というわけで、ここからUAが10000増えるたびに簡易キャラ紹介でも載せていこと思います。
まずは主人公から。
名前 葛木 鉱芽 (かつらぎ こうが)
年齢 19歳(物語開始時点)
誕生日 7月7日(蟹座)
血液型 B型
身長 180cm
好きな食べ物 寿司、オレンジ
嫌いな食べ物 トマト(1年前に比べて食べられるようにはなった)
19歳。フルーツパーラー「ドルーパーズ」でバイトをしており、μ'sの指導者としても彼女達と共に活動している好青年。器用で多才であり、また生まれつき五感が異常に優れている。どこか達観したような姿勢を見せながらも、その実目立ちたがりな一面も持つ。
(活動報告の方ではもう少し詳しい詳細を載せています)
それでは今回もどうぞ。
あれから日をまたいで、現在は土曜日の昼過ぎ。俺はドルーパーズにて絢瀬の来店を今か今かと待っていた。先日俺が彼女を助けた後、本来ならすぐにでも話し合いに移りたいところだったのだが、時間が時間だけに絢瀬も帰らざるを得ないという事、また絢瀬本人が動揺していた事から日を改めることにした。昨日の状態で話し合っても余計に混乱するだけだからな。だから今回、絢瀬には心を落ち着かせてもらった状態で話し合うことにしてもらった。
そして時計の針が約束の1時半を指した頃だろうか。ドルーパーズの扉を開けて、見覚えのある金髪が店内に入ってくるのが見えた。言わずもがな俺の待ち人、絢瀬絵里だ。
「よっ、こんちは。昨日は眠れたか?」
「こんにちは……眠れると思いますか?」
「ははっ、だろうな」
しかしそう言う割には目に隈もできておらず、特に体調が悪い傾向も見られない。取り敢えずは最低限の睡眠はとれたようだ。
「そんじゃあさ、前とおんなじ席開いてるからそこに行ってて。紅茶飲めるよな?」
「ええ、ありがとうございます」
おや? 何だか以前にも増して穏やかだな。それだけ絢瀬の心境に何らかの変化があったということだろうか。ともかくあまり待たせるわけにもいかないので、早急に紅茶を淹れて絢瀬の待つ席まで持って行く。そしてカップを絢瀬と俺の席の前に置いて、俺もその席に腰を掛ける。一応おやっさんにはこちらの話を聞かないように忠告しているので聞かれるということはないだろう。ま、聞かれたところで忘れるんだけどさ……。
さて……何から話そうか……。
「とりあえずあの怪物の事からだな。少し大変だけどしっかり聞いていてくれ」
そこから始まるヘルヘイムの脅威についてのお話。内容的にはことりや希に話したことと大して変わりはない。ヘルヘイムの森から現実世界に浸食してくる未知の植物、そこに住まうインベスと呼ばれる怪物たち、それに対抗するためのアーマードライダーシステム──鎧武、そして世界の改変とヘルヘイムの因子の件……。一つ一つが本当に複雑な問題のため、説明に多くの時間を費やしてしまった。時折絢瀬の質問に答えながらも、全部説明する頃には3、40分を超えてしまっていた。
「──まあ、こんなところ……かな。あまりにも情報量が多いから全部説明し終えたかちょっと分からないけど」
「……」
「……やっぱ信じられない?」
俺の説明を聞いている間も、絢瀬は質問以外は特に口を挟むことなく、ただ俺の話すことに一々相槌を打つだけだった。もちろん内容が内容だけに何度かその表情を曇らせることはあったが、それでも彼女の表情に大きな変化は見受けられなかったように思える。だから絢瀬が未だその事実を受け入れられていないのではと考えてしまう。
「いえ……昨日のアレを見る限り……信じるしかないと思っています」
「ああそう。そりゃよかった」
よかねーよ。と心の中で自分にツッコんでおく。そもそもこんな非現実的な事象に巻き込まれて、それを信じざるを得ない状況まで追い込まれるということ自体おかしい。もし彼女が因子持ちでなければこんな馬鹿みたいな話を信じることも無く、今まで通り危険から離れた生活を送れていたかもしれないのに。
