アンケートは、Ⅱ章のどこかで締め切ります。
既に答えてくださった方々、ありがとうございます!
迫る体育祭と緑谷出久育成計画!?
その後もなんやかんや大変であった。
まず、どこから話が漏れたのか、雄英が
これには雄英も、生徒の安全を加味して翌日は臨時休校。同時に、自宅待機を厳命される事態となった。
さて、休校も終わり登校日。
「皆ー!! 朝の
「皆、着いてる……天哉だけだよ、着いてないの」
「何ィ!?」
朝からフルスロットルであろうと空回る飯田に、アルスが先んじてツッこんだ。
相澤と13号は現在も入院中。
相澤はアルスが生術である程度治療した故に問題はないだろうが……13号に関しては、アルスの治療は手付かずだ。
詞術を使う上で必須なのが、対象に対する理解。
13号に対してはそれが不足している故に、仮に生術を使ってもほとんど効果がないだろう。
入院中である相澤に変わって、別の教師が
「おはよう」
『相澤先生復帰速ぇ!!』
頭部や腕などに包帯を巻き、両腕にはギプスを取り付けている相澤が入室し、教室内は驚愕に包まれた。
これには勿論、アルスも予想外だった。いくら生術で治療したとはいえ、完全ではない。ショック反応を起こさないよう大々的に治療出来なかった、というのが主な理由だが、こんなにも早く戻ってくるとは思わなかった。
「相澤先生、もう退院して大丈夫なんですか!?」
「竜間の詞術とやらによる治療と、
相澤の言葉に、教室内は一瞬で緊迫した空気となる。アルスも警戒の念を募らせるが───
「雄英体育祭が迫ってる…!」
『クソ学校っぽいの来たぁ!!』
教室内が狂喜乱舞する。
思い返すと、今日に至るまで学校行事らしい事など、相澤主催の個性把握テストを始めとして大体すっぽかされている。なんだかんだ、皆学校行事に飢えているのだ。
そんな中で、峰田だけが唯一開催に異を唱えるのだが……
「逆だ。例年通り開催する事で、雄英の危機管理体制が盤石である事を世間に示す、ってのが考えらしい。勿論、警備は強化する。例年の五倍にな。…なにより、
そう。
かつてオリンピックと呼ばれる大会があったのだが、個性出現以降、出場する人口も規模も縮小してしまい、最終的に形骸化。今やそれに代わる大規模な大会として、雄英体育祭が開催され世界中を熱狂させているのだという。
そしてその大会は、無論プロヒーローも見ている。その目的は主にスカウト。要は、大衆が楽しめる大会であるのと同時に、優秀な人材探しも兼ねているのだ。
「当然、名のあるヒーロー事務所に入った方が、経験値だけでなく話題性も高くなる。時間は有限。プロに見込まれれば、その場で将来を拓けるって訳だ」
年一回の、三回だけのチャンス。
雄英からヒーローを志す者において、絶対に外せない行事。
「(そっか。おれも、雄英体育祭に出るのか……テレビで観るだけだった、あの……)」
アルスもまた、密かに憧れていた体育祭に出れる事に、楽しみな気持ちを抱く。
「(だったら……“アレ”も、早くモノにしないと)」
そう思い耽ながら、朝の
◇◇◇◆◆◆◇◇◇◆◆◆
雄英高校にある、数多く存在する訓練場の一角。
突如、訓練場の一部から巨大な爆発が起こった。
「ギャアアアアア!!!」
その訓練所で、緑谷出久が
事の発端は、一時間ほど前に遡る───
『という訳で出久。今日から…おれが出久を鍛えるよ』
『いや急にどうしたの!?』
教室に人が密集し、後に散ってようやく帰れる、という時にアルスが出久にそう言った。
『出久は……言っちゃ悪いけど、だいぶ出遅れてる。このままじゃ、かなり工夫しないと……勝ち残れないと思う』
『それは……僕が、よく分かってるよ…』
『だから……おれが、出久を鍛える。出久の個性の使い方に思う所があるから……それを伝えるついでだと、思って。場所は…相澤先生から許可を取って、訓練場借りるから』
そう伝え、二人はひとつの訓練場に赴く。
相変わらずの広大な街並みを模した訓練場にやってきた二人は、早速出久の特訓……手始めの個性制御に取り掛かる。
『まず始めに……出久の個性の制御から。出久、個性使う時…なにかイメージしてる?』
