司「役者たるもの、やはり様々な経験を積まねばな!」 作:司単推しの豆腐
そろそろ限界です。
なので誰か続きを書いてください。
「…しかしどうするべきか」
自身が通う高校、神山高校への道中。
昨日のことを思い出しながら独り言つ。
昨日見かけたロボットとショーをする男。
彼をもし勧誘することができたのならきっと状況はかなり好転することだろう。
「…まぁ、問題は山積みなのだが」
まず一つ。所在が分からないこと。これが当面で一番の問題だろう。昨日あそこへいたのは偶然かもしれず、昨日の今日ではあそこに行かないかもしれない。となると勧誘のしようがない。
二つ目に、彼が所属してくれるかも分からないこと。あれだけの技術力があるにも関わらず、おそらく無所属…なにかしらの事情がある可能性も考慮すべきだろう。
とりあえず大きいのはこの二つだろうか。
…まぁとりあえずは。
「人に聞くのが一番、だな」
あの様子だと、何度かやったことがあるに違いない。
そうなると、いろんな人が見たことがあるだろうから、人に聞くのが一番の近道になるだろう。
とりあえずの方針が決まったところで、学校につく。
まずはクラスメイトに色々聞いてみるとしよう。
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「ロボットを使ってショーをしてるやつ?」
「あぁ、少しばかり用があってな。なにか知らないか?」
教室に訪れ、クラスメイトに早速聞いてみる。
「そういえば…このまえ道端で見た気がするな…。
興味がなかったからあまり見てなかったけど…結構いろんなところでやってるみたいだったぞ。
…それ以上のことはわからない、かな。すまん」
「いや、十分だ。ありがとう、礼はまたしよう」
なんとなく分かってはいたが、やはり神出鬼没に行っているようだな。
となるとやはりこちらから探すのは難しいのだろうか…?
色々考えていると先ほどのクラスメイトから声がかかる。
「なぁ、その、こっちから礼を求めるのも図々しいと思うんだが…」
「うん?なんだ?オレにできることならやるぞ?」
「本当か?ならサインを書いてやってくれないか?
妹が欲しがってるんだ。
どこからか天馬が同じクラスだ、って聞きつけたらしくてな…ねだってくるんだよ」
「その程度なら構わないが…アイドルとしてのオレのサインではないぞ?」
今のオレは役者としての道を歩んでいるからな、アイドルのオレと混同されては支障が出るやもしれぬし、区別ははっきりとしておかねばな。
「…?そこらへんはよくわからないけど…天馬にも事情があるだろうしな。
俺からもそういう風に伝えておくよ」
「助かる…っと、こんな感じで大丈夫か?」
「多分大丈夫だろ。ありがとな」
さて、一応他の人にも聞いてくるか。
この感じだと他も同じ感じな気はするが。
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「それって多分神代のことじゃないか?」
「あぁ、確かに。聞いたことあるな、なんかそんなことやってるって」
色々な人に聞いてみると結構すぐに新しい情報が出てきた。
意外に、名の知れた人物であったらしい。
「アイツ、なんか怖いんだよな。こう、何考えてるかわかんないっていうか」
「わかる。前に通ってた高校、すっげー頭のいいとこらしいぜ?しかもそこでトップだったみたいな…」
「やっぱ頭が良すぎると多少変わってるもんなのかね?」
…悪い方向で知れている様子だが。
しかし、まさかこの高校にいたとはな…世界というのは案外狭いものだ。
「…ありがとう。助かった」
「あぁ、またな天馬」
聞いてみた感じ、やはり一筋縄ではいかないであろうことを確信するが、それでも進歩があったことがやる気を促進させる。
とりあえず神代とやらに会いに行ってみるか。
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み、見つからん…。
話からなんとなく分かっていたが、どうやら周囲との親交があまりない人物のようだ。
「一応きたが…こんなところいるか?」
学校での目撃情報が異様に少ないことから、人気の少ないところによく居るのだろう、と思い立ち、屋上へと続く階段を上っていた。
上から人が降りてくる音が聞こえる。
どうやら先客がいたようだ。
すれ違う寸前、なにか違和感がある。
見る限りでは可愛らしい薄桃色の髪の女子。服装もきちんとしていて、不快感は感じない。
むしろ好印象ですらある。
顔を見たことはないことから一年生なのだろう。
どこか暗い顔をしているが…何かあったのか?
「…んぇ、て、天馬司…?」
「む、オレを知っているのか?」
どうやら目の前の女子生徒もオレのことを知っているらしいな。
流石オレ、一年生にも名前が知れているとは。
「そ、そりゃ知ってるよ!