「まあ、なんだ。お前が因子持ちっていうのは……やっぱ運が無いとしか……な」
「でも、それは希やあの子達も同じなんでしょう?」
「そうだな」
正直、因子をまき散らした原因に心当たりもある分(全部が俺の所為という訳ではないけど)、どこか責任を感じてしまう。
その後はしばらく沈黙が続いたが、そんな中で先に絢瀬が口を開いた。
「あの……ごめんなさい」
「ん? どうしたよ?」
そして出てきたのはいきなりの謝罪の言葉。その意図が分からずについ首を傾げて絢瀬に尋ねてしまう。
「私、アナタの事をいい加減な人間だと思っていました」
「あっ、そうなの?」
「ええ。何故大学を辞めてバイトを始めたり、あの時も急にいなくなったりした原因が分からず、葛木さんを勝手に無責任な人間だと……」
「あ~……なるほどね」
なるほど、絢瀬には俺がそう映っていたのか。そりゃあ嫌われるってもんだ。確かに傍から見れば俺はそんな人間に見えてもおかしくないよぁ。むしろ受け入れてくれるおやっさんがスゴイだけであって。
ん、つまりアレか? 俺は早とちりで絢瀬に嫌われていたって事なのか……?
「まっ、過ぎたことはいいよ。とりあえずだ……これで仲直りって事でいいか? 俺達」
「……別に喧嘩していたわけじゃ…………そうですね。少しだけアナタの事、分かりましたし」
「おっしゃ。じゃあさ、お近づきに名前で呼ぶってのはありかな? 絵里ちゃんって。もしくは絵里?」
俺がそう提案すると、絢瀬はいつもの見慣れた不愛想な表情を浮かべてこちらをジト目で睨みつける。しかしその頬が少し赤く染まっているため、威圧感がまるで無い。笑顔を除けば今までで一番可愛い表情かもしれない。
「……いきなり馴れ馴れしすぎませんか?」
「いいんじゃないの? 絵里だって俺の事、名前や溜口で喋っていいんだぜ? そっちの方が話しやすいだろ?」
「……私はもうしばらくこのままでいます」
あれま、何と釣れないことで。しかし俺の名前呼びに特に言及してこないということは、彼女を『絵里』と呼ぶ分には問題ないということだろう。というか無理矢理そう解釈させてもらおう。
「パフェ、なんか奢るよ。何がいい?」
とりあえず空気を変えるためにメニューを絵里に手渡す。絵里もそのメニューを開いて、少し気だるそうな目でパフェの写真を追っていく。
「あっ……これ……」
「んん~?」
絵里が反応したメニューに俺も顔を覗かせて確認する。するとそこにあったのは、以前俺がおやっさんに提案した、レモンの輪切りを差し込んだ特製パフェだ。要するに、以前絵里がここに来た際に食べた試作品のことだ。
「これ、商品化したのね……」
「欲しい?」
「また同じのを食べるだなんて……」
「今日は俺作るよ? 本当の意味での葛木鉱芽特製パフェ、どう?」
その言葉を聞いた絵里はしばらく黙り込み、そしてメニューと俺を交互に何度か見返しながら思慮にふけっていた。割と長い間彼女は思考の海に浸っていたようだが、やがて彼女の重い口がようやく開いた。
「……じゃ、じゃあ……お願い……するわ」
「よしキタ。ちょい~っと待っててね、絵里ちゃん」
「っ、簡単に呼ばないでっ」
「あっははっ──」
あらあら、怒られちゃった。やはり名前呼びはまだダメなのかね? でもその時の絵里の表情はあからさまに不機嫌という訳ではなく、頬を赤く染め、困った表情を浮かべながらもどこか満更でもないといった顔をしていた。
それに絵里自身も俺に対して溜口で話している。うん、やっぱりそのくらい軽い絵里の方がいいかも。
