我慢をしてるトレーナーに、2人っきりの時はいいんじゃない?
と呼びかけるスピードシンボリのお話
ネット掲示板でも書いてます
https://bbs.animanch.com/board/4590774/
以前別枠で投稿していた物をこちらに上げ直しました
「トレーナー寒い」
「コタツに入ってながら何を言ってるんだいこの娘は……」
季節は冬、私スピードシンボリはトレーナーの自室でコタツに入って暖を取っていた。のだが……
「だってコタツって、入ってる部分は良いけど背中が寒いじゃないか」
「だから俺の半纏貸してやってるだろう、なんなら暖房だって少し付けてるし……」
「トレーナーも男ならさ、女の子がコタツで寒いって言ったら後ろに来てさ、抱きついて温める男気見せてもいいと思うんだよ」
「ならそう言えよ、乙女すーちゃん」
「なっ! コレでもカッコイイスピード様って皆から言われてるんだよ?! って、あれ?」
対面に座っていたトレーナーは、コタツを抜けると私の後ろに座り、私をトレーナーの太ももの間にしながらコタツへ入った。
そのままトレーナーは私のお腹の前に腕を回し、優しく抱きついて来た。
「あの……トレーナー?」
「なんだ、お前がこうしてって言ったんだろ。それとも流石に暑くなるからやめるか?」
「トレーナーってたまにイジワルな事言うよね、やめないよ」
私はトレーナーを背もたれにし、頭を彼の胸板に擦り付け甘える。くすぐったいのか少し声が漏れてるが、嫌な雰囲気は無さそうだ。
「少し意外だな、トレーナーってこういう恋人同士のイチャイチャ嫌なんだと思ってた」
「普段は俺やお前の立場もあって断らざるを得ないんだ、けれどこういった場所ならお互い周りの視線を気にせずしたい事が出来る」
「……じゃあ、トレーナーも私とイチャイチャしたかったって事?」
「そうだな、大人失格だ」
そう言う彼は少し自嘲気味に笑う、そうなる意味が分からない程私は世間知らずでは無い。だからこそ普段彼の制止の声を聞き留めてる訳だから。
「トレーナー」
「なんだ、スピードシンボんむっ!?」
けれど、どんな理由であれ私の前では笑ってて欲しい。私の事を想ってる時は、幸せでいて欲しい
私はトレーナーに、初めての唇を捧げながらも想いを話す事にした。
「トレーナー、確かに私達の関係は世間一般からはよく思われないかもしれない。トレーナーが気遣って、隠そうとしてくれる事も嬉しい。けど、なればこそ2人っきりの時は心遣いを一旦手放してもいいと思うんだ」
「スピードシンボリ一体何を言って、てか何して?!」
「うるさい」
口ごたえや説教し始めようとする口を、私は無理やり塞ぎもう一度仕切り直す。
「私とキミしか居ない空間なら、キミももっと私を求めてくれてもいいんじゃないかって言ってるんだよ!」
「結構すごい事言ってる自覚ある?!」
あるよ! けど、それ以上に引けない気持ちがあるんだこっちだって。
「実際かなり恥ずかしい」
「そら見た事か」
「でもキミだけが我慢をし続けるなんて、私は嫌だ」
「それは、ありがたいけどさぁ……」
「キミと私は運命共同体だ、私が頑張る時はキミも頑張り、キミが我慢する時は私も我慢する。なら、私だけ〝わがまま〟通してキミは我慢するなんて不公平だ」
「………………」
私はトレーナーと対等で居たい、その上で愛し合いたい。庇護対象として扱われてる今も嬉しいは嬉しい、けれど〝今だけ〟は庇護の対象では無く、恋慕の対象である私を見て欲しい。
「分かったよ……」
「ッ!」
「お前がそこまで言うなら、俺も2人っきりの時は我慢を辞める。けど、そこまで言うなら責任取れよ」
「責任?」
はて、トレーナーが私の人生を棒に振るような事はしないだろうし……一体なんの事だろうか?
「俺がどれだけ我慢してたか思い知るんだな、〝乙女すーちゃん〟?」
「え? なんで今そのあだ名を読んで──」
私はその後、彼の我慢を解き放ったことを少しだけ後悔した。けど、それ以上の幸せを感じたので良しとした。