もしも、エリスがルーデウスと別れなかったら…   作:あえch

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オルステッド戦 終幕


呪いと幸せ

掌に集まる、とてつもない魔力の塊。

 

「ふふ、ふふふ。オルステッド、アンタの負けよ」

 

林が燃える。エリスが笑う。

そんなお嫁さんの姿に隠れて、俺は魔術を生成する。

 

全ては、この時のために。

 

『ストーンキャノン』

 

今までの時間を、この一発に。

 

「ありがとう、エリス」

 

ドン!!!

 

爆音が鳴る。俺が放ったのは、今までの時間を込めた一撃。ボロボロの、俺の最後の攻撃。

俺の全力。俺の全て。

ナナホシと、シルフィと、ロキシーと、パウロと、そしてエリスと共に積んだ研鑽を乗せた一撃。

ヒトガミの助言を乗せた、文字通り神の一撃。

 

防げるはずなどない、俺の一撃。

 

ガギン!!!

 

二度目の爆音。耳が壊れるような破壊の一撃。

しかし、それでも、その音が鳴っても、佇むのは『最強』の名を持つ男。

服は燃えて、火傷して、ふくらはぎを斬られた男。

 

「……やはりな」

 

『龍神 オルステッド』

 

奴の、最強の声だけが、戦場に響き渡る。

 

「ヒトガミの使徒が、奴の切り札が、ルーデウス・グレイラットが、あの程度で終わるはずはない」

 

全てを乗せたニートの一撃。それが、終わる。

全てを賭けて、救おうとして、そして、殺そうとした頭部への一撃。

その一撃は、儚くも爆音と共に。

神刀を握るオルステッド。

 

 

奴は、最強は、意表をついても尚、無傷だったんだ。

 

 

─────────────────────────

 

 

─ロキシー視点─

 

私は、幸せでした。

 

「今日は体調も良いですね」

 

グーっと伸びをする。昇ってくる朝日に顔を向けて、目を細めて小さく笑う。

 

「私は、本当に幸せ者です」

 

この言葉は本当に無意識に、自然に口からこぼれ落ちていました。

そして、私は、小さな笑いを少しだけ大きくしていました。

だって、笑うことができている理由なんて分かりきっていたんですもん。

 

今、こうやって朝日を浴びることが出来ているから。

生きて、私は教師という職を全う出来ているのだから。

 

そして、考えて、私は大きくなったお腹をさする。

 

(ルディとの子供を産めるなんて、本当に幸せです)

 

愛する人との、愛する子。

それを宿すことが出来ている。

私は、本当に幸せ者だと思いました。

 

私の頬は持ち上がり、ニコッと笑っていました。

満面の笑みってやつですかね。私には、似合わないかもしれませんね。

 

ルディ、ルディ……もう、彼のことを考えていたら幸せがいっぱいになってしまいました。

ルディのせいですね。だから、会いに行くことにします。

 

ルディや皆さんには、妊娠中だから動かないでと言われているのですが……今日は体調も良いですし、何よりルディと会いたいので動いちゃいます。

本当はダメですよ?でも、新婚ですから、そう思うのもしょうがないです。うん、しょうがないです。

 

「よいしょっ」

 

私は、重たい腰を椅子から持ち上げました。

立つと、さらに際立つ私の大きなお腹。あまりの大きさに足元が見えなくなってしまいます。

 

「ふふっ、笑ってしまいます」

 

動きにくいはずなのに、笑ってしまう。

そして、きっと、この不思議な笑顔は、ルディに会ったらさらに大きくなるのでしょう。

ルディは、いつも私を見るとこう言ってくれるから。

 

「ロキシー、動いちゃダメですよ?」

 

俺のお姫様、そう言って、私をお姫様抱っこしてくれるんです。

それが本当に嬉しくて、幸せです。

 

私は、笑いながら廊下を歩きます。ペタペタと足音を立てて、ルディを探します。

 

探す、探す……寝室を、リビングを、庭を、挙句の果てには棚の上を探す……あれ?おかしいです。

 

数十分探しました。でも、どこにも居なかったんです。

ルディの姿が、どこにもありませんでした。

 

「……そういえば、おかしいですね」

 

