ちなみに駆逐艦マローダーは駆逐艦吹雪(全長118m)よりいくらか小さいくらいの大きさです。
シャーレビルとどっちの方が大きいんだろう。
地鎮祭の生身での高速突撃は本当に最適解に近いと思う。いや、生身というかパワードスーツも含めるから、正しくは歩兵か?
当然普通の歩兵が突撃するのは無理がある。敵は火力も鉄量も段違いだから避けることも耐えることもまず無理。かと言って戦車やヘリはおやつにされるだけだし、同じ船で挑むなら真っ当な戦いになるが。戦闘機は腕次第だが対空兵器で撃ち落される。
地鎮祭メンバーなら有利な祈祷も使えるし、敵の攻撃を回避しながら肉薄できるだけの機動力と動体視力を持っている。だから突撃するのが普通に有効戦術になる。
それ以外の方法だとやっぱり地下に潜むのが一番有効かと思うけど、毎回それができる地形に恵まれるわけじゃないし。
さて、話を戻して目の前のことに集中しよう。
三人乗りで路上をサーフィンしている私たちを熱烈歓迎が待っていた。周囲の艦船から次々と撃ち放たれるミサイルと対空機銃と榴弾砲。
そして上空で愉快な連続発射音をかき鳴らしながら、大量に放たれたマイクロミサイル。どれも危険なことには違いないものの、対処方法はそれぞれで異なってくる。
まず一番シンプルなのが主砲から放たれた砲撃だろう。榴弾装備のあれは時限信管によって空中で爆発し、高速の散弾となって襲い掛かる。
だから撃墜するにしても遠いところから落とさないと、装甲を破壊するような破壊的な破片の雨をくらうことになる。一般人なら一回で戦闘不能だろう。
マイクロミサイルは数が多すぎてミサイルごとの距離が近いからうまくすれば誘爆を狙える。巻き込めても精々数発だろうけど、ある程度落としたら後は機動力で回避だ。
普通のミサイルは普通に撃墜する。多分これも弾頭は榴弾……じゃなくて爆発する奴だな。戦車とかが直撃しなくてもお陀仏になる奴。
対空砲はこれも機動で回避するしかないかな。ちなみに近づいたら自爆する近接信管が設定されてると思うんだけど、人間はおろかこのボードも大きさ的に探知ギリギリだと思う。
まあともかくしっかり距離をとって避けましょうね。
サーフィンをかっ飛ばしながらも左手に持った狙撃銃でまだ距離のある砲弾を撃ち落す。同時に右手に持った軽機関銃を景気よく撃ちまくってミサイルを撃墜する。
遠くから撃つ必要のある砲弾は射程の長い狙撃銃を採用し、それ以外を弾数の多い軽機関銃で対応する。
軽機関銃は考えなしにばらまいているように見えて、実際には撃墜するべき攻撃の優先順位やルートを考えて撃ちまくっているのだ。
ちなみにサーフィンの操作は左手に銃を持った状態でも可能だ、便利。
「ミネ、左!…右!次も右!」
「はい!」
ミネと息を合わせて足を組み替えて体の向きを調整する。振り落とさないようにルートを選んで慣性を調節しているとはいえ、しっかり合わせてくるのは大したものだ。
道具で固定しているセリナと違ってミネは前から抱きついているだけだから、下手すると明後日の方向に振りとばされることになる。
周囲では爆発したミサイルの爆風に、暴力的な弾幕によって粉砕された建物の一部に残骸が飛び交っている。並の度胸と身体能力ではこんな無茶はやってられないだろう。
それでも次から次へと飛んでくる攻撃への対応で、狙撃銃の方はすぐに弾切れだ。しかしそれを解決する策なら今背中に背負っている。
「セリナ、左手!」
「交換します!」
そう、背中に背負って固定しているセリナだ。しがみついているミネと違って、セリナは度胸さえあれば両手を使える。当然セリナには有り余るほどにそれがある。
弾切れした銃ごとセリナに交換してもらい、私が撃っている間にセリナにはリロードしてもらう。
そうして短い時間にギュッと凝縮された濃密な時間を経て、ついに陣形中央付近に陣取っているピルファラー巡洋艦のところまでたどり着いた。
100メートル走をしても端から端までたどり着かないと言われるマローダー駆逐艦よりも、さらに大きいピルファラー巡洋艦の巨体が迫る。これでもデプスフリートの艦種の中では小さい方だというのだから軍艦ってデカいよなと思う。
ここまでたどり着いてしまえば、ピルファラーの船体があるおかげでほかの船はの攻撃の多くは撃ち込むことができなくなる。ただしピルファラーからの苛烈な機銃掃射があるので気は抜けない。
「ミネ、降りたいところはある?」
そう聞くと、強く抱き着いていたミネの手が少しだけ緩み、周りを確認し始めた。当然その間も回避行動は続けている。
「できれば広い場所に…あそこにお願いします!」
「了解!一周してからセリナを降ろすから」
ミネが飛び降りて動きやすくなったので、今度はセリナの固定を取り外す。飛びながらだと大変だなこれ!ちょっとでも気を緩めるとピルファラーが持つ何百門という機関銃に撃たれてハチの巣にされるからのんびりしてられない。
そう思いながらも落とさないようにセリナと息を合わせた。
