四人中三人がオリキャラですが、現時点では覚える必要ありません。ミス・ホワイトの正体が意外とバレてなさそうなのが意外でしたが、レールガンネタはゲーム中では言及されないので当然でした。
持ち前のレールガンを置いた少女が、タブレットを片手に口を開く。
「状況終了しました。対象はロスト、損害524。惨敗ですね」
白く長い髪をまっすぐに伸ばした少女が、自らの敗北を報告するとは思えない、どこか機嫌よさげな様子でそういった。彼女はミス・ホワイト、大人でもイレギュラーでもないが、生徒であるかは人によって意見が分かれるかもしれない人物。
場所はトリニティの中でも人のいない地域、その地下のとある施設。この場にいる四人(?)の内でヘイローを持っているのはミス・ホワイト一人だけである。
「うああああああああ!何を楽しそうにしている!たった一人を相手にボロボロじゃないか!」
「うふふ、そうですね」
「うああああああああ!そうですねじゃなーい!」
緑色のスライムのような何か、ミスター・グリーンが変な音を立てながら騒ぐ。うるさいようなそうでもないような、やっぱりうるさいような絶妙な音量だ。
「地鎮祭、ポラリスの怪人か?」
「はい。否定的な要素も多々見られますが…あの存在感を持つ特異な雰囲気からして、地鎮祭の異常な戦闘力を持つ少数精鋭部門、ポラリスセクターの怪人であると予想されます」
どこか威厳のある声で聞いたのは、赤色のギリースーツを着ているかのような見た目をした人物。名をマグニスレッドといい、この集団の主でもある。他の三人に背を向けて、キャンパスに向かって座り絵を描いている彼が声を発した瞬間、うるさくしていたミスター・グリーンがかしこまって口を閉じた。
主の邪魔をするまいとスライムのような体の流動をも止めたミスターグリーンとは対照的に、ミス・ホワイトは先ほどまでと同じ様子で報告を続ける。
「ただ"ウルスの祈祷"を使う様子もなく終始撤退行動に徹していて、いつもポラリスの怪人が行う圧倒的な力による蹂躙がありませんでした。それでもその能力は圧巻…精鋭人形兵を一撃で撃破可能な攻撃力はともかくとして、我々が用意した特殊弾を何十何百とその身に受けてもほとんど戦闘力が落ちない耐久力と精神力。完全に包囲されることなく逃げ切った頭脳と状況判断力。これらは驚愕に値します。"ウルスの祈祷"をつかってすらいないにもかかわらず、かつてのダブルオーにも劣りませんね」
コードネーム・ダブルオーと言えば、キヴォトスでも最強格と言われる生徒の一人であり、ミス・ホワイトが良く知る相手でもある。そんな相手をあえて挙げて行う評価は、彼女にとっての最大限の称賛と言ってもよかった。
「おそらく相手にとっても不意の遭遇だったのだろう。位置的に斥候との遭遇戦が起こるとは考えにくい。…それに話に聞くポラリスセクターの怪人はもっと超常的だ」
マグニスレッドがキャンパスに筆を走らせながら、それ以外は全く動かずに話す。
「遭遇地点は再調査しました。特異な点は見つけられませんでしたが…」
「やはり事故であろうな。しかしお前ならばこれほどの損害を受ける前に撤退できたたはずだが」
マグニスレッドが詰問するのは、ミス・ホワイトの能力を評価しているが故であろう。冷静に判断していたのであれば、ミス・ホワイトはより早く撤退を選択していたはずだと。
「私の落ち度です」
「ワザとか」
「そんなことはありませんよ、うふふ♪」
そうしなかったのは、ミス・ホワイトが自身の個人的な欲求を優先させたからに他ならない。そして彼女がそのように執着するような相手は非常に限られている。
マグニスレッドはその瞳で、いくつかの選択肢の中から真実により近い仮定を導き出している。…それを口に出すかどうかはともかく。
「何でも覚えていられるからって、それをうまく使えるわけではないんですよ?」
「かつてのお前の相方とやらは、さぞ苦労したことだろう」
ミス・ホワイトはなんでも覚えていられるという特性を持っているが、飄々と自分の特性まで言い訳に持ち出すのを見て、マグニスレッドもいくらか呆れていた。どうにも要領を得ない会話内容だが、本人たちは理解できているようだ。
