キヴォトスの時計塔 作:Laplaaaaaaaaaaaace
活動報告の方に現状を書いているので、気になる人だけ見てください。
あの後、イチカと別れて各々の家に戻ったところ。二人でメッセージのやり取りをして、先日に買いきれなかった日用品の買い物に、二人で繰り出したりした。
その時の話もしたいんだけれど、とても濃厚すぎて一つの話に纏められないくらいだ。ゆえに、物語として記録を残さず、思い出として心にしまっておこう。
別に、聞かせるのが嫌とかそういう訳じゃないけれどね!皆にもイチカはイチカだった!って知って欲しいし、なにしろ1ブルアカユーザーとして、狩人諸兄に共有したい情報だってある。
でも、今回はお預け。悪気はないから!そこは信じて欲しい。
といった所で、目覚めだ。朝の訪れを知らせてくれる鳥の鳴き声、カーテンの隙間から射す太陽の光。そして、スマートフォンのアラーム。……これだけ見ると、もはや現代人と何も変わらないなあ。
見た目は見目も麗しいマリア様だってのに、やっていることは現代社会人と何一つ変わらない。ちょっと悲しいかも。
布団からもぞもぞと、まるで星の子らのように這い出して、小さく伸びをする。いくら見た目が美しいとはいえ、身長が本家マリア様以下で、ぱっと見子供だ。
恐らくブルアカ世界に馴染むように、子供寄りの身長になっている(1話参照)んだと思うけど。伸びを終えたら、そのまま朝の身支度へ。洗顔から歯磨き、朝食の準備とそつなくこなしていく。
この辺りの動きは男だったころと変わらないから、なんとかなるけれど……。未だに少しお風呂とかは抵抗あるかな。と言っても少しだけ、なんだけどね。
焼きあがったトーストにマーガリンを塗り、口に含む。口いっぱいに広がる塩味と、ほのかな甘さ。ふむ、分かるよ。マーガリンとは甘いものだ。だからこそ、その甘さを忘れるような程よい塩味が必要なのさ。
「……ふふっ」
勝手にひとりで笑うのは許してほしい。一人暮らしだし、別に問題は無いでしょう。盗撮とか盗聴とかされない限り。大丈夫だよね……?そんなことされるの先生だけで十分だし、私の方まで被害を広げないで欲しい。
面白い言葉が浮かべば一人でに笑ってしまう。これは男だったころからの癖。というより、前世?うーむ。難しいぞ。まあでも、癖をすぐに直せって無理な話だし、まあこの癖とは当分付き合っていくことになりそうだ。
トーストを静かに食べていると、スマホのバイブレーションが鳴る。アラームではない。きっとメッセージが送られてきたのだろう。でも今は食事中だ。食事をしている間はスマホを触らないようにと心がけている。
優雅な食事を楽しみたのだ、私は。ゆえに、スマホはベッドのナイトスタンドの上。持ち歩きはしない。
スマホ問題の解決は意外と早かった。イチカが調達してくれるものかと思ったら、先生から直接渡されたのだ。なんとびっくり、契約は先生の方で済ませてくれたらしい。ホント何でもできるな、あの人。
携帯代の支払いやオプションサービス諸共、全部向こうで負担してくれるらしい。今後、将来的に金銭を稼げるようになれば、こちらに支払いの権限を移してくれるそうだ。まあ、いつまでも迷惑をかける訳にはいかないし、早くバイト先を探さないと。
「取り敢えず、洗い物から……だね」
朝食を食べ終え、食器を洗い場へ運ぶ。慣れた手つきで食器たちを洗い、乾燥機にやさしく、ぽいっ。備え付きで食器乾燥機がついている物件、当たりすぎませんか。
とても助かっているので、全世界に普及させるべきだと思います。現実世界でも。
ささっとナイトスタンド近くへ赴き、スマホのメッセージを確認する。送り主は、どうやら先生の様だ。何々……?シャーレでお手伝い募集?
