UQ HOLDER!~影の魔法使いと闇の福音~ 作:さゃなほりなの
九郎丸と出会う少し前。
滝で水浴びをしていた
「プカプカと浮いたままどこに消えたんだ?」
先刻までプカプカと川に体を預けて浮かんでいた刀太の姿を思い出して呟く。川の流れ的にも足を取られて流されたりといった事は無い。別にこの滝が私有地とかであれば問題は無いのだが、村を出たばかりの田舎者でましてや賞金稼ぎに狙われている
「・・・」
闇雲に探してもすれ違う可能性や逆に自分自身も行方が不明になる可能性を視野に入れながら刀太の捜索手段を思考していると、
『なんだ今の!?すげえなお前! いや、じゃなくてちょっと待て! ・・・・え?』
木々が生茂る奥から聞き覚えのある声がした。
「今のは・・・」
『わ、悪い!女とは思わなかった! のぞいちまったのは謝る!』
誰かに謝る刀太の声が聞こえた。更に更に奥へと進み、やがて木々で覆われていた視界の先が一変する。 そこには、身体を隠すようにタオルを巻いた長い黒髪の少女と恐らく彼女に倒されたらしき刀太の姿があった。
---①---
そして現在。
「もう一度聞く。お前は誰で、刀太を襲ったのはお前か?答えろ、女」
「ぼ、僕は--」
黒髪の少女はその先を答えない。否、答えることが怖いのだ。生気のない眼や淡々とした口調からは怒っているようにも殺気を感じるわけでもない。然し、答え次第では殺されるのではないかという死が見えた。明確な死が見えてしまった。
「どうした?答えれない理由でもあるのか?」
「・・・と、時坂九郎丸。ぼ、僕の名前だ」
「そうか、九郎丸。もう一つ質問だ?」
「お前は--不死者狩りか?」
「・・・!!?」
不死者狩りという単語を聞いた瞬間、九郎丸の目が見開き、表情は驚愕に歪む。
「カマをかけてみたが本当だったか」
その一瞬の硬直。それを見逃さずに
「--斬魔剣 弐の太刀」
彼女が手に持っていた剣が閃き、不意打ちの一撃を斬り裂いた。
「無駄な事を。・・・治らない?」
普段であれば斬られたり破壊されても魔力がある限り修復される影の茨が霧散していく。
「・・・少し試してみるか」
「斬魔剣 弐の太刀 百花繚乱」
が、今度も先程と似た攻撃が連続で放たれ、霧散していく。
「なるほど。九郎丸、お前が使う剣術、そして魔を斬る斬撃。久々に見たが『神鳴流』か?」
「・・・君は一体誰なんだ?」
九郎丸は剣を鞘にしまい、居合の構えを取る。それに応えるように
「--お前達が狩る不死者だ」
シュバっと同時に姿が掻き消え、音を置き去りにするように剣と剣のぶつかる音が響く。その剣激はしばらく続き、やがて--
「これで終わりだ!神鳴流奥義--【斬岩ぐぁ!?」
技を繰り出そうとした九郎丸の口から赤黒い血が噴き出す。一瞬、状況が分からず思考が止まりかけるが、それを許さないと言わんばかりの激痛が身体を襲った。
「ぐぁぁ!? な、なんで・・・?」
痛みの原因が胸からだと理解し、然し困惑する。何故なら、胸を貫いているのは人の腕--否、先程まで目の前にいる
「--そいつは【影の
ドロっと目の前にいた
「まさか…君が…のぞ」
最後まで言いきれず、そこで九郎丸の意識は沈んでいった。そんな彼女に対して
「・・・人違いだ」
誰にも届かない言葉を告げた。
「後は刀太を回収して雪姫の元に戻るだけ・・・・?」
未だ間抜け面で気絶する刀太の体を影で巻きつけていると、殺したはずの九郎丸の傷口から煙が立ち込めていく。それは不死者特有の再生。
「・・・めんどうだ」
「これで良いだろう」
その拘束方法が問題ないことを確かめ、
今回の影魔法
【影の霊兵】→影の中位精霊を媒体として本物そっくりの分身体を召喚する。思考は本体と独立しており、まるで本物の人間ように動くことが可能。戦闘スキル・魔法詠唱も本人と同等。現在は10人まで複製可能