推しのペルソナ   作:のりしー

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恋愛リアリティショー編 Join

「『今ガチ』評判良いよ。やっぱり君を使った俺の目は間違ってなかったかな?」

 

今ガチの全収録終了の打ち上げ。

都内の小洒落たダイニングバーでの喧騒を少し抜け出し、俺と鏑木Pは外で話をしていた。

 

お褒めの言葉とお小言を頂く。

それに対し、あらかじめ想定していた答えを返す。

 

「抜け目ないねぇ」

「ども」

 

こちとら外見は子供だが、中身はある意味社会人2週目なんだ。

契約書の確認くらいは当然だろう。

 

「来週くらい寿司でも食いに行かないか?アイについてとっておきの話をしてあげよう」

「空けておきます」

 

そう鏑木Pと約束する。

これで、この番組にわざわざ出演した目的は達成された。

 

「あっアクア!ちょっとこっち来て!」

「逃さねえからな!」

 

店に戻るとそう呼ばれて、店内のカウンターに1人座るあかねの隣に座らされる。

 

後は若いお二人でごゆっくりー!

 

みたいな感じで去って行く2人。

結果、あかねと2人カウンターで横並びで話すことになる。

 

「あのさアクアくん。これからどうする?」

「どうするって……あぁ」

 

あれは放送されるから、しばらくは彼氏彼女するしかない。

あかねも、それはわかっていると、そう言う。

 

「だったら、だからね、その…」

彼女は唇をキュッと、噛み

「私達の交際って仕事?」

こちらの目をハッキリと見て問いかけてくる。

「それとも本気のやつ?」

と、

 

その目に、少し後ろめたさを感じ、つい下を向いてしまう。

 

「いや別に仕事とかじゃ」

「変な気は使わないで良いよ」

 

アクアくんは私の事、異性として見てないでしょ?

 

あかねは、ハッキリそう言った。

 

聡い子だ。

そして察しも良かった。

 

変な誤魔化しはすぐ見破られるだろう。

だから…

 

「確かに俺は、あかねを異性としては見てない」

だから、本当の事を、少しの嘘に混ぜて伝えた。

 

「俺はあかねに、女優として強い興味を持っている」

これは嘘じゃない、と。

 

あかねは、まあいっか、と受け入れてくれた。

それは一番言われて嬉しい言葉でもあるから、と。

 

「それに、私もアクアくんに興味があるし」

 

そう言うと、カウンターの上であかねが掌を広げる。

 

「ね、これを見て」

 

そして…

 

「…これは…まさかあかね…君も…」

「…やっぱり。アクアくんもコレを知ってるんだね」

 

一瞬。

ほんの一瞬だけ。

 

本当にほんの一瞬だけあかねが掌の上に出現させたもの。

 

心の力の籠もった注射器…

ペルソナを出現させる為の注射器が、そこにはあった。

 

「あかね…君は…」

「あの時、君が私を助けてくれたんだねアクアくん」

 

注射器を消し、あかねが続ける。

 

「…ここでは詳しくは話せないでしょ?また別の日に時間作って色々教えてね」

「ああ…わかった。約束する」

 

 

、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、

 

打ち上げが終了し、メムと2人で歩いて帰る。

 

2人で色々と話す。

んで………

 

「………貴方はスカウトマンとして雇うべきだったのかもね」

 

アイドルになる事に思ったより前向きだったメムを勧誘し、苺プロ事務所に案内することになった。

 

…いや、年齢盛りすぎだろいくらなんでもよ……

 

事務所でミヤコさん含め3人で話す。

 

メムが話す彼女の過去は同情し、応援してあげたくなるようなものだった。

「やっぱり駄目ですよね…」

7つもサバ読んで…

「25がアイドルなんて…」

だから…

「そんな事ないよ」

乱入してきたルビーと有馬。

2人も同じ気持ちだったのだろう。

「アイドルをやるのに年齢なんて関係ない。だって憧れは止められない」

そしてルビーがメムに手を伸ばした。

「ようこそ『B小町』へ!」

そう、メムを仲間に招き入れた。

 

 

またコイツは綺麗事を…とは思ったが、これがきっとコイツのいいところなのだろう。

 

後は周りがフォローしてあげればいいだけなのだから。

だから、俺はフォローを頼めるヤツに声をかける。

 

「有馬。ルビーとメムをよろしくな」

 

しかし…

 

「うるさい気安く話しかけないで」

まるで俺を親の仇のように睨み、冷たい声で有馬がそう言った。

 

…ズキリ、とそれに心が痛んだ。

 

「フンだ!男も女も取っかえひっかえしやがって!このスケコマシ三太夫が!」

 

「男!え?男?!女はわかるけどアクたん男ってどゆこと!!」

 

「あ、メムは知らんでいいぞそこは」

 

「ほらコレ見なさいコレ。このクズは男に手を出したと思えばすぐ女にも手を出すクソ野郎なのよクソ野郎」

 

有馬がメムに姫×鬼のなんたらみたいな怪しい薄い本を見せる。

 

「え!これ片方アクたん?うっひゃー!!!」

 

わりと興味ありそうにそれを食い入るように見るメム。

 

「常に持ち歩いてんのかその本…」

 

「お気に入りは布教用としてそーゆこともあるわよねー。あらあら、メムはどっち派になるのかしら?」

 

「派?これ派閥とかあるの!どっひゃー!!!」

 

「あれ?さっきまで感動的な空気の中でアイドル皆で目指そうって話ししてなかったっけ?あれ?あれ?」

 

「全くだ妹よ。どうしてこうなった…」

 

なかなかに珍しい事だが、ルビーと思わずため息をつき供に天を仰ぐ。

 

あ、そーいえばあかねから連絡来てたな。

あかねがペルソナに覚醒しているならば、今後の事も考えオーガにも紹介しないといけない。

 

一難去って、また二難って感じだな……

 

ヤレヤレだ…

あかねのこと。

有馬のこと。

 

色々悩みごとが尽きない。

 

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