すみません、急ではありますがアンケートの受け付けを終了させて頂きます。
異修羅構文思い付いたら止められなくなりました。
という訳で、ヒロアカキャラによる異修羅構文、書きます。
体育祭・最終種目のトーナメント戦。
第二回戦の準備に取り掛かる中、緑谷出久は待機室を出ては、来たる二回戦の第一試合……轟焦凍との対戦の為、会場出入口に向かっていた。
緊張の感情以上に気に掛けていたのは、轟焦凍の事だ。
昼休みに入る手前に出久は轟に呼び出され、ある事を話された。
それは、轟焦凍の生い立ちと過去。
フレイムヒーロー・エンデヴァーの息子である彼は、両親の愛情とは無縁の、言わば作られた存在だという。
“個性婚”という、個性が混ざって子供に受け継がれるという特性を利用し、自分達以上の強力な個性の子供を作るという、非人道的な行いだ。
それをエンデヴァーが強要した結果、轟焦凍が生まれたのだという。
轟がヒーローを志す理由はただひとつ。
母を追い詰めた、父への復讐。
その事を出久はずっと気に掛けていたが……今回の試合にはしっかり向き合わねばならない。
そう心に決め、気を取り直した矢先。
「おお、いたいた。君が緑谷出久くんか」
「ッ…(エンデヴァー…本物……!!)」
普段の出久なら、興奮と共にサインを求めただろう。
しかし、エンデヴァーの実態や轟家の家庭事情の一端を知ってからは、エンデヴァーと邂逅しても素直に喜べなかったが……それを気にせずエンデヴァーは出久に話し始める。
やれ焦凍はオールマイトを超える義務があるとか。
やれみっともない試合はするなだとか。
なんとも高圧的で───歪だった。
呆然としていた出久に対し引き留めた事を謝罪して去ろうとするエンデヴァー。
その去り際、出久は口を開く。
「僕はっ……オールマイトじゃ、ありません」
「そんな事は当たりま───「当たり前の事ですよね…!」ッ」
「轟くん……焦凍くんも……貴方じゃない」
出久はオールマイトの
しかし、その力を得た所でオールマイトになれる訳ではない。それは轟焦凍も同じ事だ。
轟焦凍は轟焦凍。
それでも出久が去り際に告げた言葉の意味を、今のエンデヴァーは理解することがない。
◆◆◆◇◇◇◆◆◆◇◇◇
「…大丈夫? お茶子」
「うん、大丈夫……」
酷く目が腫れた麗日が観客席に帰ってくる。一回戦第八試合が終わって間もない。どうやら大泣きしたらしいが、アルスは特に言及しなかった。
「しかし…緑谷くんは轟くんの攻撃にどう対処するつもりなのだろうか」
「デクくん、個性制御出来るようになってたけど……真正面からは厳しそうやし……でも、勝つとウチは思う」
飯田と麗日、そしてアルスの三人は出久が勝てると信じている。対してA組の面々は轟の方が勝率が高いと思っている様だ。実際、轟の氷結はほとんどノーモーションである事に加え、巻き込まれればそこで負けだ。
「……焦凍が氷だけを使う場合…確実に出久が勝つよ」
「と、いうと…?」
突然、アルスがそう呟く。A組の面々が訝しむ中、飯田がその言葉の意味を聞いてみる。
「当然だよ。相手を殺すから手加減をするならまだしも…焦凍は多分、私情で手加減してる。そんな奴じゃ…本気で戦ってる出久には……届かない。あとは……相性かな」
「相性?」
「物理的に触れられる氷じゃ……今の出久の機動力を、補助するだけだから」
『さァ!! 第二試合、一回戦!! 緑谷出久対轟焦凍!!!』
ステージで相対するは半冷半燃、轟焦凍。
二人の持つ、相反する想い。
父への復讐。
憧れへの思いに応える事と、友に追い付くこと。
それが今、ぶつかる。
『START!!!』
プレゼント・マイクの開始の合図。
同時に、轟の真正面に大氷山。
轟が最も警戒するのは、出久の有り得ざる怪力と複数の個性。個々が強力とは程遠くとも、組み合わさった時、恐ろしい威力をもたらす。