出演してたドラマは全部見たし、特に『君がくれた星』のエンディングの書き下ろし『星影のメロディ』はピアノがドラマの物悲しいけど暖かい感じにあって最高だったし!
アイドルの頃もかっこよくてかわいくて最高だったし、それに…」
「わ、分かった。君がオレのファンなのはよく分かったから。」
「あ…ご、ごめんなさい…」
「いや全然大丈夫だぞ。むしろそんなにも追ってくれてうれしい限りだ!
サインはいるか?」
「い、いいの?お願いします!」
こんなにも反応がいいとついファンサもよくなってしまうな…っと、忘れていた。
「君、名前は?」
「あ、忘れてた…えっとボクは暁山瑞希です」
「了解した、よろしく。暁山さん」
「呼び捨てでいいよ?あの天馬司くんからさん付けってなんかこそばゆいし」
「わかった、よろしくな、暁山」
そんなことを言いながら、暁山にサインを手渡す。
喜んだ顔を見せたあと、何かに気づいたような反応をし、暁山は何かを言いたそうにこちらを見ている。
「…す、すまん。名前を間違えて書いたりしてしまっただろうか?」
「え?!いや、そういうわけじゃないんだけど…」
暁山は少し迷った後、意を決したようにこちらに問うてくる。
「…先輩って、なんでアイドルやめたの?」
暁山さんは聞いてはいけないことを聞いたかのように暗い顔をしている。
別に隠そうとしていたわけでもないのだが…そういえば公表とかはしていなかったか?
…アイドルの天馬司としてのオレのケジメをつける意味でもここで言っておこう。
「別にアイドルが嫌だったわけじゃないんだ、むしろかなり楽しかった。」
「なら、なんで?」
「他に夢があったからだ」
「夢…?」
何度だって見た。アイドルとしてオレが舞台に立ってきた景色。
すべて素晴らしいものだった、と断言できる。しかし…
「その夢のために必要不可欠なことだった。しかし、アイドルはオレの夢じゃなかった。それだけのことなんだ」
「夢って?」
「それは…
内緒だ!」
「ここまで来て?!」
我慢してほしい、どうせすぐにわかるだろうからな。
「…うーん、ま、いいか…ありがとね、先輩。答えてくれて」
「あぁ平気だ。楽しみにしておいてくれ
きっとすぐにでもまたオレの名が轟くだろうからな」
「うん!待ち遠しいなぁ…!」
話す前とは打って変わって笑顔になった暁山に自然とオレもほほが緩む。
はて、そういえば何をしに来たのだったか……。
しまった!そういえば神代とやらを探しに来たのだった。
一年生の暁山が居場所を知っているとは思えないが…聞くだけ聞いてみるか。
「すまない、暁山。神代という男を知っているだろうか?」
「…類のこと?うん、まぁ一応」
なんてことだ、あまりにも間が良すぎるだろう。
朝の予想とは打って変わってトントン拍子でいっていることにもはや怖さを感じながら、話は続ける。
「うむ、少しばかり用があってな。
どこにいるか分かるか?」
「うん、屋上にいるよ」
…いや、本当に都合がいいな?…まぁいい。
話ができるに越したことはない。
「そうか、ならば話をしてくるとしよう。ありがとうな、暁山」
「こちらこそ!サインありがとうね、先輩!」
…この先にいるのか、オレの、ワンダーステージの今後を左右するやもしれぬ男が。
……よし、いくか!
「神代はいるか!」
「やあ!始めまして、かな。
待っていたよ。僕に用があるんだろう?」
扉を開け目の前にいたのは昨日見た男。
……しまった、あちらからすれば初対面か。
「いきなりすまない、オレは──」
「天馬司くん、だろう?知っているよ。
この学校に入学している、というのは本当だったんだねぇ」
知っているのならこちらとしても好都合だ。
手早く要件を言ってしまおう。
「それなら話は早い。
単刀直入にいうが、オレとショーをしないか?」
「…なんでだい……?」
む、何故と来たか…。
「オレはワンダーステージというところに所属していてな…そこにはオレ含め二人しかまだいないのだ。
それで、ロボットでショーをしているのならば、人手不足を解消できると思ったのだ」
「聞きたいのは、そっちではなかったのだけれどね…。
まぁ、分かったよ。君と一緒にやるのはなかなか面白そうだ」
「ならば…!」
「けれど断らせてもらうよ」
…やはり、一筋縄ではいかないようだ。