もしも、エリスがルーデウスと別れなかったら…   作:あえch

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泥沼&狂犬VS龍神 その4

 

 

 

うつ伏せで苦しそうに倒れるエリス。

俺は、その姿を見つめていた。

 

エリス、辛そうなエリス。

 

その光景から連想するのは、たった一つの殺意。

 

「龍神、殺してやる」

 

正真正銘最後の勝負。

最強を超えるために、俺はこの戦いに全てをぶつける。

 

 

─────────────────────────

 

 

「ルーデウス・グレイラット。あとは貴様だけだ」

 

「俺だけ?それはちげぇよ。俺は、俺には、まだロキシーもシルフィもエリスも…みんな居る」

 

俺は右拳に力を込めながら呟く。

枯渇気味の魔力。左肩からドクドクと流れる血液。

 

しかし、それらはもう感じない。

 

感じるのは殺意、それだけ。

 

俺の言葉。奴の返答は疑問だった。

 

「ロキシー……ロキシー・ミグルディアか?」

 

龍神の疑問。奴は戦闘中よりも表情を崩していた。

その顔は、何がなんだか分からないといった表情。困惑に満ちた表情。

 

奴の困惑。しかし俺は答えない。

 

何故なら、俺は知っているから。

ロキシーのことを知りたいのは俺とロキシーの子供を殺したいから。

龍神。奴は俺の不幸の元凶なのだから。

 

これ以上の会話は要らない。

俺は左肩に刺さった奴の刀を乱暴に引き抜き、自身の後方に力強く投げる。

 

「オルステッド。お前に、もう刀は無い」

 

「そんなことは百も承知だ。神刀、それが無くなっても貴様単体なら殺すことなど造作もない」

 

龍神の言葉。

瞬間、俺は奴に右腕を向けた。

 

右腕のガトリング砲。神級クラスのストーンキャノン。

 

勝てると言った最強。殺せると言った最強。

 

俺のストーンキャノン、受けれるものなら受けてみろ!!!

 

俺の決意。刹那、ぬるりと…

 

…何かが近づいてくる。

 

「撃ってこい」

 

「くっ…!」

 

予見眼に映るのは、奴の神速のような踏み込みと構え。

構えの正体は、最強の得意技『水神流』

 

俺の大きな殺気をまるで倍返しにするような、神級クラスのカウンター。

 

「流石に、これでは終わらんか」

 

龍神の言葉。

俺は奴の水神流の構えを予見眼に映し、右腕を下げた。

攻撃することを諦めバックステップ。

避けに全力を注ぐ。

 

遠くに居たはずの龍神。

一定の距離があったはずの最強。

 

奴は俺の殺気に乗って、一瞬で距離を詰めてきたんだ。

 

(危ない、ストーンキャノン。撃っていたら終わってた)

 

エリスが止めていた奴の動き。

それが今、全て俺だけに雪崩れ込む。

 

最強の全て、最強の水神流。奴の技に俺のストーンキャノンは…

 

封じられた。

 

ガン!

 

刹那、鳴ったのは爆音。

奴の右の手刀とパウロの剣がぶつかる。

 

俺は接近戦を予見し、壊れた盾に装着していたパウロの剣を握っていた。

 

俺を睨みつけるオルステッド。奴が言葉を落とす。

 

「左腕は機能を失ったか」

 

奴の言葉の真意。それは俺の行動にあった。

俺は、奴の攻撃を受けながら左腕をだらんと落とす。

 

最強による投剣、北神流によって破壊された左肩。

俺は奴を目前にして、左腕を使っていなかった。

 

奴の手刀とパウロの剣。

 

戦いは接近戦へ。

ガン!ガン!という速い複数の金属音。

オルステッドの手刀に対して俺は剣を合わせていく。

 

この一連の動き。瞬間、オルステッドが顔を顰める。

 

「接近戦。そうか、エリス・ボレアス・グレイラットより貴様の方が上か」

 

速い手刀を俺にぶつけ、言葉を溢すオルステッド。

この言葉通り、俺は予見眼で奴の攻撃を見て、なんとか回避していた。

 

エリスは俺と違って攻撃も考えていた。

だから一概に俺の方がすごいとは言えない。

 

