もしも、エリスがルーデウスと別れなかったら…   作:あえch

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もしも、エリスがルーデウスと別れなかったら…最終話


最高の終わりと、最悪の始まり  最終話

 

 

パチパチと燃え続ける森。

そんな中、聞こえてくるのは爆音。

 

ドガン!!!

 

音の正体は、たった一つのストーンキャノン。

エリスに『ありがとう』と伝えた男。

そんな男が最強の不意を突く。

 

「……」

 

不意を突かれた最強。

奴は神刀を握り、フラフラと佇んでいた。

フラフラと動く最強。そんな男が落ちる。

 

エリスの顎に添えられた剣。それが、ガランと音を立てて奴の手から落ちる。

 

「オルステッド。本当に最強だった」

 

ルーデウスの言葉。

彼が放つ最強という言葉。

しかし、それは過去形。『だった』という過去形の言葉だった。

 

ルーデウス。彼はフラフラとおぼつかない足取りで一人の女の子の元へ向かう。

赤い髪が特徴的な女の子、エリス・グレイラット。

 

ボロボロで、血塗れで。そんな状態で彼女に抱きつく。

 

「俺、みんなのこと、エリスのこと……守れたよ」

 

小さく、弱々しい言葉。

そんな言葉は誰にも邪魔はされない。

 

たとえ、それが最強だったとしても邪魔は出来ない。

 

理由は明白。

龍神には口がなかったから。

 

ドン。

 

この音と同時。

うつ伏せに倒れる龍神、力なく倒れる最強。

そんな彼の首から上。最強の頭は…

 

…跡形もなく、潰れていた。

 

この時、世界が変わる。

変わる世界と運命、その証明。

 

 

変化するのは七大列強。

 

 

この日、この瞬間。七大列強二位は泥沼になった。

 

 

─────────────────────────

 

 

─ルーデウス視点─

 

「ルディ!エリス!大丈夫?」

 

シルフィの心配する声。

俺はエリスと抱き合いながら寝転がっていた。

林の中。いや、もう林とは言えないのかな?

 

そう思う理由は明白。

オルステッドとの戦いで林は破壊されていたから。

俺のストーンキャノンによって削れた木、エリスの炎魔術によって燃え続ける木。

 

荒れる林。ボロボロな俺とエリスは、そんな林の中で抱き合う。

 

トクン、トクンと心臓を鳴らして。互いの体温を分け合うように抱き合い続ける。

 

ずっと、ずーっと。永遠に。

 

「シルフィ、エリスがやばいから治してあげて」

 

俺は、ゴホッと咳をして、口から血を溢しながら声を出した。

元気になってほしいエリス、俺の腕の中に居るエリス。

 

彼女は、オルステッドの攻撃と自らの魔術による自傷でボロボロの状態だった。

 

はぁー、はぁーと白い息を吐きながら、身体の半分以上を火傷に侵食されて苦しんでいる。

 

そんな状態。しかし、それでも彼女はこう言う。

 

「わた、しは、大丈夫よ。だから、ルーデウスから……」

 

「いや、俺は大丈夫。だから、エリスから……」

 

弱々しい言葉で言い合う俺たち。

そんな姿を、シルフィが見つめる。

 

「うん。ルディ、分かった。エリスから治すね?ルディはロキシーが治してくれると思うから」

 

無詠唱で治せるシルフィ。

彼女がエリスに触れる。

 

なんでルーデウスが先じゃないのよ!と弱々しく暴れるエリス。

俺は、そんな姿を笑いながら見つめていた。

 

(本当に、勝ったんだな)

 

こんな思考。

左肩からドクドクと血を流して俺は考える。

龍神、最強。俺とエリスが結婚した時から立てていた目標。

 

何度も諦めかけた目標。俺たちは、そんな目標を達成したんだ。

 

「帰ったら、何しようかな……」

 

この言葉を放って、俺は地面に寝そべった。

そんな俺の視界。支配するのは青空。

綺麗な綺麗な青空。

俺は、それをゆっくりと見つめて、にっこりと微笑みながら考える。

 

帰ったら色んなことがしたい。

最近結構張り詰めていたからな。

日記を読んでからは特に。

がむしゃらに、死ぬ気で頑張ったからな。

 

みんなと、ゆっくりしたい。

 

そうだな、添い寝がしたいな。

みんなと添い寝。はは。でも結局えっちなことしちゃうんだろうなぁ。

 

エリスとか特に。

ルーデウス!ルーデウス!!!って言いながら、俺をベッドに連れ込むんだろうな。

 

いや、シルフィの方がすごいかな?

