アビスシェルダー系超級とアニメ再現系生産型アホ二人。 作:内藤悠月
□<南海>
百の竜頭砲門を見て、【スクラップ・アビス】は一瞬狼狽えた。
すでに質量の守りの優位は失われている。身を守るのは、神話級相当を越え、SUBMすら凌駕し、【漂竜王】にすら匹敵する最大HPのみ。
強化変形によって獲得している防御力はあまりあてになる数値ではない。
だが、だが。絶対の守りが存在しないことは【スクラップ・アビス】は重々に理解していた。
【アビスシェルダー】すらその無敵を突破されたのだ。
そして、それは相対するウルティマにも当てはまる。
装備融合に由来する複合無敵ギミック。一切のダメージを0へと減衰し、極大のENDによって攻撃を減衰し、破損そのものを0に減衰し、攻撃そのものに対する完全耐性を保有している。
だがそれは、まともな攻撃が相手であれば、のこと。
【スクラップ・アビス】は。【破壊王】は決してまともではない。
それ故に、第2ラウンドの初手もまた、【スクラップ・アビス】の拳打によって始まる。
《
【バルドル】とあわせ、【アビスシェルダー】の無敵の守りを破壊した、最強の矛。
どのような守りがあろうと、理屈を無視して粉砕する最強の拳だった。《輝死改星》と合わせ、ウルティマを確実に殺す必殺。
「《ピンポイントバリア》+《竜王気》+《マテリアルバリア》+
「《
「《
そのような攻撃を防ぐには。
《
《
《
《
コレによって、《虹の防壁》による追加HPを与える対象に選んだのは《ピンポイントバリア》である。1枚1枚は所詮上級職程度の性能しかない艦船防御スキルの耐久力が、瞬時に100万以上へ跳ね上がった。
とびきりの防御スキルの重ねがけ。その上、それはMPさえあれば維持し続けられる無敵の盾だ。
《
そもそもウルティマの全力と同等の盾をどうやって壊せるというのか。
結果として、十重二十重に重ねられたバリアに拳は突き刺さる。
「うわぁ! バリバリ言ってる!」
「複数枚展開してようやく止まるってどうなってんのアレ!?」
「ああクソ! 【破壊王】前提で考えた推定攻撃力読み違えた!」
「【アレクサンドリア】の観測だと……《ライフゲイン・ウエイト》! ウソだろ、数百万単位で攻撃力増えてるぞ!」
そう、HP比例攻撃力加算バフである。巨大すぎてオーラが覆っていることすら見えない。
そして、必殺形態であるならば、その悪夢の鎧は全てHPとして計上される。
結果として恐ろしい性能の魔法にへと変化していた。
しかも《ライフゲイン・ウエイト》の効果は魔法攻撃にまで及ぶ。
それは全身の魔眼が致死性の攻撃力を帯びたことと同一。
だからこそ、対策は用意してある。
「《冬の帳》+《
「《
対策として行使されるのは領域系の拘束・停滞スキルだ。
ウルティマを巨大な杖に見立て、エンブリオのスキルを4倍に増幅した上スキルの同時行使によってその効果を極大化させたものである。
動作そのものを停滞・凍結させるその複合凍結スキルにより、魔眼による攻撃は叩き落され、その上【スクラップ・アビス】の動きは緩慢なものとなった。
領域系スキルであるが故に、自らの身にも被害が及ぶ。だがそこは事前に対処済み。
特典武具の固有スキルである《
「《
そして当然、こちらにも同じカードがある。
使わない理由がなかった。
「砲撃戦シフト! 掃射!」
竜の顎として展開した砲門。それに魔力式大砲を組み入れている。それだけがウルティマにとって【スクラップ・アビス】へ触れずに攻撃できる手段。
火薬式の場合、大砲の弾もまた【ウロボロス】である。《キメラテック・ルール》による変形で砲弾を賄えるツケがここで出てきてしまっていたのだ。
弾薬費を気にしないでいい反面、テリトリー系のスキルをモロに受け、連鎖して効果を及ぼすようなスキルが相手の場合おかしな割りを食うことがあった。
そのため隙を埋める手段として積んでいた魔力式大砲が日の目を浴びる事となったわけだ。それに、【マクロス・グランバロア】勢の職人たちから吐き出させた大砲の数々も。
ひとつの砲門に収束すれば、それだけで超級エンブリオの固有スキルに匹敵する破壊力となる複合魔法砲。それが今のウルティマの武器である。
こちらの攻撃力もまた、数百万。並の神話級UBMならば直撃すれば致命傷となる威力だった。
百の顎から、それぞれ収束されたさまざまな魔法が撃ち放たれる。
光。炎。毒。単属性に束ね直してあるが故に、多種多様に輝いて見せるその暴威。
だが、それは【スクラップ・アビス】の表面を削るにとどまる。
「クソが……!
攻撃力が数百万あろうが、【スクラップ・アビス】には10億を超えるHPがあった。
しかも、しかもだ。
どの魔眼がその効果を発揮しているのかわからない。
だがそれははっきりとその効果を発揮している。
「【アレクサンドリア】になにか反応ねえか!」
「ありすぎて読み切れない! アヤカは……突入班だったな! じゃあ駄目だ!」
「おい!」
そう。この間も【スクラップ・アビス】は砲撃を試みているのだ。
それは致命となる魔法反応を隠すためである。投射する効果のある魔眼が無力化されても、バフやデバフを発生させる魔眼は使用できる。
そしてその発動を読ませないために、全く無意味な行動すら織り交ぜてくるその知性。
「クソ、頭がいいやつの相手はやりづらいな……」
迂闊に防御を突破されれば、そのまま押し切られる可能性も出てくる。
むしろ相手が魔眼
あの残骸の山でできた鎧のギミック。あれがあの程度で終わるとは
そして、その懸念は的中する。
「あの野郎、やりやがった! 全身の鎧の隙間から、なにか機械のようなものをばらまいてやがる!」
「【アレクサンドリア】、追記確認! 《メタリアル・マテリアライザー》とかいう魔法が発動されてる!」
「はぁ!?」
よりによって。よりによって、それが魔法として使われるのか。
ウルティマはそうボヤかざるを得なかった。
「《メタリアル・マテリアライザー》!? なんでそれがよりによって!」