ツーターン・スリーターン   作:ジェレミー

74 / 74
プリンスオブウェールズS(4歳以上・GⅠ)


馬番枠番馬名性齢所属主な勝鞍前走成績
13ECLIPSE CODE牡5UK2037チャンピオンSロッキンジS2着
27LA TIERRA牡4IRE2037愛ダービータタソールズGC1着
35MIDNIGHT ARROW牡4IRE2037セントジェームズパレスSドバイターフ3着
41NORMAND牡4FRA2037仏ダービーイスパーン賞1着
54POETRY LETTER牡4UK2037英ダービーブリガディアジェラードS1着
68ROCHEBRUME騸6FRAガネー賞ガネー賞1着
72SEVERE RECORD牡4JPN2037サセックスS大阪杯4着
86THUNDERING OAK牡5UK2037コロネーションCドバイシーマC2着




回転!

 一年ぶりにニューマーケットのヒルストン厩舎に降り立った。

 付き添いのスタッフはコウヘイではなく谷地オーナーの外厩に努めている兄ちゃんで、この人は俺とレコードの扱いには慣れている。

 天皇賞春のときはコウヘイが、(ジェル)にしかできない特別なやり方だ、という感じで俺を馬運車から降ろしたが、牧場や外厩では井野厩舎の面々が見ていないのをいいことにかなり好き勝手にやっていた。

 

 俺たちの降ろし方はいたってシンプル。

 まず、馬運車の後ろを開け、手招きする。

 以上。

 そうすれば俺が先にぴょんと飛び降り、俺に置いて行かれまいと、レコードが恐る恐るスロープを一人で降りてくる。

 あとは俺と、隣に並んだレコードに曳き綱をつければ完了。

 牧場ではいつもこれをやっているのだ。

 なお、リンガスに関しては流石にまだそこまではできていない。

 

 洗い場で長旅の汚れを落とし、厩舎に近づくと、俺の口からため息がこぼれた。

 2つの馬房が、あからさまにピカピカに磨き上げられている。

 ピカピカ、というのが比喩表現ではなく、本当に蝶番や閂の金属部分が朝日を反射して光っていた。

 無駄に浮いているからやめてくれ、って本当に言ってやろうかと思った。

 先住馬に対しても申し訳ないし、磨き上げてあればあるほど、臭いが気になるんだよ。

 隣のレコードはヒャッホウと叫んでいるかのようにご機嫌で、縦横に何回も重ねて鋤いてある寝藁に飛び込んでいった。

 

 コウヘイが来ていないということは、俺とレコードが馬場に出るとき、ヒルストン厩舎のスタッフに乗ってもらわなければならない。

 谷地オーナーも井野センセイも、誰に乗せてもいいと言っていたようだが、案の定押し付け合いが始まった。

 別にちょっとやそっとじゃ怪我しないから誰が乗ってくれてもいいんだって。

 で、最終的に、俺には15歳ぐらいの見習い騎手の少年が乗り、レコードには厩舎の攻め専スタッフが乗ることになった。

 この子絶対押し付けられただろ。

 プロ騎手になるためのいい経験になるから乗ってみろとか言われてさ。

 

 というのも、レコードは去年比較的高評価だったのだが、俺はアキさんが来るまで欧州のトップジョッキーが何人も乗りに来てくれたものの、手の内を明かさないよう、敢えて折り合いを付けず好き勝手に暴走しまくっていたのだ。

 当然乗ってくれた騎手からの評価は最悪で、それを聞いたヒルストン厩舎のスタッフは皆尻込みしているというわけだ。

 

 ヒルストン厩舎のホームグラウンドであるライムキルンズの周回コースを2頭でのんびりと流す。

 のんびりと言っても、15-15で2400mのコースを1周だから、スクーリングというよりはすでにレースに向けて動き出している負荷のかけ方だ。

 俺に乗っている見習い君は若干体内時計が速いようで、ちょいちょいハミを詰めてくるのだが、調教を終えてヒルストン調教師がタイムを読み上げた時、目を丸くしていた。

 お前さんが少し追ったときのハロンタイム、14秒6だもんな。

 