でも、俺は戦ってきた。

迷宮、アトーフェ。そして、エリス。

 

愛する人との稽古、それに比べたら、お前なんて…

 

強くもなんともない。

 

俺の強気な思想。

その理由は、これだ。

 

「魔力も接近戦も強い。だが、終わりだな」

 

剣神流で攻め続けるオルステッド。

奴の手刀が俺の頬を掠る。

 

攻め続ける最強、受け続ける俺。

防戦一方の俺。倒される寸前の俺。

 

そんな光景。最悪の光景に俺は……笑った。

 

「貴様に、どれだけの水神流があろうと俺は殺せん」

 

この言葉の真意。

オルステッドは俺を勘違いしていた。

 

初手の水神流にカウンターを被せる『水神流潰し』

常に先を読む最上級の判断力。

そして、最強の剣神流を受け流す俺の剣技。

 

奴は油断も侮りもしない。

龍神は、最強は、全力で俺を殺しにくる。

 

故に引っかかる。

 

俺の作戦。クズな俺の作戦に。

 

〈俺は水神流の構えを取る〉

 

刹那の出来事、オルステッドが目を見開いた。

俺を『強い』と思っている龍神、俺を神級の威力を連発出来る『化け物』と思っている龍神。

 

だからこそ、俺の構えに…

 

俺の水神流に、最強は目を見開いたんだ。

 

「なんだ、それは……」

 

奴の弱点。

それは初見殺し。

 

俺の構えは何の変哲もない構え。

いや、ある意味異常だったのかもな。

 

俺の水神流。その構えは、あまりにも『下手』だったんだから。

 

ドン!!!

 

刹那、鳴った爆音。

意表を突かれたオルステッド。奴の胸を風魔術が飛ばす。

 

俺の修行した風魔術。

 

それは奴の身体を容易に吹き飛ばす。

 

奴の勘違いの正体は『過大評価』

己の右腕を飛ばした男、己の攻撃を捌き切る男。

それほどの男が下手な構えをするわけがないと、最強は勘違いしていた。

 

「ぬっ!」

 

風に吹き飛ばされるオルステッド。

奴に睨み付けられながら俺は距離を取ることに成功していた。

 

俺は、その姿を見て覚悟を決める。

覚悟の理由。それは風魔術を撃った右腕、自身の右腕が軋むのを俺は感じていたから。

 

もう、俺も限界だ。

これで最後だ。

 

離れる最強。俺は奴に右腕を向ける。

 

「最強、お前を殺すのは……俺だ」

 

ガトリング砲に魔力を込めて、最後の力を振り絞る。

未来を変えて、守る。その気持ちの全てを込めて、撃つ。

 

固めた最後の決意。聞こえてきたのは一つの声。

 

「本当に、最後まで後手に回されたな」

 

最強の言葉。

後ろに吹き飛ばされている奴の言葉。

 

あの体制では水神流は撃てない。

 

それは事実。

絶対にそうなのに。

 

俺の背中に走ったのは冷たい汗。

 

瞬間、その冷や汗を揺らすのは奴の咆哮。

 

「ガアアアアァァァオオオオアァァァァ!」

 

刹那、俺の身体が痺れる。

動けない、動かせない。

 

これは……声?

そうか、声。獣族の固有魔術。

 

奴の咆哮に金縛りに合う身体。

 

飛びそうになる意識と身体。

でも、それだけだ。

まだ、撃てる。

俺の予見眼は奴を見ている!

 

刹那、俺の予言眼から、奴の姿が…

 

…消えた。

 

ドガン!!!!!

 

大きな爆音。

次の瞬間、俺の予見眼が奴を捉える。

最強を捉えることに成功した予見眼、しかし、その代償はあまりにも大きかった。

 

「ぼおぇぇぇぇぇ!」

 

言葉にならない叫び声と同時。俺の口が血液と胃液でいっぱいになる。

痛いを超えて気持ち悪い。

そんな感情。あまりにも苦しい。

 

予見眼が捉えた代償。

それは奴の右手の手刀が俺の腹に刺さる光景。

雷のような常軌を逸した奴の手刀が俺の魔導鎧を壊している光景。

 

「まさか、重力魔術まで使うことになるとはな」

 

