アビスシェルダー系超級とアニメ再現系生産型アホ二人。   作:内藤悠月

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デンドロ10周年おめでとうございます!


デンドロ史上、最“重”の戦い Part3

 ◇◆◇

 

(超級金属。ヒヒイロカネでも洒落にならない耐性を持っていたけれど、これはいかほどか……?)

 

 ウルティマはそう考える。

 純粋な金属だけの耐性というものは異常なほど高い。

 ヒヒイロカネであればSUBMの熱線を受けて溶解するにとどまるほどの耐熱性を持ち、平均で4万近いEND(頑丈さ)を保有している。

 金属に同化する性質を持つモンスターや、金属を身にまとうモンスターはこれらの恩恵を有利に行使することができるのだ。

 

 また、肉で出来た体を持つ生き物は、性質上それほど頑丈になれない。

 耐熱性もそれほどでもなく、簡単に変質する。

 神話級であっても、END換算で4万を超えるものは稀だ。

 耐性を高めるにはそれ相応の構造を持つ必要があり、それは生物の生態を歪める。

 ジョブのステータスによって獲得できる耐性が低いのは、構造によらぬ耐性であるためだ。

 

 翻って、超級金属の耐性はいかほどか。

 超級クラスの金属であるがゆえに、そのENDは推定値で50万。圧縮された神話級金属ですら20万を超えるためその数値自体は妥当だと言える。

 だが、問題があるとすればその耐性。

 金属であればこそ種類によって、耐熱性が高い、衝撃に強いなどの特徴を持つ。

 金属装備はその特徴に沿って金属を選ばれるほど。

 

 ウルティマの神話級以上に意味がある攻撃手段は主に4種。

 【ドラグウインター】による凍結。それに伴う《竜気反転》による超高熱。

 武器の形状に変化させての物理攻撃。

 魔力式大砲を収束させた複合属性の魔法攻撃。

 

 スキルを重ねることが前提の攻撃手段は、複合的な耐性に対して脆弱である。

 単一的な攻撃手段は、特化した耐性に無力である。

 

 超級金属は、いかほどのものか。

 

「《螺旋収束(キメラサイクル)SIREN STYLE(セイレーン・スタイル)》!」

 

 それ故に、ウルティマの持つ、最大の魔法収束を放ってみせる。

 

 対応する特典武具は【すーぱーきぐるみしりーず すぴーどすたー】。あらゆる砲撃の弾速を極限化し、《歌う機械(サヨナラチェーンソー)》を噛ませることで超振動へと変えて放つ疑似メーザー砲である。

 無数の魔法振動が光速のコンマ数%という異常な速度にまで加速され通路を埋め尽くすほどのビームとして、ウルティマの指先から放出された。

 

 当然、対応する【スクラップ・アビス】。

 ウルティマの攻撃への予備動作に合わせて正面に攻勢バリアを収束。その上、充填状態にあった荷電粒子砲をバリアに重ねて放出したのだ。

 

 正面からぶつかり合う光線と光線。

 強度の差で《SIREN STYLE(セイレーン・スタイル)》の方が即座に打ち破り【スクラップアビス】を背後の通路ごと焼き尽くす。

 

 はずだった。

 

 そこに立つのは、無傷の【スクラップ・アビス】。

 一切の隙間なく超級金属で埋め尽くされた鎧は、その耐性を余すことなく発揮しその攻撃を無力化してみせた。

 

 ウルティマは鎧の隙間を狙って、指先から糸のように細い《SIREN STYLE(セイレーン・スタイル)》でレーザーブレードのように切りつけて見せるが、それもまた無傷。

 

「チィ!」

 

 通らない。

 だが、それも想定通り。

 

 オリジナルである【振海戦艦 セイレーン】 の《振海波動砲(セイレーン)》は音量子の振動による攻撃であり、それは潜水艦が備えるアクティブソナーの最大発展系だ。

 そして、それを模倣した《SIREN STYLE(セイレーン・スタイル)》もまた、探知機(ソナー)としての役割を持っていた。

 

 接触で、音波で、目視で、魔法の波動で、対象に当てることで対象を図るスキルの収束。

 その結果として、超級の鎧の耐性を暴き立てる。

 熱変動に対する完全耐性。魔法攻撃に対する完全に近い耐性。物理攻撃に対する極めて高い耐性。

 おおよそ、攻撃と呼べるものに対する異常なほどの耐性群。

 

 だからこそ。

 

「《螺旋収束(キメラサイクル)TINDALOS STYLE(ティンダロス・スタイル)》」

 

 その宣言ひとつで、鎧の内側をえぐって見せた。

 

 支えとなる頭部を失った仮面が転がって落ちる。

 首を失った【スクラップ・アビス】。

 

 無数の耐性を持とうが、体内を対象とした座標攻撃は防げない。

 

 対応する特典武具は【はいぱーきぐるみしりーず ぎが・めたろじー】。ばらまかれた《竜王気》の中へ、自らの捕食口を形成し、あらゆる物質を透過して捕食する。

 保有する状態異常系スキルと捕食系スキル、奇襲系スキルの重ね合わせにより領域の中であればどこであっても捕食可能。

 《竜王気》をあらかじめ広げ、なじませておく必要こそある。だがそれも超重圧と感覚欺瞞の《最果ての宙》に重ねることで即時に達成。

 その上、捕食した範囲を即座にリソース化して取り込むことで接合を許さない。

 

 そして。

 断面の【真銀化】と【真珠化】と【炭化】の三重変質により、断面からの再生すら阻害している。

 

 【スクラップ・アビス】にとって、頭部の損失は致命的ではない。

 コアは【破壊王】を元にした人型であり、全身で考えているためだ。

 だが、それは失われて問題がないというわけではない。

 

 複合された肉体変異が、それに合わせて最適化してしまう。

 判断能力は鈍り、短絡的な行動を選択しやすくなってしまう。

 

 ()()()()()()()()()()()()

 

 【スクラップ・アビス】が取った手段は盲撃ち。全身に取り込んだ魔眼の力を全開放し、無数の魔法を嵐のように叩きつける。

 

 それを受け、ジリジリとHPを削られるウルティマ。

 

(《破壊権限》……! このスキルとは相性が悪い!)

