俺はエリスが大好きだ。シルフィが大好きだ。ロキシーが大好きだ。
ノルンとアイシャ。ゼニス、リーリャ、パウロ、アルス。
みんな、みんな大好きだ。
家族、家族……俺の大切な家族。
俺は、それを守るためなら、きっと、どんなことでも。
例え、それが間違ったことだったとしても、やりたい、やらせて欲しいと言うんだと思う。
守らせてくれと懇願しながら言うんだと思う。
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日記を読んだ後、みんなの元へ行った。
大切な人、家族の元へ行き力いっぱい抱きついた。
妊娠しているロキシーをお姫様抱っこして。
ルーデウス!と呼んでくれるエリスの唇を塞いで。
ボク、今日はルディと一緒に居たいな……と言ってくれるシルフィと手を繋いで。
じっくりと、ゆっくりと幸せを噛み締めた。
無くなるかもしれない幸せを、ぎゅっと握り締めた。
俺は、この幸せを手放したくない。
幸せな毎日と愛する人を守りたい。
だから、やるんだ。
老人の言葉を実行に移すんだ。
俺は覚悟を決めて瞼を閉じる。
アイツに会うために、迷いを消すために…
……俺は、ベッドに身体を沈めて眠りについた。
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白い空間、何もない空間。
あるのは、居るのは、たった一人の人物だけ。
何も変わらない光景。俺は変わらぬ醜い姿で、その場に佇んでいた。
「ほんとに、君ってイカれてるね」
……ヒトガミ。
「水神、剣神、北神よりも強くてさ、挙句に過去転移。ほんとに何なんだよ」
なんか不機嫌だな?
どうかしたのか?
「別に〜、不機嫌じゃないさ。ちょっと驚いただけだよ」
日記のことか?
やっぱり、お前でも驚く内容だったのか?
「まぁ、流石にね。君みたいな人族が……前世ニート野郎があれだけ暴れてたら、びっくりするよ」
ニート野郎、俺のことか。
「そうだよ。君みたいなニート野郎が僕と友達かぁ。まぁ、別に嫌だとは言わないけどさ。そりゃあ驚くよ」
……驚くって、そこかよ
「ん?逆に何処に驚くんだい?」
何処にって。もっと色々あっただろ。
「どうしたんだよ?随分とキツイ口調じゃないか。君も不機嫌なのかい?」
別に不機嫌じゃねぇよ。
「ほら、その口調が不機嫌っぽい。不機嫌、不機嫌。あ、そうしたらさ、一つ良いこと教えてあげようか?」
良いこと…?
「うん、良いこと。君は龍神には勝てないってことだよ。選択の時に言っただろ?龍神と戦って全てを失うか、ロキシーの子供を殺すかって。龍神に勝つなんていう選択肢は君にはないんだよ」
でも老人は勝てるって言ってくれたぞ?
「アイツは龍神を侮ってるんだよ。哀れだよね〜。あんなに頑張ってたのにさ。龍神、宿敵の強さを間違えるなんて」
そうなのか。いや、でも、日記ではヒトガミ…お前が龍神に勝てるって言ってたって書かれてたんだが。
それは違うのか?
「……なんだよ、さっきから疑問ばっかり。何が言いたいんだよ」
いや、龍神ってそんなに悪い奴なのかな?って思ってさ。
未来の俺は殺意マシマシだったけど。俺は、そんなに怒ってないんだよ。
初めて会った時も殺されそうになったけど治してもらったしさ。
龍神を目標にエリスと強くなったけどさ。結局、まだ殺されそうになってないし。
日記でも龍神には殺されていなかったし。
ヒトガミ。お前はどう思う?
「なんだよそれ。ごちゃごちゃうるさいな。未来の君が僕の友達だったのかは知らないけどさ。今の僕たちはそんな関係じゃないだろ?僕の言った選択以外のことは聞かないで欲しいな」
……そうだな、ごめん。俺が悪かった。怒ったか?
