闇に呑まれていた鬼の娘を500年かけて看病した仙人が、異国で恋愛小説の餌食に……   作:時代に遅れている

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蒼雲「新年」

千代「開けまして」

蒼雲・千代「「おめでとうございます!」」


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蒼雲「皆のおかげで無事、新年を迎えることが出来たこと、とても嬉しく思っている」

千代「今年一年の間、色々あったよね。」

蒼雲「ああ、長い間アビスに侵食されていた千代が目を覚まし、その千代が稲妻で再びかつての親友たちと暮らせるようにするために稲妻に行ったら、稲妻は鎖国中で目狩り令なるものを行っている。」

「幕府の役人も腐り一般人にも手を出す外道に溢れてたな」

「おかげで千代、旅人にトーマ、俺の友に危険が迫る事態に」

千代「まぁまぁ、結局蒼雲が助けてくれたから私は別に気にしてないよ。」

「それに悪いことばかりでも無かったよ。」

「成長した神子に会えたし、綾華とか新しい友人も出来て何よりーー」

蒼雲「どうした?」

千代「ううん///なんでもない!」

???(八重神子)「良いのか?千代、せっかくこやつに己の想いを伝えられる場であると言うのにーー」

千代「ちょっ!」

蒼雲「狐巫女……お前も来たのか」

八重神子「なんじゃ妾が居てはダメなのか?一応タグに妾の名が入るくらいには重要な役だと思うのじゃがな」

蒼雲「タグ?役?なんだそれは」

八重神子「おっとこちらの話じゃ気にするな」

「さて、この稲妻での話もついに後半戦に突入じゃまだまだ隠された蒼雲の秘密、そして千代の恋の行方はどうなるのか!」

「うーん楽しみでならんなぁ」

蒼雲「おい、女狐。人のプライバシーに入り込もうとするな」

千代「そ、そうだよ!私のことは私でなんとかするから!」

八重神子「ふーんそうか。では気長に待つとするかの」

蒼雲「それじゃあ皆、今年も俺たちのことをーー」

蒼雲・千代「よろしくお願いします」


ーーーーーー

千代と蒼雲のイラストは後に載せます。

過去の話にも追加しておきますので暇でしたら見てみてくださいね。

⭐︎マークがついてるとこに画像があります。



怒れる龍と女の戦 ⭐︎

雷元素を帯びた、致命の一矢。

(避けられない……!)

反射的に目を閉じた。終わりを、覚悟した。

――けれど。

衝撃は、来なかった。

恐る恐る目を開ける。

そこには、まるで大蛇のように震えながら、目前で止められた矢があった。それを、素手で掴んでいる影。

「……え」

視線を上げる。

そこにはーー彼がいた。

 

 

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「蒼雲……ごめんなさ……」

喉が詰まり、言葉が途切れる。

彼は、短く答えた。

「いや、よく頑張った。」

 

「あとは任せろ」

その視線は、九条沙羅を真っ直ぐに捉えていた。揺るぎなく、迷いなく。

気づけば、彼の袖を強く、強く握りしめていた。戦場の喧騒の中で、たったそれだけが――確かに、自分を現実に繋ぎ止めていた。

九条沙羅の声が、雷鳴のように戦場を裂いた。

「貴様は将軍様に楯突いた――」

その言葉に、息を呑むより先に蒼雲の背中を見つめていた。

彼は一歩も退かず、むしろ少しだけ肩をすくめるようにして答えた。

「無礼者だが何か? 今の俺は抵抗軍の一人だ。別にここにいてもおかしくないだろ?」

九条沙羅の表情が、怒りに歪む。

「気高き将軍様に無礼を働いた罪、断じて許しはない! この場を貴様の墓場としてくれる!!」

その殺気に、空気が張り詰める。反射的に彼の名を呼びそうになった。

だが彼は、どこか冗談めいた調子で言った。

「そうか。俺の墓は璃月の漉華の池に建ててほしいと思っているんだがな」

 

