キヴォトスの時計塔   作:Laplaaaaaaaaaaaace

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特にストーリーは進みません。ゆるして


シャーレ

 さてさて、キヴォトスでの初戦闘を終えた後。ヴァルキューレの生徒達がやって来て、眠るように気絶しているアリウス生を護送車に詰め込んで連れて行ってしまった。

 特にキリノやカンナが来ることは無く、モブちゃん達で処理を済ませていたけど、残念とは思っていない。なぜなら、モブちゃんもかわいいから。異論は認めません。

 

"それじゃあ、後はよろしくね"

 

「分かりました!これからの事はお任せください、先生!」

 

 先生とヴァルキューレの子がやり取りしている間、さっきの戦闘で感じていた違和感を自分なりに考えていたんだけど、今の所答えは出なさそう。まだまだ、この身体には不思議な力が眠っている!……のかも、しれない。

 そもそも『時計塔のマリア』自体、秘密を守る立場にいるのに、本人こそ秘密に塗れている存在でもある。だからこそ、この身体に眠る『秘密』を解き明かしていかないといけない。

 

 『私を――、暴こうと?』

 

 

 ……?

 あぁ、終わったのかな?ヴァルキューレの護送車が去っていくのを見送りながら、先生がゆっくりとこちらへ近づいてきた。

 

"やあ、マリア。手続きの諸々が終わったよ。後はあの子たちが何とかしてくれるって"

 

「……お疲れ様でした、先生。煩雑な手続きを、全て任せてしまっている様で――」

 

"良いんだ。面倒くさい手続きなんかは、大人の役目だからね"

"生徒の子たちは、穏やかに青春を謳歌してくれていれば"

 

 ほんと、そういう所だよ先生。自分の事は後回しで、生徒たちを優先する。どうしてそれ程までに自分を犠牲に出来るんだ……。

 美しい精神性なのかもしれないけど、周りからの心配度はとんでもないことになる。それこそ、湿度高めの生徒を量産してしまうんだぞ!

 

「……そう、ですか」

 

 うーむ……。人として心配になってくる。ブルアカプレイヤーだったからこそ、先生の忙しさは誰よりも分かっているつもりだ。それこそ、魂は実質先生のようなものだから。

 三日三晩の徹夜、不眠不休での書類作業、各学園へ出向いて問題解決をしたり……そんじょそこらで起こる暴動を鎮圧したり。

 それに、彼の持つ大人のカードの特性も理解している。寿命の前借の様なものだと言ってはいたが、ここから先、彼は大人のカードをストーリー上で幾度となく使うことになる。

 ならば猶更、私という存在が重要になってくるだろう。……ちょっと自意識過剰かな。

 

"さて!ちょっと問題はあったけど、そろそろシャーレに向かおうか"

"あの星見盤のお陰で、少し近い距離に出てこれたし、そんなに時間はかからないよ。外郭地区だから、少し歩くけどね"

 

『先生、先生!さっきの続きでもしながら帰りましょう!マリアさんとキヴォトス観光です!』

 

"あ、そういえばまだ途中だった!"

 

「……?」

 

 キヴォトス観光……?あぁ、さっき言ってた先生の行きつけのお店を紹介してくれるコーナーのやつ!あれ、観光だったんだ……。

 でも、ゲームでは詳細に見れないキヴォトスっていう場所を、こうして実際に目に出来るのは、観光より衝撃的な何かがある。一種の感動というか……。

 一度は夢見る、『憧れのあの世界に転生!』みたいなものが今こうして、自分の身に起きている。なればこそ、満喫しなければ損というもの!

 

「観光、という事でしたら……共に行きましょう」

「いざという時は、私が先生を守ります。その為に此処に居るのですから」

 

 内心テンション爆上がりである。スケジュールでしか施設の確認が出来なかったD.U.地区を、実際に歩いて散策できる。ブルアカ好きとして生まれたからには、一度はやってみたい事ランキングに入る。

 世界観資料集が無い作品だから、脳内補完と作中での補完で何とかするしかない。っていう所を!歩ける!!ああ、素晴らしい。それで言えば、ブラボもそうだ。

 フレーバーテキストと雰囲気で脳内補完することを前提に作られているから、実際に見て、感じて、考える。そうして解を得る。あぁ、ヤーナムも歩いてみたかった。

 

"それじゃ、観光再スタート!レッツゴー!"

