UQ HOLDER!~影の魔法使いと闇の福音~   作:さゃなほりなの

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初めての投稿です!自分が大好きな作品の二次創作。誰か一人でもハマってくれれば幸いです。


序章:旅立ち
第零話:六人の少年と一人の女教師


 

とある教会跡地にて。虹色に輝いていたステンドグラスの窓は砕け散り、外からの闇と月が顔を覗かせている。かつて近村の人々にとって祈りの対象だった女神像の頭の上。

 

「・・・」

 

そこに一人の男が座っていた。雪のような白さの中に薄らと水色が混じった雪結晶の髪色と何色にも染ることのない夜空色の瞳。目測で20代手前といった顔立ちをしている。

 

「--そろそろ返答(こたえ)は決まったか?少年?」

 

女の声がした。その声は彼が座る女神像の前。長身で白金の長髪と碧眼を持った女性が発したモノだ。パッと見は観光に来た外国の美女。然し、現在も機能している教会と違い、ここは教会跡地であり、彼女が問うた言葉はただの観光客とは明らかに違う。

 

「・・・何度問おうと返答(こたえ)は同じだ」

 

男は女の方に視線を向けず一点だけを永遠と見つめたまま告げる。その姿は肉体は存在するのに魂だけが存在しない様に錯覚させる。

 

「はぁ…私も何度も言った筈だぞ?」

 

シュッと地が削れる音がしたかと思えば、男の前に立っていたはずの女がその場から消え、それと同時に女神像が弾け飛んだ。一瞬の出来事。普通の人間であれば何が起きたのか理解できない現象だ。然し--

 

「お前も懲りない女だな・・・【闇の福音】」

 

女神像の残骸の上で揺らめく黒い影が言葉を発する。先程の雪結晶色の髪をした男とは別の姿でありながら声は同じ。そんな影に【闇の福音】と呼ばれた女は驚いた様子もなく余裕の笑みを浮かべて、手のひらサイズの結晶を頭上に投げた。

 

「フッ、私が何度も同じ策にハマると思うか?」

 

「・・・ッ!?」

 

黒い影が初めて【闇の福音】の方に視線を向けた。影に投げられた結晶は眩い白の光を発しながら教会の全てを包み込んだ。何も見えない白い世界の中で次第に影の形が崩れ始めていく。

 

「なにを…した?」

 

自身の体が崩れていく感覚に男は疑問の言葉を零す。その疑問に【闇の福音】が応えることはなく、代わりに現象が応えた。

 

「・・・くb」

 

影の姿では感覚を感じないはずの首に感じた違和感。影ではなくなった手で首に触れ、ひんやりとした固い首輪のような感触に疑問を抱いた瞬間、つんざくような冷気と衝撃が男の全身を襲った。やがて--

 

「・・・しばらく眠るといい。次目覚めた時は--」

 

 

冷気によって体温を奪われ、数千年ぶりの痛みに脳を揺らされた男は、【闇の福音】の言葉を最後まで聞き取ることが出来ずに意識を深い底へと沈めていった。

 

---①---

 

2086年。九州・熊本県阿蘇郡のとある村にある巨木の上に学ランを着た青年六人が影を潜めていた。皆、手には学生鞄ではなく木刀が握られておりその姿は誰かを待ち伏せしているように見える。

 

「なぁ、刀太。クラゲが不老不死って知ってたか?」

 

「えっ、マジで!? 知ってたか?虚影(きょうか)?」

 

六人の中の一人の言葉に刀太と呼ばれた黒髪の少年が驚いた反応をする。待ち伏せの間、暇な事もあり、彼らが交わすのはなんてことの無い日常会話。

 

「--興味無い」

 

刀太に声をかけられた雪結晶の髪色をした少年・虚影(きょうか)は無関心にそう答える。その反応はどう見てもノリの悪いものだったが、彼らはそんな彼に不満を抱くことも無くクラゲがどうのこうのという話を続けている。暫くして、

 

「来ましたよ」

 

体育座りでずっと何かを探していた白石 祈の声に、会話をしていた四人と虚影は指さした方に顔を向ける。その先にいたのは、長身で白金の長髪と碧眼を持つ女性・雪姫が歩く姿。徐々にその女性が巨木の付近まで近づいてくるのを待ち、

 

「よっしゃー!俺たち六人で同時攻撃すれば勝機あると見た! 今日こそあの鬼女教師、最後の日だぜ! 行くぞ!!」

 

刀太の掛け声と共に一斉に飛び出す。

 

「「ゆきひめえぇぇええ!かくごぉぉおお!!」」

 

駆けるスピードを緩めず、木刀の一撃を雪姫へとお見舞いしようとする寸前、ガキィン!っと見えない壁のようなものに刀太の一撃が阻まれる。そのまま止まることも出来ず、彼の後ろをついてきた四人は玉突き事故の様に激突して自滅する。しかし、その中で虚影(きょうか)だけは別サイドから雪姫へとつめていた。

 

「オプス・ニ・テンス・クーリr」

 

魔法の詠唱のようなものを詠う瞬間、顎を真下から掌底で撃ち抜かれ強制的に中断させられる。打ち上げられた身体は重力に逆らって上へ上へと飛んでいき、やがて急落下して先程ボコされた刀太達が積み重なった山上へと腹から着地した。

 

「相変わらずへなちょこな連中だな。毎日毎日懲りずに暇なものだ」

 

雪姫はパンパンっと手のひらの汚れを払う仕草をした後、呆れたようにジト目を向ける。

 

「雪姫、てめえ!ちったァ手加減しろよ!」

 

誰よりも打たれ強い刀太が起き上がり雪姫に抗議する。それに続いて他の四人も続く中、虚影(きょうか)は自身の首に巻かれた首輪を触りながら実感する。

 

(首輪(コイツ)のせいで身体機能の低下だけでなく魔法技術の低下も現れてきたか)

 

日に日にこれまで身につけてきた魔法や戦闘技術、そして溜め込んできた膨大な魔力に枷がかけられていく感覚。無理に引き出そうとすれば首輪が締め付けられ生命力が吸われていく。

 

「おい、虚影(きょうか)。なにをぼーっとしている?」

 

不意に声をかけられ、思考を中断してその声の方に視線を向ける。

 

「ぼーっとはしていない。考え事をしていただけだ」

 

雪姫の言葉にそう返して、虚影(きょうか)は答える。首輪を付けてきた本人に何を言った所で意味は無い。どうせ外してくれるわけがないのだから。

 

「は?考え事?そんな事より早く学校に行け。刀太達は先に行ったぞ」

 

ベシッと虚影(きょうか)の頭を叩く。やがて、

 

「あぁ、そうえば言い忘れていた。虚影(きょうか)、あれほど魔法は使うなと教えたはずだな?」

 

付近に誰もいないことを確認した雪姫から殺気にも近い怒りの感情がぶつかってきた。

 

「何度も説明したはずだぞ? その首輪は、着用者が主の許可無く魔法を発動してはならないと」

 

それが虚影(きょうか)の首に付けられた【魔力喰らいの首輪】と呼ばれる魔法具(アーティファクト)だ。

 

「・・・」

 

「そういう訳だ。今後は私の許可無く使うなよ。じゃあ、行くぞ!馬鹿者」

 

雪姫は最後にそう言って、虚影(きょうか)と共に学校に向かうのだった。

 

 

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