「それは叶わない願いだ!」

九条沙羅が弓を引き、次の瞬間、紫電を纏った矢が複数、一直線に放たれた。

視界が紫に染まり、心臓が跳ね上がる。

けれど――水が、踊った。

彼の前に立ち上がった水流が、矢を包み込み、勢いを殺し、静かに地へ落とす。まるで最初から、そこに届く運命などなかったかのように。

「!」

九条沙羅が目を見開く。

彼は淡々と告げた。

「だが残念、お前では俺の墓を用意することはできない。」

その言葉は挑発であり、同時に事実だった。彼がここに立っていること、そのものが。

九条沙羅は歯を噛みしめる。

「くっ……!」

彼は戦場全体を一瞥し、静かに続けた。

「それに、戦況は徐々に俺たちの方に傾いている。この状況で俺たちを気にかけるより、撤退を考えるべきじゃないのか?」

――その瞬間。遠くで、地を揺るがす爆音が響いた。

「!?」

九条沙羅が振り返る。

「あの方向は……!」

誰かの叫びが重なる。

「我々幕府軍の本陣だ! き、貴様!」

はっとして彼を見る。まさか――。

彼は低く、抑えた声で言った。

「お前が将軍様に無礼を働かれたことに怒っているように、俺もこのふざけた戦に頭にきている。」

一瞬、彼の視線がこちらに向いた気がした。

「千代に矢を向けたことで、尚更にな。」

胸が、きゅっとどうしようもなく熱くなった。

彼は続ける。

「命までは取らない。だが――貴様らの戦の命である食糧、兵法書……それらは問答無用で絡め取らせてもらう。」

九条沙羅の顔が、完全に硬直する。

「ッ!! 引け!!」

その号令と共に、幕府軍に動揺が走った。さっきまで押し寄せていた圧が、嘘のように引いていく。

その光景を呆然と見つめながら、彼の背中を見ていた。

――相変わらず、無茶ばかり。

――相変わらず、勝手で。

それでも。あの矢から守られた瞬間、確かに思ってしまった。

(……やっぱり、ずるいよ)

「ようやくひと段落ってか」

彼の声は、いつものように軽かった。

けれど――次の瞬間、その身体がわずかに揺れた。

「ぐっ……」

嫌な予感が胸を締めつける。反射的に駆け寄り、彼の身体を支えた。

「蒼雲!」

腕越しに伝わる体温は、いつもより高い。衣越しでも分かるほど、力が抜けかけている。

「大丈夫?」

思わず声が強くなる。

けれど彼は、困ったように眉を下げて、いつもの調子で答えた。

「ああ、大丈夫だ。心配ない」

――嘘。そう言い切れないほど、彼の身体は重かった。

それでも彼は、そっと手を外し、一歩前に出る。

「さっ、俺たちも行こう。みんな集まってるらしいしな」

その背中は、戦場で見せたものと同じく、まっすぐで。だからこそ、余計に不安になる。

「……うん」

頷きながら、もう一度彼を見た。

――その時だった。

一瞬、彼の身体の奥から、黒い靄のようなものが立ち上り、炎にも似た揺らぎが、空気を歪めたように見えた。

(……え?)

目の錯覚? 戦いの疲れで、視界がおかしくなってる?

胸の奥が、嫌な音を立ててざわつく。

「どうした?」

彼が振り返る。その顔は、何も知らない、いつもの彼だ。

「う、ううん!」

慌てて首を振り、作り笑いを浮かべた。

「今行くから!」

本当は、立ち止まって問い詰めたかった。さっき見えたものは何だったのか。彼の身体は、本当に「大丈夫」なのか。

でも――ここは戦場のど真ん中で、彼はまだ、皆の前に立たなきゃいけない。

だから、その違和感を胸の奥に押し込めて、彼の隣を歩き出した。

ーーーーーーーーー

危なかった。本当に、紙一重だった。

(……危うくバレるところだったな)

蒼雲は内心で毒づいた。雷電将軍との戦いで受けた傷は、見た目以上に厄介で、抑え込んでいなければ内側から“漏れ出す”。

水で覆い、仙力で封じ、気配を殺しているが――油断すれば、あの不吉な黒い熱が滲み出てしまう。

(千代や、他の連中が近づかないようにしないと……)

そう思った、次の瞬間だった。

――ガシッ。

腕に、はっきりとした重みを感じた。恐る恐る視線を落とすと、そこには自分の腕にしがみつく千代がいた。

「……何をしているんだ、千代?」

「支えてる……」

いや、それは支えるというより――完全に腕組みだ。しかも、逃がさないと言わんばかりにがっちりと。

「……離れないか?」

「やだ……」

即答だった。

(いや、離れないと色々と――本当に色々とマズいんだが――)