 

『先生、良く行くお店だけじゃなくて、見所もちゃんと紹介してくださいね……?』

 

「……おー」

 

 わ!!!!!人形ちゃんボイスの「おー!」が出た!?!?!?!自分で声を出しておいてなんだけど、すっごい可愛い。

 なんだか、ちょっとだけ心が和らいだ気がする!憧れのキヴォトスを散策する前に、良い気分になれた。この後の観光も、楽しめそうだ!

 

 ……本懐はシャーレに行くことだから!忘れてないから……!さあ、行くとしよう!!

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 ええと、思った以上に楽しかった、キヴォトス観光。まだまだ見れていない所はあるけれど、今回行けた所だけでもう満腹だ。

 道中、先生行きつけのおもちゃ屋さんがあるとのことで立ち寄ってみたが、これがまた面白いのなんの。ここに断言したい、キヴォトスの玩具は素晴らしい。

 特に、変形合体ロボットのおもちゃは凄かった。普通、変形合体となると、一々分解して、形を変えてからまた合体させて別の形態にする。というのが主流だけど、ここの玩具は違う。

 なんと!おもちゃ単体で、分解の必要なく完全変形を可能にしてるんだ!私が生きていた世界だと、ゲッ〇ーロボとかがいい例だ。確かアレも、完全独立変形する玩具が出てたはずだけど……。

 技術は似たり寄ったりだけど、元居た世界とはまた違った印象を受ける。こういう先進的な技術ってミレニアムとかのお陰、なのかな。

 

 ロボットのおもちゃをじっと見つめて動かして遊んでいたら、先生に笑われた。ギャップがどうのこうの言われたけど……。まあ、分からないでもない。

 ミステリアスな雰囲気の子が、変形合体のロボットのおもちゃで遊んでたら、それはそれで面白おかしく映るだろう。笑わなくても良いじゃないか。

 

 おもちゃ屋を出たら、先生のおすすめでたい焼きをご馳走してもらった。小腹満たしにってことらしい。

 たい焼きって、中々食べる機会が無いから新鮮だけど、先生曰く"ここのたい焼きは絶品だよ!"とのこと。多分、アビドスの皆と来たところだ。あとファウストさん。

 カスタードとあんこ、変わり種に謎のマヨ唐辛子。……最後のは見なかったことにして、無難にあんこのたい焼きを頼んだが、口に含んだ瞬間、もちもちの生地とあんこの甘さが弾けて、思わず目を見開いてしまった。

 表情の変化が乏しいこの身体で、驚きの感情が出たのは初めての事だった。先生も微笑ましい顔でこっちを見てた。アロナに似顔絵として描かれた顔、それなんじゃないのかな。

 

 たい焼きを食べた後は、ブラックマーケット近辺へ。

 本来は危ないから近寄らない所だけれど、こういう所もあるんだよ。という教えるために少しだけ寄ったらしい。確かに、治安が悪そうな雰囲気が漂っていた。

 気味の悪い露天商に、どこから流通しているのか分からない銃火器の部品、違法に取引されているであろう物品。様々な"悪"が集合している、恐ろしい場所。

 途中、見た事のある『鳥だかカバだか分からない顔のリュックを背負った女子高生』を見かけたけど、話しかけないでおいた。あのタイミングで話しかけて、モモフレンズについて力説されても困るから。

 

 そして、連邦生徒会の本部がある、サンクトゥムタワー。高く聳え立つ巨大な塔を前に、思わずヤーナム大聖堂を思い出してしまった。聖堂街の円形広場から見る大聖堂は、とても大きく、時計塔としての本来の役割もしっかりと全うしている。

