「お願いです……私を……一人にしないでください…」
「大丈夫だって。俺は君しか興味ない」
「でも!皆…可愛い人ばかりだから……」
晴れて後藤ひとりと付き合う事になった俺こと小田切隼人は今窮地に立たされていた。まさか彼女を泣かせてしまうとは。事の始まりは中学の卒業まで遡る。告白して晴れて恋人になった俺とひとり。最初はぎこちない感じだったけどひとりは徐々に心を開いて色々話してくれた。
バンドを結成して青春を謳歌するのは無理だったが、ひとりにとってはまさか恋人が出来るなんて想定外だったらしいが彼女は俺の前ではたまにだが笑顔を見せてくれる。16歳の誕生日を過ぎて俺はバイクの実技試験と筆記試験をクリアして晴れてバイク乗りになった。親父からプレゼントされた黒いCB400sfで後ろにひとりを乗せてデートにも行ったんだ…そこまでは良かったんだ……けど、卒業式を迎えてクラスでの打ち上げがあり、俺は何故か女子達に連日お呼ばれして気分上々だった。高校入学前日まで女子達と遊んでいたのだがそれがいけなかった。誰もいない夜の公園で、ひとりは泣きながら俺に迫っていた。
「私嫌だった!隼人君が……他の女の子と笑ったり、お喋りしたり……」
「………」
「我儘なのは承知です……でも、私には隼人君しかいないから!だから……だから……」
最低だ……彼女になんもフォローしなかった俺が100%悪い。他の女の子から告白されたけど、俺の本命はひとりだけだ。なのに……彼女をここまで追い詰めていた……
「ごめん。寂しい思いさせて」
「隼人君…!」
「だけど、俺の本命はひとりだけだっ!他の女の子に興味はない。だから信じてくれ」
「……なら……証明してください」
「証明?」
「私が……本命なのか……」
そう言うと彼女は大胆に顔を近付ける……俺はそっと唇を重ねる。ファーストキスの味は正直甘じょっぱい……だけど、彼女をここまで追い詰めたのは俺のせいだ。
「んっ……隼人君……」
「ひとり。ごめんな……もう悲しませない。絶対にだ」
「私こそ……少し」
「いや、ひとりは悪くねぇさ。寂しい思いさせた分、お前の言う事一つ聞いてやる……何かねぇか?」
「一つ……だったら私……海が見たいです……いいですか?」
「もちろん…連れて行くさ!」
ひとりを後ろに乗せてcb400sfを走らせる。高速をあっという間に抜けて、海へ到着した俺達は浜辺に座る。
「隼人君……ぼっちで我儘で、ヤキモチ焼きです……本当に私で大丈夫ですか?」
「俺は今まで恋なんてした事がなかった……だけど、君に惚れたあの日から君しか見えてないよ」
「……嬉しいです……」
「ひとり、本当にすまなかった。これからは気を付ける」
「いいですよもう。私が隼人君にどれだけ愛されてるか分かりましたから…大好きです」
そう言って寄り添う彼女は泣き疲れたのもあり寝てしまった。今回こんな事になってしまったが、もう悲しませない……絶対にな。