最近のルディはおかしかったです。苦しそうで、切羽詰まったような顔で何かをしていました。でも、ルディは心配しないでと言っていて、私には何も言ってくれませんでした。それは良いんです。少し悲しいですが、いくら家族になったと言っても、第三婦人の私に隠し事があっても何もおかしくない。

 

今思えば不思議だったのは、朝の出来事。

 

(ルディに、おはようって言われてませんね)

 

いや、惚気ではないのですが、本当に違うのですが、ルディは優しいですから、毎朝私の様子を見に来てくれるんです。ドアをそーっと開けて、忙しくても笑いながら私に微笑みかけてくれるんです。

 

ロキシー、おはよう。そう言ってくれます。

でも、何故か、今日は言ってくれませんでした。

何故でしょう。私、悪いことをしてしまったんでしょうか?

 

顎に手を置き、私は考える。

ルディに嫌われてしまいましたか?そう不安になる気持ちを顔に出さないように頑張って、意味もなく廊下を歩き回る。

 

分からない、分からない……そんな迷路のような思考の中で、聞こえてきたのは、怒鳴り声。

 

「なんで!ルディの所に行ってやんねぇ!」

 

そう言って、パウロさんは怒鳴り、相手の胸ぐらを掴みました。

 

「落ち着きなさいな。あなたも見たでしょう?ルーデウスの魔導鎧の強さを。ルーデウスを、そしてそれを作ったクリフを信じて待ちなさい。それが得策ですわ」

 

エリナリーゼさんが、怒鳴られながらパウロさんの手を握る。

胸ぐらを掴まれている手を、力強く。

 

瞬間、パウロさんの手から力が抜けました。

 

「得策、得策か。分かってんだよ。そんなことは分かってる。俺が行ってもルディの足手纏い。そんなことは分かってんだよ」

 

そう言って、パウロさんは俯きました。

そして、そのまま、パウロさんは地面に膝をつきました。

 

「あの時、エリスしかルディに合わせられないって聞いた時から、アイツに勝てるのはあの二人だけ、分かってんだよ」

 

自らの力不足を嘆くように、項垂れる。

その姿は、かつて治癒魔術を会得しようとした私のようで、痛いほど気持ちが分かります。

 

己の力不足。それをパウロさんが感じるほどの相手。

アイツとは誰なのか。疑問を浮かべる私。生唾をゴクッと飲み込んで、盗み聞きをする私の耳に聞こえてきたのは、恐ろしい名前。

 

『龍神オルステッド』

 

悪寒が止まらない。私は、無意識に、大きなお腹すら気にせず走り出す。

私が、止めないと。

いや、違う。私じゃないと止められない。

そう考えて、私は一歩目を踏み出す。

 

走る、走ろうとする。

幸せの象徴である妊娠すらも忘れて、ルディと、そして恩人のために走り出す。

 

でも、それは、その願いは、叶いませんでした。

 

「ロキシー、行かせないよ?」

 

揺れたのは白い髪。

綺麗な顔に浮かぶ赤い眼が、私の姿を映し出す。

 

「ルディの言いつけは、ボクが守る」

 

『シルフィエット・グレイラット』

彼女の佇む前で、私の最後の戦いが、始まりの鐘を打ち鳴らそうとしていました。

 

 

─────────────────────────

 

─ルーデウス視点─

 

「あ、あぁ」

 

俺は、うつ伏せに倒れて、顔だけを持ち上げた。

 

「あ、あぁ、ああぁぁ」

 

無様な声を挙げて、エリスと、もう一人の最強を見つめてた。

そこには、絶望が広がってた。

 

「あ、あぁ、ああああぁぁぁぁあああ!!!」

 

神刀を握るオルステッド。奴が、無傷の奴が、生きている奴が、俺とエリスを睨みつけてた。

 

数秒、止まったような静寂を終えて、最強が一つ呼吸を整える。

 

「ふぅー」

 

肺に空気を溜めて、目を見開く。

 

「貴様の全て。まさか、ここまで苦戦することになるとはな」

 

奴の言葉。俺は、その言葉に俯いた。

もう予見眼も関係ない。魔導鎧もぶっ壊れた。俺の全ては、この時潰えた。

奴を殺すには奇襲しかない。しかし、奴は、それすらもう許さない。自身に指先を向け、光を放つ。

 

「治癒魔術かよぉ。くそ、くそ、くそぉ」

 

