UQ HOLDER!~影の魔法使いと闇の福音~   作:さゃなほりなの

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第十二話:懐かしき古巣と旧知

 

金髪八重歯のスーツ姿の男性と複数の黒服たちが運転していた高級車に乗りこみ、その後、船に乗り換えて数時間後、新東京の沖合10kmにある立派な旅館が建設された島に到着した虚影達ご一行。

 

「お、おおおー!! ここって、まじでアジト?温泉旅館みてえ・・・」

 

「温泉も経営しております、アジト【仙境館】です」

 

刀太の驚く声にそう返すと、金髪八重歯にスーツ姿の男性は雪姫に声をかける。

 

「女主人。 集めてあります」

 

「うむ」

 

雪姫は頷くと、ツカツカと階段を登っていく。やがて、先程迎えに来た人数を超える程の黒服の男たちが左右に別れ、真ん中の道を空けて立っていた。そんな彼らに雪姫は告げる。

 

「あー、もう戻らぬつもりだったが田舎暮らしも少々飽きてきたので恥ずかしながら舞い戻った。私たちを狙う者は多い故迷惑をかけることになると思うが・・・戻ったからにはビシビシいかせてもらう。我ら闇の一族の生存確保のため共に戦おう。 2年間ご苦労だった。またよろしく頼む」

 

その言葉に感極まった黒服達はブワッと涙を流しながら雪姫へと群がっていくが誰一人、雪姫の体に触れることもできず投げとはざれていく。そんな光景に困惑しながらも刀太は声をかける事にした。

 

「よーし、俺も早速・・・。なあなあ、俺ぁ近衛刀太って者だけど…あだっ」

 

黒服のひとりに声をかけてみるが気づいていないのか肘が何度も顔を打ち抜くがめげずに、今度は肩に手を起きながら尋ねてみる。然し、

 

「ああ?今、2年振りのいいトコなんだ。ガキはすっこんでろ」

 

黒服から返ってきたのは好感のある言葉ではなかった。ゴスっと吹き飛ばされた刀太は黒服達の余りの態度に苛立ちを込めながら、

 

「やいやいやいやい、てめぇら!!聞きやがれぃ!! こちとら雪姫が二番弟子、近衛刀太だ!!後ろのナヨッちいのはダチの時坂九郎丸!!今日から仲間にならせてもらうぜ!以後よろしく!!!」

 

周りの空気をビリつかせる程の大声で名乗りを上げた。だがそれに対しての反応は小馬鹿にした嘲笑のみ。

 

「近衛君、君はなかなか見所のある少年のようですし、女主人、雪姫の客人であることは確かですけど--いつ、誰が仲間にしてやると言った?」

 

黒服共に笑っていた金髪八重歯のスーツ姿の男性は、刀太の発言が心底気に入らないといった不快な表情でそう告げた。空気が一気に冷め、一触即発とも言わんばかりに場が包まれた中、

 

「そこまででいいよ、バサゴ君」

 

ふと、金髪八重歯のスーツ姿の男性の後ろから声をかけてきたウェイター姿の黒髪にメガネの男性と、髪をポニーテールにまとめている男性、ショートカットで天之御柱学園の制服姿の少女が刀太達の元にやってきた。

 

「近衛刀太君だね。僕は真壁源五郎。それに飴屋一空と夏凜だ。そして不死人だ。よろしく」

 

源五郎は自己紹介すると刀太に手を差し出す。

 

「お?おおー!よろしく!!へー、あんたらも不死人か!!え!じゃあ、吸血鬼ってやつ!?」

 

「いや、そういう訳じゃないけどね」

 

手を握り返した刀太の質問に対して答えていると、先程、夏凜と呼ばれた少女が二人の元に近づくと、

 

「それで、彼はどこ?」

 

と尋ねてきた。

 

「へ?」

 

急に尋ねられた刀太は「彼」が誰か分からず間抜けな表情をしていると、軽くため息を着いた後、もう用はないとそっぽを向いた。

 

「え?何?俺なんかした?」

 

「あぁ、夏凜のことは気にしなくていい。それより、君は僕達の仲間になりたいんだね?」

 

「あぁ!頼むぜ!あんたらのことはよく分からねえが、雪姫の舎弟ってんなら間違いはねぇや!イヤっつっても仲間にならせてもらうぜ!てゆーか、俺はあんたらとダチになりてぇ」

 

源五郎は刀太の発言にしばらく考えたあと、「ふむ」と一言呟いた後、

 

「なるほど、わかった。けど悪いね、我々UQホルダー不死人にだけは入団テストを受けて貰うことになってるんだ」

 

「へ?テスト?」

 

「そうだね・・・。八年以内に出てこられたら合格にしよう」

 

と入団テストの合格条件を提示した。次の瞬間、

 

「・・・は?」

 

刀太と九郎丸の下の地面がバンッと開いた。急に地面の感覚を失った二人は体が硬直する。が、九郎丸は瞬時に現在の状況を理解し、刀太を連れて上に戻ろうとするがそれを許さないと言わんばかりに夏凜がいつの間にか握っていた戦鎚を振り下ろし、奈落の底へと叩きつけた。それを見送ったあと、開いた地面が閉まる手前、バチッと電気が走るような音が鳴り、隙間から影が飛び出し霧散した。

 

「今のは・・・彼の」

 

夏凜が、霧散した影を目で追従する。その影の残滓はサァーっと風にのって流れていき、仙境館入口から少し離れた木の影に1人の見覚えのある青年がいるのを捉えた。

 

「・・・魔法を妨害する電磁波?」

 

「見つけた」

 

「・・・近い」

 

九郎丸との件以来、刀太に常に接続していた影が、彼らが落ちる途中で見えない謎の電磁波に妨害、切断された事を感じ取った虚影の元に夏凜は瞬間移動のごとくゼロ距離とも言わんばりの位置まで近づいてきた。

 

「虚影、おかえりなさい」

 

「人の話を聞け」

 

「おかえりなさい」

 

「・・・人のはな」

 

「おかえりなさい」

 

全く人の話を聞かない夏凜の圧に少しげんなりしながら虚影は「めんどうだ」と再び影に戻りその場から逃走する。

 

「あ!待ちなさい!虚影!!!」

 

逃げられた虚影(影状態)を追いかけ始める夏凜。そのふたりの久々のやり取りに呆れる雪姫や懐かしむ源五郎と一空、そして黒服達は「負けるな!虚影のアニキ!!」「頑張ってください!!夏凜の姐さん!!」と煽る声等が響き渡った。

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