司「役者たるもの、やはり様々な経験を積まねばな!」   作:司単推しの豆腐

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エイプリルフールのBooo!を聞き直したら司くんが可愛すぎたので書きました。
もう書けません。
次こそ頼みます。


第二歩

 

「…ここがワンダーステージ、か?なんというか、こう、思っていたのと違うな」

 

夢へと歩みだしたあの数日後。

合格通知を受け取った俺は、自身が配属されたワンダーステージへと足を運んでいた。

その時の家族やミク達の喜びようは凄かったが…とりあえずそんなことはいい。

今目の前にある疑問を解決するため、まずは行動しなければ何も始まらないからな。

 

「しかし…なにをすべきだ…?」

 

目の前にあるのはもはやボロボロで、今にでも取り壊されてしまいそうなステージ。

はっきり言ってここで働くとはあまり思いたくなかった。

最近新しくいろいろなものが追加されているこの遊園地にはあまり似つかわしくはなかった。

それにここは客もまばらで、中心からも遠く離れている。

はっきり言って連絡が間違っているとしか思えない。

 

(…どうするべきだ?とりあえずどこかに問い合わせるべきか?というか問い合わせるとしたらどこだ…?)

 

頭の中でぐるぐると色々なことがないまぜになってくる。

どうもこの目の前にある─オレが所属していると思われる─ステージで働くことになるとはどうしても思いたくなかった。

 

(…よし、とりあえず兎にも角にも連絡だ。それが一ば「とーーーーーっ!!」)

 

オレの思考を遮るように上からピンク色のなにかが降ってくる。

 

「うわ?!な、なんだいきなり?!」

 

そしてその落ちてきたものに目を向けると

 

「ようこそっ☆

笑顔い~っぱいの、ワンダーステージへ!」

 

桃色の衣装に身を包んだ、可愛らしい女の子が目の前に立っていた。

 

「じゃあ皆でいくよー!!せーのっ、わんだほーいっ☆」

「…いや、ほんとになんなんだ?」

 

つい、ポロリと本音が零れ落ちる。

そんなこと知ったことか、桃色の少女は続ける。

 

「わんだほーいっ!!」

「それはもうわかった…それより…」

 

オレが無理やりにでも話を進めようとすると、またもや少女は続けようとする。

 

「わんだほ~~~……」

「わ、わかったわかった!わんだほーい!…これでいいか?」

 

すこしうんざりしながら応対すると、少女は満足そうに頷く。

ほ、本当に何なのだ…?…まぁ、とりあえず。

 

「で!だ…君は一体?」

「初めまして!あたし、鳳えむ!

キラキラ笑顔がい~っぱいのワンダーステージへようこそ!」

 

ようやくまともな情報が出てきたぞ…。

…いや、鳳?鳳だと?

いや、待て待て待て。

 

「…君はもしかしてこの遊園地のオーナーの鳳財閥の子か?」

「うん!そうだよ!」

 

…失礼だが、あまりそうは思えなかった。

ご令嬢にしてはあまりに元気で、なんというかこう、独特なテンションだ。

 

「ねえねえ!」

「…む、なんだ?」

「司くんってテレビによく出てた人?」

 

…ふむ、昨日もそうだったが、意外と多くの人に知られているのか?俺は。

 

「あぁ、そうだな。何度か出させていただいたことはあるな」

「やっぱりそうなんだ…!お姉ちゃんがよく見てたよ!可愛くてカッコいいって!」

 

…知られているのはうれしいが、可愛いといわれるのはさすがに複雑だな…。

 

「…ま、まあいい。それよりもこのステージのことなんだが…」

「ワンダーステージのこと?」

 

オレはここに訪れた当初から抱いていた疑問をようやく解消できそうなことに安心感を覚えながら問う。

 

 

「あぁ…このステージ、そのなんというか…少し、いやかなりボロボロじゃないか?」

「!そんなことないよ!!!

