UQ HOLDER!~影の魔法使いと闇の福音~   作:さゃなほりなの

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今回から第一章開幕です!


第一章:悠久を生きる者達
第五話:不死者狩り 《前編》


 

村を発って数日。歩けど歩けど塔に辿り着く気配はなく、虚影(きょうか)達の視界には廃棄された高速道路やボロボロになった国道沿い、人っ子一人居ないコンビニといった商業施設、そして広大な自然だらけが広がっている。ここまでゴーストタウンと化しているのも魔法が広まったことにより、都市部に人口が集中していることに影響している。但し、都市部で暮らせるのは富裕の民だけで金がなければスラムで自給自足の貧困生活。そこは数年経っても変わらない格差社会である。

 

「しっかし全然近づかねえな、あの塔!!もう2~3日は経ったぞ!?」

 

宇宙はとっても広いんだ〜と幼稚な歌を歌っていた刀太が一向に近づかない塔を見て叫ぶ。

 

「まぁ、公共交通機関を使えば楽だが、我々は賞金首に狙われてる身だ。周りが血の海になるのはゴメンだろう?」

 

「あっ、・・・まぁ、いっか!みっやこー♩ みっやこー♩」

 

 

相変わらずテンションの高い刀太に呆れる雪姫。命を狙われているという事を忘れているんじゃないかと言うくらいに陽気な姿。その姿は誰が見ても呆れるだろう。

 

「・・・都に着いたら、また、あの忍の村にも寄ってやらねーとな。あいつももうマブダチみたいなもんだし」

 

「・・・あのホバーバイクの女か」

 

刀太が口にした【(しのぶ)】とは田舎の外で初めて出会った女の子だ。不老不死になった事で歳を取らない・禿げない・声変わりしないなどの代償を知り、現実逃避していた刀太が偶然出会い、夢を語り合った人物。

 

「・・・やめておけ。私たちが何者か忘れたのか? 不死者だ。悪いことは言わん、やめておけ。友人など作れっこないし、できても後悔するだけだぞ」

 

「若者にネガティブ吹き込むんじゃねえーよ!だいたい俺には夢を語り合った仲間が田舎とココにいんだよ!」

 

グイッと虚影(きょうか)を自分の方に引き寄せながら雪姫に抗議する刀太。しばらくして廃れたサービスエリアを見つけ、一度休憩することに。

 

「あ、そうえば途中で見つけた滝あったろ。ちょっと水浴びしてくるわ!行くぞ、虚影(きょうか)

 

「・・・俺は別に」

 

「はいはい、いいから行くぞ〜」

 

乗り気のない返事をする虚影(きょうか)を適当にあしらいながら強制連行する刀太。そんな二人の背を見送りながら、

 

「賞金稼ぎに気をつけろよ。不死者対策をされてると死ぬよりキツい目に合うからな。くれぐれも注意しろよ。あ〜、あと虚影(きょうか)

 

過保護ばりに心配してくる雪姫の声に振り返り、

 

「なんだ?」

 

「今後はその首輪の効力が続くのは私もお前も大変だと思ってな、私以外への魔法使用が可能なように設定しておいた」

 

「・・・影の剣」

 

「・・・ん?なんか言っ・・んひぃ!?」

 

試しに魔法を発動してみると刀太の前髪スレスレを黒い剣が切り裂いた。

 

「嘘じゃないみたいだな」

 

「おま!危うく死にかけたじゃねえか!?」

 

「不死身なら死なないだろ」

 

「・・・確かに!ってそういう問題じゃねえだろ!な、おい!待てって!虚影(きょうか)!」

 

危うく殺されかけて怒る刀太を気にもとめず、虚影は滝へと向かった。

 

---①---

 

不死者狩りを生業とする退魔の一族。橘のような賞金に目が眩んだ者達と違い、世のため人のためを大義名分としている。

 

但し、時坂九郎丸。

 

その不死者狩りには大義名分とは別の理由を胸に抱いていた。

 

「はぁ…上から降りてきて数日が経ったけど・・・全く見つからない」

 

普段はサイドテールにしてまとめいる長い黒髪をおろし、着ていた服も全部脱いだ一糸まとわぬ姿の九郎丸は、たまたま見つけた滝で水浴びをしながらため息をつく。

 

「それにしても先日感じたあの不気味な気配・・・アレはなんだったんだろう」

 

九郎丸は先日の事を思い出す。その場に居ないはずなのに死を錯覚させるような気配。禍々しくそして耐えられず死にたいと思ってしまうほどに不気味なものだった。

 

「兄様から命じられた【闇の福音】と【望まれた死(O・M)】と呼ばれる不死者もアレくらい死に近い存在なのかな」

 

この地にやってくる前、兄に命じられた御役目を遂げる自分を九郎丸は日に日に想像できなくなっていく。もしかしたら、失敗しても自分の事を助けてくれる人や慰めてくれる人がいるかもしれないという希望はとうの昔に諦めている。九郎丸はまたひとつため息をついた後、そろそろ出ようかと思った瞬間、自身の尻にチクッとした毛のような感触とドンッと何かがぶつかる衝撃を受けた。

 

「・・・?」

 

「ん? なんだコレ?」

 

一瞬、何か石とかにでもぶつけたのだろうかと思ったが、不意にむにむにっと尻を1、2回と揉まれた。

 

「・・・!?」

 

「誰?・・・あ、わり・・・」

 

ツンツン頭の少年は自身の手が掴んでいるものが何なのかを理解し、謝罪する。が・・・

 

「・・・し、痴れ者!!」

 

九郎丸は岩上に置いていた剣を掴み、振り抜く。ズバアッと水面を斬ると共に尻を揉んできた誰かへと切りかかった。しかし、

 

「なんだ今の!?すげえなお前! いや、じゃなくてちょっと待て! ・・・・え?」

 

「貴様!何者だ!?」

 

その少年はその一振をかわした。一般人とは思えない身のこなしと先程の行動に警戒しながら九郎丸はタオルで体を隠し、剣を構えたまま問う。その疑問に対して返ってきたのは--

 

「女!?」

 

「!!?」

 

「わ、悪い!女とは思わなかった! のぞいちまったのは謝る!」

 

ツンツン頭の少年が謝るが、今の九郎丸には届かない。シュッと地を蹴れば、失礼極まりないツンツン頭の少年の間抜け面の前まで移動し、

 

「誰が女か!!」

 

「まぶんっ!?」

 

自身の拳を勢いそのままに叩き込んだ。物の見事に顔面に直撃し、撃沈するツンツン頭の少年。

 

「はっ!? 咄嗟のことで殴ってしまった!?」

 

九郎丸は失礼なことをされたとはいえ、不死者では無い一般人を殴ってしまった事に罪悪感を覚える。どうしたものかと慌てていると、ガサガサと草木を掻き分ける音がし、

 

「・・・刀太の声を頼りに歩いてきたが--どういう状況なのか答えろ、女」

 

雪結晶のような髪色をした全裸の少年が生気のない目を九郎丸に向けて尋ねてきた。




今話の後半は九郎丸視点なので、刀太と虚影はそれぞれ、ツンツン頭の少年と雪結晶のような髪色の少年とあえて表現しました
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