『イメージ……うーんと……制御する上では、“レンジに入れた卵が爆発しない”感じ…?』
『…………ユニーク、だね』
出久が提示したイメージの内容に、アルスは天を仰ぐ。突飛な発想に、そう表現する外なかった。
『……まあ、うん。申し訳ないけど…多分、そのイメージじゃあ一生、個性の制御はできないと、思う』
『えっ』
『……話を、戻すよ。出久は、個性を使う時…“使用部分”だけに、個性の力を集中させてるよね』
『……?』
アルスがそう言うも、出久はよく分かっていない様で、首を傾げる。
『…つまり、殴る時は腕“だけ”。高く跳ぶ時は脚“だけ”。そこだけに、全力を注いだら……そりゃ折れるよ』
『で、でも……100%を出したら身体が……』
『…出久。その100%を一部分に収束させるから、制御も上手くできなくて、折れるんだ。…そうだな、さっきのレンジの例えを使うなら……冷凍食品を温める時……全体を温めて食べられるようにするでしょ。それを……出久自身に置き換えるんだ』
『僕に、置き換える…………あ』
出久はどうやら気付いたらしい。
アルスのアドバイスを、出久はその思考能力で急速にまとめていく。
『そうか何で気付かなかったんだ。アルスくんの言う通り手足だけに個性を使ったら負担が掛かりすぎて折れる。そうだよな、僕の身体はまだギリギリ収まっているだけに留まっているんだもの。アルスくんの言うレンジの話を僕に置き換えると、レンジが個性で冷凍食品が僕。冷凍食品全体を温める上で最適なワット数に調整して温める。つまり……』
『個性を全身に及ばせながら、出力を一から随時上げていく!!』
───
出久の全身から血管のような紋様が浮かび上がると、それに呼応する様に緑の閃光をまとい始める。
その様子を静かに見守っていたアルスは、出久が何かを掴んだ事に、嬉しそうに口角を上げる。
『掴んだみたいだね』
『う、ん……けど、まだ持続が難しい上に、まだ5%しか出力できない…!』
『仕方ないよ…まだ、扱い方を理解しただけなんだから。……さて、次に移ろう』
『つ、次?』
『次は……その状態を維持しながら、おれの攻撃を五分間避け続けて』
『…………ゑ???』
───という訳で、今に至る。
「大丈夫…?」
「な、なん…とか……(キッッッツ…!!)」
結局出久は、個性発動の状態を維持する事ができず、アルスのゴム弾を被弾し、耐久できたのは1分。
「も、もう一回…!」
「わかった」
そう言ってそれを、二人は完全に下校する時間まで繰り返す。
その度に出久は、自分の問題点や改善点を自覚していく。
回避動作の無駄の多さ。
体力配分の悪さ。
そして、個性発動中の動作のぎこちなさ。
最後は習得して間もない為仕方ないだろうが、前二つは鍛えれば改善できたはずなのだ。
「(アルスくんの、言う通り……僕が一番、出遅れてる…!)」
アルスは知る由もないが、出久は去年の春頃、個性を受け継ぐ器を作り上げる為に鍛えた。
だが、それ以前から鍛える事も出来たのに、出久はしなかった。無理だと諦め、努力しなかったツケが回ってきていること自体、出久がよく分かっている。
なにより、アルスも出久のトレーニングに付き合う義務などない筈だ。
皆、自分の事で精一杯で、他者……特に出遅れている出久を気に掛ける必要など少ない筈だと言うのに。
「(……応えなきゃ。アルスくんが、僕にわざわざ付き合ってくれてるんだ…!)」
出久はなんとなく、アルスが自身を気に掛けている理由が分かってきた。
心配なのだ。友達である出久が。
なにかする度に手足を折る怪我を負い、その都度アルスは出久を生術で治している。
だが、それを繰り返す訳にもいかないのは、お互い分かっている。
「(この限られた期間で、アルスくんと出来ることをひとつでも増やす!)……って、どわあああ!?」
「……1分52秒」
◆◆◆◇◇◇◆◆◆◇◇◇
「…今日は、ここまでにしよう」
「はっ……はいっ……」
息を切らしながら返事をする出久を横目に、修繕用の無数の雄英ロボットが通り過ぎ、作業を開始する。
「……それにしても、驚いた。まさか二分切り手前まで耐久するなんて」
「えっ……そこまで、いくと、思って……なかったの?」
