ラブライブ! ー果実の鎧武者ー   作:春巻(生)

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先日、とある動物園に昨年生まれたという双子のパンダ(生後三ヶ月)見に行ってきました。
人もそんなに多くなかったので見やすかったです。ちゃんと7頭全部見れました。流石白浜。
まあ正直な話、パンダより設備が新しくなっていた事の方に驚きましたが……。
(そもそも関西圏の人にとってパンダはそう珍しいものでもありませんし)

アルパカも音ノ木坂よろしく白と茶の二頭いました。
て言うか初めて見たかも……アルパカ……。


それでは今回もどうぞ。


第32話 壁を壊すために

 休みが明けて再び学校が始まり、試験の結果も殆どが帰ってきて、夏休みの始まりまで残り少なくなった今日この頃。私は今、生徒会を引き連れて校内のあちこちを散策していた。というのも先程、理事長から思わぬ通達を言い渡されたからだ。

 

 ──二週間後のオープンキャンパスの結果が悪ければ、その時点で廃校確定。

 

 廃校の知らせを聞いた時からずっと回避しようとしてきたこと。しかしそれが今、目の前にまで迫ってきていた。いざ危機が眼前に迫ってくると、人というのは軽く混乱してしまうのね。だからさっきも理事長に対して声を荒げてしまったし、その場に居合わせたスクールアイドルの子たちにも冷たい言葉を投げかけてしまった。

 ……いや、それだけならいつも通りかもしれない。だけど、以前葛木さんの事であんな事を言ってしまった所為かしら……彼女達の目に浮かぶ、私への反感の眼が今までよりも強いものに感じられた。

 

 

「(でも私は……)」

 

 

 私はあの子たちをまだ認めていない。もちろんそんな子たちの手を借りるわけにはいかない。だから私は、いえ、私たち生徒会は今こうして、学院内を巡って何かいい案はないかと探し回っているところだ。

 

 だけど……そんなの簡単に見つかるわけないじゃない……っ。

 

 

「……なんか思い詰めているようやけど、エリチ……」

 

「……何?」

 

 

 ふと横から希が心配をかける声が聞こえてくるけど、そのトーンはどこか困惑するようなものも含まれていた。やはり私がまた一人で無理をしようとするのが不安なのかしら? でもそれなら大丈夫よ、希。今の私は彼のお蔭で少しは心に余裕があるの。だから一人で抱え込むようなことはもうしないから。

 

 だからそう心配しないで。

 

 そう、思っていたのだけど──

 

 

 

 

 

 

「……涎まみれの顔でそんな空気出しても……締まらんのとちゃうん?」

 

「……」

 

 

 ──どうやら違ったみたい……。

 

 希の言う通り今の私の顔は涎で、それもアルパカの涎でべたべたに汚れていた。それに顔だけでなく、制服やベストもだ。っはぁ……最悪だわ。

 

 この音ノ木坂学院では、何故かアルパカを飼育している。それもご丁寧に、雄と雌の二頭もだ。本当、なんでこんなところにアルパカなんているのかしら……。理事長の趣味……? ともかく、そのアルパカに唾をかけられてしまったわけよ。

 

 

「んっふふっ」

 

「笑わないで希」

 

 

 そんな私の醜態を見た希が横で小さく吹き出す。「だって面白いやん」と、にやけ顔で返す希を何とか黙らせて、私は仕方無くハンカチで汚れをふき取る。希はそれ以上笑い声は出さなかったけど、口元は少し上がっているし、両目も下弦の月のようにつり上げていて、結局薄ら笑いを浮かべたままずっとこちらを見据えていた。本当、こんな時でもアナタは楽しそうね……。

 

 

「……ん?」

 

「生徒会長……さん?」

 

 

 そんな中、こちらへと近づいてくる二つの人影が見えた。水や飼料となる干し草を持っていることから、アルパカの世話をやりにきたのは分かる。だけど、私はその子たちに見覚えがあった。

 

 

「アナタ達……」

 

 

 直接会ったことは少ないけど、何度も目にはしていた。その子たちはこの学院でスクールアイドルをしている一年生だった。同時に、今の私に対して不信感を募らせているであろう子たちだ。そして案の定、二人とも私を見た途端あからさまに警戒するような姿勢をとる。