エリスが放った炎も、俺が斬ったふくらはぎも、意味が無くなる。

奴の身体は、もう、戦う前よりも綺麗だった。

 

一歩、二歩。ザクザクという土を踏む音を立てて、奴が俺に近付いてくる。

少しずつ、少しずつ。奴が、絶望を奏でて、俺に近付いてくる。

 

奇襲を警戒して、奴が俺にゆっくりと近付いてくる。

 

最強オルステッド。近付いてくる最速の最強。

しかし、俺のうつ伏せの身体に先に触れたのは、そんな最強じゃなかった。

 

ギュッ。

 

「ルー、デウス」

 

放たれた途切れ途切れの言葉と同時、ある女の子が吐血した。

ゴホッ、ゴホッと咳をして、俺の目の前にある地面を血で濡らす。

赤い血溜まり。そこには、一人の女の子が映ってた。

 

ハッとして、俺は顔を持ち上げる。

そこには、目尻に涙を浮かべる、俺のお嫁さんの姿があった。

 

「エリス……」

 

そう言うと、彼女はニコッと笑ってくれた。

胸の切り傷なんて気にせずに、身体中の外傷なんて気にせずに、身体中の、火炙りにあったかのような火傷なんて気にせずに。

赤黒い姿。もう、中の肉が飛び出てる。

 

その姿で、彼女は、そっと俺の首に腕を回す。

 

「ルーデウス、ルー、デウス……」

 

「エリス、どうしたんですか?」

 

俺も、目尻に涙を浮かべて、エリスに聞いた。

もう、言わなかった。エリスも俺も。

まだ勝てる?なんて、口にしなかった。

 

エリスの顔を見て、目を閉じる。

 

その瞬間、彼女の顔が近付いてきた。

 

ちゅっ。

 

頬にそっとキスされた。

エリスが、俺に、キスしてくれた。

 

「ルーデウス、逃げて」

 

そう言いながら、彼女が剣を握って立ち上がる。

フラフラとした足取りで、俺に背中を向けて、腕を大きく広げて、大きく呼吸をする。

 

すぅー、はぁー。

 

俺にも聞こえるほどの呼吸。

エリスの背中は、骨が見えるほど肉は無くなって小さい。そう、そのはずなのに、何故か、この時は、すっごく大きく見えたんだ。

 

「オルステッド!聞きなさい!!!」

 

俺は、下唇を噛み締めた。

 

「ルーデウスはね!!!」

 

ポロポロと、涙が溢れ出す。

 

「すっごいんだから!!!!!」

 

オルステッドの呪いを受けて、怪我をしても、それでも尚、エリスは、俺のお嫁さんは、笑いながら、俺の前に立ってたんだ。

 

 

─────────────────────────

 

 

俺って、本当に醜いよな。

 

「エリス。まだ、負けない」

 

弱くて、弱くて、愛する人も守れない。

それが分かっていても、それでも尚、足掻こうと唇を噛み締めてしまう。

 

「まだ、終わらせない」

 

みんな、そしてヒトガミ、最後の力を貸してくれ

 

「……そうか」

 

オルステッドの言葉。その瞬間、俺は予見眼を見開いた。

魔導鎧は無い。頼れるのはこの眼だけ。

だから、見開く。さぁ、来い。まだ終わらせない。

 

さぁ、来い!!!

 

ザシュッ。

 

刹那、血飛沫が舞った。

 

「……は?」

 

「悪いな、エリス・グレイラット」

 

カラン。剣が落ちる。エリスの剣が落ちる。

そして、ボトっと、腕が落ちる。

エリスの両腕が、落ちる。

 

「少し、寝ていろ」

 

ノーステップの光の太刀。理屈を超えた最強。

奴は、オルステッドの本気は、もう、戦いにすらなっていなかったんだ。

 

オルステッドがエリスに治癒魔術を掛けて、彼女の脇を通ろうとする。神刀を血に染め、俺に近付こうと歩き出す。

しかし、それは叶わなかった。

 

「ふふっ、ふふふ。オルステッド。どこに行くつもり?」

 

両腕はない。それでも、彼女は倒れない。

エリス・グレイラット。彼女は、倒れない。

 

「エリス・グレイラット。貴様は、何故、そこまで……」

 

そう言いかけた最強。奴が、そこまで言って、俯く。

そして、俺を睨みつけた。

 