「うん。今日一分切れるのは、予想してたけど…二分近くまで粘れるとは、正直思ってなかった」
出久は若干傷付くが、実力差等の問題で、仕方ない事だと納得せざるを得ない。
アルスは魔具・魔剣の大部分を制限して臨んでおり、詞術……力術・工術・熱術に加えて
詞術は別系統を同時に行使できない。それでも出久が被弾するほどの速度で詠唱し、絶え間なく攻撃してくる事に加え、突然やってくる狙撃。時には跳弾させて狙ってくる。
三系統の詞術に気を取られていたら狙撃を食らい、かといって狙撃に警戒していたら詞術の攻撃を受ける。
改めて出久は、アルスの強さを実感する。正直死体だったとはいえ、脳無に同情すらした。
この計四つの攻撃に加え、魔具・魔剣も加わったらもうどうにもできない。
「一応……明日もやるけど、大丈夫?」
「全ッ然大丈夫…!」
「うん。それでこそ出久だよ」
そう言葉を交わした二人は、明日以降もまた、訓練場で鍛える事となる。
それからというもの、出久はアルスとの鍛錬に精を出していた。
三日目には二分を切り、四日目には三分手前。
徐々に対応出来るようになると……
「五日目だけど……今日から“凶剣セルフェスク”も、追加するから」
「えっ」
さらに手数を増やされ、ギリギリ三分。
六日目になると、変化が生じる。
「【
「(ッ、熱術…! 急いで避け……)……え」
アルスが放った熱線を避けようとした出久。
出久も、アルスの見立ても出久に当たる筈だった。しかし、出久が今までにない速度で加速し、熱術を回避した。突然の変化に、二人とも驚きを隠せない。
「(今の……もしかして、許容上限が上がっ)ぎゃっ!?」
「出久……気持ちは分かるけど、足を止めるのは…アウト。……3分59秒。惜しいね」
「くぅぅ……」
それでもアルスは冷静に
そう、逃げ回る行為という全身運動により、結果として出久の基礎身体能力の向上に加え、身体が鍛えられて個性の出力が上昇したのだ。
確認したところ、どうやら5%から10%前後まで出力できるようになった様で、出久は素直に喜ぶ。
七日目。遂に出久はアルスが課した、攻撃から五分間逃げ延びる、という課題をクリアする。
ひとまずの休憩を兼ねて、二人は訓練場にあるひとつのビルの屋上にて、食堂で買ってきたパンを食む。
「ねぇアルスくん」
「ん?」
「どうして、僕にここまで付き合ってくれるの?」
出久が抱いていた、純粋な疑問。それを口にすると、何やらアルスは小難しそうな表情を浮かべるも、一拍置いて返答する。
「……友達だから、というのもある。それに……なんとなく、出久は早めに強くなるべきだと、思ったんだ。本当に、なんとなくなんだけれども」
「そうなんだ……」
理屈のない、アルスの勘が告げたこと。
アルスは一瞬だけ出久の方を横目で見ると、遠くに視線を移しながら、ひとり独白する。
「それに……出久は、おれなんかより、ずっとすごい奴になる」
「アルスくんより…? そんなこと、無いと思うけどな…」
「いいや。絶対なる。だから、その手伝いを……少しだけしたくなったんだ」
根拠のない確信を、アルスは熱弁する。
出久は反応にこそ困ったが、まんざらでも無さそうだ。
残り一週間も、二人は訓練場で鍛え……そして、待ちに待った体育祭、当日となった。
【どうぐ紹介】
“アルスの
竜間アルスが用いる
またこの銃は魔具ではなく、“実在する”武器である(個性で出せるのは魔弾などの魔具で、銃は出せないため)。
【次回予告!】
出久「遂に来たね、体育祭…!」
アルス「うん。お互い、頑張ろう……きっと、“アレ”も披露する機会があるだろうし」
出久「これ以上はネタバレになるから、下手に言えないけどね!」
アルス「ネタバレ、ダメ絶対」
出久「次回! 【体育祭、障害物競争 前篇】! さらに向こうへ!」
二人「Plus ultra!」
ヒロアカキャラで異修羅構文を書くか否か。
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書いてほしい
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いらない