シルフィも、ああ見えてえっちだからな。

俺が寝たいって言ったら、ルディ?ボク心配だったんだよ?って言われそうだな。そして、そこから。ふへへ。

シルフィの匂い。楽しみだな。

 

パウロと酒でも飲もうかな?

パウロ。日記だと喧嘩しちゃってたからな。

俺は家族を守りましたよ!って言うのも良いかもしれない。

パウロは、なんていうかな?

ああ見えてパウロは優しいからな。

 

お前は俺の自慢の息子だって笑いながら言ってくれるかもしれない。

パウロがそう言ってくれたらさ。俺は、父さんよりすごい親父になるぞーって、酔っ払いながら言ってやるんだ。

 

アルスも抱っこしたいな。

エリスが産んでくれた男の子。すっごく可愛いけど、あんまり構ってあげられなかったからな。

 

優しく、優しく抱き締めよう。

 

喜んでくれるかな?

いや、案外泣かれるかもな。

泣かれたら、みんなでアルスをあやしてあげよう。

 

ノルンとアイシャと添い寝して。

ゆっくりと頭を撫でてあげて。

 

そんなこともしたい。

 

でも、それ以上にやりたいことがある。

 

「ロキシー。俺は選択を間違えなかったよ」

 

オルステッドが殺そうとした、ロキシーと俺の子供。

日記では俺が殺してしまった子供。

俺は守ったんだ。

 

彼女を、ロキシーを。彼女との愛の結晶を俺は守ったんだ。

 

ただ笑って考える俺。

溢すのは、こんな言葉。

 

「ロキシーの治癒魔術、楽しみだな」

 

ゆっくりと目を瞑って考える。

シルフィが言ってくれた、ルディはロキシーが治してくれるという事実。

俺は、それを思い出してゆっくりと笑う。

 

ロキシー、ロキシー。大切にしたいな。

小さな身体で妊娠。きっと辛いだろうから。いっぱい介抱してあげよう。

 

抱きしめて、キスしてあげて。私、ルディの子供を妊娠しましたって、彼女が恥ずかしそうに話すのを聞きたい。

 

苦しそうにするんじゃなくて、元気に笑いながら俺と腕を組んでくれる。そんな彼女が見たい。

 

微笑む俺。刹那、何かが視界に飛び込んでくる。

 

「オルステッド?」

 

俺の視界に入ってくるのは、青い髪が靡く光景。

綺麗な青い髪。その正体は俺が良く知っている女の子『ロキシー・ミグルディア』

妊娠中の彼女。俺の大切な人。

 

そんな彼女の声が俺の耳を揺らす。

 

「なんで、死んでるんですか?」

 

青ざめて震える少女。

彼女は瞳を大きく揺らす。

 

そして、佇む。

 

頭の無い、最強の前で。

 

「ロキシー?」

 

俺の言葉、死体を見つめる少女。

 

そんな少女が放った言葉は『恩人』

 

小さく放たれた彼女の言葉。しかし、聞き間違えない言葉。

 

彼女の言葉が俺の脳を揺らす。

 

俺の師匠で大切な人。

そんな彼女は、確かに、オルステッドを…

 

…『恩人』と表していたんだ。

 

 

─────────────────────────

 

 

俺は間違えたのかもしれない。

ロキシーが恩人と表した最強、俺が殺した最強。

 

オルステッド。俺は間違えたのかもしれない。

 

今思えば不可解だった。龍神の行動はおかしかった。

 

奴なら、最強なら。神刀で俺なんか簡単に殺せたはず。

エリスも手刀で、水神流で簡単に止めを刺せたはず。

 

簡単な殺し。なんでオルステッドはしなかったんだ?

