血を必要としない吸血鬼、ダンジョンにて配信者と遭遇す 作:博壱
【ダンジョン:第五階層】
「さて、ダンジョンへ来たは良いが…どこまで潜るべきか、あまり深い階層の魔物を狩ると素材が換金することができるかわからぬからな」
ラドゥは下から登ってきた為、人がどこまでダンジョンに潜れるかわからずにいた
「ひとまずリーシェに買って貰ったスマホとやらでリーシェの配信が始まるのを待っているとするか」
(帰ったらリーシェに調べる時や情報収集するときどうするか聞くか)
「グルゥ…」
「ん? あぁコボルトか、ひとまず配信が始まるまでの待ち時間でコボルトを潰し回るか」
「ガァ!?」
コボルトはラドゥの威圧に驚き、一瞬だけ体が硬直した結果、既にラドゥに首を落とされ倒されていた
「このコボルトは群れから逸れた奴か、…階層ボスも先に潰しておくべきか?」
「グルルル…」
「さっきのやつの群れか…火魔法“フレアサークル”」
ラドゥはコボルトの群れの足元に火魔法の魔法陣を出現させ、火柱を起こしてコボルト達を燃やし尽くした
「今日は魔法を中心に使って探索するとしよう」
「刀に魔法を纏わせることもできるようになったが…別で使った方がいいな、扱いにくい」
(そういえば、リーシェの配信はもう始まったのだろうか…)
ラドゥはふと自身のスマホを見る
(スマホの電源が切れてしまっている…リーシェが言っていた充電切れというやつか)
リーシェの配信を見ようとしたがスマホのバッテリーが切れてしまい、見れなくなっていた
「これではリーシェと出会わないようにすると言う約束が守れない可能性が出てしまう…それだけはどうにかしなければ!」
ラドゥは今朝、リーシェから「ダンジョン配信中に出来るだけ出会わないようにしてね。私がラドゥさんに甘えて成長できない可能性があるから」と言われていた。
「ワゥ!」
コボルトが複数現れ、ラドゥへ襲いかかる
「邪魔だ貴様ら!」
ラドゥがコボルトを消し飛ばした後、ふとコボルトが飛んで行った壁を見ると、他と少し色が違う壁を見つけた
「…ん? ここの壁…他と少し色が違うな」
「少し調べてみるか」
ラドゥは軽く小石を壁へと蹴ると、小石が壁の中へと消えていった
「蹴った石が壁奥へと消えた…中に空間でもあるのか?」
ラドゥは壁へと歩いていくとラドゥの体は壁を通り抜けた
「ここは何の空間だ?」
壁を通り抜けた先にあった空間には宝箱が一つ、ポツンと置いてあった
「リーシェから聞いていた隠し部屋というやつか?」
そうしてラドゥは隠し部屋を見渡すと宝箱のような物が置いてある事に気付く
「この箱はミミックではなさそうだ。…開けてみるか」
ラドゥは好奇心から置いてあった宝箱を開けた
中には巾着袋*1が一つ入っていた
「なんだこれは?」
ラドゥが宝箱の中にあった巾着袋を手に取る
「なるほど…この巾着袋がアイテムストレージという物か、リーシェが言っていたやつだな。確か…「アイテムをたくさん持ち運べて、最低でも25Mプール一つ分の容量があるよ!」と言っていた気がするがまあいい、とりあえず容量の心配はしなくても良さそうだな」
ラドゥは容量が大きいアイテムストレージを手に入れた。巾着の口が入れば生物以外何でも入る万能アイテムである!
そうして万能アイテムを手に入れたラドゥは素材集めを再開し、倒した魔物の素材を余す事なく巾着袋へと放り込みながら探索を進めていった
それから出会ったコボルト達を火魔法でひたすら焼き尽くし、五階層のボス部屋へと辿り着いた
「五階層目の階層ボスは誰だったかな…登ってきたときに戦ったはずだが、あのときはこのダンジョンから出ることで頭がいっぱいだったからな…あまり記憶がない。楽しみだ」
ラドゥはゆっくりとボス部屋の扉を開けた
そこには全体的に青い狼と緑色の狼がそれぞれ立っていた
「五階層はウルフ繋がりで狼の魔物か…ではお手並み拝見としよう」
「「ワォォオオン」」
緑色の狼(
「フレアウォール!!」
対してラドゥは炎の壁を生み出し、防御する
「ではこっちも返そうか! ダブルファイアランス!」
ラドゥは風浪と氷狼へ火の槍を撃つ
「グルゥ…ワォン!」
風浪は火の槍を軽々と避け、ラドゥに風の弾を複数放つ
「アイスウォール! からのアイスニードル!」
ラドゥは氷の壁で風の弾を防ぎ、風浪に向かって氷の棘を放った
「ガルル…ガゥアァ!!」
氷狼は氷剣を作り、咥えて氷の棘が付いた壁を切り裂き、ラドゥへと斬りかかる*2
