アビスシェルダー系超級とアニメ再現系生産型アホ二人。 作:内藤悠月
□【マクロス・アリステア】主砲砲身内
その砲身は、緑の光を放つ結晶に似た装甲材に覆われていた。
おびただしいまでの、思念の群れ。それが感応し、緑色の発光を帯びている。
そして、その砲身の中心。そこにはマチュの乗るジークアクスがあった。
無数のケーブルを全身のジョイントにつなぎ、元ネタの原作にもあった、両膝と両肩に搭載された展開機構が開き、特異点を形成している。
その上、ジークアクスの全身は、砲身と同様に緑色の装甲材を増設している。
強化装甲を含めたその銘、《鑑定眼》に映るものは【ジークアクス・コンセプト=ナラティブ】。
サイコフレームを扱うガンダム作品のうち、最もサイコフレームを不格好に扱った機体の模倣。
そもそも【サ◯コフレーム】で全身のモノコック構造を形成したマチュのジークアクスは、それそのものが【サ◯コフレーム】の塊である。
その上で、【サ◯コフレーム】を増設するのは、その必要があったからだ。
膨大な思念、その受け皿として。
そしてそれを制御するための中核機能として。
元々、【サ◯コフレーム】はマチュが獲得した特典武具【思念増殖結晶鋼 フィシパリティ・エゴ】の保有していた固有スキルを分析・理解・増殖・再構築して作られた代物だ。
その特性は思念を蓄積し、増幅し、物理現象にへと転化すること。強い感情をエネルギーに変え、超常現象を引き起こす。そのようなUBMの能力を解剖しきって作り上げられた、古代伝説級金属である。
そして、その特性は。
あらゆる金属に優越して、<魔剣>の母材として最も優れた代物となる。
【マクロス・アリステア】では【妖刀鍛冶】【魔剣鍛冶】によって研究が進められていた代物だ。
最強の魔剣を作り出すのにこれほどの素材は存在しないのだから。
だが、それはうまく行かない。なぜなら、【サ◯コフレーム】は思念を、想念を飲み込みすぎる。
魔剣や妖刀を作り出すにはそれを想念……通常は怨念で染め上げる必要があった。
それが溺れるほどの
妖刀を打つ鍛冶師にとっての常識。溺れぬ呪いで妖刀に至ることはない。
だが【サ◯コフレーム】は、その点に限って言えば超級金属すら上回る。その特質に特化した代物である為に。
魔剣を作り出す研究は行き詰まり……だが、それは決して無駄ではなかった。
本物の魔剣。莫大な量の想念でもって打たれた、異界の魔剣。それの複製を作り出す技術の苗床となったのだ。
【読竜王】から借り受けた魔剣を3本、使い潰す事によって実現したその技術は、今最大の形として【コンセプト=ナラティブ】を作り出した。
「マチュ! 【コンセプト=ユニコーン】*1稼働率良好だ!」
「マチュ様、マチュ様。そ、想念制御、うまくいっています……!」
【妖刀鍛冶】村正。【魔剣鍛冶】菫。【マクロス・アリステア】が誇る魔剣の専門家である。
エンブリオもまた、魔剣・妖刀を作り出すことに特化しており……特に村正は刀剣を一瞥するだけでその作り方まで暴き立てる。
エンブリオの銘も【ムラマサ】であり……銘と名が同じマスターはヤバいというマスターの間に広まるジンクスを踏襲した人物だった。
そして菫のエンブリオ、【恋慕炎上 ジャンヌ・ダルク】の特性は想念操作。膨大な量の感情リソースを制御・集約・調律し物体に込める力を持つ。
これによって”本物の魔剣”が帯びた想念を写し取り、【サ◯コフレーム】にへと流し込む。
「【エンデュミオン・ユニット】、
マチュのつぶやきが、ジークアクスによって拡張されて砲身に響き渡る。
【ジーク◯クス】を作り出す際、問題になったのがワンオフの
元ネタの時点で、「異界から来た世界の異物」だったのだ。ただ存在するだけで世界を不安定にする特異点。
いくつかの協議を重ね、作り上げられたのは制御困難な【サ◯コフレーム】の力を制御するための機能、《
これはエンブリオのスキルを元に作り上げられ、想念を支配してその出力を自在に制御可能にするスキルである。
マチュの特異金属製造能力によって実現した