「……離れてくれないか?」

もう一度、少しだけ強めに言った。

「…………」

一瞬、空気が沈む。

「……私じゃ、嫌なんだ……」

――あ。胸の奥が、嫌な音を立てた。

(いや、違う、そういう意味じゃ――)

「いや、千代、あのな……」

「私なんて……もう用無しなんだ……」

……まずい。彼女の周囲に、視覚的な“何か”があるわけではない。だが、はっきりと分かる。彼女の放つ負の感情の沈み込みが、異常に深い。

(まさか……俺のアビスの残滓の影響が、もう出てるのか!?)

蒼雲は反射的に、彼女の背に手を置いた。水の気を巡らせ、慎重に、アビスの残滓を削ぎ落とそうとする。

(……っ)

だが、効果は薄い。彼女の抱く不安、その感情そのものが原因だ。力づくでは、どうにもならない。

(困った……本当に困ったぞ……)

その時だった。

「おーい! 何やってるんだ?」

少し離れた場所から、パイモンが旅人と共に手を振っているのが見えた。

(……助かった)

蒼雲は小声で旅人を呼び寄せた。

「おい、旅人。頼みがある」

「どうしたの?」

「千代の様子がおかしい。訳あって離れてほしいんだが……まったく離れてくれなくてな」

「あー……そうなったんだ」

「そうだ」

 

「なぁ、旅人。オイラ、コイツがわざと気付いてないふりしてるように思えてきたぞ……」

旅人は一瞬だけ視線を逸らし、やれやれといった風にため息をついた。

「蒼雲……いい加減、女心を学んだ方がいいと思う」

「……あ、ああ」

「いいか!千代はなぁ、お前がしばらくいなかったから寂しかったんだぞ!」

パイモンも追い打ちをかけるように言った。

「理由がどうであれさ、少しくらい抱きつかせといてやれよ」

……そういうもの、なのか。

(力の制御だの、命の危険だの考えてる俺と、全く噛み合わないわけだ)

だが――千代の指先は、微かに震えている。

(……仕方ない)

俺は、ついに観念した。

「千代」

「?」

「……少しだけなら、腕を組んでもいい」

一瞬、空気が止まり。

「……うん!」

その返声は、驚くほど明るかった。腕に伝わる彼女の体温が、少しだけ安心を運んでくる。

同時に、俺は改めて気を引き締めた。

(……本当に少しだけだぞ)

 

しばらくの間、旅人やパイモンに肘で突かれたり、意味深な笑みを向けられたりしながら進んでいると、待ち合わせの場所にはすでに見知った顔ぶれが集まっていた。北斗を中心に、南十字船隊の面々が輪を作っている。

「おやおや、蒼雲。遅かったじゃないか! もしや私たちを置いて、いちゃついてたのか?」

北斗が豪快に笑いながらからかってくる。

「……別にそんなんじゃない」

即座に否定したが、自分でも説得力があるかどうかは怪しいと感じていた。

その瞬間、空気が微妙に変わった。

珊瑚宮心海と、千代。

二人の視線が、静かにぶつかり合っている。言葉はない。だが、互いの完璧な笑顔の奥で何かが激しく探り合われているのが、嫌というほど伝わってくる。

 

 

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(……ああ、これはまずい)

「そ、そうだ。まだ紹介してなかったな」

場の空気を切り替えるように、俺は一歩前に出た。

「こちらは珊瑚宮心海。海祇島の“現人神の巫女”で、抵抗軍の指揮官を務めている方だ」

「……そうなんだ……」

千代はゆっくりと俺の腕から離れ、一歩前に出た。

「お初にお目にかかります。私は千代と申します」

柔らかく、淑やかに微笑む。

「これは丁寧にどうも。私は珊瑚宮心海」

心海もまた、非の打ち所がない微笑みを返した。

「北斗さんや万葉さん、そして蒼雲さんからはお話を伺っていました。ですが、まさか抵抗軍を実際に訪れているとは思いませんでした」

ニコッ、と心海が笑う。

……雷でも落ちたかのような圧を、肌で感じた。

――いや、実際に落ちた。ゴロゴロと、タイミングよく遠雷が鳴り響く。

パイモンが小声で囁いてくる。

「おい……なんかあの二人の笑顔、怖くないか?」

「……同感だ」

視線を逸らすと、万葉はいつの間にか少し距離を取って難を逃れていた。

(蒼雲殿、健闘を祈るでござる)