狐坂ワカモという少女がいる。停学中であるものの、一応百鬼夜行連合学院に所属する生徒だ。
お祭りがあるならとりあえず参加するという百鬼夜行っぽさの少ない少女だった。それがイレギュラー対策競技大会の会場にまで自ら足を運んでいたのは、一体何の偶然だったのだろうか。
ワカモは無差別かつ大規模な破壊行為を起こすため、指名手配されている身である。かなり有名なお尋ね者であるため、こんな人の多い場所にいることを知られたら驚かれるかもしれない。
実はワカモが活動するときはいつもお面を付けているため、一般に素顔が割れていないという特徴がある。地鎮祭を思い出す人もいるかもしれないが、星空の描かれたローブを身にまとい、複数人である程度お揃いの行動を見せる地鎮祭とは、すぐに見分けがついたりする。傍目に分かるぐらいに雰囲気が全く違うこともある。
彼女自身も地鎮祭に擬態するような活動を行ったことがないため、間違われる可能性は少ない。地鎮祭を騙るような命知らずは今時まずいないし、いてもいなくなるだけだが。
そんな彼女は今日もお面姿だったものの、暴れるつもりはなかった。イレギュラー対策競技大会はお祭りみたいなものなので、ちょっと仮面をつけている程度では全く目立たないのだ。
しかしそんなワカモの平穏な時は終わり、災害のごとく暴れる未来が固定されたのは、まさにホワイト&ホワイトが第三ステージを戦っているさなかであった。
全方位から大量の攻撃が撃ち込まれ、普通であれば絶体絶命のところ、それらすべてに対応しきって突破した。そこに"遠星操夜っぽさ"があることは確かに事実だけれど、だからと言って断定できるものではなかった。
実際激しすぎる攻防にほとんどの観客も気付いていなかったものの、この時カメラはかなり引いた映像を映しており、建物の影と爆炎、破壊によって当事者の姿が映っていない。攻撃が向かっていく場所の推移によって移動していることは分かるものの、実際に当の三人がどうやってこれを乗り切ったのか、詳細は全く映っていなかったのだ。
もしこれが特定個人一人によって行われているところが映されていたならば、特にゲヘナの星の活躍を目に焼き付けたゲヘナ生には即疑われていたことだろう。事実上の主催が地鎮祭なだけあって、こういう対応もしっかり行われていた。
しかし世の中には理論的には説明できないことというのが確かにある。
彼女にとって遠星操夜は恋慕の対象ではなかったものの、特別な存在ではあったのだ。
あるいは彼女にとって特別な存在であるにもかかわらず。執着され、一途な感情を向けられているにも関わらず、恋慕の対象ではないとされていること自体、非常に特別なことなのかもしれない。
彼女にはその自身でも制御できない激情の向け先か、そうでないか、これが最も重要なことなのだ。
結論を言おう。彼女はそこにいるのが遠星操夜であると断定した。確信だ、疑いようなどない。
そして激怒した。あるいは何かしら膨れ上がって膨大になった感情を、殺意という形で出力することを決定した。
ここに狐坂ワカモ、過去最大の戦いが始まることが決定した。
これは結構な危険事態だ。ただでさえワカモはキヴォトスでも最上位に近い能力を持つ生徒である。その上彼女はなんと"ウルスの祈祷"を多少なりとも使えるのである。
これが使えるということはつまりウルスの許可があるということ。ウルスが拒絶した場合は祈祷は不発となる、のだが。これは遠星操夜に対しては絶対に使えない…という訳でもないのである。
何にせよ、ワカモがその心の揺れるままに遠星操夜に挑みかかるというのなら、ウルスがそれを止める理由はないのだ。理由はまあ、ともかくとして。
しかもワカモの場合、使える祈祷力が非常に高いという事実がある。
ウルスの祈祷はその人の祈りを力に変えるシステムだ。つまり強く真摯に祈るほどにその力を増すのである。そして祈りと言っているのは実のところそれだけに限定されたものではない。
ワカモの操夜に対する強い思いは、そのままウルスの祈祷に使用可能な祈祷力としてたまり続けているのだ。
ワカモがウルスの祈禱を使うことは全くと言っていいほどないため、その思いによって溜まりに溜まった祈祷の力は莫大な量となっている。それが原因とも言うべき遠星操夜に向けられるのだから、ある意味自然な流れということもできるのだろうか。
今のワカモに加減とか遠慮とかそういったものは全くない。素で厄災と語られる暴威に、強大なウルスの祈禱と、そして激情が上乗せされる。
それは
これが特定個人に向かうのだから、戦闘の激しさは想像を絶することになるだろう。
ワカモは18歳なこともありますし少女と形容すべきか悩んだのですが、ブルアカの生徒は全員少女だろうという結論に達しました。え?シュン?彼女は女性だろ!いい加減にしろ!(笑)
某旧支配者……いったい何ルフなんだ…!
なんていってますが、この種族がゾッシーとしか呼ばれないように、本作においてこの手の神話生物がそのまま出てくることはありません。すべて似ているところがあるだけの別モノです。