の位置とヘイトをコントロールし、指示を出す。
セリナハナエは今回、自己判断よりもこちらの支持に従う割合を大きくしてもらっている。移動や攻撃、各種タイミングなどかなりの頻度で指示出しを行っている。
考えることが減る分こちらの指示に意識を向け続ける必要があるから楽にはならない。今のところ、一度もこちらの指示を聞き漏らすことなく、しっかりと指示通りに行動できている。さすが、良き体力と集中力だ。
見たところ一対一ならケテルよりミネの方が有利だ。もちろん、そしてこの場合は特に、状況次第で全く話は変わってくるけれども。例えばケテルは移動力が高いから、逃げられたら徒歩じゃまず追いつけない。
何せ相手はワイヤーで立体起動してくるのだから、車両とはわけが違う。まともな戦車や装甲車で追いつけるような相手じゃないし、追いかけようと思ったらヘリか、かなり高性能なバイクなんかが必要になるだろう。
正直相手が逃げの一手を選んだらかなり厄介だと思う。こちらがオフェンスの場合はともかく、ディフェンスとして町やら人やらを守らなければならない場合は、それはそれは難儀するに違いない。
まあその部分を勘定に入れているから敵が三体なのだろう。今回は防衛目標があるわけでも敵の撤退を阻止する必要があるわけでもない分、相手の数を増やしている。
ケテルは強力な機動兵器だが、とはいえこちらは私は何度もやりあっているし、武装のバリエーションも既存のものはすべて把握している。これだけの情報アドバンテージがあってそれを活かせる指揮官が率いている以上、順当な結果として勝利することができた。
敵を知り己を知ればというように、だからこそこの競技大会に意味があるというものだ。ケテルやケセドは時折新武装を持ち出してくることもあるから油断は禁物だが。
自分の試合が終わったので普通に試合を観戦している友人に話を聞いてみる。甲種乙種、グループはいくつもあるわけだが、いずれも熱い攻防を繰り広げたとのこと。
アビドスの五人も乙種の方に参加してしっかり活動していたけど、同時に攻めあぐねる様子も強く伝わってきたそうだ。ホシノが本当に本気出せば一人でもクリアできたかもしれないけど…まあシリアスな場面でもないところでホシノが全力を出せるとは思えないからね。
ケテル程の装甲を持つ相手に有効打を与えようと思ったら、ふつうは一工夫必要になってくる。爆発物なり、対物銃なりががほしくなるし、それを持っている人員を活かせるかによって勝敗が分かれることになるだろう。実際、それがうまく回らなかったグループは苦戦したり、あるいは敗北したりしていた。
全体的に実力の高いメンバーで構成され、乙種については10チーム以上を合わせた大人数の部隊が、それでも半数以上敗北した結果となった。難易度の高さがうかがえる結果だ。
一方で一部のチームはケテルを相手にしても無双していた。
第一戦をくぐり抜けた強者たちが大勢でかかって互角の勝負を繰り広げる、そんな戦いを見ていた観客たちにとっては、やはり驚きの結果と言わざるを得ないだろう。
強力な常連チームもそうだし、ミレニアムが持ち出してきた、ハリファイバーを随伴させた最新型機動戦車も十分力を示して勝利している。
ヒナは平然と一人でボコボコにしているし、ツルギは攻撃を受けて手傷こそしっかり受けているものの、まったく堪えた様子もなく当然のように押し切っている。
この戦いを見ていた大勢の人たちのほとんどが、驚きなり尊敬なり恐れなりの感情を抱いたことだろう。それと同時に、第三ステージへの期待が否応なく高まっている。
とはいえ第三戦の日程は翌日だ。その日の最後に第三ステージの敵がお披露目されて今日の予定は終わりとなる。
その相手はデプスフリート。知名度も驚異度も高い、陸上を行く戦闘艦隊が相手だ。
ステージ3はマジで難易度高いです。どれくらい高いかというと、星上がチームの現状を考慮した結果これ無理じゃね?って言うくらい高いです。