UQ HOLDER!~影の魔法使いと闇の福音~ 作:さゃなほりなの
貧困街一帯が見渡せる地にて。義手の左腕を持つ白髪の老人剣士が立っていた。そんな彼の後ろから二つの気配。
「よう、南雲のおっさん♪」
「ん?なんだ?随分と機嫌がいいな?」
南雲と呼ばれた老人剣士が振り返ると、なにか嬉しいことがあったらしいバンダナを巻いた黒髪の男に尋ねる。
「それがなかなか筋のいい貧困街のガキを見つけてよ。嬉しくなって、つい色々と教えちまったぜ」
「へえー、奇遇だね。僕も見つけたよ、掘り出し物♪」
そう答えるのはバンダナの男と共にやってきた眼帯と黒い外套で身を纏う黒髪の男が不気味な笑みを浮かべて答える。
「相変わらず気持ち悪いんだよ、変態」
バンダナ男は先程までの高揚感を害されたかのようにそう吐き捨てる。
「ふたりして珍しいことだな。だが、忘れるなよ。対象に感情移入は禁止だ。これはルールであり、我々の仕事に弊害を生じさせないためのものだ」
「大丈夫だよ、腕は鈍らねえ」
「ハハハ、そろそろ仕事始めようよ〜」
「あぁ、そうだな」
眼帯男の催促に南雲は頷き、バンダナの男は徐々に人狼の姿へと変身していく。
「さて、行くとするか。不死者を狩りに」
そう告げ、彼らは仕事を開始した。
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「---?」
刀太と九郎丸との組手を終え、一足先に教会へ向かう帰路を歩いていた虚影は三つの強大な気配と複数の影傀儡の気配を感じ取る。即座に【影の霊兵】に二つの命令を送る。一つは『貧困街にいる全てのUQホルダーと構成員への連絡』。そしてもう一つは『影傀儡の各個撃破』。
「さて--、三つの気配は・・・あそこか」
虚影は三つの気配の現在位置を再度把握し、あらゆる影に移動しながら向かい始める。その道中、各地から爆発の轟音が鳴り響く。各地に配置している全ての【影の霊兵】の視界を片目で共有していることもあり、敵との戦いが始まったということを理解する。
「・・・一つだけ離れた?」
まっすぐ進んでいた三つの気配の内の一つが教会方面へと方向を変えたことに疑問を抱く。しかし、直ぐにその疑問を捨てる。というのも複数方向から微弱な気配を感じたからだ。
「【影の茨】」
一言、そう唱えると虚影を中心に影の茨が展開され、次々と微弱な気配を発する影傀儡たちが絡め取っては無力化していく。然し、影傀儡の数が減ることはなく、むしろ増えていく。それでも虚影は焦ることもなく、次々と無力化していきながら二つの気配の元へと駆けていく。
「ケケケケ」
無機質な嘲笑が貼り付けられた影傀儡たちは痛みを感じないからこそ腕を破壊されようが足を破壊されようが穴が空こうがえぐられようが構わず突っ込んでくることもあり、キリがない。面倒と感じた虚影はならばと、茨を介して影傀儡達の制御下を敵から自分へと移動させる事に切り替える。
「【
--詠唱は完了した。茨に絡め取られていた影傀儡たちの体を流れる魔力が塗り替えられていく。それは完全なる支配権の上書きに成功したことを証明していた。
「これよりお前らに命令を告げる。我が霊兵と共に全ての影傀儡を無力化しろ」
虚影による命令を受け、傀儡とかした人形達は直ぐに各方向へと駆け出していく。それを見届けると、障害の無くなった道を全速力で移動を再開する。
「奴らの移動先は--刀太と九郎丸と別れた場所か」
【影の霊兵】の目を通して、再び、敵の現在位置を把握すると、刀太達のもっとも近くにいる霊兵に『敵の力量を確かめろ』と命令を送っておく。自分が相対する前に敵の力量を測り、対策する。万が一、刀太と九郎丸で勝てるほどの敵であれば、教会の方へと向かっていただろうが、確実に今のあの二人では太刀打ちできない。
「馬鹿な真似をしないといいが…」
虚影は猪突猛進な刀太を思い浮かべ、速度をあげた。