 渡英してから3週間が過ぎ、日本では週末に宝塚記念が行われる金曜日、俺とレコードは最終の追い切りに臨んだ。

 ロイヤルアスコット開催は必ず6月3週目の火曜日から土曜日にかけて行われる。

 2日目の水曜日にレコードが出走予定のプリンスオブウェールズSがあり、翌日、木曜日に俺が出走するゴールドカップだ。

 昨年はモーリッシュ先輩が最終日のハードウィックSに出走するため最終追い切りは土曜日に行ったが、今年は水曜日にレコードが出走するので、1日前倒しをして金曜日に行うことにしたのだ。

 週末は家族サービスしたい人も多いだろうし、それも加味した金曜追いである。

 

 今までほとんど流すだけだったので、今日はラストの2ハロンだけレコードと勝負する。

 見習い君もつまらなそうにしていたので、ちょっくらGⅠ馬の加速というのを見せてやろう。

 ラウンドギャロップではなく、ゴールデンマイルコースに入ってしばらく馬なり。

 ここは完全な直線コースだから、レコードがコーナーで不利になることもない。

 800mほど流し、ダン、と踏み込む。

 見習い君が手綱を扱くので、それに合わせて回転数を上げる。

 加速度の差で一瞬離されたレコードも、少しずつ差を詰めてきているのが分かる。

 

 見習い君は興奮のあまり、これが追い切りだということを忘れてしまったようで、レコードが迫ってくるのに合わせて左ムチを入れてきた。

 ところで俺はまだ右手前で走っているから、ムチが逆なんだよ。

 右にヨレるとレコードにぶつかってしまうので、腰が逃げそうになるのを我慢してまっすぐ加速。最後の最後、レコードに交わされたと思うが、最後の1ハロンは11秒台前半は堅いと思う。

 前を走る俺がこのタイムだから、レコードはもしかしたら11秒を切っていたかもしれない。

 ゆっくりとペースを落とし、隣のレコードが頬ずりをしてくるので宥めながらリズムを合わせる。

 叩きレースにしてはちょっとペースを上げ過ぎたかもしれないが、レースまで5日あると考えたら多少強めの負荷でも回復できるだろう。

 

 

 週が明け、谷地オーナー、井野調教師、上田、進藤両騎手が到着した。

 例によって、谷地が直々に通訳を務めている。

 今回、コウヘイを始めとする井野厩舎のスタッフを連れてこなかったのは、ロイヤルアスコット開催でのレースが叩きであることに加えてヒルストン厩舎のスタッフだけで十分に調整が進んでいると判断したためだ。

 特にジェルディサヴォアを担当している見習い騎手はもう少し乗せてやって欲しいとヒルストン調教師が連絡を入れ、若手を起用することに躊躇がない谷地は喜んで承認していた。

 

 今日は月曜日、ということはプリンスオブウェールズSまで2日しかない。

 谷地は、ヒルストン調教師とシビアレコードを担当している調教助手、そして例の見習い騎手の3人でヒースロー空港まで迎えに来るように呼び出し、そのままスーツとジャケットを買うべくロンドン中を連れまわした。

 オーダーメイドなど間に合うはずもないので既製品だが、それでも価格は桁が違う。

 取り急ぎ裾合わせだけしてもらい、彼らもアスコット競馬場に入ることができるようにはなった。

 

「まだ緩めですね。ちょうどいいぐらいのデキです。ありがとう」

 火曜の朝、手っ取り早くジェルディサヴォアとシビアレコードをまとめて外に出し、軽い散歩がてら井野が調子のチェックをした。

「レコードはスクーリングをしながら環境に慣れて行けば、本番のサセックスSまではきっちり仕上がります。問題は……」

 井野が谷地の方をチラッと見た。

「ジェル、これレースになりますかね?」

 谷地が苦笑いをした。

 

 ニューマーケットからアスコット競馬場までは4時間ほどで到着するので当日の輸送でもよかったのだが、ロイヤルアスコットの雰囲気でイレ込まないよう、前日に競馬場入りをして慣れさせることにした。

