星馳せる英雄は空を翔ける   作:MuliPhein

3 / 28

二話です。
読者自称者の皆様ご存知のアレも、元の内容をちょっと変えて出てきます。


星馳せの転生者 2

国立雄英高校。

現No.1ヒーロー、『オールマイト』、No.2にしてフレイムヒーローの肩書きを持つ『エンデヴァー』、No.4ヒーローの『ベストジーニスト』。

以上三名を筆頭としたトップヒーローを数多く輩出した名門校だ。

そんな校舎に向かって空を飛ぶ(・・・・)影ひとつ。

青い体色の鳥竜(ワイバーン)、竜間アルスである。

 

「ここが、雄英……思ってたより、大きいな…」

 

翼を羽ばたかせる音と共に、アルスは校門前に着地する。

とはいえ有翼の個性持ちは、基本的に国からの許可がなければ飛行ができない。何故アルスが飛行できるのかというと、彼が中学一年生まで遡る。

 

 

 

 

 

『アルス……あなた、思ったより大きくなったわね…』

『なんか、ごめん……龍子姉さん…』

 

中学に入る頃から、アルスの体躯は想像を絶する大きさとなり、背丈は既に龍子を超えていた。その身長は、アルスが中一の時点で二メートル前後である。

アルスは現在、龍子と二人暮しをしている。

龍子がリューキュウとしてデビュー、及び事務所を持ってからは、ヒーローを志すアルスの為、龍子の推薦で彼女が持つ自宅に引っ越して暮らしているが、龍子の出身地と違って公共交通機関が主な環境。

このままでは、彼の移動に大きな制限が掛かるだろう。

 

『ここまで来ると……早いけど、許可は取らないといけないかもしれないわね』

『許可…?』

『そう。飛行個性の使用許可。このまま成長すると、もしかしたら身体が大きすぎて電車もバスも乗れないかもしれない。でも、あなたには翼があるでしょう? 許可証さえ取れれば、場所によっては飛べないけど、空を飛んで移動できるようになるわ』

『…分かった。取ってみるよ、許可』

 

───結果、アルスは中一の終わり頃に飛行個性使用許可を取り、公共交通機関を利用できずとも、遠地への移動が可能となった。

 

ついでに上げると、この許可を十代前半で取ったのはアルスを含めて二人だけであり、最年少はウィングヒーロー『ホークス』である。故にこの手の界隈では少し話題になった。

 

 

 

そして現在、空を飛んできたアルスは、着用してきた制服を正しながら、校舎に歩いて入る。

 

「(この世界…ほんとにすごいや。おれの身体付きに合わせた服も用意出来るんだもの……)」

 

アルスはこの世界の技術力の高さに素直に感心する。

実際、気に入った服があっても翼や右側が複腕のせいで着れない服の方が多いのだが……なんと服屋がその場で採寸・調整してくれるお陰で、衣服には困らない。

なんなら下半身の衣服の対応もしっかりしており、“星馳せアルス”は上半身しか衣類を身に付けられなかったが、アルスは上下共にしっかり着こなしている。

 

「(…あ。こけた)」

 

ふと、アルスが視線を移すとひとりの少年が石畳に足を引っ掛けて転倒しかけていた。

しかし、転倒する直前にまた別の少女が少年に触れると、少年はふわりと浮かび、地面と口付ける事はなかった。

おそらく、少女の個性なのだろう。

 

「(まあ、おれには…関係ないか)」

 

アルスは早々に興味を失い、さっさと手続きを済ませて雄英の校舎へと入っていった。

 

 

 

◇◇◇◆◆◆◇◇◇◆◆◆

 

 

 

『今日は俺のライヴへようこそー!! エヴィバディセイヘイ!!』

「(うるさいなぁ……)」

 

早速会場に足を運んだアルスは、試験内容のレクチャーを行うプロヒーロー、プレゼント・マイクの説明会を聞きに来ていたが、そのうるささにゲンナリしていた。なんなら滑ってすらいて、なおさら呆れていた。

話を戻すと、プレゼント・マイクが口にした試験の概要は、大きく分けて四つ。

 

・制限時間内に市街地を模した演習場で仮装(ヴィラン)を撃破すること。

・仮装敵は大きさや装甲等でポイントが異なり、1〜3ポイントまでが存在する。

・他人への妨害など、アンチヒーロー行為はご法度。

・アイテム等の物品は持ち込み自由。

 

