アビスシェルダー系超級とアニメ再現系生産型アホ二人。 作:内藤悠月
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この必殺スキルにより、ルーフィーは現実に持つ自身の権能の一部をインフィニットデンドログラムにおいて発揮することが可能になる。
現実の力をゲーム内に持ち込む、ゲームシステムに対する大反逆。
それ故に、そのキャパシティは必殺スキルに注ぎ込まれたリソースの総量に比例し、ルーフィー本体からすれば小指程度の力しか降ろせない。
だが一端であっても権能は権能。
わずかに振るうだけで、現実をできの悪い悪夢にへと変質させる。
てはじめに、【スクラップ・アビス】を天井に叩きつけた。
現実はより上の次元より落ちる影である。影が光を無視出来ないように、上の次元からの干渉を防ぐ手段を現実の生き物は持ち合わせない。
上の次元から【スクラップ・アビス】をつまみ上げ、投げ飛ばしたのだ。
そしてその間、ルーフィーは玉虫色に輝いているだけ。スキルの宣言以外、予兆らしい予兆はなかった。
【スクラップ・アビス】は混乱する。
受けた攻撃の原理を考えてしまうのは頭が良い者の悪い癖だ。考えたところで理解できるはずもないのに。
そして戦巧者はその隙を見逃さない。
降魔により《冒涜的存在》の変容性は劇的に高まっている。もはや人の形を保つ必要はない。
瞬時にルーフィーの腕は53に枝分かれし、その全てが《虚無の触腕》の伸張効果を受け嵐のように【スクラップアビス】にへと叩き込まれた。
相手のSTRの有利を無為にするための、足止めとしての連打。
足は念入りに潰す。足が生きているうちは対処される可能性がある。
その上、コレに加え上の次元から【スクラップ・アビス】を握りつぶす。
今までこれを食らわせたモンスターは不自然なねじれ方をして無惨な死に方をしていた。つまりは致死攻撃。真っ当な防御手段では防げないことを考えれば対処の出来ない必殺技のハズだった。
ゴリゴリゴリゴリ、という音とともに【スクラップ・アビス】の傷が癒えている。
なにかが削り取られるような音。
「ルーフィー船長! 《
《
その効果は、自身の身体を消費しダメージ回復とステータスの増強を同時に行う。
よりリソースの多い部位を消費すればそれだけ致命的な負傷を塞ぎ、ステータスを跳ね上げることが可能なスキルだが……蓄積や肉体は生存に直結するため、積極的に消費するモンスターはかなり少ない。
自分の体をどこまで消費していいか、など感覚で把握しているものはほとんどいない。
それに消費すればするほど、後々のステータス低下やレベルの低下を招く。
ラクダのような脂肪を蓄える部位をもつモンスターでも、蓄え分を使用すれば最大HPがゴリゴリ減っていくのだ。
【スクラップ・アビス】は違う。
《悪夢の残骸》により、その身にまとう山脈鎧は自身の体の一部として扱われる。
その上、山脈鎧のほとんどを構成する物質は、真珠化したモンスターの山。【アビスシェルダー】が莫大な経験値を獲得し、イレギュラーに至ったリソースの塊である。
質量の有利を捨てることにはなるが、一切のリスクなく《
「おもしれえじゃねえか……!」
それを聞き、ルーフィーはギアを上げる。
より多く、より速く。変形と伸張をやりやすいように、上位次元の地形を作り変え、更にはレイヤーをすり替えることでステータスHPを直接攻撃することすら可能とする“形”にへと変形。
それに加え、触れれば非ユークリッド幾何学的にねじれる“手”を生み出し、その打点を引き上げる。
あまりの冒涜的な姿に、周囲のものに【恐怖】の状態異常を与えるが、それも【健常のカメオ】に打ち消される。誤差だ。
防御姿勢でその猛攻を耐える【スクラップ・アビス】。
【スクラップ・アビス】には当然わかっている。これだけの事ができるスキルに、時間制限がないはずがない、と。
感じるリソースの量からしても、長くて1分。
それさえしのいでしまえば、固いだけのカモである。
すでに分化した腕はいくつも切り落とされていた。ルーフィーの攻撃は【スクラップ・アビス】の対処可能なものになりつつある。
ルーフィーの玉虫色の光が陰った。必殺スキルの効果が切れる兆候。
膨大な権能を維持できず、その変形速度は減速し始める。
【スクラップ・アビス】を釘付けにしたその手数が、止まった。
つまりは好機。莫大なSTRによる縮地によって、一気にルーフィーにへと詰め寄り、スキルを宣言する。
『《削岩穿》』
壊屋系統の代表的なスキル。長大なチャージタイムと引き換えに、威力と貫通力を高める高打点スキルだ。
それを、ルーフィーが受けたと同時。
「《スティール・アンド・スラッシュ》《
一条の鎖が、【スクラップ・アビス】の体に絡みついた。
先につけられた短剣が【スクラップ・アビス】の腕を貫き、その動きを縛り付ける。
鎖は音を立てる。キン、キン、キン、となにかを動かすような、繰り返すような単調な音。そして、それがちょうど8回鳴ったときだった。
「<離縁鋏シャツリ>ここに確かに頂いた!」
全てはこのときのために。
ルーフィーやシラフ、ソラリスやゆかり。彼らの働きによって相手の思考リソースを奪い、行動の選択肢が一択になる一瞬のために。
《
『GIGYAGYAGYAGYAGA!?!!!?』
【スクラップ・アビス】は悲鳴のような鳴き声を上げた。
自らの神を盗まれた。自らの失態のせいで。
【スクラップ・アビス】は無我夢中で、
なりふり構わぬ。手段は選ばぬ。
自らへ降りかかる攻撃すら無視して、強引に。
だから、その言葉を聞き逃した。
「「《キャスリング》」」
二重に重なるような、囁きのようなスキル宣言。
二人の声で語られた、入れ替わりのスキル。
【スクラップ・アビス】の拳は、
《破壊権限》があっても、傷ひとつ入らぬ最強の鎧。
「《赫焉剣》」
そして、その鎧の右腕は赤熱化し、そのまま突き出された【スクラップ・アビス】の右腕を焼き切った。
断ち切られた腕は焼け焦げ、再生しない。
「会いたかったぜ、【スクラップ・アビス】。お前は会いたくなかったかもだが……」
転移してきたのは、ウルティマ・ウェポン。グランバロア最強の前衛。
「このオレが、“奈落の果て”のウルティマ・ウェポンが