 

 

「(はぁ、随分と嫌われたものね……)」

 

 

 葛木さんとは分かり合えたというのに、この子達とは逆にどんどんと遠ざかっていってしまっている。けど別にそんな事はどうだっていい。どうせこの子達と仲良くなったからって何かが変わるわけではないし。

 

 それに……そんな事今更よ。

 

 私と彼女達とではいろいろと違いすぎるから……。

 

 私は彼女達のようになる事なんてできないから……。

 

 

 

 ────────────

 

 

 

「セイハァァァァァ!!」

 

「「グギュァァァ!!」」

 

 

 イチゴロックシードを装填した無双セイバーを切り上げ、クナイバーストを放つ鎧武こと俺。無数の赤い苦無が上空から二体のインベスへと降り注ぎ、耐え切れなくなったインベス共は悲鳴と共に呆気なく爆散した。

 

 

「……っし。大丈夫か? 穂乃果」

 

「うんっ。ありがとう、鉱芽さん!」

 

「ははっ、どういたしまして」

 

 

 変身を解除し、後ろの電柱で隠れている穂乃果へと声をかける。穂乃果は相変わらずの眩しい笑顔で答えてくれる。その眩しさに、こちらも思わず微笑んでしまう。

 

 

「それより鉱芽さん。今のってイチゴだよねっ? 私の大好きな!」

 

「そっ。どう? カッコよかった?」

 

「うんっ、可愛かった!」

 

「ありゃ……?」

 

 

 穂乃果のまさかの返答に思わずズッコケてしまう。いや、まあ……そうだな、確かに可愛いよな、イチゴアームズ。て言うか下手すれば全部可愛いんじゃないのだろうか? クラスA単体のアームズって。

 う~ん……可愛い……かぁ……。えぇぇ……そっかぁ……。

 

 

「……かわいい、よなぁ……やっぱ……かわいい……可愛い……う~ん……」

 

「……鉱芽さん?」

 

「でも……やっぱり──……えな──……じんば──……ったら……ゴニョゴニョ……」

 

「鉱芽さん!」

 

「ぅおっ! ごめん。どうした?」

 

「もう! そんなに一人でぶつぶつ言ってたら気になっちゃうよぉ!」

 

「あぁ~、ごめんごめん。ちょっと考え事をね」

 

 

 穂乃果に怒られてしまうが、どうやらいつの間にか独り言を呟いていたみたいだ。いや、これは恥ずかしい。とは言え、声に出すような思案なんて久しぶりな気もする。いや、そもそも俺ってそんな器用な事できたんだなぁ。

 

 

「ま、いっか。じゃあ行こう、鉱芽さんっ」

 

 

 そう言って俺の手を持って引っ張りだす穂乃果……ってちょいちょいちょい待ち! そっち俺ん()じゃねぇんだけど! え、何? 俺、穂むらに連れてかれんの?

 

 

「ちょっ、待てって。行くって穂むら? 何で俺もっ!?」

 

「いいからいいから。海未ちゃんとことりちゃんも後から来るから」

 

「え……?」

 

 

 後から来る? どういう事だ? って言うかさ……

 

 

「だったら俺ん家やドルーパーズでもいいだろ。何で穂乃果の家なわけ? 家族に勘違いされなくない?」

 

 

 まあ、例えそうなったとしても、この持ち前のトークスキルで乗り超えられる自信はあるけどな。

 

 

「大丈夫だよ。もうお母さんには言ってるから。μ'sを指導してる人が来るって」

 

「いや、でもそれって男だろ」

 

「葛木舞衣さんの息子って言ったら即OK貰ったよ」

 

「マジで!?」

 

 

 つまり穂乃果の母も、俺の母さん──大アイドル葛木舞衣のファンだったという訳か。流石母さん。その影響力は今でもはかり難し……だな。ただ、そう簡単に信じるのもどうかと思うけど……。

 

 

「だから今日はドルーパーズじゃなくてお家で話そう、って私が提案したの」

 

「猛反対する海未ちゃんとそれを宥めることりの姿が簡単に想像できるよ……」

 

 

 しかしいつまでもそうは言ってられない。ここは彼女達の提案通り、穂むらに立ち寄るとしよう。

 

 

 

 ────────────

 

