TOS-TL~妹令嬢はお兄さまを救いたい~ 作:お兄さまファンクラブ名誉会員
クラトスルートのセレスの救いが無さすぎるので、ハッピーエンドにしたかった。基本的にセレスはラタトスク準拠のデレデレモードです。
一応完結迄のプロット済み。不定期更新ですがよろしくお願いいたします。
「お兄さまが……亡くなった……?」
「……はい、セレスさま」
南の果ての修道院。そこで兄であるゼロスの無事を祈っていたセレスに告げられたのは、その彼の訃報だった。
『あのなー!エクスフィアをつけてたっておまえ、時々寝込んでるだろうが!危険な旅におまえを連れていくわけにはいかねーんだよ』
『おまえが……大事だから言ってるんだ。わかるな?』
『……俺はおまえには嘘をついたことはねーぞ。な?』
闘技場に押し掛けてまで旅について行こうとする彼女を諭し、そう言って笑いながら出かけて行った兄であったが……帰ってきたのは彼に返したクルシスの輝石の砕片のみであった。
「トクナガ。悪いけど……しばらく一人になりたいの」
「……かしこまりました。セレスさま」
震える声を隠しながらトクナガに指示を出して退室させる。と同時にセレスは崩れ落ちた。
「危険な旅というのはわかってはおりましたし、こういうこともあるだろうと覚悟はしていましたわ。ですが……」
ゼロスの遺言はロイドたちからトクナガを通して伝えられている。そしてそれがセレスの身を案じるものだけだったことも。
「何が神子になれば私が自由になれるですか。何が神子になれば私が幸せになれるですか。そんなもの……私にとっては何の価値もありませんっ!」
セレスが本当に望んでいたのは神子の地位や自身の自由などではなく、兄であるゼロスが無事でいることであった。
「私はお兄さまが無事であればそれで……っ!?ゲホッゲホッ!」
「セレスさまっ!?失礼いたしますっ!」
砕かれたその宝珠を抱きしめて泣く彼女を発作が襲い、その咳を聞きつけてトクナガが駆け込んでくる。倒れこんだセレスを見たトクナガは、慌てて彼女に駆け寄った。
「セレスさま!?発作でございますか!?今、お薬をお持ちいたします!……セレスさま?」
しかし薬を取りに行くために部屋を出ていこうとするトクナガを、セレスは押しとどめた。
「もう、いいのです、トクナガ……。お兄さまがいらっしゃらないならもう……」
彼女は疲れ切ってしまったのだ。ゼロスがもういないという現実に。しかし主であるセレスが自身の死を望んでいるのを認められるトクナガではない。
「そんなことはありませぬ!神子さまはいつでもセレスさまのお身体を案じておられました!そのセレスさまがご自身を大事になさらないなら、亡くなられた神子さまも浮かばれませぬ!」
「……トクナガ」
「神子さまの最後の願いであるセレスさまの無事を、セレスさま自ら捨ててはいけませぬ!……私は神子さまの最後のお願いを、セレスさまが聞き入れてくれると信じております」
「……そうですわね。お兄さまの分も私が……ゲホッゲホッ!」
「セレスさまっ!?」
再び咳き込むセレス。トクナガの必死の説得でこの先も生きることを決意した彼女だったが……。気力はあっても、その身体はすでに限界だったのだ。
「くっ……。は、早くお薬を……!」
その時だった。彼女の手の中の砕かれた宝珠が光を放ち始める。
「こ、これは神子さまの……!?いったい何が……!?」
「お兄……さま……」
「セレスさまーーーっ!!!」
そしてセレスが力尽きるその寸前、その輝きは部屋を埋め尽くし……
「……セレスさま?セレスさま!?どこへ行かれてしまったのですか!?」
その部屋からまるでいなかったかのように、彼女は消えてしまってしまったのだった。