アビスシェルダー系超級とアニメ再現系生産型アホ二人。   作:内藤悠月

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デンドロ史上、最“重”の戦い Part2

 □<南海>

 

 百の竜頭砲門を見て、【スクラップ・アビス】は一瞬狼狽えた。

 すでに質量の守りの優位は失われている。身を守るのは、神話級相当を越え、SUBMすら凌駕し、【漂竜王】にすら匹敵する最大HPのみ。

 強化変形によって獲得している防御力はあまりあてになる数値ではない。

 

 だが、だが。絶対の守りが存在しないことは【スクラップ・アビス】は重々に理解していた。

 【アビスシェルダー】すらその無敵を突破されたのだ。

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 そして、それは相対するウルティマにも当てはまる。

 装備融合に由来する複合無敵ギミック。一切のダメージを0へと減衰し、極大のENDによって攻撃を減衰し、破損そのものを0に減衰し、攻撃そのものに対する完全耐性を保有している。

 だがそれは、まともな攻撃が相手であれば、のこと。

 【スクラップ・アビス】は。【破壊王】は決してまともではない。

 

 それ故に、第2ラウンドの初手もまた、【スクラップ・アビス】の拳打によって始まる。

 《破壊権限(デストロイ・オーダー)》。【破壊王】の代名詞たるこのスキルは、攻撃力以下のすべての概念を破壊し尽くす防御殺しの奥義だ。

 【バルドル】とあわせ、【アビスシェルダー】の無敵の守りを破壊した、最強の矛。

 どのような守りがあろうと、理屈を無視して粉砕する最強の拳だった。《輝死改星》と合わせ、ウルティマを確実に殺す必殺。

 

「《ピンポイントバリア》+《竜王気》+《マテリアルバリア》+etc(エトセトラ)……(プラスッ!)我が身全てが守りの盾(アンキーレ)》!」

「《超弩級高速アセンブリ(デウス・エクス・マキナ)》!」/「《九五式魔導演算宝珠(ドラコナイト)》!」

「《全能にして深淵なる叡智(アレクサンドリア)》《虹の防壁》!」

 

 そのような攻撃を防ぐには。

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 《我が身全ての守りの盾(アンキーレ)》。【スクラップ・アビス】の初撃を弾いてみせたバリアの必殺スキル。その効果は自身の総防御力と総耐久力に等しい障壁を展開し、盾として振るうことができる。世界最大に近い総防御力と総耐久力を獲得したウルティマにとって、最も相性の良い必殺スキル。

 《超弩級高速アセンブリ(デウス・エクス・マキナ)》。ウルティマの【ウロボロス】に潜航したC4-685の行使する、システム再構築スキル。【ウロボロス】が獲得した全マスターのスキルの制御を割り振り直し、同乗している人間に制御できる状態へ持って行く役割を持つ。コレにより、ウルティマの防御スキルを、全員の目で操り防ぐために使えるようになる。100の頭の魔竜になるための基幹スキル。

 《九五式魔導演算宝珠(ドラコナイト)》。装着した機械の演算能力を飛躍的に高める【ドラコナイト】の必殺スキル。その効果も漏れず、演算能力の拡張である。これにより、ウルティマの持つ制御に難のあるスキル群をまとめ、分割し、自在に操ることを可能とする。

 

 《全能にして深淵なる叡智(アレクサンドリア)》。魔法の収集・観測・制御に長けた【アレクサンドリア】の必殺スキルであり、魔法拡張スキルの一種である。その効果は、術式対象の変更。使用する魔法の効果を、他のスキルに上乗せする事ができる必殺スキルだ。

 コレによって、《虹の防壁》による追加HPを与える対象に選んだのは《ピンポイントバリア》である。1枚1枚は所詮上級職程度の性能しかない艦船防御スキルの耐久力が、瞬時に100万以上へ跳ね上がった。

 

 とびきりの防御スキルの重ねがけ。その上、それはMPさえあれば維持し続けられる無敵の盾だ。

 《我が身全ての守りの盾(アンキーレ)》こそ一度だせば終わりの打ち切りだが、これはこれで壊れるまで出しっぱなしになる利便性の高い盾スキル。

 そもそもウルティマの全力と同等の盾をどうやって壊せるというのか。

 

 結果として、十重二十重に重ねられたバリアに拳は突き刺さる。

 

「うわぁ! バリバリ言ってる!」

「複数枚展開してようやく止まるってどうなってんのアレ!?」

「ああクソ! 【破壊王】前提で考えた推定攻撃力読み違えた!」

「【アレクサンドリア】の観測だと……《ライフゲイン・ウエイト》! ウソだろ、数百万単位で攻撃力増えてるぞ!」

 