 しかし、それは杞憂であった。

 シビアレコードはジェルディサヴォアがいればどこでもリラックスして寝てしまうし、アスコット遠征が4回目となるジェルディサヴォアは勝手知ったるとばかりにスタスタと馬房群を歩きまわり、自分の馬房に入っていく。

 逆にイレ込んでいるのは人間の方で、谷地オーナーはのんびりと歩きながら他の関係者や記者に手を振っているが、井野やヒルストン調教師、コウヘイの代わりに付き添いを務めている外厩スタッフや見習い騎手の少年は完全にガチガチになっており、ジェルディサヴォアらを馬房に入れる際にも、隊列の先頭を歩いていたのはジェルディサヴォアであった。

 上田と進藤も近隣のホテルに泊まったのだが、案の定格式の高さに緊張して、浅い眠りを繰り返すばかりであった。

 

 記者エリアにはいつも通り寺尾と帯同のカメラマン、そして今年は六角が一緒に来ていた。

 宝塚記念では相変わらずリヴェッティ、アンベストネヴァー、リッチセレクション、そしてドバイシーマCから凱旋したジェリーホーネットの関東4傑に関西馬がけちょんけちょんにされ、失意の中、クリーニングから帰ってきたスーツをトランクケースに押し込み、寺尾に連れられてイギリスまでやってきたのである。

 

「どうよ、ロクさん。イギリス王室のパレード見ながらビールでもやってりゃ、宝塚のことは忘れるだろ」

 うるせえ、と六角が吐き捨てた。

「なんでイギリスまで来て、お前が担当しとる2頭拝まなきゃあかんねん。負けちまえー」

「ならポエトリーレターなりロシュブルムなり馬券買ってくればいいだろ。ほれ、そっちのスタンドの後ろで売ってんぞ」

 六角がビールの釣りを財布にしまい込むのを見ながら、寺尾がグランドスタンドにあるベッティングエリアを顎でしゃくった。

「シビレコはええオッズついてんのは分かる。ジェルはアレなんやねん」

 翌日のゴールドカップも馬券が売られているが、昨年のレースぶりと、そこまで馬場が硬くならなさそうな天候も味方したジェルディサヴォアに対してほとんどの出走予定馬がスクラッチしてしまい、既に3頭立てが確定していたのだ。

 昨年ジェルディサヴォアから16馬身ほど差を付けられて負けたクルビッツと、昨年の英セントレジャー勝ち馬のエルドリッジヴェイル(ELDRIDGE VALE)の2頭だけが残っていたが、昨年のセントレジャーもそこまで圧勝したわけでもなくタイムも平凡だったため、まるで相手にならないという下馬評だ。

 そして、ジェルディサヴォアのWin(単勝)は1/100で、事実上の最低オッズであった。

「どう組み合わせてもガミ確定だからな。ジェルを信じて単勝10万ぶち込むぐらいしか手がねえよ」

 アホくさ、と六角がビールを煽った。

 

 ロイヤルアスコット開催2日目、水曜日は5日間の興行の中で最も華やかだと言われている。

 GⅠこそ第4レースのプリンスオブウェールズSしかないのだが、逆にそれが注目度に拍車をかけている。

 ミドルディスタンスで、しかも混合古馬戦であるからロイヤルアスコット開催の中では最も重要なレースといっても過言ではない。

 英競馬界も短中距離偏重が進んでいるとはいえ、やはり観客が好むのは速い馬より強い馬。

 そういった意味では3日目のゴールドCの方が観客の熱狂度は高いのだが、先述した通りジェルディサヴォアの一強で、地元イギリス馬がまるで歯も立ちそうにないとなれば観客の熱も冷めているというものだ。

 

