化け物の方が本体なタイプの美少女傀儡遣い   作:どこかの誰かのneonさん

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第5話

 いやあ、冒険者は強敵でしたね……

 人形を作る時に出来てしまった失敗作を使って応戦しようと思っていたら、しばらくしたのちに意識を失ってしまったのはこちらも驚いたけれども、とはいえお互いに傷つかずに済んだのは最上の結果だと思う。

 なんでだろ、こんな事になったのは。

 いやまあ見た目は確かにグロいというのは間違いない。

 とはいえよくよく見れば全然違うと思うんだけどなー、とは言えないかもしれない。

 実際問題、人間にそっくりな見た目の人形がバラバラになっていたらそれはそれで怖いし、それが動いて浮かんでこちらに向かってきたら自分もビビると思う。

 人間というのは「人間そっくりなもの」に対して共感する生き物だから、それは仕方がない。

 

 とはいえこれらは人形であり人間ではないのも事実。

 より正確に言うのならば「見掛け倒し」だろうか?

 俺も最初こそ「人間」を作ってみようと思っていたのだったが、しかしこれは途中で「駄目だ」と判断し中止したのである。

 これに関しては非常に単純な理由であり、人間を人間そのままで作っても意味がないからだ。

 例えば内臓やら神経やらそこら辺のものがしっかり詰まった人形を作ったとする。

 しかしそれは意味がない。 

 あるいは「外側だけが重要」と言うべきか。

 こう、呼吸の音が聞こえ、近くによると体温が感じられそうで、潤んだ瞳と見つめあい、食事をする事が出来る。

 そういった外見的特徴を備えていれば「人間」と思ってくれるのであり、中身は大して重要ではないのだ。

 更に言うと、俺の人形の操作方法は大雑把に言ってしまうと「糸で引っ張る」なので、それを前提とした作りをしていないとしっかり動いてくれないのである。

 

 だから最初こそ人形は「人間」だったが、途中からは作戦変更。

「美少女のガワ」をとにかく製作する事に尽力し、そしてそれはかなり大変だったのだ。

 とはいえ中身を伴わなくて良い訳だから製作自体は本来のそれよりだいぶショートカット出来たと思うし、しかしそれでもその過程で生まれた「人形の失敗作」はそこそこ山になってしまった。

 まあ、それがあったから冒険者にぶつける投擲武器に出来たんですけれども……

 

 と、まあ。

 ひとまず第一の問題はクリアした。 

 次にやってくるかもしれない問題は、S級冒険者らしいビアンカという女性に対してのあれこれ。

 彼女には別に悪感情を抱いていないが、とはいえ恐怖はちゃんと抱いている。

 最初に会った時、剣がかすりそうになった時。

 文字通りの意味で死を間近に感じられた。

 もう二度とあんな目にはあいたくないし、命の危機なんてまっぴらごめんだ。

 なんにしても戦闘だけは避けなければならない。

 

 そうなってくるとどうすれば良いのかって言うと、これはもう何とかして警戒心が今以上に上昇しないことを祈るしかない。

 幸い、あの冒険者達はきちんと無傷で返したのだ。

 これがあるのならば「あれ、もしかしてあの魔物危険性がないどころか人間に対して友好的なのでは?」……とはちょっとなりそうにないけど、まず第一にクリアする事ではないと優先度を落としてくれればそれで良い。

 その間に俺はアリスちゃんを回収して撤収すれば良い。

 平和的解決だ、うん。

 本音を言うと、アリスちゃんを通じて交流してみたい。

 そもそもそれが目的でアリスちゃんを作り、あの村へと送り込んだのだから。

 とはいえ魔物である俺に対してこう警戒されているのだとすると長居するのは危険だろう。

 

 と、そうこうしているうちにビアンカさんがアリスちゃんの元にやってきた。

 どうやら今はあの返した冒険者達が起きるのを待つのだそうだ。

 とにかくあの魔物――俺の事だ――の情報を得たいらしく、今後についてはそれを聞いてから決めるらしい。

 むう、警戒についてはあまり変わらないみたいだけど、とはいえこれはチャンスなのでは?

 ビアンカさんは冒険者達の看病をしているし、村人達は家の中で待機を命じられている。

 アリスちゃんも同じく待機する事をお願いされたけど、よし、今がその時だ。

 俺はアリスちゃんを引っ張り、自分の元へ手繰り寄せる事を始めた――

 

 

  ◆

 

 

 ふらふらと、少女が歩いている。

 何かに引かれているかのように、それをビアンカは目撃する。

 明らかに異常な状態、瞳を細めたビアンカの視線の先。

 

 

 そこにはきらきらと輝く、か細い何かが見えた気がした。

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