目を細めて言い放つ最強。

奴が俺を見つめている。

 

俺が見えなかった奴の攻撃。

重力魔術。それを使いこなす最強。本当に、本当に強い。

 

未だべちゃべちゃと落ちる俺の胃液。

 

俺は、そんな姿で奴の右手を握る。

 

「まさか、貴様……」

 

「はぁー、はぁー。捕まえたぁ……」

 

俺の腹にめり込む奴の手刀。

俺は、その手刀を右手で握る。

 

俺は日記を読んで知っていた。

この世に重力魔術があることを。

 

全ての魔術を使える最強。

老人のおかげ。俺は、奴の攻撃を読んでいた。

 

俺はアスファルトのように硬く、分厚く土魔術を生成する。

龍神が、自分が逃げられないように。自身の腹に奴の手刀を引っ付ける。

 

オルステッド。また勘違いしたな。

俺の『最後』は、まだ終わってねぇよ。

 

「……とてつもない執念だな。だが、甘い」

 

オルステッドの言葉。

刹那、奴の右手が光る。

 

「貴様の中から魔術を撃てば終わりだ」

 

俺の魔導鎧にめり込む手刀。

奴は、こう考えていた。

魔導鎧にめり込む手刀で魔術を放つ。そうすれば俺は鎧の中から魔術を受けることになる。

 

最強の魔術を受ける。それが意味するのは終わり。

 

それがオルステッドの考え。

しかし、その考えには一つ抜け穴がある。

 

ギュッ…

 

「左手……だと?」

 

「オルステッド。お前は、もう魔術は撃てない」

 

俺の言葉と同時。刹那、奴の魔術が弾ける。

右手から左手へ。俺は奴の手刀を掴む手を切り替える。

 

盾を破壊された左手。

機能を失ったと思われていた左手。

 

そんな左手には吸魔石が搭載されている。

 

(吸魔石。至近距離だけど反応して良かった)

 

安堵する俺。

目を見開くオルステッド。

 

困惑するオルステッド。

左腕は使えなかったんじゃない。

俺は左腕を使わなかったんだ。

 

刀に刺された左腕。

最強に刺された左腕。

 

そんな左腕は、ボロボロになりながらも、機能を失ってはいなかったんだ。

 

「ザノバと、クリフを舐めるなよ」

 

「……」

 

俺が呟くのは友人の名前。

最高でカッコいい友人。

 

そんな友人が、お前には居なくて俺には居た。

ただ、それだけの事実。

 

この事実を乗せて。

さぁ、終わりにしよう。

 

俺の『最後』を終わりにしよう。

 

瞬間、俺の右手の剣がバチバチと光る。

パウロの剣。相手が硬ければ硬いほど切れ味を増す剣。

 

そして、そこに惑わせるのは『雷』

 

闘気を無視出来る雷剣。俺は、それに全てを注ぎ込む。

 

「最強、終わりだ」

 

振り上げる剣、最強に近付いていく剣。

奴まで残り数ミリ。

 

俺は勝ちを確信していた。

 

「ルーデウス・グレイラット。本当に化け物だな」

 

奴の言葉。落ち着いた言葉。

奴は、最強は、死ぬ直前なのに、死ぬはずなのに。

 

何も動揺などしていなかった。

 

刹那、俺の身体を何かが走る。

奴の腰から何かが光る。

 

その光の正体は『神刀』

 

手刀とは比べ物にならない威力。そんな攻撃が、俺の胸を切り裂いた。

 

「……は???」

 

「やはり、拾っておいて正解だったな」

 

奴の言葉。

刹那、俺の魔術が崩れる。

アスファルトのような硬い魔術も、パウロの剣に纏わせた雷も、全てが無くなっていく。

 

そして、俺の守り。魔導鎧も跡形もなく崩れていく。

 

「な、んで、お前が、刀を……」

 

「もう、貴様を侮ることはない。貴様が投げた神刀、何処かで拾うべきだとは考えていた」

 

「どこかで拾うべき……まさか?」

 

俺の言葉に龍神は静かに頷いた。

目を見開く俺、とてつもなく驚く俺。

 

俺は、膝から崩れ落ちて最悪の気付きをしてしまった。

 

あの時、奴が重力魔術を使った時。

最強は俺への攻撃が最優先じゃなかったんだ。

 

