もしも、エリスがルーデウスと別れなかったら…   作:あえch

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2025年6月30日 文体を大幅に変更しました。


泥沼&狂犬VS龍神 その1

 

 

「過去転移、執念、変な恩返し。本当に厄介極まりない奴だよ」

 

白い空間、たった一人の神が何かを呟く。

 

「クズで醜くてさ、最低最悪な奴……」

 

彼の名はヒトガミ。

一人ぼっちで悪態を繰り返す。

 

「最低最悪……ふふっ。でも僕は本当にあると思ってるよ」

 

流れが変わる。

言葉は悪態から期待へ。

自身が本当の意味で倒しきれなかった男。『ルーデウス・グレイラット』

そんな男だからこそ、ある種の期待にヒトガミは胸を膨らませていた。

 

「龍神殺し。可能性は十分あるよね」

 

最強殺し、この言葉を放つヒトガミの顔は笑っていた。

楽しんでいるのか、はたまた本気で思っているのか。

 

その心情は誰にも分かるはずはない。

 

誰にも理解されないヒトガミ。彼は、一つ言葉を置いていく。

 

「オルステッド、君が今から戦うのはね」

 

泥沼VS龍神。

始まりの合図は、この男の言葉。

 

「僕にとっての最大の敵。そして……」

 

歪み始める白い空間。

さらに大きく笑うヒトガミ。

彼の最後の言葉は、これだ。

 

「ヒトガミの使徒。僕の最大の切り札だよ」

 

自身が育てたルーデウス・グレイラット。

その対決。彼は楽しみで仕方がなかったのかもしれない。

 

空間は歪み、終わりを迎える。

 

しかし、それは終わりと同時に始まり。

そう、最悪の始まり。

 

最悪への第一歩。

 

地獄に片足を踏み入れる、最悪の一歩目だった。

 

 

─────────────────────────

 

 

チュンチュン

 

朝が来た。不幸な人間、幸せな人間。それら全ての人間を見境いなく綺麗に照らす朝日。

そんな朝日が俺の横顔を照らしていた。

今日は俺にとっての決戦の日。

 

ザノバとクリフと共に制作した魔導鎧を信じて。

ロキシーとシルフィに教わった治癒魔術を思い出して。

 

エリスと共に出掛けた。

 

扉を出て家を離れる。

家がどんどん小さくなって、ラノア王国も小さくなって。

隣に居るエリスだけが大きくなっていく。

 

それほどの歩み。

俺は一粒小さな汗をかいた。

 

嫌な汗じゃない、昔みたいな恐怖の汗じゃない。

エリスと共に今日、俺は『最強』を超える。

そんな思いが募った覚悟の汗だった。

 

────────────────────

 

「ルーデウス、大丈夫よ。私が居るわ」

 

「エリス、心配なんかしてませんよ。俺たちなら最強を超えられる。俺は本気で思っています」

 

エリスと小さく言葉を交わして、林の中で待ち伏せする。

待つのは俺たちが超えるべき相手。

息を殺して一人の男を待つ。

 

………

 

……

 

…来た。

 

銀髪に竜の目。恐ろしいほどの闘気を纏った男が部屋に入った。

ナナホシと一緒に立てた不意打ちの作戦。

その部屋に入り込んだ。

 

瞬間、俺は撃ち込んだ。

 

ライトニング、ライトニング。

巨大な岩を作り、夢中で落とす。

 

ドン!ドン!ドン!!!

 

息が切れるまで必死に。

ナナホシが作ってくれたチャンス、その不意打ちを無駄にしないように。

 

「……やったか?」

 

俺の疑問。

返答は一瞬にして返ってくる。

 

「ライトニング。とてつもない威力だな」

 

竜の目が俺を睨み付ける。

黒焦げのオルステッド。しかし、奴は狼狽えない。

瞬間、俺の背筋が凍る。

奴の殺気が俺の背筋を凍らせる。

 

真の勝負。

エリスとの共闘が始まりを迎える。

 

────────────────────

 

ライトニングに異常な威力の土魔術。

オルステッドは、それを受けた。

しかし、表情に大きな変化はない。

何事もなかったように、ゆっくりと言葉を溢す。

 

「不意打ち、か」

 

奴の顔に焦りは無い。

ただ、考える。

 

