「あ、相方寝取られた鬼くんじゃないすかオッスオッス」
何時もの学校の中庭のベンチで貢ぎ物のサンドイッチを食べていると、フーさんこと不知火フリルがやって来る。
んでナチュラルにベンチに座る。
最初は奇異の目で見られたりしたものだが、最近では皆見慣れた光景となったのか?特に注目を集めることもなくなっていた。
「どうも相方寝取られました。姫さんも彼女出来た訳だし、これを機に
「いかないですねえ。片方に彼女いるのはそれはそれで捗っちゃうから」
フーさんの言葉に、周囲を歩いていた女生徒達が一様に親指を立てて、ぐっ!とサムズアップしてくる。
フーさんもぐっ!とサムズアップしてくる。
どうも共通認識らしい。困ったもんだ。
「そっかー…捗っちゃうかーそっかー…無敵じゃん。どうしたらいいんだろう…」
「最近は出資もしてる。創作活動にはお金も必要だよね」
「あらやだこの子ったら、いつの間にかスポンサーにまでなってるわ…」
「今ガチも終わっちゃったし。やっぱ楽しませてもらえるコンテンツは常に必要だよ」
「そうねー…俺は楽しくないけど」
「どんまい」
フーさんが俺の肩をポンポンと叩いて慰めてくる。
「そう言えば鬼くん聞いた?ルビーが
「ああ、聞いたぞ。出演決まったらそっこー自慢してきた」
そん時のジャリのドヤ顔を思い出す。
まあ頑張ってるみたいだし、いい事ではある。
ドヤ顔はムカつくが。
「よっぽど嬉しかったんだろうねえ」
「昔からアイドルになるのが夢だったらしいしな」
「友達が夢を叶えるのは嬉しいんだけど、同業者と話すのはそれはそれで気をつかったりするからちょっと複雑だなあ」
「へー、そんなもん?」
「うん。世間話も嫌味に取られたりするケースもあるからね。ちょっと話題は気をつけたりする」
「芸能人ってのも大変だなあ」
どうにもわかりにくいが、そんなもんなのかもしれない。
「鬼くんは最近どーなの?なんか裏で有名な地下格闘場でアンパンマンのお面被った2メートル超えの大男が大暴れしたってウワサ聞いたけど?」
「アンパンマン?なら多分ウチのじーさんだな」
俺なら仮面ライダーのお面被って乱入するし。
「…鬼くんの話も大概ネジが飛んでて面白いねえ。やべぇ、おじいちゃんやべぇ…」
「そら俺の武術の師匠だからな」
「スッゴクケンカ強そうです」
「強いぞー俺の高校入学以来ろくに家に帰ってこないから最近手合わせ出来てないけど」
「おじいさんどうしたの?」
「知らね?またどっかの熟女キャバクラの女の子の家を転々としてんじゃね?」
「…完全に鬼くんのおじいさんだねえ。行動パターンまで似てるじゃん」
「まあなあ」
影響受けてるのは否定出来ない。
俺の両親は小さい頃から不在になりがちのため、じーさんに育てられた。
昔っから家に色々な夜職のおねーさんがたがひっきりなしに飯作りに来ていたのだ。
そら性癖もバグるってもんだろう。
「私もこの年で売れっ子になれたから色々と面白い話はあるんだけど、鬼くんは完全に別のベクトルで同レベルに面白い話あるから一緒にいて飽きないねえ」
「まあ否定はしねえよ。色々一般的な高校生とは違うってことは自覚してるしな。姫さんには生まれた時代を間違えたと言われるが、まあその通りだとは思う」
「そういえば、今日アクアさんは?」
「知らね。どうせまた何かしら面倒な事でもしてんだろ」
くっくっくと笑いながらそうフーさんに答える。
何やってるかは知ってるが、まあ本人の為にも言うのは辞めとこう。
ホントに面倒なヤツだよお前は、姫さん。
別にほっとけばいいと思うのに。
わざわざ他人の演技してまで、近くで手助けしたいだなんてさ。
「鬼くん?どしたの?」
「いや。何でもね。早く日本も一夫多妻制認められればいいのになって思っただけ」
「…それ絶対何か面白い事あるでしょ…」
「がはは」
姫さん
お嬢ちゃん
あねさん
皆幸せになれればいいんだけどなあ。