展開が早めですので、分かりにくい等々ございましたらご意見やご感想よろしくお願い致します。
俺は、何かを求めて生きている。
何か。その正体は、俺の一番大切なもの。
そう『家族』
この日記は、そんな家族との平和を手に入れようと踠く、俺の軌跡と決意を描いた物語だ。
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俺は決心した。
『アスラ王国を潰す』
ヒトガミと話し、疑い、自らの意思で決めた選択。
大丈夫だ、必ず成功する。
俺は、家族を守ることが出来る。
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アスラ王国を潰すために俺は二つの計画を立てた。
①重力魔術の習得
②王級治癒魔術の使用禁止
①に関しては単純だ。国を潰すための自身の能力向上のため。
問題は②だ。
日記では、俺がエリスに王級治癒魔術を使ったせいでミリスに狙われた。
だから、使えない。使うわけにはいかない。
まぁ、どうせ俺は無詠唱で治癒魔術は使えない。
俺が使うことは恐らく無いだろう。
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重力魔術の習得。
俺は、そのために、老人が剣の聖地で書いたという重力魔術の論文を読もうと思い、日記を探した。
論文は日記に挟まっていたからな、日記を見つければ読めるはずだ。
そんな考え、理由を持って、俺は日記を探し始めた。
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なんで、なんでだ?
自室を見渡しても老人の日記が無かった。
アイシャが持っていったのだろうか?分からない。
だが、幸いなことに重力魔術の論文を見つけることは出来た。
大丈夫だ、焦ることはない。
日記の内容は俺の頭に刻み込まれている。
よし、大丈夫だ。不安を感じることはない。
重力魔術を習得する。
俺がやるべきことは、それだけだ。
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ロキシーとクリフに重力魔術の習得を手伝ってもらう。
クリフに相談すると、この僕に任せておけ!と元気に答えてくれた。
最高の友人だ、俺は彼の手を力強く握った。
そして、ロキシーにも相談した。
重力魔術を習得したいと言ったら、彼女はニッコリと微笑んでくれた。
やっとルディに頼ってもらえましたと笑ってくれた。
こんな身なりですが、魔術の知識に関しては少しだけ自信がありますと言ってくれた。
俺は、そんな彼女に、妊娠してるのにごめんなさいと謝った。
この言葉にロキシーは笑いながら、もっと相談してくださいと言ってくれた。
師匠、俺の師匠。
日記では自殺してしまった俺の師匠。
でも、そんな師匠は俺の想像の何倍も強くて、何百倍も優しかったんだ。
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俺は反省した。
俺は弱い。すごく弱い。
そんな俺は一人で全てを解決しようとしていたんだ。
肩が軽くなった。
俺はロキシーに向かって笑顔を向けた。
ただ一言。「お願いします」という言葉を放った。
瞬間、青い髪が縦に揺れる光景が俺の視界を覆い尽くした。
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アリエルがアスラに向かうまで時間がない。
俺は、ロキシーとクリフと共に論文を読み込むことにする。
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俺たちは論文を徹底的に読み込んだ。
その上で、分かったことがある。
それは、重力魔術習得に大切なのは『原理』ということだ。
己の心に、身体に重力の原理を落とし込む。
それが大切だ。
これを徹底する、強くなるために。
大丈夫、大丈夫だ。目指す道筋は見えた。
よし、大丈夫。俺なら、必ず成功出来る。
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重力魔術を習得した。
ロキシーの協力、クリフの協力、そして俺自身が重力魔術を体験していることが大きかった。
かつて、オルステッドから受けた重力魔術による手刀。
それを見て、身体で受けた俺は原理を理解することが出来たんだ。
良かった、良かった。
オルステッドと戦い、殺したことは無駄なんかじゃなかったんだ。
よし、よし。初めて自信を持つことが出来た。
俺の行動は、後悔するべきものじゃなかったんだ。
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俺は確かに重力魔術を習得した。
しかし、俺の重力は完璧な物ではなかった。
出来ること、出来ないこと。それを今日は書き記していこうと思う。
①自らのバフ効果
②動いてる敵には撃てない
③放った魔術を重力操作出来るのは一つまで
④これら①〜③を併用することは出来ない
①に関しては簡単だ。
オルステッドが使ったような、自らの無重力化。
動きを速くし、重力に逆らった動きが可能になる。
次に②に関してだ。
魔術には対象を捕捉することが必要となる。
捕捉はどんな魔術でも必ず必要になる工程だ。
それは無論、重力魔術でも例外ではない。
そう、捕捉。慣れていない俺では素早くやることが出来ない。
そうなれば必然、速く動く相手には重力魔術を使うことは出来ない。