とにかく今回は、明らかに彼女が昨日までよりも俺に対して好意的になっているのがよく分かった。やはり誤解を解けたというのが大きいのだろうか? そんな風に内心舞い上がりながらも、俺は絵里の要望に応えるべくドルーパーズの厨房へと足を踏み入れた。
──────────────
「全く……」
厨房へと入っていく葛木さんを見ながら、私はゆっくり胸を撫で下ろしながら息を吐きだす。
先程まで彼が私に語ってくれた事。それは俄かに信じがたいおとぎ話のような内容であったのに、昨日の怪物の件もあり、私は妙にその話をあっさりと受け入れてしまった。そしてそこから続いたお話──彼の戦いの記録。全部聞いてようやく私は葛木さんのしている事を理解することが出来た。そして、やっぱり希はそのことを知っていたんだ。だからあの時だって、葛木さんは希に私を託したんだと思う。
ともかく、彼の周りではとんでもないことがいっぱい。それは否が応でも理解できた。
だけどその反面、よかったという気持ちもある。あの人が──葛木鉱芽という人物が皆が言うような誠実な人で──私が期待していたような人でよかったという想いが、胸にあふれている。それが分かっただけでも今日は彼に会った価値は十分にあった。
森とか怪物とか得体の知れないものの話題よりも、彼という人間について知れたのが本当に大きかったと思う。
しかしはっきり言って、心の奥底の不満が全く消えたわけではない。未だ微かに残るその黒い感情。その原因は分からないし、もしかするとこれとは別件なのかもしれない。だから今はそのことに触れるのは止めておこう。せっかく仲直りしたんだから。せっかく珍しく機嫌もいいのだから。
「(にしても)……心臓に悪いわ、本当」
妙に機嫌がいい自分を不思議に思いながらも、つい先程までの彼の振舞を思い出してそう感じてしまう。いきなり名前呼びなんて……それについ以前と同じパフェを頼んでしまった私も私よ。あの子達に葛木さんと離れるように言っておきながら、今の自分は一体何をしてるんだろうと考えてしまう。
「(あ、そっか……だから私は)」
そこでふと、今の私が機嫌がいい理由にも気付いてしまう。
そう、さっきまでの彼は私を学校の問題抜きで接してくれた。
義務や使命なんて説教臭い言葉を使わずに、自分という人間に接してくれた。
特に計算なんてなく、ただ楽しげに私と話をしてくれた。
それはあの時神社で見た葛木さん──私が会いたいと思った人と同じだったからだ。
「はいお待たせ~」
「っ」
ふと彼の声で思考の海から現実世界に戻されてしまう。そこには同じパフェを二個乗せたトレイを持った葛木さんが、相変わらず笑顔でそこにいた。
──この人がずっと私の問題に触れなければいいのに。
今の葛木さんの笑顔を見て、そう思わざるを得ない私であった。
──────────────
「──バレエの話、聞いたよ」
「えっ?」
「希から聞いてな──」
二人してパフェを口にしている中、ふと俺が零した言葉に絵里は反応を見せる。一応希から聞いたという体裁で話を進めるが、俺の話を聞いている間の絵里はどこか遠いところを見ているような儚い表情を浮かべていた。恐らく過去の自分に思いを馳せているのだろうが、それがどこか脆く、切なくて、美しく思える。それでもやはり俺がいいと思ったのは、あの映像での彼女の笑顔だ。
「──動画も見たけどさ、やっぱ上手いと思ったし、すっごくいい笑顔してた」
「あ、ありがとうございます」
「だからあいつ等を認めたくなかったのか?」
「っ……そうです」
しかし俺がμ'sの話題を出した途端、絵里はまた硬い表情を作り出す。
「あの子達のレベルはまだまだ遊びに毛が生えた程度のものです」
「それ、指導してる側としては結構キツイんだけどなぁ……」
「では指導不足じゃないですか?」
「……それは思ってたとこ」
