ハリーポッターと毛の貴公子   作:雁木まりお

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VSピーター

「アバダケダブラ!」

 

ピーターの杖先から放たれた緑色の稲妻はアバダケダブラ…相手を即死させる「死の呪文」である。「磔の呪文」「服従の呪文」に並ぶ闇の魔術であり、許されざる呪文として魔法界では使用を禁じられている。そしてアバダケダブラには対抗呪文が存在しない。つまりかわすか軌道上に障害物を置くしか防ぐことができない。最悪にして最後の呪文である。

 

「鼻毛真拳!…何っ!」

 

ピーターはネズミに変身して小さくなり、ボーボボの鼻毛真拳を避けきった。そしてピーターのアバダケダブラはボーボボに向けられていた訳ではない、最初から背後のビュティたちが狙いだったのだ!アバダケダブラは当たれば絶対に死ぬ拳銃のようなもの…当たれば体のどこであろうと助かることは無い!

 

「きゃああああ!」

「ビュティィーーー!!!」

 

ボーボボは鼻毛を伸ばしたがもう既に緑色の閃光はビュティの目の前に迫っている…。もはや助かる術はないのか!?

 

「ふう…ひどい目にあった…。ってギャアアアアア!」

「天の助君!?」

 

その時、割られた窓から落下した天の助が這い上がって来た。事態を呑み込めていない天の助はビュティの代わりとなってアバダケダブラが直撃する!

 

「そんな…。私の代わりに…?」

「天の助!」

「くっ…天の助!大丈夫か!?」

「はっはっは…油断したなボーボボ!死の呪文は相手を即死させる…もうソイツは助からん!次はお前たちだ!」

 

 

 

 

「痛ってえ…」

「何イィィ!?」

 

アバダケダブラが直撃したはずの天の助は何事もなかったかのようにむくりと起き上がった。

ピーターにとってそれは悪夢のように映った…。

まさかコイツはディメンターやゴーレムのように命のない存在だというのか!?

 

「天の助君!大丈夫なの!?」

「え?別に何ともないけど?」

「ちょっと奥さん、コレ見てコレ」

 

ボーボボは天の助に手鏡を差し出した。そこに映った天の助の額には…

 

 

       消費期限:19○○/10/31

 

 

「いやああぁぁ!消費期限が切れてるううぅぅ!」

「くっ…よく天の助の消費期限を!許せねえ!」

「鼻毛の錆にしてくれる!」

「待て!アバダケダブラを喰らって消費期限切れだと!?そんなバカな…お前たちは何者なんだ!」

 

「そうでーす☆」

「僕たち」

「私たち」

「「「バカでーす☆」」」

 

「クルーシオ!(苦しめ!)」

「「「ギャアアアアア!!」」」

 

ピーターは磔の呪文をボーボボ達に唱えた。ふざけていたバカ達は避けられず仲良く痛みに転げまわってしまった。

 

「フン、死の呪文は強力だが燃費が悪い…元から連射できるようなものではない。効かないなら他の呪文を使うまでだ!」

 

そう、死の呪文は相手への殺意や強力な魔法力が必要な闇の魔術…それを通常呪文のように連射できるのは一部の例外のみ。そう、それこそ「例のあの人」のような…ピーターは闇の帝王の恐怖に負け仲間を裏切った。もう後戻りはできない!

 

「トドメだ!コンフリン…」

「待ってくれ!『スキャバーズ』!」

 

馬鹿な…この名は…その声は!

ピーターは恐る恐る振り返った。思い出すのはネズミとして生きた屈辱、後悔、そして『彼ら』を裏切った罪悪感…

 

「ロン…!」

 

そこにいたのは赤毛の青年、ロナルド・ウィーズリー…ピーターが12年間裏切っていたウィーズリー家の一人だ。

 

「ピーター・ペティグリュー!もうやめよう。自首するんだ」

「な…何を…」

 

彼は一体なぜここに…?不死鳥の騎士団としてハリーポッターと一緒にいるのではなかったのか?

 

「ピーター…僕は僕と家族を騙して、ハリーの両親を裏切った君を許すことができない。マグルの人たちまで殺して逃げ回って…そんな卑怯者がスキャバーズの正体だって知ったときはこの世の終わりみたいに思ったさ」

「……」

「でも、分霊箱を探す旅の途中で、僕はスリザリンのロケットを身につけて…ヴォルデモートの魂の欠片をとても恐ろしいと思った。ただ身につけているだけで恐怖に屈しかけたんだ。それで…ハリー達を置いて逃げてしまったんだ。」

 

ロンはピーターに自分の気持ちを吐露し始めた。軽蔑していたピーターをネズミのスキャバーズととしではなく、一人の人間として見つめ直そうとしてた。

 