 

俺は瞳孔を揺らした。

ただ治っていく身体を見つめて瞳を揺らした。

 

奥さんとのイチャイチャも、家族との微笑みも。

 

今は何も考えられない。

 

ただ今考えるのはオルステッドのこと。

俺が執念を燃やして、本気で殺した男のこと。

 

もしかしたら、頼ることが出来たのかもしれない。

募るのは、そんな思考。

 

治っていく怪我、ルディが無事で良かったと笑うシルフィとエリス。

 

俺の目に、俺の耳に。そんな光景は入ってこなかった。

完治していく怪我。

殺した宿敵。

 

そんな幸せに包まれる俺。

しかし、俺の中に溜まり続けるのは……

 

己への自責の念だった。

 

 

─────────────────────────

 

 

「ふふふ、本当にオルステッドを殺すなんてね〜」

 

白い空間で何者かが喋る。

白い空間、無の世界。

そんな所で喋るのは奴しかいない。

そう、その男の名は『ヒトガミ』

彼は大きく笑っていた。

 

「魔力たーっぷり消費させてくれれば充分だったのにさ〜。まさか、ぶっ殺すなんて。ふふふ、ははっ。本当に面白い奴だよ」

 

愉快そうに笑うヒトガミ。

彼は、さらにニコニコと笑う。

 

「オルステッドもさ、本当に馬鹿だよね。もっと上手く話せば仲良くなれたかもしれないのにさ〜。初手で殺しに行って、何も言わずに治して。再戦も、何も言わずに手加減して。それでさ、ふふっ。挙句の果てには死んじゃうんだもーん」

 

たった一人、ケタケタと笑う神。

愉快そうに腹を抱えて笑う神。

奴が、さらに大きく笑う。

 

「でも、でも。もっと馬鹿なのはさ…」

 

大きく、大きく笑って。奴が放つ言葉は。

 

「ルーデウス・グレイラット!君って本当に馬鹿だよねぇ!!!」

 

笑って、悪態を吐いて。

喜んで、悪口を言って。

 

そんなサイクル。

奴は繰り返していく。

 

何度も、何度も人を馬鹿にする神。

そんな彼が始める、お楽しみタイム。

 

「さぁーて、僕の未来でも見ようかな〜」

 

自らの目で自らの未来を見る。

当たり前のように始める神の芸当。

 

「あの性欲モンスター、アイツのこと馬鹿にしようかな〜。いや、ダメなんだっけ?あんな馬鹿でも未来から来れちゃうんだもんね〜」

 

鼻歌を歌いながら未来を見つめる神。

そんな奴の口角が下がる。

 

「……は?」

 

白い空間、止まる笑い声。

ケタケタと笑っていた神。彼の顔が変わる。

 

「なんで、なんで、そうなるんだよ」

 

苛立ち、この言葉を放つヒトガミ。

やっとの思いで運命を変えたヒトガミ。

 

そんな彼が見たのは…

 

…自らが封印される、最悪の未来だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




第一部。もしも、エリスがルーデウスと別れなかったら… 終

第二部。もしも、オルステッドが居なかったら… 始動

感想くださった方、閲覧してくださった方、本当にありがとうございました!
あと、何やるか迷っておりますので、映像見たい方はYouTubeの方で言っていただけると幸いです。



https://youtu.be/on2VsvDNiDU?si=kI44dozrzo1YQ8YL

見たい物は?

  • 冒険編の補足
  • 学園編の補足
  • 迷宮編の補足(少し)
  • アトーフェ戦の補足
  • 龍神戦の補足(龍神戦前の皆との関わり)
  • ロキシーとのイチャイチャ
  • シルフィとのイチャイチャ
  • エリスとのイチャイチャ
  • 二部制作(少し時間かかる)
  • 新しい物、制作(夢主作品)
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