「ヒトガミ。そして、ヒトガミの切り札、ルーデウス・グレイラット。貴様らは、そこまでするのか」

 

奴が目を見開き、俺を睨みつける。ボヤける俺の視界。しかし、その視界でも、ハッキリと分かった。

 

(これは、憎悪だ)

 

殺気と怒りが入り混じった底知れない憎悪。

俺には分かる。前世で、殺したいと憎んだほどのいじめっ子。それを許す社会。

オルステッドの目には、恐ろしい目には、経験した俺にも理解出来ぬほどの、恐ろしい憎悪が宿ってた。

 

ドゴッ。

 

オルステッドが、エリスの頬を殴る。

 

「ぐふっ」

 

「まだ、倒れないか」

 

「当たり前よ」

 

エリスは、そう言いながら、両腕を無くしたまま、俺の前に立つ。

 

「エリス、もう良い。良いんだよ」

 

その言葉を聞いたオルステッドは、最強は、少し悲しい顔をする。

 

「これしか、ないか」

 

ザシュッ。

 

二度目の斬撃。それは、エリスの足を切断する。

両手両足の切断。もう、考えたくない。

エリスは、血溜まりの中で、俺を守るために、四肢を失った。

 

一歩、二歩、三歩。

 

憎悪を纏った最強は、無造作に転がる白い足と手を避けて、俺の目の前へとやってくる。

白くて綺麗な足、手。それを見て、俺は、オルステッドの背中に隠れたエリスの姿を想像する。

 

「あぁ、あうあぁ、あああ、ああう、あああああ!」

 

叫んだ、ただ叫んだ。涙さえ流れてこない。予見眼では、俺の予言眼では、本気になった最強を追えない。

だから、だから叫んだ。涙なんて枯れた。でも、思う。いやだ、くるしい、つらい、いやだ、いやだ、いやだ。こんなにしあわせだったのに、いやだ、いやだ、しあわせ、なのに、なんで、なんで。

 

こんなの、おかしいだろ。

 

醜く叫ぶ俺を、ただ、オルステッドは睨みつけてた。

 

「貴様は、強い。予見眼をそこまで使いこなしたのは、俺の知る限り貴様で二人目だ」

 

「うるせぇ、うるせぇよ。返せよ、俺の幸せを返せよ!!!」

 

奴は、オルステッドは、俺の叫びなんて聞いていなかったんだ。

 

グッと、手刀に力が籠る。

神刀じゃない。最強が選んだのは、手刀だった。

 

ドンっ!

 

「ぐあぁっ!」

 

「……」

 

ボトっ。

何かが、地に落ちる。

俺の視界の半分を奪ったのは暗闇と、そして灼熱のような痛み。

暗闇と共にマグマのような灼熱が俺の右目を襲う。

 

「……」

 

「……」

 

暗闇は絶望だった。だから、もう片方の目で地面を見つめた。少しだけ明るい地面。俯いた視線の先の先。

そこには、眼球があった。

抉り取られた眼球の裏は、白かった。

落ちたのは眼球で、それは俺の物だった。

 

「ロキシー・ミグルディアは、かつて貴様を治すために片腕を犠牲にした。その時は、特に何も思わなかった」

 

ロキシーは、すごいな。ふと、そう思った。

 

「だが、違う。今確信した。エリス・グレイラットを見て確信した。エリス・グレイラットは、両腕を失っても貴様を守ろうとした」

 

エリスはカッコいいな。ふと、そう思った。

 

「ヒトガミの呪い。貴様は、それが使える」

 

オルステッドの言葉を聞いて、俺は目を細めた。

呪い?ヒトガミの呪い?わからない。でも、それが本当なのだとしたら、そうか、俺が家族を作れたのは、友達を作れたのは、頑張ったからじゃないのか。

死ぬほど頑張ったからじゃないのか。そんなの、関係なかったのか。

……なんだよ、それ。

 

エリスと魔大陸を旅した、シルフィと学園を共にした、ロキシーと迷宮を共にした。その全てが、意味なんてなかったってことかよ。

 

変わったのは、強さだけ。

オルステッドは奇襲を警戒して、最善の行動である予見眼潰しを行った。それが理解出来る頭だけだった。

 

でも、それでも良いよ。良いんだよ。

 