……求人サイトか何かと勘違いされているかもしれない。一旦無視しようかな。
ぴこん
新着メッセージだ。おそらくこれも先生が送ってきたのだろう。
『おはよう、マリア。シャーレでのお仕事を頼みたいんだけど、時間は大丈夫かな?』
そうならそうと、最初から送って欲しい。求人サイトじゃないんだぞ、私は。
『私なら、いつでも問題ありません。今すぐにでも出発できます』
『本当!?すごく助かるよ!それじゃあ……』
『待ち合わせの時間等は問題ありません。今すぐ、向かいます』
社会人魂に、火が付いた。仕事の依頼だ。
仕事を頼まれたのならば、急いで向かうのは第一。俊敏かつ迅速に。まるで軽量二脚のような速度で、現場に向かうのだ。
兎に角、今すべきことは着替えと薄目のお化粧。お化粧に関してはイチカに叩きこまれた。一日で覚えろと言ってくるものだから、フルメタルジャケットの世界に居るのかと勘違いするくらいだった。
でも、そのお陰でマスターとまでは行かないけれど、人前に出ても恥ずかしくないくらいにはなった。彼女にはなんとお礼を言ったらいいか。でも1日で覚えろは無理がある。せめてもう少し優しくしてほしい。
サッと着替えを済ませる。普通は制服なんだろうけれど、私に制服は無い。いや、狩装束はあるけど、制服じゃないし。イチカと一緒に買った服をチョイスする。
長袖のレースブラウスに、ジャンパースカート。可愛いさと魅力さを兼ね備えた最強装備。見目麗しいマリア様の魅力を引き出し、この子供の様な身長から可愛さも演出してくれる素晴らしい服装だ。
その後すぐに軽いお化粧をする。素材が良いので、乗せるものはごく少量。それ以上やりすぎると、かえって変に見えてしまうらしい。素材が良いというのは、イチカ談。私もそう思います。
サコッシュを掛け、スマホとお財布を入れれば、出発準備完了。部屋のチェックをして、異常が無いのを確認すれば家を出て鍵をかける。そこから、スタート。
居住区からシャーレまで総距離は離れていないけれど、仕事の話となれば別だ。少しだけ、『加速』を使おう。人目に触れない所でね。
大通りに出るまで、土煙を立て、自身の姿を掻き消しながら高速でステップを踏む。対人では多少の役に立つんだけど、オフラインだとほとんど無意味なんだよね、加速。
カインの流血鴉くんは絶対に許さないからな。無限に加速使ってきやがって。それ私にもよこせ。あ、今持ってるんだった。てへ。
大通り直前で、加速を止める。服に汚れが付いていないのを確認すれば、ホッと一安心。下手したら汚れるので、一世一代の大博打ではあった。イチカと二回目の買い物に出かけた時、ものの見事に服の裾に砂埃がたんまりと付着するという事件が起きたので、それ以来ひやひやしてはいる。
私服で加速を使うと毎回博打。まあでも、それが更にヒリつきをくれる。悪いことばかりじゃないんだよね*1。
「よお、嬢ちゃん!おめかしして、どっかお出かけかい?」
大通りに出た所で、聞いたことのある声が語り掛けてきた。ちら、とそちらの方を向けば、茶色いもふもふ。
おや、あれはたこ焼き屋の店主さんじゃないか。今日も良いもふもふですね。少しもふらせてください。
「店主様、おはようございます。今日は、シャーレからの要請で、仕事を……」
「おっ、シャーレ行きか。なら丁度いい。こいつ、持ってってくれねぇか?」
「……これは?」
「シャーレの先生用と、嬢ちゃんの分の飯さ。っつっても、たこ焼きだけどな!」
「ついでに、シャーレの先生にうちの店の事、おススメしといてくれよ!」
ガハハ!と気前よく笑うと、大将は紙袋を一つ此方へ手渡してきた。お代はいらねぇからよ!のセリフ付きで。
この人、商売成り立ってるのかな……。少し不安になってきた。今度、ちゃんとした客としてここのたこ焼きを買いに来よう。
「ありがとうございます……。必ず 先生に、おすすめしておきます」
「そりゃ嬉しいこったねぇ!頼んだぜ、嬢ちゃん!」
シャーレでの仕事の前にもう一つお仕事を頂いてしまった。まあ、別に難しいものじゃないし問題にはならないんだけど。
さて、新しいお仕事を抱えながらシャーレに向かうとしよう。現場第一なんだから、目の前とは言えど急がなきゃ。
シャーレのメインロビーを通って執務室へ。案の定シャーレ内部はとても奇麗に保たれていて、長時間居ても嫌な雰囲気なんてないくらいに清潔だ。実験棟とは比べ物にならない。
自動ドアを潜れば、いつもゲームのホーム画面で見ることのできるオフィスが目の目に広がる。だけど、今回は先生としてではなく、生徒として仕事を手伝いに来たのだ。何だか新鮮。
「少々、遅くなってしまいました。申し訳ありません」
"ううん、大丈夫。来る途中に怪我とかして……ない……?"
