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以前別々であげたものをこちらに上げ直しました
「え?」
「ほらほら、はやく」
休日、自室でスピードシンボリと寛いでる最中急にそんな事を言われた。
「えぇ……じゃあピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザ」
「じゃあ、ここは?」
そう言いながら彼女は肘を指差した、一瞬引っかかってやってもいいと思ったが、負けた気がするから素直に答えた。
「肘、だな」
「ありゃりゃ、流石に引っかかってくれないか」
「流石にな……なんだスピードシンボリ、暇なのか」
「あぁ、なんせ俺の好きな人はどうやら釣った魚に餌をくれないようでね、飢えと暇で潰れてしまいそうだ」
「うっ悪かったよ」
恋仲になっているとはいえ俺たちはトレセンのトレーナーと生徒、何より相手はシンボリ家の令嬢だ。節度ある距離、節度ある触れ合いをしなくてはいけない。
「ふふふっ少し言い方がイジワルだったね、でももし悪いって思うのならもう少し遊びに付き合って欲しい」
少し拗ねてるような顔でそうオネダリされ、俺は降参の意を示すように頷く。
「それじゃあ今度は、〝すき〟って10回言って欲しいな」
「えーっと、すきすきすきすきすきすきすきすきすきすきっと……それで、次は?」
ポンッ♪
「ポン?」
「いや、十分だよトレーナー」
スピードシンボリは、〝録音アプリ〟を開いてるスマホの画面を見せてくる。俺は身が冷える思いをし咄嗟に手を伸ばすも、躱されてしまう。
「おっ落ち着くんだスピードシンボリ! 良い子だからそのスマホをこちらに渡すんだ」
「私は至って冷静だよ、落ち着くべきはキミの方じゃないかい?」
「因みにだが、その録音の使い道は聞いてもいいかな?」
「別に? キミが私の恋人としてするべき事、やって欲しい事をしてくれれば使う事なんて無いよ。例えば──」
よし、まだどうにか何とか……
「シンボリ本家の邸宅に私と来てくれればね」
クソっスピードシンボリからちょくちょく、シンボリ家の邸宅に来ませんか? というどう考えても〝顔見せ〟を先送りにしていたツケがここで来るなんて!
「そもそもとして一度は既にケジメとして一緒に行ったのだから、そこまで嫌がる事は無いと思うが」
「いや、だって……未成年に手を出した奴がどの面下げてご実家に行けるって言うんだよ」
「そう悲観する事は無いと思うがね、ウチの両親も〝若い者にしちゃ良い目のある肝っ玉だ〟って褒めてたじゃん」
「そう言ってる時の君のお父様、視線だけで俺を殺せるんじゃないかって位殺意込めてたけど」
「アレはどっちかって言うと、〝裏切るなよ〟って言う意味だと思うよ。それともキミは、俺を裏切るのかい?」
「そんな訳無いだろ……分かったよ、腹括ってもう一度行くよ」
俺がそう決心すると、スピードシンボリはパァッと顔を明るくさせながら抱擁してきた。
「ヤッタ……それと、ごめんトレーナー。結構無理やりな方法使っちゃって」
「君に振り回されるなんざ何時もの事だよ、俺の方こそひよっちゃってごめん」
俺は彼女を抱擁しかえし、少ししたら解放し手を繋いでソファへと一緒に腰掛けた。
「両親がこないだ電話で、時期尚早かもだけどキミにウチの家紋が入ったスーツ一式と、バッジを渡したいって言ってたよ」
「そーっれは、かなり光栄な事だね」
「青ざめながら言っても説得力無いよ」
「虚勢を張れた事だけでも褒めて欲しいよ……新米には荷が重いと思うんだけどね」
「それほどキミが認められてるって事だよ」
そう言う彼女の顔が、本当に心の底から嬉しそうだったから……
「……そうかい」
俺も、頑張って背負い込む事にした。