本来は、【サ◯コフレーム】の発揮する《サイコフィールド》を制御して戦闘能力に変える、それだけの機能だったのだ。
だが、本物の異物が、向こうから来た。
世界の外に属するもの。世界のルールに従わぬもの。異界より来たりし、本物の魔剣。
だからこそ、ウルティマから<レイフォートの刹那の魔剣>を託されたマチュはそれを躊躇なく【エンデュミオン・ユニット】へと組み込んだ。
そして、完成した。
<レイフォートの刹那の魔剣>を支配し、そこから無数の限定奥義を引き出す、超級クラスの機体が。
本物の魔剣を扱うには、2つの方法がある。
ひとつ。その想念に身を委ね、魔剣に使われること。
ひとつ。圧倒的な技量により、魔剣を従えること。
だが、【エンデュミオンユニット】はそのどちらでもない。
魔剣の想念を支配し、魔剣の行使そのものを操って振るう。
展開された特異点はその発露である。渦巻く
魔剣人ならざる知覚のみが許す限定奥義、現在を写し取り自身の攻撃力に置き換える業。
それを、人ならざる身によって実現する。
支配した想念を使い、
その果てにしか使えぬ、究極の一撃のために。
緑に輝く【サ◯コフレーム】はその想念の量を示している。
<レイフォートの刹那の魔剣>によって写し取られた現在は、一撃分ですら1つの魔剣を打つに相応しい想念を生む。
【コンセプト=ユニコーン】と融合した【マクロス・アリステア】を演算器代わりに、二人の専門家を処理に組み込むことでそれを目的の形にへと整形する。
「ウルティマ! 準備が整ったぞ!」
対応する
それを形容する言葉は数多い。
それは、
それは、魔剣の力の極限行使、限定奥義である。
それは、【ウロボロス】の無数のスキルに由来する、我流魔剣である。
それは、【サ◯コフレーム】と【ウロボロス】を土台とした竜王気の結晶、《竜神装》である。
名の法則に従うならば、《
一発の弾丸に整形された、魔剣を超える魔剣。
巨大な鎧の内側から、ウルティマが飛び出すのが見えた。
「《
冠する銘は、それこそがふさわしい。
その一言で、溜め込まれた想念が、《サイコフィールド》へ変換されて放出される。
《サイコフィールド》は《竜王気》に似ている。その組成のほとんどをSPとしているが、そのオーラに力と想念を混ぜ込み特異な力にへと作り変える性質は同じである。
すなわち、すべての想念を取り込ませその性質を魔剣に変え、破壊力にへと変えることが可能。
複写されたすべての攻撃力を持った力の塊にへと《サイコフィールド》は変化する。
射線上にあるすべての
当たりさえすれば、インフィニットクラスすら即死させる絶死にして絶冬の光芒。
空間が凍てつき、その上にいた【スクラップ・アビス】とウルティマもまた、凍りつく。
まるで《空間固定》されたように、その場だけが歪み、光すら通れぬ不動のなにかにへと変質する。
人が目にすれば気でも狂ってしまいそうな、異常な色彩をまといつつあるその場。
数秒。一呼吸ほどのその刹那。
【PTメンバー<ウルティマ・ウェポン>が死亡しました】
【蘇生可能時間経過】
【<ウルティマ・ウェポン>はデスペナルティによりログアウトしました】
マチュの頭へ無情に響くデスペナルティアナウンス。ともに、あふれるほどの光の塵がこぼれだす。
滝のように、雪崩のように。
海へと散らばっていく。
【<UBM>【廃害真呪 スクラップ・アビス】が討伐されました】
【MVPを選出します】
【【ウルティマ・ウェポン】がMVPに選出されました】
【【ウルティマ・ウェポン】にMVP特典【狂喰分与 スクラップ・アビス】を贈与します】
【スクラップ・アビス】の絶命を告げるそのアナウンスとともに、マチュは崩れ落ちた。
いかな鋼の精神を持つとはいえ、極度の集中の後には精神を疲労する。
「うまく行って……良かったァ」
巻き込んだ負い目もある。そのためだけに、いろいろなものを捨てさせた自覚もある。
そのうえで。
「……やっぱ、あんたはグランバロアの希望だよ、ウルティマ」
夜空に輝く極点の星のように。
エンデュミオンユニットに関しては割と長い期間頭を悩ませました。
全身サイコフレームにしちゃったからね……。