異修羅構文、書くの楽しいけど、クラスや二つ名考えるの難しい。
常闇踏陰。個性『
自我を持つ個性という、世界的にも珍しい個性を持っている。
しかし、
彼には双子の兄弟が
彼は、結合双生児である。
本来別々で生まれる筈であった双子の兄弟は、母の中にいた頃に繋がり、今の常闇踏陰となって生まれ落ちた。
本来ならばその“蓋”は外れる事などない。それ程までに
そして今、光で弱った
……常闇踏陰本来の個性が引き出される。
◆◆◆◇◇◇◆◆◆◇◇◇
「……
強い闘志を宿した言葉を、アルスという友に大体的に宣言する。その感情に呼応するように、彼自身の身体にも変化が訪れており───
「……踏影、それ…なに?」
「? 何を……ッッ!!?」
ドクン、と心臓の鼓動を思わせる音が響く。
常闇の全身に広がった紫のような色合いの紋様。それに伴い彼の足下の影が、影にあるまじき挙動を始め───
影が、アルスへと襲い掛かった。
「ッ!」
アルスが反射的に翼を羽ばたかせ、後方に飛び退く。
出来なかった。ガクン、と一瞬だけ空に躍り出た自身の身体が、何かに引っ張られた。
見ると、先程の影……違う。
「(なんだ、これ……)」
“キヲの手”。“凶剣セルフェスク”。魔具・魔剣を幾度と持ち替えて攻撃するが、一向に解けない。手応えに関しては、
「(なら……)」
アルスは手元にある魔剣や魔具を投げ捨てた。その瞬間、先程まで鞭や楔の魔剣を形取っていたそれらは、元から存在しなかったかのように光の粒子となって消える。
アルスの個性によって具現化された魔具達は、アルス以外“持つ事も使う事もできない”。そこに例外はなく、アルスの手元を離れた瞬間に消滅する。
それらを投げ捨てた直後、鞄から取り出したのは小さな壺の魔具。“地走り”という。
中身を一滴垂らすと、爆炎が昇る。それは、起点に程近いアルスをも巻き込んだ。
観客や実況を担うプレゼント・マイク達からどよめきの声が上がる。
“地走り”の炎が辺り一帯を焼き尽くすように駆け回る中で、爆炎の起点となった場所から一羽の
飛び出す直前までアルスの
“死者の巨盾”という、無敵の防御魔具。
その最小防御範囲は使用者の肉体───即ち、アルスの肉体のみの保護。
先の“地走り”を自身を巻き込む形で放つのと同時に、“死者の巨盾”で身を守り、自身を捕らえる影を光源に晒して焼いた事で、拘束から逃れる事に成功する。
「(性質は…
常闇踏陰が発現させた、謎の影による飽和攻撃。
だが、様子からして彼はこの力を全く自覚していなかったらしい。実際常闇はその力を抑えようと必死にもがいている。
「…鎮、まれ……鎮まれ鎮まれ鎮まれッ……!!!」
気付けば常闇の腕にも影が巡り、鳥のような翼を形取っている。完全に、常闇自身の意思に反しているらしい。
このままでは取り返しのつかない事態になるだろう。
「(……助けなきゃ)」
友の窮地。一羽の
だが、現在使用できる魔具や魔剣が制限されている以上、手段は限られる。
“キヲの手”、“凶剣セルフェスク”。このふたつは先程手放した為、再使用までの時間がある以上まだ使えない。
“地走り”も同様の理由がある。
“腐土太陽”。“慄き鳥”。“ヒツェド・イリスの火筒”。“ヒレンジンゲンの光の魔剣”。
いずれも、殺傷性が高すぎるものばかりが残されている。
「(なら、詞術で……)」
「【アルスより───】」
『それ以上出るな、竜間』
アルスが詠唱を始めた直後、相澤が割って入る。
その瞬間、常闇の足下から広がる影や全身に及ぶ紫の紋様が消えていく。
「竜間くん、離れるか口塞いで!」
同時に、ミッドナイトが自身のタイツを割きながら常闇に接近。彼女の個性、“眠り香”を吸わせて常闇を眠らせた。
「踏影……!」
心配の念が滲む声と共に、アルスは眠った常闇の元に飛翔すると抱え上げ、急ぎ足でスタジアムを後にした。
二回戦、第三試合。
その結果は常闇の起床までお預けという、なんとも後味の悪い形となった。
◆◆◆◇◇◇◆◆◆◇◇◇
「常闇くん……」
