UQ HOLDER!~影の魔法使いと闇の福音~   作:さゃなほりなの

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第七話:時坂九郎丸

 

「--雪姫、今戻った」

 

「ん? あぁ、おか・・・どういう状況だ?虚影?」

 

錆びてはいるがまだ使えなくもない椅子にもたれ掛かり読書にふけっていた雪姫は虚影の様子に首を傾げる。それは無理もない。片や全裸で気絶した刀太、片や全裸で影の茨の棘に刺され続けて血をしたらせている少女、そして彼らを運んできた平然とした様子の虚影。その光景をスルーできる程の力量を雪姫は持ち合わせていなかった。

 

「・・・? あぁ、こいつの事か?」

 

何に対して驚いているのか分からなかった虚影だったが、雪姫の視線が拘束していた少女の方に向いていることに気づく。

 

「神鳴流の使い手で不死者狩り。放置しとくと危険と判断し拘束している」

 

「・・・だとしてもやりすぎだと思うのは私だけか?」

 

若干引き気味の雪姫は頭を抱える。魔法の使用を許可したのはいいが、虚影は手加減というものを知らない。敵と判断すれば慈悲のない殺戮を行う。それも踏まえて魔法を首輪で使えなくしていたのだ。

 

「・・・んぁ? あれ!? なんか俺ぐるぐる巻きにされて・・・さっきの人が血だらけなんだけど!? え?てかなんで俺、全裸なんだ?」

 

不意に、先程まで気を失っていた刀太が騒がしい大声を出しながら意識を取り戻した。

 

「起きたのか、刀太」

 

「ん?あ、おはよう?・・・じゃなくて!?どういう状況なんだよ?! 目を開けたら隣の人は死んだり生き返ったりを繰り返してるし!俺は全裸で魔法でぐるぐる巻きにされてるしよお!」

 

「説明するから静かにしてくれ」

 

虚影は騒ぐ刀太の口とついでに少女の口も影で塞ぐ。静かになったのを確認してから、雪姫と刀太に、『不死者狩りの少女に襲われたこと』・『少女が不死者だったこと』等を事細かに説明する。

 

「ふむ、不死を狩る為に不死者を送るか…」

 

忌み嫌う存在の専売特許にまで手を出した不死者狩り。切羽詰まっているのか・・・、だとしても好きで不死者になった訳では無い雪姫にとっては気に食わない話だ。

 

「というわけだ、理解したか?」

 

虚影の質問に影で口を塞がれた刀太は縦に首を勢いよく振る。理解した事を確認し、影を剥がすと、ぶはぁ!っと大きな息を吐く。

 

「はぁはぁ…酸欠で死ぬかと思った」

 

「死ねないだろ、不死者は」

 

「あ、そっか!だとしても苦しいもんは苦しいってーの!だからコイツのも外してやってくれ」

 

刀太は呼吸を整えた後、口を塞がれたまま殺され続ける少女を解放するように虚影に頼む。

 

「・・・何故だ?」

 

「何故だもこうもねえよ。コイツが敵だとして、捕まえるだけならそんな何度も殺さなくてもいいだろ」

 

「・・・」

 

虚影はチラッと雪姫を見ると、「そのままは目立つ」と一言。彼女の言葉に一理あると考え、拘束を解く。ドサッと全身血だらけの少女が倒れ込む。しかし、不死者なだけあって再び目をさます。そして彼女は直ぐに自分が置かれている状況を理解し、距離を取った。

 

「ちょ、お、おい!待てって!」

 

臨戦態勢で今にも襲いかかってきそうな勢いの少女を刀太は制止する。しかし、聞く耳を持たない。何度も何度も虚影と呼ばれていた少年に殺され続けた彼女にとって、仲間のように会話していた刀太も敵として認識されている。

 

「まさかこんな所に・・・【闇の福音】--エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルがいるとは」

 

太刀を構えて雪姫の方を見る少女。その瞳には殺意と言うよりも成し遂げなければという焦燥が見えた。

 

「使命の為と勇ましいのは構わんが、虚影(こいつ)に負けたお前と戦う気はないぞ?」

 

「・・まだだ!まだ終わってない!」

 

雪姫の言葉に少女は否定する。

 

「・・・よかろう若造。刀太に勝てたら相手をしてやろう。虚影にも負け、こやつにも負けるのであれば相手にもならんからな」

 

「えーっ!?おい!雪姫!何勝手に決めてんだ!俺はやんねえぞ!!」

 

蚊帳の外にいたはずの刀太は急に話を振られ、あまつさえ戦えと言われ全力で否定する。少女は一瞬、戸惑うが脳裏に浮かぶ兄の顔にその勝負を受けることを決めた。

 

「・・・すまない」

 

少女はそう言うと剣を構える。そして名乗る。

 

「不死者狩り--時坂九郎丸。 いざ!」

 

不死者狩りの少女、時坂九郎丸は制止をかける刀太の意思を気にもとめず斬りかかった。

 

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