 今回は珍しく、井野はベストターンドアウト賞を逃した。

 まだ完全な仕上げではない上に、シビアレコードを曳いているスタッフの緊張が取れていなかったのも影響したかもしれない。

「マコ、ジャパンカップの時みたいなヘマはすんなよ」

 井野が進藤に念を押した。

 ここはあくまで叩きの段階で、相手もそこそこの実力馬が揃っているため、無理に削り合う必要はないのだ。

「作戦は変わらねえ。大丈夫だ。これ以上は何も言わん」

 進藤は相変わらず唇が紫色になっていたが、うす、とだけ返事を返した。

「大丈夫かねえ」

 パドックを離れて馬場に出ていくシビアレコードと進藤を見て、井野がまたため息をついた。

 

 今年のロイヤルアスコット開催ではプリンスオブウェールズSのみ、JRAでの馬券発売があった。

 一応ゴールドCも特別認可は受けていたのだが、3頭立てでは馬券は売れないし、そもそもジェルディサヴォアに1.0倍(等倍元返し)のオッズを付けないと赤字確定だったのだ。

 現地オッズで見ると、1番人気は昨年のアイルランド2冠馬で、凱旋門賞こそアンベストネヴァーらに屈し着外に敗れたが、今年は前哨戦のタタソールズGCをしっかり勝利してイギリスに上陸したラティエラの15/8。

 2番人気に3/1でシビアレコードが続いている。

 3番人気は昨年の仏ダービー馬で、凱旋門賞4着のノーマンド。

 そして昨年の英チャンピオンズSを勝利し、叩きついでにGⅠを狙って出走したロッキンジSでマイラーのスペシャリストに屈し、やはりミドルディスタンスでと本拠地に戻ってきたエクリプスコードが8/1で4番人気につけていた。

 昨年の英ダービー馬で、キングジョージⅥ&クイーンエリザベスSでジェルディサヴォアやスーベニアトゥリッチの徹底マークで心を折られたポエトリーレターも、年が明け、復帰戦となったGⅢのブリガディアジェラードSを快勝し予定を早めてGⅠ戦線に復帰しており、12/1で6番人気の支持を受けている。

 

 単勝の売り上げこそ上位3頭に穴をあけられているが、エクリプスコードが馬場に入ってきたときには大きな声援が飛んだ。

 ポエトリーレターはまだ信用しきれないので、イギリス国民としてミドルディスタンスの雄エクリプスコードを応援するのは当たり前だ。

 今回は派手な逃げ馬はおらず、ほとんど全頭が差し追いタイプなので、スタートからスウィンリーボトムまでは誰も手綱を動かさず、隊列が決まっていく。

 好スタートを()()()()()()()ノーマンドが先頭に立つと、エクリプスコードとポエトリーレターのイギリス馬2頭が続く。

 シビアレコードは最後方。

 しかもこのキャンターのような流れの中で、後方2番手のミッドナイトアローから3馬身も後ろを流していた。

 

 コーナーを抜けるとさすがに少しずつペースが上がっていく。

 図らずとも前に付けてしまったノーマンドの騎手は息を入れるタイミングを窺っているが、坂の上りに入って馬群が少し詰まるとペースを落とすのは難しくなる。

 昨年の英仏ダービー馬が並んで馬群を引っ張る形となり、ポエトリーレターから1馬身離れてエクリプスコード。

 シビアレコードはコーナーワークで少しずつミッドナイトアローとの差を詰めているが、まだ最後方にいる。

 

 進藤はこの大舞台でも珍しく気楽に乗っていた。

 さすがにあれほど念を押されれば、強引に勝ちに行こうとは思わなかった。

 栄誉ある舞台ではあるが、このあとのサセックスS連覇という偉業はそれ以上に栄誉だからだ。

 

(どこまで待とうか)

 進藤はシビアレコードのリズムと踏み込みの強さを計算し、残り400まで動かないことに決めた。

 ただし、また4Fと400mを間違えなければ、であるが。

 

 誰にも邪魔をされない最後方で、ミッドナイトアローに少し鼻先を掛けた状態で外を回していく。

 ミッドナイトアローはすでに限界が来ているようで、並びかけた瞬間糸が切れたように脚が止まった。

 直線に入ると、ラティエラが気合をつけただけであっさりポエトリーレターを交わし、前を行くノーマンドに並びかける。

 激しく追われているサンダリングオークはその後ろで伸びを欠いていた。

 