それが②だ。
③に関しても単純だ。
俺の重力魔術は他の魔術と合わせることは出来る。
しかし、それは一つまで。
例えばストーンキャノン、俺は同時に何発も撃つことが出来る。
しかし、ストーンキャノンに重力操作が出来るのは、そのうちの一発だけだ。
俺が出来るのは一つの物を動かすということ。
人も同様に二人以上は浮かすことは出来ない。
それが俺の現状だ。
④も③に似ている。
③に加えて出来ないことの補足をしておくことにする。
例えば、自らに重力バフをかけたとしよう。
そして、相手にも重力をかけようとする。
しかし、それは出来ない。
相手に重力操作をしたいならば、自らのバフ効果を一度取り除かなければならない。
自らの効果を消し、相手を浮かせる。
こうしなければ重力操作は出来ない。
書き記して理解した。
俺は完璧じゃない。
しかし、それでも重力操作は充分強い。
上手く使い、戦おうと思う。
▫️
アリエルがアスラ王国に向けて出発した。
俺は、表面上は彼女に協力することにする。
彼女には、アスラ王国の貴族たちを一ヶ所に集めてもらう必要がある。
そう、ヒトガミが言っていたパーティ会場。
貴族が一ヶ所に集まる、俺の決戦の場所。
アリエルには道半ばで倒れられては困る。
俺は、アリエルと偽の協力を約束した。
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アリエルが探るように俺と会話してきた。
その探りとは、主にシルフィのこと。
何故、シルフィを地下に閉じ込めているのですか?というストレートな表現はなかった。
しかし、シルフィとの夜はどうですか?やシルフィはルーデウス様をどう思っているんでしょうね?という言葉を、微笑みながら言われた。
俺は、この言葉に黙った。
何故なら、その言葉はあまりにも暖かい物だったから。
シルフィ、俺のお嫁さんを駒にするようにはとても聞こえなかったから。
大切な友人を想っているように聞こえたから。
そんなアリエル。俺は彼女に向かって、小さく、しかし力強い言葉を呟いた。
「シルフィが大好きです、守りたいです」
これだけを、アリエルに向かって呟いた。
短いけど、表面上じゃない。
心の底から出た言葉を、俺はアリエルに向かって放った。
「ふふっ、そうですか」
この言葉を呟くアリエル。
彼女は笑っていた。
美しくて、優しい笑顔。
そんな笑顔が、俺の脳裏にこびり付いて離れなかった。
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アリエルが、ペルギウスを仲間にすることに成功したらしい。
彼女は、ルーデウス様と話せたからですと言っていた。
俺は何もしていないはずだが、これが王としてのカリスマなのだろうか?
いや、疑問を持つまでもない。アリエルにはカリスマ性がある。
それは間違いない。
シルフィが好きで、王の素質があるアリエル。
俺は、そんなアリエルを殺す。
それは決定事項のはずなのに、何故か俺の手は、身体は震えていた。
得体の知れない震え。止まらない震えが、俺の身体と思考を支配していた。
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明日、アリエルたちが出発する。
彼女にはエリスとギレーヌが同行することになった。
そう、エリスとギレーヌだけ。
俺は、アリエルには付いていかなかった。
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出発前、エリスが俺に抱きついて来た。
「ルーデウス、元気になった?」と聞かれた。
ルーデウスが元気じゃないと、なんか私も嫌だと言ってくれた。
俺は、この言葉に薄く微笑んだ。
そういえば、最近苦しいと思うことが少なくなった気がする。
国潰しの覚悟が出来たからだろうか?
それとも、ロキシーが元気付けてくれたからだろうか?
分からない。でも、一つだけ分かることがある。
それは、エリスが可愛いということ。
俺は、エリスを守りたいと思っているということ。
俺は、抱き付いてくれるエリスの頭を撫でて、彼女のおでこにキスを落とす。
そして、一つだけ言葉を落とした。
「帰ってきたら、エリスと二人目の子供が作りたいです」
「んなっ!?///」
この言葉と同時、彼女の顔が茹蛸のように真っ赤に染まる。
そして、俺の胸から離れて、腕組みをしながら大きな声を挙げた。
「しょうがないわね!ルーデウスがそう言うなら良いわよ!!!」
元気に「約束よ!」と言ってくれるエリス。
俺のお願いを、まるで自分のお願いだと喜んでくれるエリス。
俺は、そんな彼女を抱きしめた。
俺を守りたいと呟き、剣を力強く握るエリス。
逞しいエリス。驚くほど可愛いエリスは、俺より何倍も強いように見えた。
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俺にも出発の時が近づいてきた。
地下にはシルフィが居る。
部屋にはロキシーが居て、エリスは死ぬ気で俺を守ろうとしてくれている。
アルスもアイシャも死んでない。
そうだ。俺は、まだ何も失っちゃいない。
よし、決めた。
アイシャとアルスを助けたら全てを話そう。
そろそろ産まれてくるロキシーの子供を見つめて、
「産んでくれてありがとう」とロキシーの頭を撫でよう。
帰ってきたアイシャとアルスと話して、シルフィにも謝ろう。
「アリエルを殺してごめん」
こう言ったら、シルフィはなんて言うかな?