故に初手で完封する事を試みたが……
『緑谷、飛んで避けたァ!? どうやって避けたんだありゃ!』
しかし、出久は既に回避に移っていた。
開始と同時に出久は即座に屈み、地面に向けて指一本ではなく
「それじゃあ避けれねぇだろ…!」
そこで轟は追撃に移る。
逃げ場のない空中を漂う出久へと、無数の氷柱が殺到するも……
「黒鞭+エアフォース」
氷柱に黒鞭を括り付けると、自身の背後に向けてエアフォースを放つ。その風圧を推進力とし、さながらター〇ンやス〇イダー〇ンを彷彿とさせる動きでひらりひらりと避けていく。
そして、二本の氷柱の柱へと、両手から黒鞭を放って巻き付けてピンと張る。張力が働くのを堪える中……先の追撃への回避動作で足に溜めていた発勁を発動し、空を蹴る。
「(黒鞭+エアフォース+発勁+OFA20%!!)“擬似80%・セントルイススマッシュ”!!!」
80%相当の速度で飛翔し、轟へと全力の飛び蹴り。
轟はすんでのところで反応し、氷壁を張って防ごうとするが……出久の攻撃力と速度はその壁の強度を容易く上回る。
出久の放つ飛び蹴りが氷壁を突き破り、轟の腹部へと突き刺さった。
「おおおっ!?」
「緑谷の蹴り、入った!」
「み、緑谷くんが蹴り技を!?」
同時刻、A組観客席。
出久の攻撃がクリーンヒットした事に、各々異なりながらも驚きという感情を隠しきれない。
「たしかに、アルスちゃんの言った通りね」
「そうだな。轟の氷結が、却って緑谷にとっての足場に変わってしまっている。これが続けば───」
「……削り殺されるだけ」
「ぐぅ……ォォォオオオオ!!!」
蹴り飛ばされた轟が、後方に幾重もの氷壁を張る。
しかし飛ばされた勢いで轟自身が氷壁を突き抜ける。五枚目に直撃してようやく停止。
「クソ……!」
「……震えてるよ。轟くん」
「ッ!」
出久が着地しながら次に備えて構える中、不意にそう呟く。その言葉に、轟は思わず目を見開いた。
「個性だって身体機能のひとつ。氷結の連発は、きみ自身にも負担が掛かる。冷気に耐えられる限度があるんだ。だって、冷気が効かないなら、君の身体に霜が掛かることなんて、まず無い筈」
「……何が、言いてぇ」
「それは……
出久が遂に核心を突く。轟が不快そうに顔を顰めるが出久には関係ない。
出久の中で、轟への感情がごちゃ混ぜになっている中、ただひとつだけ、確証を以って言える事がある。
「皆…本気でやってる。勝って、目標に近付く為に…一番になる為に!
「全力で、かかって来い!!」
轟焦凍には、緑谷出久の真意は分からなかった。
最初に抱いたのは、父に金で買われた事か。異様な不快感を感じ、その苛立ちの元、氷結を放つも出久には既に見切られ、避けられている。
しかし彼にはその兆候はない。ただ、全力となった轟に挑みたいのだろか。
「(出久…きみは……)」
そんな中、アルスは出久の様子に違和感を覚えていた。
その様子は、まるで……
「(きみは……
何故そう思ったのか、アルスは分からない。
だが、不思議とそう感じたのだ。
出久の異常なまでの正義感や“救いたい”という気持ち。行き過ぎたそれは、自身が傷付く事すら厭わない。
生粋の、
◇◇◇◆◆◆◇◇◇◆◆◆
轟焦凍は困惑していた。
出久は今もなお攻撃の手を緩めない。その最中でも、叫ぶように語り掛ける。
彼自身が抱く目標を始めとした事。それらを、何故自分に語り掛けるのかが、轟には理解し難い行いであった。
その度、脳裏に過去の記憶が過ぎる。
母が泣く光景。父に虐待じみた鍛錬を受ける光景。
───自分が、母に泣きつく光景。
あの時、母は……轟冷はなんと言ったか。
『…………でも、ヒーローにはなりたいんでしょ? ……いいのよ。おまえは───』
少しづつ、少しづつ蘇っていく……己の過去の記憶。
「だから…僕が勝つ! 君を超えてっ…!」
───“マンチェスタースマッシュ”!!!