「……?」
先生が固まった。頭の上にローディング中のぐるぐるが出てるんじゃないかと思うくらいには固まっている。
「どうか、なさいましたか……?」
"えっ!?あ、いや……私服、似合ってるなぁ……って思って!"
「先生からそのような感想を頂けて、私は嬉しい限りです。イチカ様と選んだ甲斐があります」
あぁ、私服を見て固まってたんだ。いやぁ、分かる。気持ちはとても分かる、先生よ。
この見目麗しゅうマリア様の似姿でこのような服装をしていれば、街中の少女は振り向き、虜になるだろうさ。それは先生と言えど同じこと。虜になったのだろう?
"っと、マリアの服に見惚れるのも良いかもしれないけど、今日はお仕事を手伝いに来てもらったんだよね"
"初めてのお仕事だし、私が教えながら見てあげるから、心配しないで!"
この魅了は思いの外長く続かないらしい。そういうスキルみたいなのある訳じゃないし、仕方ないんだけど。
「……はい。そういった事なら、お任せください」
「多少の心得は持ち合わせています。早速、始めてしまいましょう」
"おぉ……、スゴイやる気だ……!輝いてるよ、マリア……!"
「……ふふん」
『ふふん』!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?何得意げな声出してるの!?!?!?!?!?
いや出したのは中身である私なんだけど、えぇ!?!?!?!?うわあ、とっても可愛い意気込み方だったなあ*2。
こほん。少し取り乱してしまった。
それじゃあ、早速先生から提示されたお仕事をこなしていくとしましょうかね。前世?の社畜魂が火を吹くぜ!
"……と言っても、簡単な書類作業だけなんだけどね。仕分けをしてもらおうかなぁ、と思って"
「書類の仕分け……ですか?雑務なら、私に何なりとお申し付けください。力になれる筈です」
"そんなに仰々しいものじゃないんだけど……、今の所は私の机の上に置いてある山を協力して整理整頓するところからかな"
という先生の机には、書類の山というか、谷の様な物が形成されていた。冷たい谷の書類……?*3
とりあえずこれらを整理整頓して、先生の確認印が必要な重要書類から、私の方で処理が可能な書類とで分けて……仕事を進めていこうといった感じかな?
溜め込み過ぎだね、これ。あぁ、でも……エデン最中ってなるとそれもそうかあ。公務が手に付かないのは仕方ない。このインターバル期間でどれだけ捌けるか……。腕が鳴る。
「それでは……片付けていきましょう」
そこから数時間ほど、書類の仕分け作業が始まった。中々に枚数が多いものだから途中苦戦するところもあったけど、なんとか重要書類とそれ以外で分けることに成功した。
重要書類は変わらず先生の机にどん。それ以外は対面のお手伝いさん用机の上にどん。シャーレのサインを書くだけの簡単な仕事とのことで、一応公文書なので、形式はしっかりと。先生にサインの書き方を教えてもらった。
最終的に印を押すのは先生だし、確認も兼ねてこの書類全部に目を通すらしいけど、大丈夫かな。過労死とか。されたらキヴォトス滅亡確定なのでしてほしくはない。
……よし!サインの書き方をマスターしたぞ!!なんだろう、この身体だとボールペンより万年筆の方がしっくりくる。なんというか、書きやすいんだ、文字が。
サインの練習用紙
マリアが練習した『連邦捜査部シャーレ』と無数に書かれた紙
ボールペンやサインペン、鉛筆など様々な文具で書かれた様だが、万年筆を用いた筆跡が一際多い
この紙そのものに価値は無いが、努力の結晶として、残しておくに値するものだ
サインの書き方をマスターしたので、本格的な書類作業に移ろうと思います。
さらさら~と書類たちに筆を走らせていく。万年筆だから、インクが乾くまで少し時間が掛かると思ったけど、そうでもないらしい。
なんと速乾性らしいぞ!これならすぐ用紙を重ねても問題ない!いやあ、作業の効率化ってこうあるべきだよね。聖杯ダンジョンでも効率化、やりましたよね。