 そう、HP比例攻撃力加算バフである。巨大すぎてオーラが覆っていることすら見えない。

 そして、必殺形態であるならば、その悪夢の鎧は全てHPとして計上される。

 結果として恐ろしい性能の魔法にへと変化していた。

 

 しかも《ライフゲイン・ウエイト》の効果は魔法攻撃にまで及ぶ。

 それは全身の魔眼が致死性の攻撃力を帯びたことと同一。

 だからこそ、対策は用意してある。

 

「《冬の帳》+《最果ての宇宙(ディーペスト・デプス)》」

「《K-クラス:地球凍結シナリオ(ニブルヘイム)》」/「《罪の足枷(タルタロス)》」/「《ただひたすら遅く(スロウス)》」

 

 対策として行使されるのは領域系の拘束・停滞スキルだ。

 ウルティマを巨大な杖に見立て、エンブリオのスキルを4倍に増幅した上スキルの同時行使によってその効果を極大化させたものである。

 動作そのものを停滞・凍結させるその複合凍結スキルにより、魔眼による攻撃は叩き落され、その上【スクラップ・アビス】の動きは緩慢なものとなった。

 

 領域系スキルであるが故に、自らの身にも被害が及ぶ。だがそこは事前に対処済み。

 特典武具の固有スキルである《最果ての星海(モスト・ディスタント)》によって、自らの展開した領域系スキルの影響に対して完全な耐性を得ていた。

 

「《全能にして深淵なる叡智(アレクサンドリア)》……《ライフゲイン・ウエイト》!」

 

 そして当然、こちらにも同じカードがある。

 使わない理由がなかった。

 

「砲撃戦シフト! 掃射!」

 

 竜の顎として展開した砲門。それに魔力式大砲を組み入れている。それだけがウルティマにとって【スクラップ・アビス】へ触れずに攻撃できる手段。

 

 火薬式の場合、大砲の弾もまた【ウロボロス】である。《キメラテック・ルール》による変形で砲弾を賄えるツケがここで出てきてしまっていたのだ。

 弾薬費を気にしないでいい反面、テリトリー系のスキルをモロに受け、連鎖して効果を及ぼすようなスキルが相手の場合おかしな割りを食うことがあった。

 

 そのため隙を埋める手段として積んでいた魔力式大砲が日の目を浴びる事となったわけだ。それに、【マクロス・グランバロア】勢の職人たちから吐き出させた大砲の数々も。

 ひとつの砲門に収束すれば、それだけで超級エンブリオの固有スキルに匹敵する破壊力となる複合魔法砲。それが今のウルティマの武器である。

 

 こちらの攻撃力もまた、数百万。並の神話級UBMならば直撃すれば致命傷となる威力だった。

 

 百の顎から、それぞれ収束されたさまざまな魔法が撃ち放たれる。

 光。炎。毒。単属性に束ね直してあるが故に、多種多様に輝いて見せるその暴威。

 だが、それは【スクラップ・アビス】の表面を削るにとどまる。

 

「クソが……! ()()()H()P()()()()()()……!」

 

 攻撃力が数百万あろうが、【スクラップ・アビス】には10億を超えるHPがあった。

 

 しかも、しかもだ。

 どの魔眼がその効果を発揮しているのかわからない。

 だがそれははっきりとその効果を発揮している。

 ()()3()()5()()()()()H()P()()()()()()()()

 

「【アレクサンドリア】になにか反応ねえか!」

「ありすぎて読み切れない! アヤカは……突入班だったな! じゃあ駄目だ!」

「おい!」

 

 そう。この間も【スクラップ・アビス】は砲撃を試みているのだ。

 それは致命となる魔法反応を隠すためである。投射する効果のある魔眼が無力化されても、バフやデバフを発生させる魔眼は使用できる。

 そしてその発動を読ませないために、全く無意味な行動すら織り交ぜてくるその知性。

 

「クソ、頭がいいやつの相手はやりづらいな……」

 

 A*(エースター)はそうぼやく。そもそも頭の良し悪しにかかわらず、A*(エースター)は動きが読みづらい相手は嫌いだった。

 

 迂闊に防御を突破されれば、そのまま押し切られる可能性も出てくる。

 むしろ相手が魔眼()()鎧の力を使っていないのをA*(エースター)は疑っているぐらいだ。

 あの残骸の山でできた鎧のギミック。あれがあの程度で終わるとはA*(エースター)は思っていなかった。

 

 そして、その懸念は的中する。

 

「あの野郎、やりやがった! 全身の鎧の隙間から、なにか機械のようなものをばらまいてやがる!」

「【アレクサンドリア】、追記確認! 《メタリアル・マテリアライザー》とかいう魔法が発動されてる!」

「はぁ!?」

 

 よりによって。よりによって、それが魔法として使われるのか。

 ウルティマはそうボヤかざるを得なかった。

 

「《メタリアル・マテリアライザー》!? なんでそれがよりによって!」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()

 

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