眠った常闇を抱えてスタジアムを後にしたアルスの光景を、観客席から出久を始めとしたA組は心配そうに眺めていた。
入学当初からアルスを通して知り合った訳だが、同じクラスメイトとして心配なのは事実だ。
「……試合、終わっちまったのか?」
そこに、リカバリーガール診療所から帰ってきた焦凍が、自身の席に着きながら出久にそう問い掛けた。
「……色々あってね、常闇くんが起きるまで試合の結果は分からないんだ」
「?」
先の試合の状況を知らぬ轟焦凍に、緑谷出久は説明していく。
一方その頃、リカバリーガール出張診療所。
ベッドの上で規則正しい寝息を立てて眠る常闇踏陰を、心配そうに竜間アルスは見つめる。
先の試合で負った手傷は、既に生術とリカバリーガールの個性で治している。
「……無理に付き添わなくたって、控え室に戻ったっていいんだよ」
「……友達が…踏影が、心配だから」
「そうかい」
かれこれ30分近くは経つ訳だが、未だに目覚めない常闇に寄り添うアルスに対して、リカバリーガールはそう言う。
そんな中。
常闇の瞼が何度か動き、目を開く。
「踏影…!」
「……アルス、か? ここは───」
「リカバリーガールの診療所。……目が覚めて、良かった」
アルスはほっと息を吐き、安心しきった表情となり、気を張って強ばっていたのか、力を抜いた。
対して常闇の表情は暗いままだ。先の試合での出来事を気にしているらしい。
「……アルス。先程は、すまなかった」
「? ……なんで、踏影が謝るの…?」
「俺は……俺は、お前を過剰に傷付けようとしてしまった。故に───」
「…だから。なんで踏影が謝るの?」
常闇が謝罪してきた事に、アルスは理由が分からずそう聞き返す。困惑する常闇を他所に、アルスは続ける。
「だって踏影のアレ……故意じゃないだろう? だから、踏影に非がある訳じゃないんだし、謝んなくていいんだ……」
「ッ、だが…!」
「くどいよ、踏影。……とにかく、おれはそんなに気にしてないし、怪我だって…もう治ってる」
先の試合のハプニング。実際、アルスは本当に気に留めていない。その事を示す様に畳んでいた翼を広げたり、腕を伸ばしたりしてみせる。
アルスなりの気遣いが、今はただ嬉しかった
「ッ……すまな……いや、ありがとう」
また謝ろうとしてしまった事に気付いて、常闇は言い直しては改めて感謝の念を告げる。
その表情は、先程のような曇った顔とは程遠い微笑みであった。
◇◇◇◆◆◆◇◇◇◆◆◆
「……ところで踏影。試合、どうする?」
「試合…? お前の勝ちで事が進んでいるのではないのか?」
アルスが持ち掛けた話題に、常闇は疑問を抱く。
二回戦、第三試合。この戦いは、予想外のハプニングによって一時中断という扱いとなっている。
「いや。踏影が起きるまで、動きは未定だって。一応……踏影が望むなら、やり直しもできる」
その内容に常闇は悩む。だが、彼は早くに答えを出した。
ある意味で、決まっていた様なものでもあった。
「……いや。先の試合で、
「……いいの?」
アルスは申し訳なさそうに、あるいは悲しそうにそう聞き返す。お互い、全力でぶつかり合う事を楽しみにしていたが故の感情であった。
「ああ。だが……次は負けん。この
常闇はアルスへと拳を突き出す。それに応えるように、アルスも右の上の腕で拳を作って彼の拳と手を合わせる。
俗に言う、グータッチと言うやつだ。
「……分かった。楽しみにしてる」
ひとりの
強固にして、確かな絆が垣間見えた瞬間であった。
二回戦、第三試合。
勝利者───竜間アルス。
それは己が片割れである影の怪物を、意のままに操る事ができる。
それは暗黒の元強化される影をその身に纏い、尋常の防御を穿つ攻撃性を備える。
それは影の全てを操り、支配する異能を由来を知らぬまま保有している。
光と相容れぬ異能を持ちながら、世に光明をもたらす影の支配者である。
影差す光明、フミカゲ。
【本作での常闇踏陰】
常闇くんの
違和感あったりしたらごめんなさい。
次回、『準決勝ー勝利の権化と