 

 そう、こうなったとしても【破壊王】の姿で得たスキルはそのまま、《弱肉狂食》の内側にそのままの形で残っている。

 ステータスが増強された今、最大MPもまた大幅に膨れ上がっており、それによって行使される魔法の攻撃力もまた、ウルティマの防御スキルの強度を上回る程度にまで引き上がっていた。

 

 これはウルティマの使用する防御スキルの強度がかなり低いという点にも理由がある。

 アクセサリで手に入る防御スキルはせいぜいが上級職程度の強度しかない。

 実際に重なった耐性の実数値はともかく、《破壊権限》のような強度を参照する攻撃にとっては無力だった。

 

 それに、攻撃魔法に闇属性魔法も混ざっている。

 ウルティマの強固な防御能力は莫大なENDと耐性の数値と、莫大な数の防御スキルによってもたらされるもの。

 その点をすり抜けた闇属性魔法は、ウルティマのHPを削りうる。

 

 お返しにと、《TINDALOS STYLE(ティンダロス・スタイル)》を手足を奪う形で放ってみせる。

 だが、二度、三度と繰り返すうちにその攻撃の通りが悪くなっているのを感じていた。

 

(耐性獲得……、厄介な固有スキルを学習しやがって!)

 

 そう、ボヤかずにはいられない。

 それに攻勢バリアの出力も見るからに増大化しており、超級金属の鎧を抜けるような実弾攻撃はアレに溶かされてしまう。

 数発拳銃弾をぶち込んでみたのだが、どれも攻撃が届かない。

 

 ならば、近接攻撃しかあるまい。

 左腕を六連の巨大なチェーンソーにへと変形させ、それを槍のように向ける。

 推進器を展開し、【スクラップ・アビス】にへと自分ごと射出した。

 自らを弾丸のように飛翔させ、敵手に突撃する、ウルティマの得意技の1つ。

 チェーンソーの刃を《竜王気》で保護し、超級の鎧を削り取りにかかる。

 

 ガリガリガリガリ、と激しい掘削音とともに、雨あられのように火花を散らす。

 それと同時、【ウロボロス】は攻勢バリアにさらされ、その表面から削れていく。それを変形させて補修させながら、攻撃を継続させていく。

 

 押し付けるという武器構造故に、無数の小ダメージを叩き込むチェーンソー。

 ダメージ軽減の効果を受けやすい攻撃手段。

 だが、【鋼裂(スティール・テアー)】を組み込んだその攻撃にとって、あらゆる防御は紙同然。

 歪むような音とともに、超級の鎧を削り取る。

 えぐったような痕をつけながら、【スクラップ・アビス】の胴を覆う鎧を剥がし取った。

 

 ウルティマは即座に高速変形。

 剥がれた鎧のうちへ、その拳を叩き込む。

 【ウロボロス】の溜め込んだ、絶大なる攻撃力。

 攻撃力補正の塊となった、ウルティマの拳。

 

 だが、それは通らない。

 

(物理攻撃耐性……!)

 

 耐性獲得。

 超級の鎧の受けたダメージによって獲得した物理攻撃耐性である。

 捕食とチェーンソーによる掘削。その二重に獲得された物理攻撃耐性により、ウルティマの物理攻撃手段が通じないほどの耐性を獲得してしまったのだ。

 

 一手詰み。

 同様に、他の攻撃もまた通じないだろう。

 あらゆる攻撃に対して耐性を獲得し、それを実現できるまで粘れる防御能力を持つ存在を、どのように殺せばいいのだろうか?

 

 その時だ。

 

『ウルティマ! オレは準備完了したぞ!』

マチュ! ギリギリだ! だがよくやった!」

 

 マチュからの連絡。

 これまで見せてきたカードは、()()()。すべてが致死に至る火力であるがゆえに、真なる切り札を隠す力がある。

 

「全部出しきる! 《BYAKHEE STYLE(バイアクヘー・スタイル)》!」

 

 ウルティマは【スクラップ・アビス】を抱き込み、その体を戦闘機にも似た形状にへと変形させる。

 文字通りなにもかも考えず、最速でただひたすら直進するための形態。

 

 対応する特典武具は【Q極きぐるみしりーず れみな・くらいせら】。自身が保有する飛行・浮遊系スキルを総動員し、かつ<スカイエース>のエンブリオが持つ飛行スキルを重ね合わせ、自身の直進先の壁をすべて破壊するための衝角を備えた高速巡航形態である。

 ドリルのように衝角は回転し、超級金属であろうと粉砕可能。すでにチェーンソーで削り取れることを証明している。

 【すぴーどすたー】による加速を弾丸と化した自身に乗せることでマッハで4桁に至る速度を実現する。

 

 迷宮をひたすら直進し、その速度のまま壁をぶち破り、外殻を打ち砕いて。

 【スクラップ・アビス】とウルティマは、宙にへと投げ出される。

 【スクラップ・アビス】と戦っている【マクロス・アリステア】の前へ。

 

マチュ! 俺ごと殺れ!」

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