UQ HOLDER!~影の魔法使いと闇の福音~ 作:さゃなほりなの
1492年、南欧の山村。いつの間にか村の外れに住み着いていた少女が魔女狩りにあった。しかし少女の身体はどれだけ傷つけようとしても血は出ず、ましてや傷ひとつつかない。それを見た民衆の熱狂を恐れた領主が火刑を処すも燃えることはなく、やがてその少女は【鋼鉄の聖女】と呼ばれるようになり、それからしばらくして忽然と1人の少女と共に姿を消した。
「まさか生きているという噂が本当だったとはね…君なんだろう?UQホルダーNo.4夏凜、いや、【鋼鉄の聖女】イシュト・カリン・オーテ」
眼帯の男は次々と黒い帯状のモノを夏凜へと伸ばしながら笑う。
「あなた、影使いですか?」
夏凜は自身へと襲いかかる黒い帯状のモノ--影を弾きながら問いかける。
「ご明察。それも最近業界にも増えてる魔法アプリ使いなんてチンケなものじゃない。正真正銘、伝統の影の精霊を操る魔法使いだよ」
眼帯の男がそう答えると共に、部屋の中に虚影が報告していた影傀儡数体が意識を失った春日と少女を連れて入ってきた。
「殺したの!?彼女を!!」
「さぁ?ま、僕の取り柄はこの影人形を操れることなんだけど・・・今現在百体ほどの自動影人形が貧困街を散らばって不法住居民の浄化プランを粛々と実行してるはずさ」
眼帯の男は楽しそうに笑った。夏凜はその男の歪んだ狂気に怒りを顕にしそうになるが、すんでで言葉を飲み込んだ。何故なら、影に全身を絡め取られ、オマケにトスッと彼女の胸に眼帯の男が持っていたナイフが刺さった。
「君が今も生きていると知ってから、ずっと探していたよ。君の話を聞いてみたかった。世界をどう思っているのかと・・・・それが出会ってみればどうだい!?」
突き刺さるナイフをグッと掴み押し込みながら、眼帯の男が吠える。
「こんな島国で取るに足らない子供を助けてる!!ぶはははは!なんだよその偽善!!」
嗤う。彼女の愚かな行為を。神に見放されながらも善人ぶろうとする姿勢を。お前は俺と一緒だと。そう彼女に言い聞かせるように。彼は囁く。
「永遠が怖いんだろう?大丈夫。身体が壊れなくても心を壊してしまえばいいんだよ。心が壊れてしまえが永遠なんて怖くない。愛してるよ、カリン。出会う前からずっと・・・大丈夫さ、神が君を見捨てても僕が君を見捨てない。僕が永遠に愛してあげるか--ッら!?」
眼帯の男の語尾が異常な程に高くなる。その原因は身動きが取れないはずの夏凜による股間への蹴り。
「な、なぜ拘束が・・・解け!?」
困惑する眼帯の男に対して、夏凜は息を吐く。そして彼女の姿に変化が生じる。
「な!?そ、それは・・・その光は!?
夏凜の身体を包むのは眩い光。それは神に呪われた彼女とは思えないほどに神々しい光。
「そ、そんなはず!君は神に呪われて・・・」
自分の思っていた彼女と目の前の眩い光を放つ彼女との違いに眼帯の男の思考は混乱を極める。オマケに股間を蹴られたことによる強烈な痛み。まともに動けるわけもない。そんな無防備の男に夏凜は告げる。
「呪いじゃないわ、愛よ。それが私の絶望。だからこの力はあまり使いたくなかった。それと、あの影傀儡はあなたを消せば止まるのね?」
「え?」
夏凜は眼帯の男に足払いをかけ、バランスを崩すとグッと拳を握る。そして、突き放った。
「
放たれた白い光に包まれた聖なる拳は眼帯の男の腹部を叩き、吹き飛ばした。そして続けざまに壁に激突した所に何度も何度も拳や蹴りを叩き込んだ。
「ぐぼっ!?」
苦鳴を漏らし、眼帯の男の体は地面に倒れた。そんな彼を見下ろし、
「もう聞こえてないと思いますが、ひとつだけ訂正を。神の愛が私の絶望と言いましたが本当は少しだけこの力に感謝しています。なぜなら--」
夏凜は一人の愛する想い人の事を思い浮かべながら、
「
そう呟いた。