俺の予見眼を逃れたことを好機と捉えた龍神。

奴は、刀を、神刀を拾いに行ってたんだ。

 

「ルーデウス・グレイラット、ヒトガミの使徒。今度こそ終わりか」

 

奴の言葉。

俺は声を絞り出す。

 

「……まだ、だ」

 

「四つん這いで吐血。貴様の手札は異常だったが、これ以上はありえん」

 

最強の言葉通り。

醜く吐血して、死にかけの虫のように這いつくばる俺。

四つん這いで、何も出来なくて。

 

前世から何も成長していない俺。

 

それでも俺は、クズな俺は声を絞り出した。

 

「守、る。守、るんだ……」

 

俺は負けられない。

コイツを、最強を殺さなきゃいけない。

 

だって、そうしないとダメなんだ。

みんなが、シルフィが、ロキシーが、アルスが、アイシャが、パウロが、ノルンが、ゼニスが、リーリャが、エリスが。

 

みんな、みんな龍神に殺されるんだ。

 

大きくなる己への自責の念。

瞬間、俺は右腕を振り上げた。

 

コツン…

 

「それは、なんだ?」

 

「……」

 

小さく拳を作って奴のつま先にぶつける。

その姿は本当に醜い。

 

先ほどまで神級を連発していたとは思えない拳。

 

弱い拳。俺は、それでも連発する。

 

コツン、コツン、コツン…

 

「これが、貴様の執念か」

 

「なんで、なんで殺すんだよ。ロキシーと俺の子供を、なんで殺すんだよ…」

 

俺の言葉。

次第に、俺の拳は止まって代わりに涙が溢れてくる。

 

せめて、最後は彼女みたいに、エリスみたいに力強く殴りたかったのに。

俺は、それすら出来ない。

 

エリス、エリス。

俺は、唇を噛み締めて考える。

 

死ぬ前に、愛しの人を思い浮かべる。

 

ツヤツヤな髪。

長くて、綺麗な髪。

 

そして、可愛くて凛々しい声。

絶対に聞き間違えない声。

 

「ルーデウス」

 

そう、こんな声。

エリスの声。

 

エリス、エリス…?

 

「ルーデウス。やっと完成したわ」

 

「エリス・ボレアス・グレイラット。それは、なんだ?」

 

俺のボヤける視界に映るのは赤い髪が揺れる光景。

口から血を溢す彼女。

肌を大きく焼く彼女。

 

そんな彼女の掌には…大きな、大きな炎の球体が浮かんでいた。

 

エリスの120%。

最後の最後。彼女の、狂犬の魔術が最強に牙を剥く。

 

 

─────────────────────────

 

 

とてつもない炎魔術。

エリス・グレイラットによる自傷を覚悟した上級魔術。

 

自傷覚悟の魔術、とてつもない威力の魔術。

 

彼女は、そんな魔術を完成させていた。

 

前兆はあった。

初めてルーデウスとオルステッドが戦った時、彼が龍神にボコボコにされた時、彼女は小さな小さな魔術を放とうとしていた。

 

小さなファイアーボール。

 

不発になった魔術、彼女は撃とうとしていたんだ。

 

そんな失敗。

彼女は学んでいた。

 

小さな魔術は、とてつもなく大きな魔術へ。

オルステッドが驚愕するほどの魔術へと変化する。

 

「本当に、このループは異常だな」

 

オルステッドの言葉。

彼の弱点、初見殺し。

彼は決めつけていたんだ。

 

彼女が、エリス・グレイラットが魔術を撃てるわけがないと。

そう決めつけていたんだ。

 

だから気付けなかった。

彼女のとてつもない魔術に。

 

完成された魔術は、もうディスタブマジックで邪魔することは許されない。

 

彼女の魔術。それを消すことは、もう出来ない。

 

この事実。

しかし、オルステッドは冷静だった。

 

「手が震えている。避けることは容易だな」

 

ルーデウスとの激闘でクタクタになっているオルステッドの脳。

そんな頭で彼は決断する。

 

膝を落として、力を込めて避ける。

 

最強の判断は、これだった。

 

バン!