ただ……、こう……。書類に目を通してはいるけれど、やっぱり苦情関連が多いんだ。他は物資の補給とか、シャーレへの要請とかそんな感じ。
苦情関連はゲヘナが一番多い。温泉発掘のための爆破問題、飲食店の爆破、路地での喧嘩後爆破。爆破しかないんだけど……。頭ゲヘナとかそういう問題じゃない。
治安が。治安が終わっていらっしゃる。ヤーナムはそれ程終わってはいなかったぞ。出会い頭にホワイされるだけで、それ以外何ともないし。犬も慣れれば可愛いし。せいけもはペットだし。
未だに少し動きの速い敵は厳しいけれど。ちいかわとか速すぎて無理。追えない。今の身体なら余裕なんだろうけど、本来あの獣は狩人くんが狩るものだ。古狩人であるマリア様が手出ししてはいけない。
うーむ……うーむ……。ゲヘナは爆破、ミレニアムは実験失敗による爆発。トリニティは……特にこれと言ったものは無いなあ。物資補給申請くらいで、問題という問題は起きてないみたい。
レッドウィンターはクーデターが日常茶飯事らしい。お家芸過ぎるかも。百鬼夜行も今の所は問題なし……みたい。まだ百花繚乱編始まってないしね。
"マリア、そっちはどんな感じかな?"
「恙無く進行中です。書類の内容に、少し驚いてはいますが……」
"あはは……。多分ゲヘナの子たちかな。あの子たちは問題行動が多いかもしれないけど、悪い子たちじゃないんだ"
"ちょっと個性的……と言えば良いのかな。自我が強い、というか……"
自我が強いし個性的だし、爆破と喧嘩は当たり前。そんなイメージですよ、私は。
「……私が覚えている範囲で、ですが……。どこかの街には松明を持ち歩き、押し付けてくる者がいるそうです」
「彼らは、善意でその行為に及んでいるようです……」
"松明を押し付けてくる!?松明って、あの松明!?"
"火がついてる棒だよね……?"
「先生が想像しているもので、間違いありません。彼らは、ソレを押し付けてくるのです」
「私も、又聞きをした程度です。雑談の種と思って、聞き流していただければ」
"えっ!?それだけ?!ちょっと、すっごい気になるんだけど!"
「クスクスッ、その気持ち……分からなくはありません」
「ですが、今は仕事を片付けるのが先決です。さあ、夜がやってくる前に終わらせてしまいましょう」
"ちょ……、ちょっと、マリア!?終わったらちゃんと話聞かせてね!?"
「……はい、約束です」
そう言い残して、私は書類との戦いへ身を再度投じるのだった。
あ、途中休憩で食べたたこ焼きはとっても美味しかったです。先生からお店の場所を聞かれたから、シャーレの前にあるよ。って答えたら驚かれた。
この人、どれだけシャーレ前の通りを見ないんだろう。コンビニ弁当だけじゃ体壊しちゃうよ。今度お弁当でも作ってきてあげよう*4。
そうして、太陽がその身を隠し、大地に闇が訪れ始めたころ。
"ラスト~~~~!!!!"
「……お疲れ様でした、先生。そして、アロナ様」
『えぇっ!?気づいてたんですか?!』
ぴこん と、シッテムの箱が点灯する。端末の中には、驚きながらあたふたする少女が。
実は、ここに来た時から、アロナがデータ処理を頑張っていたこと、薄々感じ取っていたのだ。古狩人の勘というか、元先生の感知力というか。
とにかく、彼女にも労いの言葉を掛ける。お疲れ様、と。
「アロナ様、遅くなってしまいましたが……こちらを」
と、紙袋から一つ。包装されたブツを取り出す。別に怪しい薬とかじゃないよ??ただ、アロナにはこっちの方がいいかなあと思って。
包装を解くと、中から顔を出したのはたい焼き。奇麗な焼き目のついた古来からの甘味だ。
実は夕方に差し掛かった頃、途中休憩をもう一度貰って、たこ焼き屋の大将の所へたい焼きを買いに行ったのだ。たこ焼きだけやってるのかなあと思っていたけど、朝方呼び止められたとき、たい焼きの焼き型をちらりと見つけていたのだ!