「オルステッド。龍神 オルステッド。お願いがあります」

 

うつ伏せの身体を正して、正座して、両手を地につく。

そして、頭を地につける。

土下座。俺は、オルステッドに土下座した。

 

「お願いします、ロキシーを、シルフィを、エリスを助けてください。俺はどうなっても良いです。お願いします、お願いします、お願いします」

 

呪いなんて関係ないよ。

俺は、大好きだから。守りたいから。

みんなを、家族を、守りたいから。

だから、俺が守りたいから、関係ない。

 

「幸せだったんです。こんな幸せ、味わったことなかったんです。子供が出来て、幸せだったんです。子供と生きたいなんて贅沢は言いません。だから、助けてあげてください。俺の家族を、大切な人を殺さないでください。お願いします」

 

「……何故、他の奴らを盾にして生き残らない。ヒトガミならば、そうするはずだ」

 

俺は、この言葉を聞いて唇を噛み締めた。

そんな、血の味がする唇から漏れ出た言葉は、俺の今までの恩人への言葉。

 

「ヒトガミは、そんな奴じゃない」

 

「……そうか、貴様が一番、騙されていたか」

 

最強が、神刀を振り上げる。

そして、振り下ろされる。その直前、俺は最後にオルステッドの足元へと滑り込む。

そして、この言葉を。最後の言葉を、最強へ。

 

「ヒトガミを諦めてください。お願いします」

 

何してんだろうな。醜くて、カッコ悪い。夢見た姿なんて跡形もない。でも、それでも良い。理想なんてどうでもいい。守れれば、それだけで、それが良い。

拷問されてもなんでもいい。家族を救えるなら、ヒトガミに恩を返せるならなんだっていい。

目玉を抉り取られたって良い。爪を剥がされたって良い。全身粉切れになったって良い。

 

弱い俺の、最後の言葉。

最強は、オルステッドは、少し目を細めて、こう言った。

 

「それは、できん」

 

俺、何してんだろうな。何がしたかったんだろうな。

オルステッドはロキシーと子供を殺そうとしてる。それを防ごうって決めてたのに、何してんだろうな。

 

予言眼に使っていた魔力を、掌へ。

 

バン!

 

右手首が、切り落とされる。

 

バン!

 

左手首も、切り落とされる。

 

「……ヒトガミに伝えろ」

 

片目を無くし、両腕を無くした。

意識が遠のいていく。

あぁ、死ぬ。

 

「魔力を7割失おうと、必ず、俺は貴様を殺すと」

 

恩人が、家族が、俺の大切な人が殺される。そう思った時、俺の身体は勝手に動いてた。

魔力どころか、拳さえ振り下ろせない俺。

そんな俺は、口を大きく開けて、閉じた。

 

俺は、オルステッドの足に噛みついた。

 

オルステッドが剣を振り上げる。それは、不可避。暗闇の中で、ただ絶望を待つ。

ただ、ただ待ち続ける。

無限に思える長い時間。苦しみは、長く感じる。

真っ暗闇。そのはずなのに、刹那、俺の抉り取られた右目に光が宿った。

 

「オルステッド!待ってください!!!」

 

叫び、走る。

オルステッドと俺の間に、小さな身体が入り込む。

 

入り込んできたのは、一人のお嫁さん。

 

『ロキシー・ミグルディア』

 

「二人は、すごく優しい……」

 

彼女は、ニッコリと笑って、俺に視線を向ける。

 

「だから、誰も殺させません」

 

両者を知っている彼女だから出来る、最後の戦い。

彼女は、俺を見て、こう言った。

 

「ほら、ルディと会えたから……」

 

オルステッドと俺。ロキシーは、全てを救おうと覚悟を決める。

 

「こんなに、笑えました」

 

VS最強。その結末は、俺の想像を遥かに超えるものになるんだ。

 

 

 

 

 

 

 




次回でオルステッド戦は終了になります。

見たい物は?

  • 冒険編の補足
  • 学園編の補足
  • 迷宮編の補足(少し)
  • アトーフェ戦の補足
  • 龍神戦の補足(龍神戦前の皆との関わり)
  • ロキシーとのイチャイチャ
  • シルフィとのイチャイチャ
  • エリスとのイチャイチャ
  • 二部制作(少し時間かかる)
  • 新しい物、制作(夢主作品)
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