 

 

「こんばんは鉱芽さん。すいません、こんな場にお連れして」

 

「いや、いいって別に。穂乃果ママも親切にしてくれたしな」

 

「こんな場って酷いよぉ、海未ちゃん」

 

 

 穂むらについて20分程経った頃だろうか、ようやく海未ちゃんとことりが姿を現す。そして海未ちゃんに自分の部屋をこんな場扱いされて口を尖らす穂乃果。ま、確かに普通はないだろうからな、男が女子の部屋に一人だけなんて事。

 因みに、当初は穂乃果の部屋でずっと独りきりで待機させられていた。穂乃果が店番でいなくなっていたからだ。そしてその間、穂乃果の母や妹からの質問が続いていたわけだが……なかなかパワフルな家系だなぁ、ここ。あの質問攻めには少し疲れた。ま、結局その後、招待した側としてちゃんと戻ってきてくれたんだけどな、穂乃果は。

 

 

「んで、何か話したいことでもあるの? わざわざ連絡も寄越さないで」

 

「そうだよね。ことりも気にになってたの……どうしたの海未ちゃん?」

 

「あれ? もしかして呼んだのって海未ちゃん?」

 

「はい……」

 

 

 そして早速本題に入るが、どうやらこの会合を仕組んだのは海未ちゃんらしい(穂乃果はあくまでも話す場所を持ち出しただけだったようだ)。それには少し驚いてしまう。海未ちゃん、真面目な話をする時にこんなサプライズ染みたことなんてするとは思えないんだけどな……。

 そんな海未ちゃんはというと、軽く(こうべ)を下げてしばらく言葉を溜めこんでいるようだった。

 

 

「……生徒会長の事で少し」

 

「「っ」」

 

 

 そして少しの間を開けてから開かれる海未ちゃんの口。そこから出てくるワードに対してあからさまに警戒の色を浮かべる穂乃果とことり。しかしそこに浮かび上がる反感の表情は、今までの比ではなかった。

 

 どうしたんだお前ら? いくら嫌われてるからって、お前らまでそんなに嫌そうにするものか?

 

 

「鉱芽さんには以前説明しましたよね。あの人が……どれだけレベルの高いダンスを踊れるのかを」

 

「うん」

 

「え、そうなの海未ちゃん?」

 

「はい」

 

 

 そうして俺と海未ちゃんは説明を始める。かつて絵里がバレエをしていたこと。そのレベルの高さもさることながら、人を惹きつける魅力にも溢れていたことを。

 

 

「そうなんだ……」

 

「ええ、ですから鉱芽さん……」

 

「なんだ?」

 

 

 そして、海未ちゃんは俺に告げる。密かに彼女からダンスの指導をしてもらうことを考えていたことを。とは言え、そこは予想通りだし、俺だってそうなればいいと思っていたところだ。だけど……。

 

 

「そう思っていたのですが……」

 

「……なんか悪い事でもあったか?」

 

「……」

 

 

 そこまで言って海未ちゃんの顔は罰が悪いものに変わる。いや、海未ちゃんだけじゃない。隣の穂乃果やことりも、どこか決まりの悪そうな表情を浮かべて俺から顔を逸らしている。これは俺の知らないところで何かが起こったということだろうか。海未ちゃんも本当は指導をしてもらいたいのだけど、何かがあって踏み切れないのだろうか……? しかしこのままでは埒が開かない。

 

 ふむ……だったら……。

 

 

「まあいいや。よしっ、みんな携帯出して。はい」

 

「鉱芽さん?」

 

「こういう事はみんなで話し合おう? なっ。その為に呼んだんだろ?」

 

「……そうですね」

 

 

 そう言って俺は懐から自分の端末を出してみんなに勧める。三人共その言葉に従って端末を出すと、あるコミュニケーションツールを起動させ、そして「μ's」と書かれたグループトークに発信する。もちろん俺もな。

 

 

『遅い!』

 

『もうみんな来てるにゃー』

 

「あぁ、悪い」

 

 

 そして俺の端末から聞こえてくるのはニコと凛ちゃんの声。そう、このツールは便利な事に、一斉に多人数との通話ができるものだ。どうやら最近の女子高生の間で流行りだしてるようだ。