とまあ、こんな風に絵里に責め立てられているわけだ現在。しかしその言葉も尤もかもしれない。元々指導するったって、俺とμ'sとじゃダンスのジャンルも違うし、何より俺が関われる時間が限られているのが現状だ。俺がいない時だって海未ちゃん一人じゃ大変だろうし、正直なところ、もう一人くらい指導できる人材が欲しかったところだ。
そう、俺の目の前の人間くらいには踊れる人材が……。
「……お前もさ、そろそろ自分のやりたいことに目を向けてもいいんじゃないの?」
「っ!?」
互いにパフェを口に運ぶ作業を進める中、俺はそう切り出した。
パフェを作っている間に考えていたことがある。それはどうすれば絵里がμ'sを受け入れられるかだ。いや、受け入れるどころではない。彼女ならμ'sを更なる高みに……そんな期待を胸にしていた。だから今、俺は絵里に声をかけた。
きっと彼女のやりたいこと、それは生徒会の仕事なんかじゃない。生徒会の立場に立って廃校を食い止めるという使命ではない。絵里の望みはきっと別に……。
ともかく希の言った通り、彼女はμ'sの見方になりうる存在だ。そしてそんな期待を抱いていたからこそ、俺は彼女を言いくるめようとしていた。
「話変わって悪いんだけどさ、今俺が戦っているのは義務とか使命のためなんかじゃない。それは聞いたよな」
「……」
「けど昔は違った。義務や使命だなんて自分を突き動かして、結局ガタがきた」
「……っ……」
「要するに無理があるんだよな、そういう気持ちでやってると」
俺がそんな話題を持ち出したのは、果たして絵里に自分の気持ちに気付かせるためであったか、それとも彼女にμ'sの指導をしてほしいと思ったからであったか。それとも、単に絢瀬以外の人間も得になる話であったからだろうか。
「……ぁ」
しかし後になって考えてみれば、どうにも会話の運びが不自然すぎた。
いきなり話題を変える必要なんてなかったというのに。
当の俺自身、功を急かしていたのかもしれない。
彼女からの印象がよくなったことで楽観的にとらえ過ぎていたのかもしれない。
だからであろう、今の絵里の表情がゆっくりと曇っていくのに気付けなかったのは。
「な、お前の口から聞かせてくれないか? 今、自分のしたいことを」
「……アナタ、は……」
「……?」
よく考えてみれば調子に乗っていたのかもしれない。嫌われの身から脱した所以だろうか。
俺は彼女が前回
しかし、今はいろいろと彼女の心境をはかるには遅すぎたようだ。
彼女が胸の内で抱えていたものが、今この場で爆発してしまった。
「アナタは……アナタはなんなのよっ!?」
「っ!?」
急に激情を露わにして叫びだす絵里。その怒号に思わず驚いてしまう。つい先程まで落ち着いていたはずの彼女の豹変ぶりに困惑してしまう。
「私に自分のやりたいことをやれって言いながら、自分はどうなの!? アナタのしている事だって結局は今も使命や義務じゃないの! そんなので私に偉そうな事言えるっていうの!? 人生の先輩気取りのつもり? 冗談じゃないわ!」
「絵里……っ……」
眉間に皺を寄せながら真に迫るその表情の中に涙が混じっているのを見つけてしまい、思わず息を飲んでしまう。その時の彼女の気持ちが如何なものか今の俺では到底理解できない。一体何を感じてそんなに悲しそうな顔をしているのか。俺は彼女の何に触れたのか……。
「お前、どうしたんだよ……」
「……ごめんなさい……でも、今のアナタに何言われたって……嬉しくも何ともないわ……っ!」
最後にそう言い残し、店内から走り去っていってしまう絵里。
一瞬立ちあがるもそんな彼女を追いかけることもなく、俺はただその場で突っ立っている事しかできなかった。
「……」
彼女が座っていた席のテーブルの上には、未だ食べかけのパフェとレモンがポツンと残されていた。
とりあえず次回をお待ちください。