「!? 斬りかかってくるとはな!」
ラドゥは刀を抜いて氷狼を斬り飛ばす
「ガァ!」
氷狼はラドゥの斬撃を防ぐが飛ばされてしまう
「ファイアランス!」
ラドゥが火の槍を氷狼へと飛ばす
「ワォン!」
…が風狼に防がれてしまう
(中々上手い連携だな…)
ラドゥが二体の連携について思っていると…
「…ガルゥ」
突如、氷狼が咥えていた氷剣を飛ばし、風狼の首に突き刺さる
「何!?」
ラドゥは突然の出来事に驚いたが、その後の氷狼の動きにまた驚いた
なんと氷狼が風狼の肉体を喰らい、魔石を取り込んだのだ。それにより、氷狼の魔力が上がり、四肢や毛の先が白くなり、体全体に水色の風の流れの様な模様が浮き出て、体躯も一回り大きくなり、氷狼としての種族も変異した。
「…まさか連携を取っていた相手を殺して魔石共々肉体を喰らうとはな…、魔力も先程と比べ、大きく上昇している…しかもそれで変異体らしきものの姿に変わったか…」
「ガルゥアァ…」
変異した氷狼はラドゥを鋭い目で睨め付ける
「ははは! 変異したアイスウルフよ! 剣を構えろぉ! 共に斬り合おうぞ!」
ラドゥは刀を、変異した氷狼は新たに氷剣を生み出し構えた
「……」
「……」
両者とも様子を伺う
「…ガルァ!!」
異氷狼*3がラドゥへと斬りかかる
「ふん!」
ラドゥは異氷狼の斬撃を刀で防ぎ、そのまま反撃しようとするが…異氷狼がラドゥへ氷槍を二本放つ
「くっ!」
ラドゥは異氷狼を払い、血を使って二本の氷槍を破壊する
「ガァ!!」
異氷狼は後ろへ回ってラドゥに斬りかかる
「甘い!!」
ラドゥは異氷狼の横へと回避し、蹴り飛ばす
「ガルゥ……」
異氷狼はラドゥの足と自身の体の間に氷を生み出し、蹴りの威力を軽減する
「今度はこちらから行くぞ! ロックランス! ファイアランス!」
ラドゥが岩槍と火槍を魔法で作り、吹き飛んだ異氷狼へと放つ
「ガルゥ……ワォン!!」
異氷狼は二本とも右斜め上へと飛んで避け、ラドゥに向けて咥えていた氷剣を投げる
「! 剣を投げるとは……いや、剣を作れるからこそ投げたのか」
投げられた氷剣を刀で弾き、斬りに行こうとするが…
「!? いつの間に…、足を凍らせて動きを封じたのか!」
ラドゥはいつのまにか足を氷で凍らされ、地面に固定されていた
「ガルル…」
異氷狼はまた新たに氷剣を生み出し、氷剣に魔力を込めていく
(刀に魔法を纏わせれるのであれば、体にも纏わせれるはずだ……やってみるか!)
「纏われ、炎よ!」
ラドゥは足に火魔法を纏い、足の氷を溶かす
「成功だな。さて、こい! 氷狼よ!」
ラドゥは魔法を解き、異氷狼の攻撃を受け止める為の構えを取る
「ワォォオオン!!」
異氷狼は魔力の込めた氷剣を咥え、ラドゥを斬り倒す為に走る
「ガルァア‼︎」
「ハァア‼︎」
二人の剣と刀がぶつかり合い、衝撃でラドゥと異氷狼は少し後ろへと吹き飛ぶ
「ファイアボール!」
ラドゥは吹き飛んだ異氷狼へ火球を飛ばす
「ワォン!…「ブラッドショット」…ガァ!?」
異氷狼はラドゥが放った火球を避けるが、ラドゥの指先から弾丸を模した血の弾が異氷狼の胴体に刺さる
「グルル……」
異氷狼は先程の攻撃を警戒する
「…咲け、ブラッドニードル」
「ガァ!!?」
ラドゥがそう言った途端、異氷狼の胴体から血の棘が内側から飛び出す
「…終いだな」
「ガルゥ…」
異氷狼はまだだと言わんばかりに氷剣を咥え、ラドゥを睨む
「そうか…貴様はもう終わりだというのにまだ諦めぬか、ならば貴様の渾身の一撃を放て。我もそれに応えるとしよう」
ラドゥは刀を仕舞って居合いの構えを取り、氷狼を見据える
「来い!」
「ガルァ!」
異氷狼が駆け出し、互いの剣を振るい抜く
「………」
「……」ピシッ
氷狼の剣にヒビが入り、氷狼の首が落ちる
「…死して尚、折れた剣を離さなぬか……見事だ」
ラドゥは氷狼を称賛した
「氷を操り剣を扱う狼よ、我は其方に敬意を持ち、手合わせ願えた感謝を送ろう。…縁があればまたどこかで会いたいものだな」
ラドゥは氷狼の魔石を取り出し、他の素材をストレージへと仕舞った
「一度ギルドへと戻り換金して帰るとするか」
補足
第五階層のボスは四属性をそれぞれ持った狼の魔物がランダムで二体選ばれる仕組みです。
属性は“
ラドゥは自身と戦り合い、楽しめた者に対しては敬意を払い、魔石を保存する癖があります。
この癖はダンジョンの魔物が魔石を持っている事を知った時からあります。