嫌われるかもしれない。でも、言わなきゃいけないんだ。
逃げて逃げて、逃げ続けて。
そんな俺でも、戦わなきゃいけない時がある。
全てを話して、家族と関わる。
今は時間がない。
時間を言い訳にするつもりはない。
でも、今話したら身重なロキシーが付いてきてしまうかもしれない。
シルフィも来るなんてことになったら、日記のように水神に殺されてしまうかもしれない。
それはダメだ。老人の日記と同じ結果になってしまう。
だから、話すのは王国潰しが終わった時だ。
全てを壊して、平和を手に入れる。
大切な家族のために戦って帰ってくる。
そんな決意を固めて、今日の日記は終わろうと思う。
▫️
出発の時が近づいてきた。
ロキシーに、帰ってきたら全てを話すと言った。
すると「ルディ、そういうのは縁起が悪いですよ?」
そう言われてしまった。
しかし、続きの言葉は別物だった。
「でも、驚きはしません。ルディが隠し事をしていたのは知っていましたから」
ロキシーの言葉に、俺は目を見開いた。
なんで分かるんですか?そういうような表情で、俺は彼女を見つめる。
「ふふっ、すごい顔ですね。こう見えても、私はルディのお嫁さんですから。ルディのことなら少しなら分かっているつもりです。三番目の妻が偉そうにって思うかもしれませんが……」
ロキシーは言葉を放ちながら頬を掻き、少し笑う。
そして、最後にゆっくりと俺の背中を押してくれた。
「だから、待っています。ルディが帰ってきて、私の……いや、私たちの前で笑ってくれるのを、待っています」
俺は、彼女の言葉に目を見開いた。
確かな幸せに、俺は驚いていた。
こんな可愛い奥さんが、俺を待ってくれている。
近付く幸せ、俺はゆっくりと拳を握り締める。
固まる決意、王国潰しという俺の選択肢。
それが最後の最後で、正当化してもらえた気がした。
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俺はアスラ王国に向けて出発した。
重力魔術で魔導鎧を持ち運ぶ。
あくまで一人で、俺は移動する。
パウロは俺を心配していた、ついてこようとしていた。
俺はそんなパウロを置いて行った。
足手纏いと言うつもりは無い。しかし、今回の戦いは明らかにレベルが高くなる。
だから、パウロは死んでしまうかもしれない。
大きな心配。
きっと、俺だけではパウロを止めることは無理だっただろう。
しかし、大丈夫だ。俺にはロキシーが居る。
パウロと長く旅してきたロキシー、彼女ならきっと説得してくれるだろう。
ロキシーを頼り、パウロを殺さない。
俺は、また少しずつ人を頼って、頑張っていこうと思う。
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アスラ王国に着いた。
どんどん呼吸が浅くなる、苦しくなる。
ここに来て、俺は理解してしまったんだ。
大きな事実に、俺は気付いてしまったんだ。
明日、俺は大量虐殺をするということ。
何もかもを壊さなければならないということ。
その事実が、俺の胸を締め付ける。
人としての倫理観を捨てる。
そう、俺は明日……『悪魔』になるんだ。
翌日、パーティ会場に何かが降り立った。
大きな鎧を来た何かが、静かな戦場へと飛来する。
ダリウスは大きく目を見開き、アリエルは唖然としたままそれを見つめる。
北王、北帝、ペルギウスと召喚された精霊達。
そんな強者たちが、冷や汗をかきながら一人の男を見つめていた。
冷たくなる空気と戦況。それをさらに冷たくするように、男が口を開く。
「水神。遅れて来た理由は、これだ」
彼の名はルーデウス・グレイラット。
泥沼の名を冠する七大列強第二位。
最強を殺した、魔力総量の怪物。
そんな男が遅れて来た理由は、これだった。
「剥奪剣界が、崩れる……」
全ての人物が動けなくなった技。
男が日記を読み知っていた技。
それを外から、遅れて来たことで崩す。
それが彼の作戦。
そう、作戦。その正体は水神殺し。
水のような剣術を、泥のような粘り強い殺気が覆っていく。
「全員、ぶっ殺してやる」
「これはこれは、厄介な奴が来ちまったようだね」
水神の言葉と同時、強者全員が剣を引き抜く。
様々な形をした銀色の光が、魔導鎧を着た男に向けられる。
ルーデウスVS水神&その他。
アスラ王国の命運を賭けた闘いが、今まさに幕を開けようとしていた。
おまけの話で、ルーデウスがオルステッドに負けたルートがあったら読む?(原作との違いは、オルステッドの魔力残量。ほとんど残っていないからヤバくなってもルーデウスが主体で戦う)
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