 

「行かせ、ない」

 

「ルーデウス・グレイラット、それは……」

 

奴の避けるという作戦。

瞬間。それが防がれる。

 

ルーデウス・グレイラットが握っていたのは『鳳雅龍剣』

エリスの剣。それに炎を纏わせ彼が振り抜く。

 

ここに来て連携の再発。

オルステッドのふくらはぎ。それが、大きく一文字に斬り裂かれる。

 

「ルーデウス・グレイラット。最後の魔力。それを剣に纏わせたか」

 

困惑するオルステッド。

彼の判断。その全てが裏目に出る。

 

その光景を見つめるエリス。彼女が敵を捕捉した。

 

「私たちの、勝ちね」

 

刹那、オルステッド、最強が大きな炎に包まれた。

 

 

─────────────────────────

 

 

パチパチと焼ける森。

そこに二人の人影が映る。

 

その人物は人族じゃない。

人族ではなく龍族、最強と狂犬が佇んでいた。

 

「エリス・ボレアス・グレイラット。貴様が、これほどの魔術を放つとはな」

 

龍神の言葉。

そこには酷い火傷を負った人物が二人。

 

ボロボロのエリスと、肌が焼け焦げた龍神。

そんな龍神が刀をエリスの顎に向けていた。

 

「貴様は、ヒトガミの使徒……ではないな。ルーデウス・グレイラット。奴に、いや、ヒトガミに騙されていただけか」

 

龍神の言葉。

彼は大きく呼吸を乱していた。

 

泥沼と狂犬の戦い。

彼は間違いなく疲弊していた。

 

そんな光景。しかし関係ない。

戦いは終わったのだから。

 

厄介だった狂犬と泥沼。

彼らとの戦いは終わったのだから。

 

刀に力を込める龍神。

彼がエリスに問いかける。

 

「貴様をどうこうするつもりはない。教えろ。奴から、ルーデウス・グレイラットから何を言われた」

 

彼の言葉の真意は分からない。

エリスに魔術を教えたその手腕を聞きたいのか。

はたまた、ヒトガミの切り札の行動を知りたいのか。

 

それは誰にも分からない。

しかし、一つだけ分かることがある。

 

この戦場で、一つだけ分かる異変がある。

それは…

 

「ふふっ。龍神、終わりね」

 

ふふっ。という女の子の言葉。

異変、ルーデウスの相棒、エリス・グレイラットが笑っていたということ。

顔を上げるエリス、彼女の顔から溢れ出るのは大きな違和感。

 

エリス・ボレアス・グレイラットは命乞いをするような奴じゃない。

殺さないと言われて喜ぶような人物じゃない。

 

こんな思考。

瞬間、オルステッドの思考に全ての違和感が雪崩れ込んでくる。

 

ふくらはぎを斬ったルーデウス・グレイラット。

奴は、何故雷ではなく炎を剣に纏った?

いや、そもそも、何故パウロの剣を使わずに鳳雅龍剣を使った?

威力が高いから?鳳雅龍剣の方が振るうのが得意だから?

 

加速する違和感。

 

終着点は、たった一つ。

 

『鳳雅龍剣』何故、エリス・ボレアス・グレイラットから貰った?

 

それが意味する答えは一つ。

たった一つ。その魔術は、その炎は…

 

ルーデウス・グレイラットの物ではなかったんだ。

 

「エリス、ありがとう」

 

最強がニートに振り向く。

刹那、ルーデウスのストーンキャノンが…

 

…最強の頭を貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





〈後書き〉

もしも、エリスが魔術を使えたらどうなるだろう。
オルステッドにダメージを入れられるほどの、竜聖闘気を貫くほどの魔術。
 
乱魔を使わせるほどの魔術。
 
そんなことが起きれば、きっと、いや必ず。
 
集中せずともルーデウスのストーンキャノンは容易に連打され、オルステッドを…龍神を貫くだろう。

『もしも、エリスがルーデウスと別れなかったら…第三話 最後の文より』

https://youtu.be/on2VsvDNiDU?si=fO_xRjVOY2Rb6q6d

次回、最終話

最終決戦 泥沼&狂犬VS龍神 勝者予想

  • ヒトガミの敵にして最大の使徒 泥沼&狂犬
  • 世界最強 七大列強二位 龍神
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