アルスは、手元の資料に書かれている仮装敵の種類が四つある事に首を傾げたが、その疑問はすぐに解消された。

眼鏡を掛けた、いかにも真面目そうな受験生が質問した事で、その正体が判明する。

所謂、妨害役の仮装敵であり、撃破しても加点にはならないとの事。

 

『さて、俺からは以上だ! 最後に、リスナーへ我が校の「校訓」をプレゼントしよう。かの英雄、ナポレオン=ボナバルドは言った。「真の英雄とは人生の不幸を乗り越えてゆく者」と!! Plus ultra(さらに向こうへ)!! それではみんな、良い受難を』

「(さらに…向こうへ、か……)」

 

プレゼント・マイクからの激励の言葉をアルスは言葉の中で反芻しつつ、自分の試験会場へと赴いた。

 

 

 

 

 

試験会場は、本当に街だった。

その事実にアルスは半ば呆れるが、すぐにその感情を取っ払い、自分のすべきことに頭を回す。

 

「(機魔(ゴーレム)みたいなのを倒すだけなら…“地走り”が最適。でも…他の人も巻き込むから、なし。この理屈だと…“腐土太陽”も不用意に使えない……)……銃と、あれが主になる、かな……」

 

ひとりそう呟きながら、アルスは持ち込んでいた歩兵銃(マスケット)と腰に装着している、個性によって具現化した鞄からひとつの鞭らしき道具を取り出す。

 

『ハイスタート!』

 

同時に、突拍子もなくプレゼント・マイクからの開始の合図が会場に響き渡った。

その合図を聞いたアルスは、真っ先に翼を広げて会場に突入する。

十数メートル進んだ矢先に、建物を突き破って、一体のロボットが姿を現す。装甲には『1』の数字が描かれている。

 

『標的発見! ブッ殺───』

「うるさいよ」

 

何やら口の悪いロボットを無視し、アルスは歩兵銃(マスケット)の照準を即座に合わせ、ロボット目掛けて発砲する。

 

───刹那。銃口から放たれた一筋の稲妻が、仮装敵を貫いた。

 

“雷轟の魔弾”

 

その魔弾の正体は稲妻を放つ弾丸。その名を呟く中、周囲の建物を破壊しながら、再び仮装敵が現れる。その数、五。

銃で一斉に撃破するのは難しい。ならば、広範囲を薙ぎ払えるものならば、どうだろう。

 

“キヲの手”

 

金属が軋む様な音が響いたと思った矢先、青い光が次々と仮装敵を撫で斬りにしていく。

魔鞭(まべん)“キヲの手”。その射程はおよそ20メートルにも及ぶ、鞭の魔具。また鞭そのものの切れ味は相当で、人体を撫で斬りにする事など容易い。故に一応壊しやすいよう設計されている仮装敵など、この魔鞭の前では無意味である。

 

「まず…13、かな……次」

 

アルスは撃破点を計算しながら翼を羽ばたかせ、次の目標目掛けて空を高速で飛翔する。

 

 

 

“慄き鳥”

 

腰部に取り付けている鞄から、ひとつの魔剣が独りでに宙を舞い、騒音と共に高速回転しながら飛翔する。

その魔剣は地上を動き回る仮装敵四体を難なく貫くと、アルスの元に戻ってきては鞄へと収まる。

 

「52。まだ、いけるかな。……ん?」

 

ふと地上を見渡すと、鳥頭の少年と、彼から生えている大きな影の生物が五体の仮装敵に囲まれている様子が映る。

アルスは助けなきゃ、と思った。理由は定かではないが、そう感じたのだ。

 

「…チィッ! 一か八か……黒影(ダークシャドウ)、全力で───「伏せて」…ッ!?」

 

頭上から、伏せる様告げる静かな声と共に、鞭らしきものが振るわれる音が響く。

 

“キヲの手”

 

反射的に屈んだ少年と影の生物は、一瞬で仮装敵五体が寸断され、地面を転がる光景を目の当たりにする。

 

「……大丈夫?」

「ああ……助かった。感謝する」

「そう。じゃあ、お互い…頑張ろう……」

 

アルスは少年達の無事を確認すると、翼を広げ再び空に戻る。

その直後、建物が揺れるのと同時に轟音が響いた。

翼を羽ばたかせ、音の元に向かうと、そこには巨大な仮装敵がそこにあった。

 