なんとあのお店、たこ焼きと一緒にたい焼きも提供しているではないか!と気づいた時には、それはもう有頂天。アロナとの好感度もアップで、悪い事なし。
『た、たい焼き……!良いんですか、頂いても……!?』
「はい。アロナ様の為に買って来たもの、ですから」
「存分に食べて頂ければ……と」
『わーい!!先生、たい焼きですよ、たい焼き!!!』
『プリンも美味しいですけど、たい焼きもすっきりした甘さで良いですよね!』
"うんうん、分かる。たい焼きは至高だよ"
二人して喜んでくれてる。買ってきて良かったなあ……。私は晩御飯を作るので、たい焼きは一旦お預け。
「……それでは、お二方。私はこれにて失礼します」
「今日はとても有意義な一日となりました。先生、手伝いの依頼を下さり……ありがとうございました」
"ううん、そんなそんな。私も手伝ってくれてすごく嬉しかったし、助かっちゃった"
"こちらこそ、ありがとう、マリア"
『私からもお礼を!ありがとうございます、マリアさん!』
二人からお礼を頂いてしまった。ふむ……これは、これからももっと頑張らないといけないフラグってやつですな?良いですとも、やってやりますよ!
「いえ、お礼を言う方は、私です」
「最初に私を連れ出して下さったのは、お二方です。それこそ、最大の恩ですから」
「私こそ、あなた方にお礼を言うべきなのです」
"そのことになると、お礼の言い合い合戦になっちゃうね"
"私は君を見つけたから、あそこから連れ出した。ただそれだけのことだよ"
わーお☆そんなこと、普通に言ったら恥ずかしさで顔から火が出るじゃんね!
この先生という存在、キザなセリフも何の気なしに言えるもんだから、そこは尊敬できるなあ。なのに、おもちゃと課金は止められないってギャップ。
この人に堕ちる子たちのこと、少しずつ分かってきたかもしれない。そういうギャップみたいなのに溺れて戻ってこれなくなるのかな。
末恐ろしい人だこと、先生は。
「……それでは、此度こそ失礼します」
「お二人の眠りが、そして目覚めが……有意なものでありますように」
「またお会いしましょう、先生。アロナ様」
"うん、お休み、マリア。気をつけて帰ってね"
『マリアさん、たい焼きありがとうございました!おやすみなさい!!』
ぱたぱた、と手を振って、シャーレのオフィスを後にする。
改めて、今日は良い一日だった。シャーレで初めて仕事も出来て、ブラボの話もちょっとだけ出来た!先生に、『ヤーナムの秘技・ホワイ』を教えた時は驚いてたなあ。
こんな平和な日が続けばいいな、なんて思ってしまったが最後。今の世界がエデン条約編の最中であることを思い出す。
アリウススクワッドは追われる身。いつ何時、事が起こってもおかしくはない。もしかしたら今この時にでも、アリウススクワッドは追い詰められているかもしれない。
確か……アツコが連れていかれた時は、雨が降ってたっけ。今日は……星が見えるくらいの晴天。雨は降っていない。
シャーレから出てすぐに空を見上げる。頭の上には満天の星空と、円環。宇宙は空にあるといったものだが、この世界ではどうだろう。もしかしたら地下にあったりして。暴いちゃおうか、神様のお墓。
と、冗談はこれくらいにして、そろそろ備えなきゃいけない。
エデン条約編4章、忘れられた神々のためのキリエ。アリウス分校の子たちとはもちろん、ミカとも戦うことになるかもしれない。極めつけは、色彩を我が物にしようとした異形のベアトリーチェ。
獣の如き暴虐性、異形の姿と化してまで、存在すら不確定なものを手に入れようとする貪欲さ。この世界で許されてはいけない存在。
いつか、狩ることになる。ならば、その時までこの刃を研いで待つとしよう。血に固執する者同士、良い死合いにしようじゃないか。
ロングスカートを、ばさ と揺らしながら帰路に着く。その近く、微かにではあるが、花の香りが漂っていた。
お疲れ様でした、私です。
なんと、花の香りがしました。確かにしたんです。間違いじゃありませんよ!!
さて、前書きでも触れましたが、ちょっと精神的な面でガタが来ちゃいまして、さらに更新が不定期になりそうなんですよね。許してほしいです。
細々とプロットは作り続けていくつもりですが、もしどこかでお話し同士の齟齬があったら教えて頂けると幸いです。何とか直します!
では、また今度!