氷結でその踵落としを防ぐ。直撃はしなかったが、氷壁に亀裂が走り、次の一撃目で破壊され二撃目をもろに食らう。
『お母さん…私、変なの……もう駄目。子供達が……日に日にあの人に似てくる……焦凍の、あの子の左側が……時折醜く思えてしまうの……!』
あの時、やかんの音が鳴っていたのを、鮮明に覚えている。
母の様子がおかしい事に気付いて、恐る恐る声を掛けて……そして───
自分は、火傷を負った。
母は病院に入れられた。自分に危害を加えたから。
『おまえのせいだ……! おまえのせいで、お母さんが…!!』
その時からだ。
明確に、
「俺は……俺は、
「君の! 力じゃないか!!」
出久が、叫ぶ。
何も持たずに生まれた男の子と、全てを持って生まれた男の子。
オールマイトと出久以外誰も知らない、二人の対比。
出久からの魂の叫びに等しいそれは、轟焦凍の閉ざされた記憶の蓋をこじ開けるのには十分で……
『───いいのよ。おまえは。血に囚われることなんかない』
───なりたい自分に、なっていいんだよ。
氷に閉ざされた記憶の全てが蘇る。忘れてしまっていた、母からもらった大切な言葉、その全てを。
……気付けば、轟の左半身から深紅の炎が燃え盛っていた。
「……クソッ、勝ちてぇ癖に。敵に塩送るとか……どっちがふざけてんだ…」
「俺だって、ヒーローに…!!」
この時、始めて轟焦凍は……笑っていた。
同時に、エンデヴァーが自身の野望について叫ぶように語る。しかしその言葉は出久にも、焦凍にも届かない。
今この二人は、お互いの事以外意識すらしていない。
「……いくぞ、緑谷」
「……上等!!」
二人は構える。
焦凍は前傾になり、出久は残った氷柱に黒鞭を巻き付けてはピンと張り、張力に耐えながらつま先で何度か地面を叩く。
一瞬の静寂と、静止。
先に仕掛けたのは、焦凍。
使い慣れた氷結で無数の氷柱を生成し、出久へと殺到させる。
しかし出久は動かない。
「(引き寄せろ。限界まで……!!)」
「(溜めろ。限界まで…!!)」
到達まで残り20m。15……10……5m……
出久は、溜めた“発勁”を解放しながら地を蹴り、前方へと飛び出した。
同時に、氷を生成している間に圧縮した炎を、焦凍は解き放つ。
『擬似80%───』
『膨冷───』
「『セントルイス…スマァァァァァッシュ』!!!」
「『熱波』ァァァッッッ!!!」
ふたつの力が、同時にぶつかり……巨大な爆風を生み出した。
ステージの中央が爆煙に包まれ、その様子は伺えない。
『何今の……お前のクラスなんなの…?』
『散々冷やされた空気が瞬間的に熱され、膨張したんだ』
その結果に伴う爆風。
無論、尋常の火力ではここまでの域には至らない。全ては、焦凍自身の能力の高さがもたらした結果である。
やがて爆煙が止む。
ステージに立っていたのは…………緑髪の少年。
名を───
『轟くん場外! 勝者、緑谷出久!! 緑谷くん、三回戦進出!!』
緑谷出久という。
二回戦、第一試合。
勝者───緑谷出久。
それは右半身に宿る冷気にて、常軌を逸する氷結を操る。
それは左半身に宿る炎熱にて、全てを焼き尽くす業火を放つ。
それは相反するふたつの熱を組み合わせ、遍く全てを灰燼に帰す熱量へと昇華する。
全てを与えられながら、自身の原点の元進み出す、氷炎の支配者である。
燼炎凍駆、ショート。
次回『竜間アルスVS常闇踏陰【前篇】』
ヒロアカキャラで異修羅構文を書くか否か。
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書いてほしい
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いらない