「もし灯消しライターがなかったらずっと逃げていたかもしれない。そして思ったんだ。お前も怖かったんだろ?ヴォルデモートが…そして死ぬのが」

 

ピーターの顔が罪悪感に歪んだ。悔恨の苦しみで心が裂けそうだった。

 

「お前もグリフィンドールで、きっと勇気があったんだろう、でも勇気の出し方を間違えた。恐怖を乗り越えることが勇気だ。屈してヤケクソになった思い切りの良さは勇気じゃない。今こそ本当の勇気を出す時だ…自首しよう」

 

それを聞いたピーターは…

 

「ふぐぅっ…はは…ははは!」

 

泣きながら笑っていた。

 

「ピ、ピーター?」

「おそらくだが、良心の呵責で精神がおかしくなったんだろう…奴は根っからの邪悪ではない、それに人間の精神を保ったままネズミとして生きてきた。更に本物のヴォルデモートが復活してから恐怖を抱いてそばにいた。精神がおかしくなっても不思議じゃない」

「なるほど…でもどうしたアンタみたいな金髪アフロがピーターの過去を知ってるんだい?」

「そりゃモチのロン…この本に書いてあるからな」

 

『解説役のボボ山』と書かれたテロップを出しながらボーボボは懐から一冊の本を取り出した。

 

「その名もハニー・タッカーと魔法の対決!」

「それパロディ小説のほうじゃん!」

「おっと間違えた、こっちの分厚いほうだな」

 

今度こそ取り出されたのは名作『ハリー・ポッターシリーズ』である。

 

「ていうかまずいよ!ボーボボじゃないんだからメタ的な描写はハリーポッターに合わないよ!」

「ワオ!おったまげ!その本は児童文学なのにそんなに分厚いのかい?」

「驚くとこそこ!?」

 

しばらくロンは「まるで辞書だね」とか「トロールの鈍器」とか適当なあきれ方をしていた。

 

「しまった!そんなことよりピーターをなんとかしないと…!」

「許せねえ…!」

「首領パッチ君…?」

 

「組の頭は部下に命を張らせるんじゃねえ…頭が部下のために命を張るんだ…!それをヴォルデモートのやろう!仲間を裏切らせて、恐怖で支配してやがる…そんなの頭じゃねえ!」

 

首領パッチはハジケ組の組長としてヴォルデモートへ強い怒りを抱いた。

その怒りの声に破れかぶれになったピーターが反応した。

 

「うわあああ!アバダケダブラ!」

「やめるんだピーター!」

「首領パッチ!」

 

緑色の閃光が首領パッチに向かう。直撃する寸前、首領パッチが金色に輝き始めた!

 

「破ァァァーーー!!!」

 

黄金の体、腕に現れた布…首領パッチが変身した姿、怒んパッチである。

 

「あ、あの姿は!」

「まともになった首領パッチ君だ!」

「あの姿は自分への怒りが変身のトリガーのはず、なぜ今?」

 

「思い出すぜあの日々を…ヴォルデモートとホグワーツで過ごした日々を!止められなかった俺のせいだ!」

 

『卒業しても…俺様達はずっと友達だよな首領パッチ!』

『当たり前だ!』

 

あの日の学び舎、卒業式で交わした約束…

 

「なにこの回想!?嘘の記憶で怒っちゃだめだよ!」

「記憶力のない自分に腹が立つ…!」

「そんな怒り方アリなの!?」

 

しかしその怒りで怒んパッチの強さは更に上昇した。

 

「クソ野郎ーーー!!!」

「死ねーーー!!!」

「えっツッコミにしては激しすぎやしないかい?仲間なんだろ?」

「お前もやるんだロン!今の首領パッチは怒るほど力が増す!お前のブリティッシュジョークをみせてやれ!」

「わ、わかったよ…お前の元ネタ味の素のキャンディ!スーパーサイヤ人のパクリ!」

「うおおお!『おやびんラッシュ』!!」

 

怒んパッチの必殺技が暴走したピーターに炸裂する!

しかしピーターにとってその拳は肉体よりも心に響く攻撃だった。

 

ーああ、完敗だ…ー

ー親友を裏切って、逃げ回って、こんなところで終わるのかー

ーもし願いが叶うなら、次があるのならー

ーもしマーリンがいるなら願いを聞いてくれ…ー

ー今度はこの人についていきたい…ー

 

そのときどこからともなく雷が現れ、ピーターを打ち抜いた。

 

「おやびーん!」

 

そこにいたのは首領パッチに似た奇妙な生物、コパッチになったピーターだった。

 

「ええ!ピーターが変な生き物になった!?」

「魂が首領パッチに近づいたんだ、よくあることさ」

「よくあるのかい!?」

 

こうしてピーターを倒したボーボボ一行…そして次はいよいよ終点、ホグワーツである。

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