 ラティエラの背中が徐々に離れていく中、進藤はシビアレコードを大外に誘導する。

(2の標識……2の標識……)

 進藤は絶対に見間違えないぞと、常に2Fの標識を目で追っていた。

 確かに間違える事はないかもしれないが、他の馬との差が開いていることに全く気が付かないのも問題である。

 2Fの標識を過ぎた瞬間、進藤はシビアレコードを促した。

 最初は、トン、トン、トンというリズムで加速を開始させる。

 ここで、ドン、という衝撃が来れば、上位まで伸び切れる。

 反対に、スルスルと滑るような加速であれば、適当に動かして、やめるつもりだった。

 

 果たして、進藤が強く手綱を押し出すと、ドン、という蹴り出しとともにシビアレコードの耳が絞られた。

 前の方ではポエトリーレターは沈み始めたが、ノーマンドはまだ余力を残し、ラティエラとの追い比べに入っている。

 

 今更だが、アスコット競馬場はスウィンリーボトムを抜けるとゴールまで常に上り坂である。

「GO!GO!」

 進藤が楽しそうに右ムチを入れた。

 スピードに乗れば乗るほど馬体が沈み、1完歩が長くなり、空に向かって飛び立つように、長い上り坂を駆け上がるのがシビアレコードの追い脚の特徴だった。

 

 進藤がこの快感を味わうのは久々である。

 ジャパンカップでは早々に息切れして地面に墜落したし、有馬記念では直線が短く坂も急なため、離陸というよりはスクランブル発進のような勢いだった。

 大阪杯ではまるで仕上がっていなかったので、スーッと伸びるような加速で終わってしまっている。

 進藤の目には、他の馬はもはや見えていない。

 どうせ叩きレースだからと、ただまっすぐ追うだけに終始し、この快感を独り占めしたかったのだ。

 最後の50mだけ、上り坂が緩やかになる。

 上り坂から平坦に切り替わる瞬間、放たれるようにシビアレコードがフッと宙を飛んだ。

 そして、最後の手前を替え、ゴール板を過ぎるまで馬体は沈んだままであった。

(あと100m早く仕掛けてもよかったか)

 進藤がシビアレコードの鬣を撫でると、トン、トン、トン、というリズムに戻り、余力を残した陣営の思惑通り、すぐに息が入った。

 

<ロイヤルアスコット2日目、唯一のGⅠ、プリンスオブウェールズS。

スタートしました。

シビアレコード、後方からの競馬で、最後方まで下がっていきます。

 

まずはお互い見合っての先頭争い、内から4番ノーマンド先頭に立つでしょうか、フランスダービー馬。

そしてポエトリーレター、エクリプスコードも先団での競馬で、最初のコーナーに向かっていきます。

 

先頭から見ていきましょう。

4番のノーマンドが先頭、並んで外から5番ポエトリーレター。昨年の英仏ダービー馬2頭でレースを引っ張る格好。

それを見るように1番のエクリプスコード、続いていきます。

アイルランド2冠馬2番のラティエラ。

少し間が空いて6番のロシュブルム。そして8番のサンダリングオーク。

2馬身離れて3番のミッドナイトアロー。

その後ろ、3馬身ぐらい離れています、7番日本のシビアレコード、最後方です。

 

先頭で逃げているノーマンド、すでに馬体を合わせて5番ポエトリーレター。

エクリプスコードが3番手、その後ろ、虎視眈々とラティエラ。

ロシュブルムがいて、離れた位置にサンダリングオーク、後方集団まだバラけています。

また距離があってミッドナイトアロー、半馬身外7番シビアレコード、進藤誠紅まだ最後方を追走。

 

各馬少しずつ手が動いて、4番ノーマンド先頭で半馬身外5番ポエトリーレター。

ペースが上がったが1番エクリプスコード、2番ラティエラも少しずつ前へ進出。

差が開いて6番ロシュブルム、サンダリングオーク。

シビアレコード後方2番手に上がって、最後方になりました3番ミッドナイトアロー。

 