 よく鐘が鳴っているイメージがある。あと、時たま聖職者の獣くんの鳴き声も聞こえる。懐かしいなあ、せいけも。何周目からか、実家のワンちゃんと遊ぶみたく戯れてたっけ。

 それはともかく……。目の前で見上げたサンクトゥムタワーは威厳があり、天空に浮かぶ光輪も、タワーから伸びる光の柱も何もかも、奇麗で透き通っていた。さすが、ブルーアーカイブだ……。

 いつかここにも訪れることになるんだろうなあ……と考えたり、リンちゃんとも会ってみたいなあ。なんて思ったりしました。

 

 シャーレに着くまで、色んなところを見て回った。気づけば到着したのは夕方過ぎ。夜の帳が降り始める頃だ。夜が、やってくる。

 先生に着いてきて、シャーレに到着したけれど、案外がらんとしているものだ。定期的な清掃は入っているらしく、ロビーや廊下は奇麗に保たれている。ソラちゃんも暇そうに店番をしてたけど、先生を見るなりびっくりした顔をしていた。

 その後ろに知らない生徒もいるものだから、二倍の驚き。ごめんね、ソラちゃん。後でちゃんと自己紹介するから、今はそのまま何も見なかったふりをしていて欲しい。

 

"ようこそ、マリア。ここが私の仕事場でもあり……実質家でもある、連邦捜査部 シャーレだよ"

 

「ここまで、案内をして頂き……ありがとうございました」

「ここが、先生とアロナ様の仕事場……。工房、とは違うのですね」

 

"う~ん……何かを作ることに特化した施設ではないから、工房ではないかな"

"一応モノ作りは出来るけど……、武器とかは難しいかも……"

 

 クラフトチェンバーのことだ。テイラーストーンが無いと殆ど指定したモノづくりは不可能だし、そもそもアレで武器を作っている描写を見たことが無い。

 しかも、連邦生徒会長のおもちゃ呼ばわりもされていた気がする。連邦生徒会長、暇つぶしにクラフトチェンバーで何か作って遊んでたのかな……。

 気になるけど、現状あの機械はシッテムの箱を持つ人にしか扱えない。だから実質先生専用の装置になっている。私が手出しできるような代物でもない。もし壊したりしたら大変だ。

 

「いえ、私の価値観との相違です。忘れて頂けると……」

「それよりも……私は、ここで何をすれば……?」

 

"あ、忘れてた……。ごめん、アロナ、ちょっとした手続きをお願いしたいんだけど……"

 

『マリアさんの事ですね!分かりました!ええと……確かここに……』

『ありました!生徒名簿と、シャーレ一時所属の認可書類……ですね!出力します!』

 

 ガガ……と言う音と共にプリンターが起動。数枚の書類を取り出し口から吐き出して、その動きを止めた。

 認可書類……って聞こえたけど、そっか。あの時、時計塔で交わしたのは仮契約で、こっちで本格的な契約をしないといけないのか。というか先生さっき忘れてたって言ってたよね。危ないなあ!

 

"えっと、軽く説明するね"

"今のマリアは、どこの学園にも所属していない。そもそも、今まで生徒のデータベースにすら存在していなかった"

"それを時計塔で出会った時、仮にではあるけど登録しておいたんだ。それで……今からやるのは正式な手順を踏んだ生徒登録なんだ"

 

 と言うと、先生は机の上に数枚の書類を広げた。ええと、なになに?

 生徒名簿登録証と……連保捜査部仮所属届……?あぁ、シャーレの一時預かりになるとも言っていたっけ。

 

"取り敢えず、こっちの生徒登録証には、マリアの写真と名前……生年月日と住所……"

"ちょっと書く所が難しい箇所が多いけど、それはこっちで何とかしておくよ。事情を話せば、リンちゃんなら分かってくれるはず"

"今は、顔写真と名前だけで良いかな"

 

 それと、と先生は言葉を続ける。

 

"こっちの、連邦捜査部仮所属届に関しては、マリアのサインだけで十分だよ"

"後処理はこっちでも出来るから、簡単にね"

 

「……分かりました」

 

 さて、ちょっと緊張するけど手続きを経なければ、キヴォトスに真の居場所を作れたとは言えない。サクッと済ませてしまおう!