ほら、ここなんて色が変わっててオシャレでしょ?」

「サビじゃないか?それ…?いや、しかし他のアトラクションと一緒に新しいステージもできると聞いていたが……」

 

自分で聞いておきながらちゃんとした答えが返ってこなさそうだな、と思いながらも問いを口にする。

すると突然後ろから声がかかる。

 

「はい、本来はランドの全面改修に伴ってステージを取り壊し、新しくする予定でしたが……」

「…いや、待ってくれ。さも当たり前かのように話に入って来ているが、あなたは?」

 

いつの間にか現れていた着ぐるみに若干ビビりながら、それでも表面だけは取り繕って聞く。

 

「失礼いたしました。天馬司さん、私はえむ様の護衛です。

それで、先ほどの話の続きですが現在、ステージだけ工事が延期になっています」

「工事が延期…?なるほどな。それでここだけこんなに…」

 

ようやく合点がいった。

が、しかしもう一つだけ知りたいことがある。

ここに来てから質問ばかりだ、と思うも気にせず続ける。

 

「オレはここの…ワンダーステージの所属で間違いないのか?」

「?うん、そうだよ!一緒に頑張ろうね!司くん!」

「…そうか」

 

あまりうれしくない事実にため息をつきそうになるも、これも経験だと思い、喉元まで出かかったものを飲み込む。

『スター』たるものこの程度の逆境、越えられなくてどうする。

そう思うと自然と不満は消え去り、やってやろう、という気持ちがふつふつと湧き出てくる。

 

「…よし!わかった!よろしくな鳳さん!」

「よろしくね!司くん!それじゃあ一緒に~?わんわん~…

 

わんだほーい!!」

「わ、わんだほーい!」

 

…いや、これは本当に何なんだ!?

 

~~~

 

「ふぅ…よし、一通り掃除は終わったな」

 

ワンダーステージ所属であることを受け入れた後、俺たちはステージの掃除をしていた。

 

「わぁ…!すっごく綺麗になっちゃった!」

「うむうむ!例えどれほど素晴らしいショーであってもステージが綺麗でなければ話にならんからな!

これは前段階として最低限必要だったことだ。

…しかし」

「司くん?どうかしたの?」

 

…これは先延ばしにしても仕方がないしな…早めに伝えておくとするか。

 

「あぁ、掃除をしていて感じたのだが…やはり人手が足らん。

着ぐるみさんが手伝うことは難しいだろうから、そうなると二人になってしまうが…そうなるとやれることも限られてくる」

「う~ん…じゃあ誰か探してみる?」

「そうなるだろうが…そんな人材が都合よく居るだろうか…」

 

ショーをするとなるとあと二人は欲しいし、声質や背丈が似通っていないほうが良い。

そんな選り好みしている余裕はないかもしれないが…。

 

「…まあとりあえず、探しては見るとしよう。行こう鳳さん」

「はーい!」

 

まあ今日に限ってはあまり期待はしないでいておこう。

なんの当てもないこの状況で見つかるのなら苦労はしない。

最悪募集をかけてくれるように掛け合ってみるのもありだろうか。

 

~~~

 

当てのない俺たちはとりあえず歩き回って探してみることにする。

がしかし…そんな人はなかなか見当たらない。

皆他の所属であるため、勧誘しても蹴られるのがオチだろう。

当然だな、と思いながら鳳さんを呼ぼうとすると。

 

「わぁ…!」

 

とある一人のショーに夢中になっていた。

どうやらロボットを使ってショーをしているようだ。

物珍しさからかなり多くの人が眺めている。

オレも同様に眺めているとなにか違和感があった。

 

(…ロボットを使ったショーなんてあっただろうか?)

 

なんて考えていると、遠くから警備員が走ってきている。

何事かと思っていたら、

 

「こらぁ!また君か!勝手にやられちゃ困るよ!」

「フフ、それじゃあ皆さん今回のショーはここまでです。

楽しんでいただきありがとうございました」

 

そういって警備員と謎の男は走り去っていく。

男が去っていったことで眺めていた人たちも少しずつ他の場所へと去っていく。

 

「すごかったね!司くん!…司くん?」

「…鳳さん。アイツをどこかで見たことはあるか?」

「へ?うーん…多分、ないかな?」

 

…み、見つけたぞ。

人手不足解消に最適な人材!

 

「鳳さん!今度どこかでアイツを見つけたら勧誘するぞ!」

「あのロボットさんたちと一緒にショーをやれたらとっても楽しそう…!うん!わかった!」

 

絶対勧誘してみせるぞ…!

多くの人を、そして咲希を笑顔にするために!

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