カーブを回っていきます。

前2頭は変わらず、ノーマンドとポエトリーレター。

エクリプスコードの外から2番ラティエラが被せて行った。

さあニューマイルコースと合流して最後の直線。

 

先頭ノーマンド。楽な手ごたえで馬場の三分どころ2番ラティエラ。

インコースにエクリプスコード。

シビアレコード大外まだ気合をつけて、その内からはロシュブルムで残り2ハロンの標識。

 

前は2頭の競り合い、ノーマンド、ラティエラ。

離れた3番手エクリプスコード、そしてようやく追い出したシビアレコード。

先頭まだ2頭の追い比べ。ノーマンド、ラティエラ。

ラティエラ前に出たか。内に進路を切り替えたロシュブルム。シビアレコードも脚を伸ばしてくる。

 

先頭ラティエラだ。2番手ノーマンド、ロシュブルムとシビアレコード併せ馬で3番手争い。

200を切りました。

ラティエラ先頭。シビアレコード、ノーマンドを交わして2番手に上がる。

前に、届くか、シビアレコード。

ラティエラ、追い詰めてシビアレコード。

ラティエラ、シビアレコード。

捕らえた、交わした!シビアレコード久々の勝利!

イギリス2戦2勝!まずは弟が獲りました!>

 

 

「え、勝ってたんですか?」

 レースを終え、さっさと馬を返してゴール前まで帰ってくると、曳き綱を付けられウイナーズサークルの方へ連れていかれた。

「結構余裕あったよ」

 外厩のスタッフがぶっきらぼうに言った。

「クビ差ぐらいで負けたと思ってました」

「半馬身をどうやったら負けたと思えるんだか」

 進藤は、ハハハ、とひきつった笑みを浮かべ、ウイナーズサークルで待つ井野と握手をした。

 

「叩きとしちゃ完璧だ。よく我慢してたな」

「あと100mは早く動いてもよかったかもしれないです」

 井野は、うん、と頷いた。

「サセックスは下りだからな。少し早めに動いても何とかなる。というか去年600m走り切ってるしな」

 ジョッキーカメラ付いてないのが残念だなあ、と、井野と谷地が笑っている。

「いっつもあの脚を独り占めしやがって」

「イテッ」

 井野が進藤の頭をバシッと叩いた。

 

「へへへ、儲け儲け」

 記者エリアでは結局シビアレコードに30£賭けた六角が機嫌よさそうにビールを煽っていた。

「機嫌戻ってなにより」

 テーブルでは寺尾がリプレイ映像を何度も見ながらキーを叩いている。

「寺さん、進藤のインタビュー行かなくてええんか?」

「どうせロクな答え返ってこねえよ。何も考えてない顔してたわ。そもそも勝ってることすら気づいてなかったからな」

「テキは?」

「叩きだってずっと言ってるから、それ以上はアテにならんな。井野センセイ、八分ぐらいの出走は上手いのにメイチの仕上げヘタクソだから、本番の方が怪しいんだわ」

 カハハ、と笑いながら第5R、ロイヤルハントカップの馬場入りを眺めながらスマホを見ていた六角が、ふと寺尾の肩を叩いた。

「寺さん、あんましノンビリしてられんようなったで」

「ん?なんぞ面白いことでもあったか?」

 六角が見せてきた画面には、アスコット競馬公社(Ascot Racecourse Limited)のプレスリリースが日本語に翻訳されており、明日のゴールドカップの見出しの下に、出走取消という文字が踊っていた。

 




メモ
1000m通過 1:04:6
勝ちタイム 2:03:7
シビアレコード上がり3ハロン32.8
ラティエラ33.9
ぐらい


次回は6g月の5日(金)


ラフターラインズ勝たれてたら「バラ一族のオークスは悲願」と書いていた前話のほとんどを書き換えなければならなかった

あとピンポイントの14番手で4角回りやがったぞピエロ…
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