「使用した武器はメインにスナイパーライフル、サブにハンドガン。既製品ばかり使うポラリスらしく、愛銃ではないかと。自らの愛銃を使わず様々な武器を使い、それでなお強いのがポラリスの怪人ですから」
「特徴的な武器となれば身元を特定することも可能、故に隠す。しかし長く使い続けた武器ほどより強力に使える。特定の武器に限らず戦えるのは、それだけ神秘に頼らぬ確とした戦闘技術を持っていることの証左だ」
「ポラリスセクターはそのメンバーの総数すら判明していません。私の分析では最低でも三人はいると結論付けてはいますが、上は青天井ですね」
「物理的・電子的・神秘的にも穴のない防諜か。神たる力ある者が繊細な調整まで怠らないとは、遠星操夜という者の勤勉さよ。それが作り出した地鎮祭という組織もまた高次元にある。少数精鋭のはずのポラリスセクターはおろか、通常戦闘部門のアルタイルセクターの構成員ですら、無色透明なミス・ヌルの存在に気付いた」
その言葉にミス・ホワイトが何もない空間に目を向けると、空気が振動するように揺らいだ。無色透明で瞳に映ることのない彼女の名前はミス・ヌル。その性質故に機密区画にも侵入可能な彼女は、視覚どころかサーモグラフィでも判別できない。
そんな彼女の存在を、精鋭でもなければ特別索敵能力に優れている訳でもない一般戦闘員が見抜いてくる。裏社会において最強の戦力を持つと言われ、恐れられているのが地鎮祭という組織だ。
「あああああああ。つまり地鎮祭には、三大校にいるようなキヴォトス最強格と同レベルの戦力が三人以上いるということ!それでは組織間の戦力バランスなどあったものではない!」
「操夜さんがいる時点で今更ですけどね」
「あああああああああ!そもそも遠星操夜がおかしい!なんで超世界規模の存在が内世界に顕現してる!?世界が破裂するううううううううううう!!!」
厳かな雰囲気の弛緩を察知してか、ミスター・グリーンが縮こまるのをやめて騒ぎ出した。しかしその愚痴のような叫びには全員が同感といった様子だった。
「それゆえにルールを守っておるのだろう。もとより現行キヴォトスのルールはそのためのものと言っても過言ではない。
なぜ誰もが判で押したように銃火器を使用する?それはルールでありマナーだからだ。キヴォトスにすむものはルールに縛られると同時にルールに守られている。銃火器を使うことを捨てれば、確かにより驚異的な力を使えよう。しかし、それはグレーゾーンだ」
「……自覚して自らを律し、そのルールを守っているのは操夜さんくらいですけどね。それにルール違反というなら、今のゲマトリアにも一人不届き者がいますね」
ミス・ホワイトの表情は変わらないものの、口調にはいくらかの不快感が含まれている。それはごく一般的な感性からくるものであったが、マグニスレッドもまた別種の不快感を持っていた。
ゲマトリアの協力者ではあるものの、芸術家にして技術者でもあるマグニスレッドにとって、ゲマトリアの思想には共感するところが大いにある。故にこそそこに反する者がゲマトリアにいるとなれば、あまりいい気はしない。
「ベアトリーチェがホワイトライダーに敗れれば、ホワイトライダーは手が付けられなくなる可能性がある。ただでさえ、不穏な空気が流れているところに…」
今回ミス・ホワイトが指揮していた部隊はゲマトリアの要請によってマグニスレッドが用意していたものである。
アリウスとイレギュラーの戦いという…トリニティの地下で人知れずに繰り広げられている戦争、そこへの用意していた援軍を損耗した形であり、気に入らないからと言って放置できることでもなかった。
「いずれにせよ地鎮祭も遠星操夜も、我々の敵というわけではない。勝手に敵対することは避けるように」
ベクトルは違えど、部下である三人には一様にくぎを刺しておかなければ安心できない。そうマグニスレッドは考えさせられていた。
・ミス・ホワイト
人形芸術家勢力はあまり出番がないが、彼女だけはそうでもない。いったい何者なんだ…ブルアカでレールガン持ってる奴なんて多くて二人くらいしかいないだろって?それはそう。
・ベアトリーチェ
エデン条約編は原作より遥かに混沌として驚異度が高いです。沼女とかいう星上いなかったら悲劇と絶望の匂いしかしない存在も出てくるし。鬼面方面平衡世界キヴォトス群が滅びまくってるのも頷ける感じに。