化け物の方が本体なタイプの美少女傀儡遣い   作:どこかの誰かのneonさん

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第8話

 ……反省をしよう。

 

 とりあえず起きてしまった事は仕方がないからね、この経験を次に生かさないといけない。

 ていうか現状俺の「人形を使って他人とコミュニケーションを取る」という魔物的な特徴はしっかりとバレてしまった訳だが、これは逆に好都合とも考えられるかもしれない。

 いやまあ、魔物と人間との間には越えられない壁みたいなものがあるのかもだけれども、しかし俺が「人間と人形を使ってコミュニケーションを取った」というのも覆せない事実なのだ。

 つまるところ何が言いたいのかというと、魔物とは「意思疎通が図れない」存在ではないという事の証左なのだ、俺は。

 少なくとも俺は魔物であっても人間と人形を通じて交流する事が出来たし、そしてそれは俺にとっても大きなアドバンテージになるだろう。

 ……人間と交流を図れる知恵を持つ危険な魔物だと認識された時は知らない。

 

 いやまあ、実際のところはこんな楽観視出来ないと考えるべきなのだろうけれども。

 例えばの話、俺がまだ普通の人間として地球で暮らしていた時の話。

 ライオンなどといった猛獣が人間と意思疎通する事が可能なほどの知恵を持っていたのだとしたら正直怖い、むしろ不気味と感じるだろう。

 交流をする事が可能なのは自分と同じ種族の人間とみな無意識に思っているだろうし、異種族の生命体がいきなり同じ言語で話し始めるというのは潜在的に恐怖を感じる体験なのだ。

 

 そういう意味で俺という存在はこの世界の人間にとっては脅威的なんだよな、とも思う。

 危険な魔物として真っ先に討伐隊が組まれるかも……だなんて、怖い妄想もしたり。

 割と現実的な想像な気もするし、とはいえ今のところ俺を追いかけてきているとかそういう気配はない。

 今のところは、本当にそれ。

 今後はどうなるか分からないし、だからこそ今のうちにその「念のため」に備えて用意をしておくべきだろう。

 

 差し当たって、まずは人形を作る。

 前回はアリスちゃん一体を作ったが、しかし今回は豪華に二体用意する事にする。

 一体は一切の戦闘能力を持たない非力な人形。

 そしてもう一体は完全に戦闘を考慮して作る、文字通り戦闘体な人形だ。

 ……非力な人形を用意する理由は極めて単純な理由。

 さっきの猛獣の例えではないが、対話を試みる時は一切の戦闘意思を見せないのが大事なのだ。

 それこそ武器を手で持ちながら話を試みるのは「それいざとなったら武力で訴えるつもりっすね」と思われるだろうし、だから一体の人形は完全に戦えないものを作る。

 そしてもう一体は、自分の身を守るための人形。

 自分の身を守るのならば自分用の武器を用意しろって話かもだけど、その武器が人形ってだけの話。

 あと、趣味。

 これが一番大きな理由かもしれない。

 

 そんな訳で、今回こそは前回のアリスちゃんみたいに破壊&回収されないようにしっかりと入念な作りをする。

 一体の無力な人形と一体の戦闘用の人形。

 それらはそっくりな外見に調整する事にした。

 サイドポニーの白髪の人形。

 一体は『サリ』でもう一体は『エリ』という名前にした。

『サリ』は青色の瞳で『エリ』はピンク色の瞳をしている。

『エリ』の方が戦闘用であり、衣装の至る所に武器を備え付けているのでそれを使って戦うって感じだ。

 一応俺が作れる限りの戦闘技術を搭載したけど、果たしてこの世界ではどこまで通用するのだろうか……?

 

 そして、もう一つの策。

 俺自身の問題。

 人形を二体用意したところで俺が俺である事には変わりない。 

 見られたらそれについての説明……が出来たら良いのだが基本はそこから戦闘が始まるだろう。

 でも、もし説明が可能ならば?

 ……その作戦は、一応俺が『俺』である事がバレていない相手の場合。

 そもそもな話、『俺』という魔物はこの世界に一体だけしかいないのだろうかって疑問はさておき。

 その時は、『エリ』がこう説明するとしよう。

 即ち――

 

 と、まあそんな訳で。

 とりあえずの用意はここまで。

 俺は『サリ』と『エリ』を持ってこれからどうしようかと考えながら浮遊していると。

 ……説明が遅れたが、現状の俺はだだっ広い開けた草原にある一本道を進んでいたのだったが。

 前方に――なんか『ゴブリンです』って見た目の魔物と、それと戦っている集団がいた。

 ふむ……

 

「だ、誰!?」

 

 助けに行くべきかと思ったが、その集団は割とあっさりとゴブリンを皆殺しにし――なんか倒されたゴブリンが次の瞬間には靄になって消えていた。自分の末路を見せつけられたみたいで怖かった――、そして俺の事を見つけ警戒態勢になった。

 そりゃあそうだ。

 俺という魔物、その手には『サリ』と『エリ』という美少女人形が腰掛けている。

 そして彼らはどうやら俺が『俺』という魔物である事を知らないみたいだ。

 では、と俺は用意していたセリフを『エリ』に言わせる事にする。

 

「みなさま、ご安心ください。わたくしはみなさまの敵ではありません」

「は? ……いや、あんた。それは?」

 

 集団のうちの一人、剣士風の見た目をした男が俺の方を見て尋ねてくる。

 そしてその答えも既に用意しておいた。

 

「これは、わたくしが操る魔物を模して作った『人形』です」

「に、人形?」

「ええ、そしてわたくしと」

「あたしは」

 

 人形達に挨拶をさせる。

 

「サリと」「エリです」

 

「「よろしくお願いしますね?」」

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