 因みに俺はこのツールの存在を知ったのはつい先日で、その便利さに驚いたりしていたものだけど……俺も若くないんだなぁ、とひしひしと感じてしまう。まだ二十歳手前だってのに……。

 

 

「まあ、とにかくだ。俺と海未ちゃんから話がある」

 

『何? 変な事企んでないでしょうね?』

 

「変かどうかは分からないけど、何か企んでるのは間違いないな」

 

 

 そして俺と海未ちゃんは先程のように、絵里の過去をμ'sのみんなに伝える。何人かの驚きの声が端末のスピーカーから聞こえてくるが、どうにも反応が薄く感じる。一体どうしたのか分からないが、とりあえず本題に入らせてもらうことにした。

 

 

「はい、ですから……んん……」

 

「……アイツにダンスの指導してもらおうって事。因みに俺は賛成ね」

 

 

 海未ちゃんが言いづらそうにしているので代わりに俺が伝える。俺のその提案に対して帰ってくる反応は様々なものだったが、そのどれもがまるで好意的なものに感じられなかった。

 

 

『私は反対。潰されかねないわ』

 

「真姫……」

 

 

 特に真姫に至ってははっきりとそう直言した。しかし、まさか真姫がこうも俺と正反対の意見をとるとは思わなかった。最近はどうも俺の言葉に従順なところもあった分、その異論に少なからず驚いてしまう。確かに、どこかリアリスト的な考えも持つ真姫なら反対するかもとは思っていたが。

 

 

「私もちょっと……」

 

「ことり……」

 

 

 真姫の言葉に続いてことりも反対の意を示し、そこから言葉を濁しだす。まさかことりまでそんなに嫌がるとは……。おいおいマジかよ。本当に誰も賛同者いないのか?

 

 

「……穂乃果はどうよ? 指導は賛成?」

 

「私は……」

 

 

 俺の質問に穂乃果は言葉を詰まらせてしまう。もしこれで穂乃果から賛成を得られなければμ's皆が反対ということになってしまう。

 

 

「……鉱芽さんは、どうして賛成なの?」

 

 

 すると穂乃果は逆に俺に対して質問してくる。質問返しは本来褒められたものじゃないけど、まあいいだろう。確かに理由とか言ってなかったしな。

 

 

「俺一人じゃ限界があるし、彼女の力があればμ'sはもっと羽ばたけると思ったからだ」

 

「……」

 

 

 まあ、本当は絵里自身のためでもあるんだけど、そこは言わないでおこう。しかしそんな俺の回答にも穂乃果たちは特に反応を見せない。穂乃果もただ目を下げて何かを考えてるように黙り込んでるだけだ。多分、穂乃果は指導を頼みたいと思っているんだろう。しかし海未ちゃん同様、何かが引っかかって素直に賛同できないといったところか……。

 

 ……ならば今度は俺が穂乃果に問う番だ。

 

 

「穂乃果……お前はどうしてスクールアイドルを続けてる?」

 

「えっ……?」

 

「廃校を阻止するってのは無しな。例え会長さんから認められなかったたとしても、今でも仲間と共に楽しく続けようと思えるのはどうしてだ?」

 

 

 絵里と触れ合うことで今一度知りたいと思った穂乃果の考え。もし俺の予想が正しければ彼女は俺の期待通りの答えを出してくれるはずだ。俺の質問に対して穂乃果は腕を組みだし、しばらくう~んと唸りながらも必死に考えていた。

 

 

「ええっと……“やりたいから”…………じゃダメ……かな……?」

 

 

 そして穂乃果は俺の求めていた答えを出してくれた。そしてそれはμ'sだけでなく、絵里にとっても必要な答えだった。そんな望んでいた答えを出した穂乃果に対し、つい笑みを浮かべてしまう。

 

 

「ああ、それでいい。今度絵里に同じ事聞かれたらそう言い返してやれ」

 

「うんっ。生徒会長の事だけど、やっぱり私は賛成!」

 

 

 これで少しは絵里に指導の依頼をすることに対して自信が持てただろうか? と思っていた矢先、穂乃果は賛同の意志を示した。早いなとは思いつつも、そんな風に自分の信じたように即決断できるのも穂乃果の魅力だと思い出し、納得する。

 しかしそんな中、端末からいきなり声が割り込んでくる。

 