 落葉とエヴェリンを壁に立てかけて、シャーレ執務室内をすたすた歩く。写真はどの辺りで撮れば良いんだろうか。背景はごまかしの効くところじゃないと、怪しまれる。

 

「先生、写真はどこで……」

 

"ああ、ちょっと待ってね。このホワイトボードを回転させれば……じゃん!白背景の出来上がり!"

 

 じゃーん!とホワイトボードを見せびらかす先生。子供っぽいというかなんというか。まあでも、そこが愛されるところでもあるんだけど……。

 とにかく、ここでなら白背景で誤魔化しも効くし、写真撮影にはもってこいの場所だ。よし、帽子を取って……準備完了!……って、あれ?なんで撮影するのにディスプレイこっちに向けてるの?

 

"あ、アロナ……?生徒の前でこうやっていうのも何だか恥ずかしいんだけどさ……"

 

『いえ、先生の言いたいことは私にも分かります……!』

 

"奇麗だよね……"

『奇麗ですね……』

 

 

 

 ……?二人で何を話してるんだろう。声が小さくて中々聞こえない。内緒話は気になるな~。

 

「……写真は、良いのですか?」

 

"あ、あぁ……!ごめんごめん!ちょっとピントが……"

 

 その言い訳苦しくない……?ディスプレイがっつりこっち向いてましたけど……。絶対ピントとかの問題じゃないよね。

 

"よーし、それじゃ……撮るよ!"

 

 表情をキープして……、瞬きをせずに……。

 幸いなことに表情が簡単に動くことは無いから、写真を撮るには最適の身体なのだ。表情が分かりづらいなら、声で表現すればいいじゃない?今の所それは無理だ。

 パシャ!というシャッター音と一緒に先生がぐっと親指を立てる。無言でサムズアップって……。普通に声かけてくれたらいいのに。

 

「終わりましたか?」

 

"うん、ばっちり!これを生徒登録証の写真と……。もし今後、マリアが学校に所属するってなった時の生徒証に使えるから、安心してね"

"後は書類の記入作業だけだから、もうちょっと頑張って!"

 

「……はい。そちらの用紙に氏名、もう一方にも同じく氏名を記入すれば、良いのですね?」

 

"そうそう!生年月日と住所は……書きようがないから。シャーレの権限を使わせてもらうよ"

 

 出た、超法規的権限だ……。大体何でもできるシャーレ特有のチート!!エデン条約の上書きすらも可能にするトンデモ能力。それがあれば、生年月日と住所の偽装も可能ってか!!

 生徒のためとはいえ、先生も時には悪い事するんだね~。まぁでも、これに関しては私に責任があるか。殆ど記憶喪失って設定を作ってしまったから。

 まあ……先生が何とかしてくれるって言ってるんだから、言われた通り名前だけ記入しちゃおう。えっと、ボールペンは……あ、置いてくれてる。

 

 さらさら、と紙面にペンを走らせる。書いた名前は『秘守マリア』この世界における、私の名前だ。住所と生年月日は空欄で、他に書ける所も無い。空っぽな存在。

 でも、今後……。これから、その『空っぽ』を無くしていけば良い。そうすれば、『私』という存在がここに居ても良いと証明される。

 

「『私』と『私』も――」

 

「……先生。記入が終わりました。これで、よろしいでしょうか?」

 

"うん、ちょっと確認させてもらうね"

 

 そう言うと、先生は二枚の紙を手に取り、じっと見つめる。名前の確認と、要項を確認しているんだろうか。

 ある程度読み終えると書類から目を離し、こちらに視線を移してくる。

 

"オッケー、確認できたよ。名前もしっかり書いてあるし、ある程度は大丈夫"

"あと一つだけ質問があるんだけど……住所と生年月日について。住所はともかく生年月日は、君の希望に従おうと思うんだけど……"

 

 む、生年月日かぁ……。特に決めたりしてなかった。前の生年月日でも良いけど、今世で新しい生年月日を使うのもいいかもしれない。

 倫理的にどうなんだろう、とか思うけれど、今は聞かないことにする。先生が希望に従うと言ってくれているのだ。何か良い数字とかあれば良いんだけど……。

 うーん……うーん……。この身体に関する数字とかあると良いかもしれない。……そうだ!!