最短の殺し。それだけがオルステッドの脳を支配する。

 

殺気を込めた目には二つの人影があった。

完成度の高い魔導鎧を身に纏った怪物と、剣を握る女。

 

女……エリス・グレイラット。

 

呪いなんてお構いなし。ルーデウスを守る。それだけを考えて、エリスは闘気を練り上げる。

 

剣に炎を纏って、構えて、腰を落として地面を鳴らす。

彼女の足音から聞こえるのは耳を壊すような爆音。

 

「…良い踏み込みだ」

 

刹那の出来事。エリスがオルステッドに踏み込む。

速い、とてつもなく速い。真っ直ぐで破壊力のある太刀。

殺気が大量に篭る炎の太刀。

 

そんなエリスの踏み込みにオルステッドも腰を落とす。

奴が放つのは『光返し』

 

速いエリスの太刀に対して、選択するのは完璧なカウンター。

 

「確かに速い。だが、それだけだ」

 

小さく呟く最強の言葉。

同時、オルステッドが振り上げた右手を振り下ろす。

 

最強の名に恥じぬ攻撃。

刹那、鳴ったのは爆音。

 

バン!

 

音と共に飛んだのは右腕。

飛んだ人物は俺じゃない。エリスじゃない。

 

右腕が消し飛んだ人物。その名は、龍神 オルステッド。

 

光返し、最強の光返し。

そんな光返しは、この日、この時、封じられた。

 

────────────────────

 

俺のストーンキャノンが奴の右腕を消し飛ばす。

目を見開き、驚いた表情のオルステッド。そんな奴の胸をエリスの炎の太刀が切り裂いた。

 

「ルーデウスは、やっぱりすごいわね」

 

「土魔術。そうきたか」

 

オルステッドの言葉が物語る。

光返しの不発、俺のストーンキャノンの威力。

そして、それだけじゃない。

このダメージは次に繋がる一手になる。

 

「よし、通用する」

 

俺の呟きと同時、オルステッドが俺たちから距離を取った。

奴の姿が物語る現状。不意打ち、右腕の欠損、エリスの炎の太刀により切り裂かれた胸。

奴のダメージは確実に蓄積している。

 

故に警戒しているな。俺の水神流潰し。

しかし、関係ない。俺の狙いは見事に決まった。

 

俺は水神流を習得しているわけではない。

寧ろ剣は苦手だ。

 

しかし、エリスのことならばなんでも分かる。

感情、趣味、そして剣技。

ずっとエリスと共に生活してきたんだ。

エリスのことは誰よりも分かる。

 

お前が何度ループしていようと関係ない。

そこは、そこだけは、俺はお前に勝てる。

 

そんなエリスへの感情。そこから導き出せる答えは一つ。

 

それは『エリスに対する』カウンターならば、俺でも読めるんじゃないか?

 

これが俺の導き出した答えだった。

 

水神流の初級だろうが神級だろうが関係ない。

水神流が敵に、エリスに合わせる技な以上、俺でも防げるんじゃないか?

 

エリスのカウンターにカウンターを合わせる。

そんな推測。答え合わせは奴の消えた右腕が証明してくれた。

 

神級の水神流、最強の水神流は…

 

……この時、死んだ。

 

エリスの剣を120%引き出す。

俺がエリスを支える。

俺はそんな決意を込めて大きな声で宣言する。

 

「俺は絶対にエリスを差し込む!お前に!オルステッドに!!!」

 

「……」

 

黙るオルステッド、その姿を見つめて俺は覚悟を決める。

愛しのエリスを差し込むという俺の仕事。

エリスの夫として恥ずかしくないように。

俺は仕事を完遂し、オルステッドを殺す。

 

しかし、これで終わりではない。

最強を倒す。それは生半可な物じゃない。

 

その証明。

聞こえてきたのは有り得ない言葉。

 

「……水神流封じか。だが、甘いな。」

 

オルステッドの言葉。右腕と胸を切り裂かれても動揺を見せない言葉。

 

龍神が練り出すのは闘気と殺気。

 

それを込めて。

刹那、最強が踏み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最終決戦 泥沼&狂犬VS龍神 勝者予想

  • ヒトガミの敵にして最大の使徒 泥沼&狂犬
  • 世界最強 七大列強二位 龍神
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