 

『ちょっと待って。“絵里”ってどういうことよ?』

 

「あ、そう言えば」

 

『名前で呼んでますぅ……』

 

 

 真姫の待ったに続いてみんなが怪訝な声色を使って尋ねてくる。あぁ……そう言やぁ、さっきまでみんなに合わせて『アイツ』だの『生徒会長』だの言ってて『絵里』って呼んでなかったなぁ。ま、いっか。

 

 

「鉱芽さん……?」

 

「あぁ~、ね。実はつい最近さ、その生徒会長と無事仲直りできたわけよ。で、そのついでに名前で呼んだって……こと……です……ハイ」

 

「「「……」」」

 

『……』

 

 

 話す声がどんどんと小さくなっていってしまう。端末からの沈黙の所為もあるだろうが、それよりも目の前のお三方の視線が痛くなってきたのが原因だ。

 

 

「そういう事は早く言ってください」

 

「はい、すんませんっした」

 

 

 海未ちゃんからの呆れたような目線につられて謝罪してしまう。人に報告するように言っておきながら、俺も報告していなかったっけ。少し反省。

 

 

「はぁ……それなら別に大丈夫ですね、私たちも。ですよね、ことり?」

 

「うんっ」

 

「……? どういうこと?」

 

「実はこの前──」

 

 

 ここからは海未ちゃんに代わってことりが説明をしてくれた。

 

 なんでも以前──といってもほんの数日前だが、絵里は俺に対する酷評をμ'sの前で言い下したそうだ。ああ、そう言えば俺の事「いい加減な人」って言ってたっけ、絵里。要は、絵里の勝手な考えで俺を評されたことにより、ことりを始めとしたμ'sは絵里に対して今まで以上に敵対心を抱いてしまった……というわけだ。

 なる程、真姫はともかく、あれほど絵里のダンスに惹かれていた海未ちゃんが指導を渋ったのにはこういう経緯があったのか。これ以上、俺と絵里を関わらせるのを善しとは思わなかったんだろう。

 

 

「それに実は……ドルーパーズでの話し合いを止めたのも──」

 

「俺と絵里が鉢合わせする可能性を無くすため……でしょ?」

 

「……はい」

 

 

 何とも抜け目ない、それでいて脆そうな計画だ。もし俺と絵里の仲が最悪だったとすれば、このままいつも通りの活動を続けるのは非常に危ないだろう。俺と関わってるのをバレないようにするだなんて無理がある。それにひそひそと活動するなんて、全くアイドルらしくない。

 結局、どう転ぼうにも俺と絵里の仲をどうにかしない限りは進まない話だったのだろう。

 

 

「言うて過ぎた話だ。ま、これで話は大体決まったかな?」

 

「はい。いいですよね、みなさん」

 

 

 海未ちゃんの言葉にまず凛ちゃんと花ちゃん、ことりが意を示す。少し納得のいっていないであろうニコも反対の意を示さない事から、一応は皆に合わせて賛同するという事だろう。本当に嫌だったらニコは主張を通すだろうし。

 

 

『鉱芽。生徒会長、ちゃんとアナタに謝ったんでしょうね』

 

「おう、ちゃんとな」

 

『……はぁ~、仕方ないわね。分かったわ』

 

 

 そして真姫からも絵里の指導についての賛同を得られた。つまりこれで全員、絵里からの指導に賛成というわけだ。いや、よかったよかった。

 

 

「よぉ~っし。 じゃあ、早速明日聞いてみようっ!」

 

(はえ)ぇな。でも流石、穂乃果」

 

「えっへへぇ~」

 

 

 本当、パッと言ってパッと決めてくれる。こういうのを見てると気持ちいいよな。

 

 

『どうなっても知らないわよ』

 

「大丈夫。何とかなるって」

 

 

 そんなニコの問いに答える俺も、穂乃果のようなことを吹いてしまう。「何とかなる」なんて言葉、久しぶりに使ったかもしれない。でもそれは期待からではなく、本当にそうなるような予感がしたからだ。恐らく、いや、きっと大丈夫。

 

 九つの道は、いつか重なる。

 

 そして新しい道へと変わる。

 

 そんな確かな予感が胸をよぎっていた。




次回もご期待ください。
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