万葉が視線だけでそう告げ、旅人も親指を立てて応援(?)の意を示してくる。

(蒼雲、ファイト)

「……全く無茶を言う。そもそも、なんでこうなってるのかも分からんのに、俺にどうしろと言うんだ」

内心で毒づきながらも、表情には出さないよう努める。

その間に、心海はすでに指揮官としての凛とした顔に戻っていた。

「ゴロー。あなたはここに残り、引き続き前線の指揮をお願いします」

「はっ!」

「それから……」

彼女の視線が、再び俺に向く。

「蒼雲さんたちは幕府から指名手配されています。現状では、私たちと行動を共にした方が安全だと思いますが……いかがでしょう?」

――確かに、理にかなっている。だが同時に、頭の奥では別の思考が渦巻いていた。

そろそろあの狐巫女、八重神子とも合流し、雷電将軍の目を覚まさせなければならない。千代が、この国で再び生きられる場所を作るためにも。

(……どうする)

迷っていると、横からあっさりとした声が飛んできた。

「私は別にいいよ」

千代だった。意外だ。てっきり引き離すものだと思っていたのだが、彼女なりに考えがあるのだろう。

万葉からの「ここは受けるが吉」という視線も感じ、俺は決断した。

「分かった」

俺は心海に向き直る。

「ありがたく、その提案を受け入れさせてもらおう」

「そうですか……良かった」

再び、あの穏やかな笑み。だが彼は、その笑みの奥にある彼女なりの覚悟と重圧を、確かに感じ取っていた。

ーーーーーー

海祇島に到着した頃には、空はすっかり深い夜の色に染まっていた。潮の匂いを含んだ風が静かに吹き、遠くで波が岩を撫でる音が響く。本来なら、とっくに床に就いていてもおかしくない時間

……なのだが。

「ねぇ?」

千代の、嫌な予感しかしない声が響いた。

「なんで旅人と私は別々の部屋が用意されてて、蒼雲“だけ”あなたの部屋に入れられてるの?」

ニコッ、と彼女が笑う。その笑顔が一番恐ろしい。

「これは、すみません……海祇島では現在貸し出せる部屋が限られていまして。人数分を確保できず、このような配置に……」

心海が申し訳なさそうに説明するが、千代は引き下がらない。

「だったら一つの部屋に二人入れればいいでしょ? わざわざあなたの部屋に入れる必要はないよね?」

「その理屈でしたら、私の部屋でも問題はないと思いますよ。実際、蒼雲さんは何日も私の部屋でお休みになられていましたし」

「……そうなの? 楽しかった?」

ニコッ。

(だから俺を巻き込むなって!!)

俺は内心で絶叫した。あれは将軍にやられて意識不明で寝込んでいただけだ。楽しいとかそういう次元の話ではない。

そこへ、空気を読まないパイモンが声をかける。

「おーい、部屋割りは決まったか?」

「いや」

「まだ決まったわけでは――」

二人が言い争う中、旅人が嫌な沈黙のあと、救いの手を差し伸べた。

「…………なるほどね。じゃあ、蒼雲は俺のとこで寝る?」

――神だ。今、この瞬間、旅人が神に見えた。

「えぇ!?」

千代と心海の声が、綺麗に重なった。

「蒼雲、オイラたちのとこで寝るのか?」

「ああ。たまには男同士で寝るのもいいかなって思ってな」

二人の視線が背中に刺さる。ひりつくような殺気(?)を感じながら、俺は強引に締めくくった。

「……そういうわけで、おやすみ!」

バタン!

俺はそのまま扉を閉め、逃げるように部屋に飛び込んだ。

一瞬の静寂のあと、千代がぽつりと呟いた。

「に、逃げられた……」

心海もまた、ため息混じりに肩を落とす。

「策士策に溺れるとはこのことですね……」

 

「それ自分で言うの?」

稲妻篇が終わったら続きは何が良いか 選択によって稲妻篇の最後が変わる。

  • 璃月篇(海灯祭)※この話の本編
  • 引き続き稲妻篇
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