推しのペルソナ   作:のりしー

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2.5次元舞台編 変わっていくもの 変わらないもの

「あーバカ鬼だ」

「おーなんか久々会った気がするなジャリ」

 

いつもの学校の中庭のベンチ。

 

座って貢ぎ物の食べ物を食べていると、ジャリこと姫さんの妹である星野ルビーが声をかけてきた。

 

「ちょっとー!いつまで私の事をジャリってゆーのよ!こっちはライブも何回もしてるれっきとしたアイドルなんですけど!!」

 

ベンチの端に座り、貢ぎ物を勝手に漁りながらそんな事を言う。「あ、これ美味しそー!もらうね!」とかこっちの了承も取らず勝手にやる辺りジャリとしか思えない行動なのだが、全く。

 

「まあ、お前は何処までいってもジャリだと確定した気もするが…」

「もがもご…なんだとー!!」

 

食いかけで喋るなよ自称アイドル…

 

はあ…とため息つきながら、

 

「まあ、ジャリも高校生になった訳だし、嫌だってんならジャリ以外で呼んでやるのはかまわんけどな」

 

「え!いいの!じゃあ今からルビ神様と呼べえ!!」

「…神様かあ…一気に人間飛び越えちゃったかあ…」

「私は今から神だから!そこの貢ぎ物をお供え物としてよこすがよい!!」

「食いたいだけじゃん。ジャリ神様じゃん」

「それは正直ある!!!」

「正直な神様だなあ」

 

ヤレヤレと言いながら、貢ぎ物の入っている袋を膝上に置いてやる。

 

わーい!と楽しそうに袋を漁るジャリ。

 

「甘いものは全部このルビ神様が頂く!!!」

 

「おー。でも俺のデザート用に1個は残しとけよな」

 

「んー…しょうがないなあ、1個だけだよ」

 

そう言ってジャリがにししと笑う。

どうだ悪戯してやったぜ!みたいな笑顔はコイツに本当に良く似合う。

正直アイドルよりは適正はコメディアン寄りだと思ってるのだがどうだろう?

まあどの道、芸能の世界には詳しくないからわからないが。

 

「ねーバカ鬼」

「どーしたジャリ」

 

貢ぎ物を勝手にお供え物とし、あんまんを食べながらジャリが言う。

 

「お兄ちゃんさ、次は舞台出るって聞いた?」

「おー聞いたぞ。マンガ原作のだろ?」

 

脚をぶらぶらさせながら、

 

「お兄ちゃん役者になる気はないとかいいながら、なんで順調に仕事増やしてるんだろね?」

「知らねえしあんま興味もないな。姫さんがしたいからしてるだけだろ多分」

 

ジャリは俺をじーっと見ながら、

 

「…ま、バカ鬼がそう言うならそれでいいけどさ」

「俺がどうこうとかじゃないだろ。姫さんがやりたくてやってるだけだし」

「はいはい」

 

ジャリはそこで一息つくと、

 

「…ま、これからもウチのお兄ちゃんよろしくね。正直、アンタと仲良くなってからねじ曲がってた人格が大分昔みたいになってホッとしてる所あるんだから」

 

「そーかい」

 

あんまその辺は考えたことがない。

ただ、まあ双子のコイツが言うならそうなのかもしれないな。

 

「あ、でも!危険な所に連れてったり変な女遊び教えるのはダメだからね!!」

 

「うーん…最近はどっちも姫さん主導な気もするが…」

 

危険地帯に主導するのも。 

好きな子2人いるんです的な宣言するのも。

どっちも姫さんな気がするが。

 

「主導って言っても、どーせアンタの影響でしょう!!!」

「多少じゃね?」

「バカ鬼の多少は濃い!!!」

「まーそれは否定しないけどな」

 

かっかっかと笑う。

ジャリはぷんすかぴーって一通り愉快な怒り顔を見せた後で、

 

「絶対バカ鬼の影響じゃん!仕事上の恋人とか作るなんて!クズ男、女の敵、バカ鬼って感じ」

 

「おいおい人の呼び名を勝手に悪口扱いしないでくれるか」

 

「仕事上の恋人とかあかねちゃんかわいそー」

 

「そーか?案外あねさんも楽しんでる感じがするけど」

 

「え!!まさかバカ鬼あかねちゃんに会ったことあるの!実の妹の私より先に!!!」

 

「おう」

「むがーーー!!!!!!」

 

ボコボコ人の身体を叩いてくる。

学習しない奴。

 

「痛ったーい!!」

 

ほらな、こーなるからやめりゃいいのに。

 

ジャリは自分の手にふーふーと息を吹きかけながら、

 

「なんでよ!なんでこんな可愛い実の妹の私より先にバカ鬼に彼女を紹介するのよー!!絶対おかしいー!!!」

とギャースカギャースカ騒ぐ。

 

「お前に紹介したら反対されると思ってんじゃねえか?」

「……つーん」

 

ほらな

 

「お前、姫さんが彼女とキスしたりエロいことしてたら許さんだろ多分」

「許す訳ないじゃん。軽蔑する」

「おー怖」

 

真顔である。

まったく、とんだブラコンシスコン兄妹だ。

 

この辺が姫さんが過去に彼女作って無かった理由でもあると思う。

そういう損な役割を全部背負ってきてたのだあのバカは。

 

人の事をバカオーガ呼ばわりするが、姫さんこそよっぽどの大馬鹿なのである。

 

「ま、変わらないものもあれば、変わるものもある。なるようにしかならんさ人生なんてもんは」

「…ふんだ」

 

プイッと横を向くジャリ。

姫さんは何となくコイツが独り立ちするまで自分を犠牲にしそうな気がしてた。

 

最近、少しその辺が変わりつつある気もするけど。

 

だからこそ、俺はコイツをジャリと呼ぶ。

 

今後どうなるか知らんけど。

出来れば早くコイツをジャリ呼ばわりしないですむようになって欲しいところである。

 

 

 

 

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