「(これがお邪魔虫……倒せなくはない…けど無視が最善って、プレゼント・マイクってヒーローが、言ってた。なら、無視して…)……あ」

 

アルスは、0ポイントの足下に人が居るのに気付いた。

崩落した瓦礫に足をぶつけたのか、身動きが取れない様であった。

先程までなら躊躇なく無視していただろう。だが、助けられる人を見付けてしまったら、手を差し伸べねばならない。自らが目標とする、ひとりのヒーローの様に。

 

「(おれなら……間に合う)」

 

アルスはできる限り加速する。

200メートル。100メートル。50メートル……

 

「(“キヲの手”…!)」

 

手にある魔鞭を振るい、0ポイントの足下にいる人物に巻き付けて引き上げては、地面に降り立ちながら抱き上げる。その直後、先程助けた人物がいた場所に、0ポイントの腕が崩壊させたビルの瓦礫が降り注ぐ。間一髪であった。

 

「ケ、ケロ!?」

「…危なかった。大丈夫?」

「あ、ありがとう……ッ、上!」

「…ッ」

 

気が付けば、アルス達の頭上から0ポイントの腕が振り下ろされていた。蛙のような少女を抱えながらでは、全速力で飛翔できない故に、逃げられない。

 

「(……もう、おしまいよ…)」

 

少女は心の中で諦めの言葉を浮かべ、目を閉じる。

その表情から彼女の心情を察したアルスは───

 

「…おれを、信じて」

「えっ……?」

 

そう告げると……二人にその腕が直撃し、叩き潰される───事はなかった。

少女は疑問を覚え、閉じていた目を開く。そこには、光り輝く星の形をした首飾りの様な、“何か”。その何かが0ポイントの腕の進行を妨げていた。

 

「な、なに…!?」

 

少女は困惑の感情を顕にするが、少女の疑問に答えるようにアルスが告げる。

 

「“死者の巨盾”」

 

0ポイントが腕を引き上げるのと全く同時に、宙にあった“死者の巨盾”と呼ばれたものがアルスの元に戻る。

 

「た、助かったの…?」

「もちろん。それに……もうひとつ」

 

アルスは翼を広げながら高速で飛び上がる。その瞬間、彼は古びた一振の剣を手に取り、抜刀する。

 

───刀身が顕になったその剣から、光の刃が伸びる。

 

飛翔する勢いのまま、アルスは交差と同時にその剣を振り抜いた。

 

0ポイントの背後の瓦礫にアルスが着地する。

それとほぼ同時に、0ポイントが頭のてっぺんから真っ二つに両断された。

 

「……“ヒレンジンゲンの光の魔剣”

 

“ヒレンジンゲンの光の魔剣”。普段は短い古びた剣。しかしその剣は、抜刀と当時に強力な光の刀身を形成する。

その切れ味は、異修羅世界における最強種、(ドラゴン)の鱗すら切断するほどのものである。

 

『終ゥ了〜!!』

 

同時に、プレゼント・マイクからの試験終了のアナウンスが流れる。かくして、アルスの雄英高校の入試がこの時を以て終了したのだった。

 

 

 

 

 

それは異常の適正を以て、地上全種の武器を取り扱う事ができる。

それはかつての存在が地平全てから掻き集めた、異能の魔具の数々を有している。

それはかつての存在と同等の技と技量で、いかなる脅威を退ける事を可能とする。

 

欲望の念を捨て、ただの英雄として生命を守り救う空中最速の生命体である。

 

冒険者(ローグ)鳥竜(ワイバーン)

 

星馳せアルス




竜間(たつま)アルス
個性:鳥竜・星馳せ
星馳せアルスの姿形と能力を持って転生した転生者。
自分の前世の記憶が曖昧で、大部分が欠落している中で異修羅世界の知識はやや豊富に有している。
因みに彼はヒロアカの知識は全くない。

個性:鳥竜
鳥竜の体躯を持つ異形型の個性。しかしアルスの場合は星馳せ同様、三本腕の奇形の身体。

個性:星馳せ
かつて星馳せアルスが使用した魔具・魔剣を生まれながらに持つ荷袋から取り出して行使する。ただし、一部は取り出せる回数に制限が設けられており、特に強力な光の魔剣と死者の巨盾は一日二回までしか使えない。

【■■】
星馳せも普段から用いていたもの。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。