 

「その、生年月日ですが……」

「11月の24日は、どうでしょうか……?」

 

"11月24日……?それには、何か意味みたいなものがあるの?"

 

「……殆どの記憶を失っている私ですが、何故だか、この数字を選ぶべきだろうと……」

「そんな気がしたのです。特に深い意味などは……」

 

 もちろん嘘である。11月24日はブラボのDLC、The Old Huntersの配信日!ともなれば、この数字しか無いでしょう!!

 似非マリアとして、選んで、と言われればこの数字を選ぶ以外他ない。時計塔のマリアの誕生日なんてゲーム内では描かれないし、フレーバーテキストにも誕生日に関する記述はない。

 果たしてこの数字で先生は納得してくれるのだろうか……。でも、希望に従うと言ってくれたんだ。きっと認めてくれるだろう。

 

"……うん、わかった。じゃあ、11月24日で登録しておくね。他に書くところも無いし……今日は取り敢えず休んでもらおうかな"

 

「……休む、と言いますが、私はどこで休めば良いのでしょうか……?」

 

"えっと、それなんだけど……今日の所は隣の仮眠室を使って貰えればと思うんだ"

"設備は一通り揃っているし、眠るくらいなら問題はないと思う。私は隣で作業をしているから、何かあったらいつでも呼んでくれて良いからね"

 

「隣の、仮眠室ですね。分かりました」

「それでは先生、良い夜を。あなたの目覚めが、有意なものでありますように――」

 

"うん、また明日。おやすみ、マリア"

 

 仮眠室の場所を教えてもらって、部屋の前で小さく一礼。仮眠室へ足を踏み入れた。

 電気をつければ、仮眠室の中にはソファからベッド、モニターにゲームや漫画、ボードゲームなど、睡眠には必要ないものが沢山あったけど……。

 多分他の生徒が持ち込んだものだろう。モモイ辺りが色々持ち込んでるのかな。

 

 兎に角今日あったことを色々纏めてみよう。

 先生と出会ってから時計塔から連れ出されて、キヴォトスにやって来た。そこで初めて「戦闘」という行為を経験して、勝利を収めた。

 その後、先生と一緒にキヴォトスを観光した。とはいえ、一部だけではあるけど。おもちゃ屋に行ったり、たい焼きを食べたり、ブラックマーケットを見たり。そして、サンクトゥムタワーを見上げた。

 まだまだ、この地には見たことの無い所が沢山ある。それをこれから先、沢山見ていくことになる。楽しみである事と同時に、ちょっとだけ怖い。

 

 時計塔のマリアという存在がこの地に混入したことによって引き起こされる、何かしらの異常。そして、この身体に秘められた神秘。それらを、まだ解明できていない。

 ちら、とモニターに目をやればニュースが流れているが、『シャーレの先生、時計塔の調査へ!』という見出しと共に、ヤーナムに聳え立っていたあの時計塔が映し出される。

 私が秘匿されていた場所であり、秘密が眠る場所でもある、あの時計塔。消えたとか、崩壊したなんて情報を見かけないから、きっとまだキヴォトスのどこかに存在しているんだろう。

 

 ……この身体に眠るであろう『秘密』もまだ多々ある事だろうし、ゆっくりで良いからこの地に慣れていこう。なんとか人形ちゃんとして、色々無表情無感情で耐えてきたが、今日はもう限界だ。

 1日で色々なことが起きすぎた。身体はまだ大丈夫でも、脳がそれなりに悲鳴を上げている。疲労も限界に達してきているし、今日はもう寝てしまおう。もし時間があるのなら、明日にでも生活用品を整えたり、替えの服を買ったりしておきたい。

 取り敢えず、今日はここでおしまい。さてと……。悪夢とか見ないと良いなあ。

 

 

 

 それじゃあ、おやすみなさい。




なんだかぐちゃぐちゃになってしまったぞ。ごめんなさい
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