「いや、怒ってないよ。僕も言い過ぎた。でもさ、オルステッドに疑問を持ってどうするんだい?オルステッドと話し合いでもするのかい?会ったら殺されるのに?家族を、君の大好きな人たちを殺されるのに?土下座でもしてみるかい?許してくれ〜ってさ。その間に殺される可能性の方が高そうだけどね」
……そう、なんだよな。
龍神に疑問を持っても、どうすることも出来ないんだよな。
「そうだよ。君はビビってるだけなのさ。龍神と戦うことも、ロキシーの子供を殺すことも。両方出来ないって逃げたいだけ。現に、君は昔龍神に殺されかけてるんだよ?そして、君に嘘を吐いたことがないこの僕が、そんな龍神に殺されるって言ってるんだ。それが現実、真実さ」
……
「あーあ、未来の君が見たらガッカリするだろうね〜。あんだけ頑張ってさ、過去転移までしたのに。助言をしたのがこんなヘタレだと知ったらさ」
そうだな。俺はヘタレで弱いよ。
「お、良く分かってるじゃないか。そんなヘタレな君。醜い君がオルステッドと戦えるのかな?無理だよね?そうしたらさ、やっぱりロキシーの子供を…」
それは嫌だ、嫌なんだ。
「……は?」
俺はヘタレだよ。
ヘタレでクズで、最低で……ダメな奴だ。
お前みたいに優しくないし、龍神みたいに強くもない。
「だから、そんな君が……」
でも!だからこそ!そんな俺だから失いたくないんだ。
大切な人を、家族を守りたいんだよ。
俺が、守ってやりたいんだよ。
「守る?日記でも失敗し続けていた君が?分かってるのかい?その道は日記以上の薔薇の道だよ?」
あぁ、分かってる。
覚悟は決めた。老人とお前のおかげでな。
「君じゃ勝てない……いや、もう何を言っても意味はなさそうだね」
殺る、殺ってやる。
守るために殺すんだ。
龍神を、最強を。
「助言は必要かい?」
……要らない。
進むべき道は決めた。
「そうか。それなら僕も何も言わないよ」
あぁ、ヒトガミ。
見ててくれ、お前が言ってくれた助言。
学園、迷宮、アトーフェ。
その全てを俺はこの戦いにぶつけるよ。
「あぁ、見させてもらうよ。君の成長……その集大成をね」
じゃあな、ヒトガミ。
老人の恩返し。それを受け継ぐのは俺だ。
「バイバイ。君の恩返し、龍神殺し。楽しみにしてるよ」
ヒトガミの言葉。瞬間、白い空間が歪む。
最初にして最後。助言ではないヒトガミの終わりが歪みとなって俺を包み込む。
龍神と俺。
最後にして最大の対決。その準備が始まりを迎える。
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「龍神、最強殺しか」
一人きりのベッドの上、俺は目を覚まし、上半身を持ち上げていた。
ナナホシに相談、魔導鎧の制作。
やるべきことは沢山ある。
しかし、最も重要な一手。ヒトガミに相談するのはクリアだ。
「でも、まだ色々聞けてないんだよな」
あれだけカッコつけたが、アイツに聞きたいことはまだある。
もしかしたら、また会うことになるかもしれない。
俺は一つ苦笑いしながら考えた。
「でも、不思議だな。龍神殺し、あんまり怖くない」
ヒトガミにはビビっていると言われた。
現に、未来の俺は龍神殺しではなくロキシーの子供を殺すことを選んだ。
だから言えない。でも、それでも、ビビっているというのはしっくり来なかった。
その理由は明白。
「俺には居るんだ」
居る、居る。その人物は赤い髪の女の子。
アトーフェ戦でも、仲間に合わせられなくて一人ぼっちだった俺を絶対に一人にはしない女の子。
「エリス。俺は、エリスとなら何処までだって行ける」
俺のストーンキャノンに合わせられる唯一の存在。
俺の愛しのお嫁さん、エリス。
俺の頭には彼女と戦う光景が広がっていた。
最強に勝つ光景が大きく、大きく広がっていた。
「俺は最強に勝てる」
士気を上げるような、鼓舞するような言葉を自分自身へ。
エリスとナナホシ。
俺は、そんな二人の女性に向けて、大きな一歩を踏み出した。
最終決戦 泥沼&狂犬VS龍神 勝者予想
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ヒトガミの敵にして最大の使徒 泥沼&狂犬
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世界最強 七大列強二位 龍神