アビスシェルダー系超級とアニメ再現系生産型アホ二人。   作:内藤悠月

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Result 職人の戦い

 □【マクロス・アリステア】内部工廠

 

 超級金属の兜を量産させられ、その耐久値を大幅に減らしたウルティマは、A*(エースター)に呼び出され、【アリステア】の内部に隠された工廠へと出向いていた。

 制御をハックして使用可能になった工廠であり、インフィニット・デンドログラム全体を見渡しても全く異種の技術体系で作られているため、そこから作り出される機械もまた、体系に沿わないモノとなる。

 その大部分がSPを消費して機能するものであり、今回の作戦には組み込まれていなかった。

 当然の話ではある。正面戦闘において、生産施設が役に立つことは少ない。一部のエンブリオが極めて稀に生産能力を戦闘に有効に使う事ができる程度で、ほとんどの生産型は作ったものを戦闘に持ち出す。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「お、来たかウルティマ」

 

 そこで待っていたのは、A*(エースター)マチュ。それと船団長のフラメタとそのエンブリオのレオだった。

 集まっている面々の奥には、18mほどの大きな機械に布が被せられ隠されている。

 

「《情報撹乱防壁(プロテクション・ノイズ)》有効になっとるの」

「《サイコフィールド》も良好。予定通りの効果を発揮してるぜ」

「これは船団にとって大きな交渉……大きな交渉……」

「しゃきっとせんかいフラメタ」

「あ、椅子なかった。アイテムボックスから出すから待ってくれ」

 

 ぐだぐだである。

 ある意味で、遊戯で集まっているだけの集団。よくあるわかりやすいマスターとしての集まりだった。

 呼びつけておいてこれ。呼ばれたタイミングがタイミングなだけに、「この時間で」という区切りがなかったのも理由ではある。

 

 ウルティマは自分のアイテムボックスからアルミの椅子を取り出して腰掛けた。

 

「で、話って?」

「じゃ、まずは第一に。ウルティマ。()()()()()()()()()()()

「は?」

 

 非常に不躾な、その上強欲な提案。相手を舐めているとしか思えぬ発言だった。

 同時にA*(エースター)はそのようなことを唐突に言い出すようなマスターではない。

 それ故に、ウルティマは困惑する。

 

「理由はいくつかある。今回手に入れられた【廃害真呪の山脈鎧】だが、巨大すぎる上に一塊。そのままでは分配そのものが困難だ。そのうえ、戦闘の過程で超級金属の塊に置換されたせいで分割も不可能に近い」

「まあ、あれだからな」

「利益を最大化するために、あれはそのまま使いたい。ひとつの()()()として共同資産にして利用を考えている」

 

 超級金属の装甲に、先々期文明の生きた工廠。それに山の中に埋まった無数の魔眼も、協調利用するだけで絶大な力を発揮する。

 無数の魔眼を同時使用するだけでも、古代伝説級相当だろう。

 

()()()、ウルティマに所有権の主張を諦めてもらうために、これを用意した」

「……ほう」

 

 交渉のテーブルに上がるには、相応に差し出せる対価がなければならない。

 金もなしに商品を買おうなどという不届き者がいるならば、その場で死を与えなければならない。

 ゆえにこそ、A*(エースター)が差し出せる最大の対価。

 用意した力。

 

 マチュは機械から布を取り払う。

 

「私と、フラメタと、レオと、マクロスのみんな。その総力……《Mu STYLE(ムー・スタイル)》によって製造した、現時点で最強の機械人形」

「推定神話級最上位の最高傑作だ! まあオレは何もしてないけどな! 前に書いた設計図を流用してるからオレの仕事でもあるか……?」

「これ作るために妾、なんか知らんシステム使わされて超級エンブリオに進化させられたのじゃ。人使い荒すぎない?」

「これが私たちの最高傑作! 設計流用なのが惜しいくらい! 刮目して! これが【ジフレド】!」

「うおっ、テンションたかっ」

 

 そこに鎮座するのは、【ジフレド】。ガンダムジークアクスに登場する、ジークアクスの二号機。

 異界の機構を組み込み世界を歪ませる力を秘めた巨大な人型兵器。その似姿がそこにあった。

 

 ……これを作り出すためだけに、【万才賢姫 レオナルド】は超級エンブリオにへと至った。

 無限にすら肉薄しかけぬリソースの暴力を制御し、生産能力にへと転換するために、彼女の形は不足があったためである。

 トリガーは直前に引かれかけていた。「最高傑作を生み出すために、最高傑作を捨て去る」。【マクロス・グランバロア】を手放した時点で、進化に至るだけの条件は整っていた。

 それを、超巨大なリソースの塊によって強引に叩き起こし、【れみな・くらいせら】の機能を中心に、すべての生産型エンブリオと生産型ジョブの力を一点に注ぐ力を形作ったのだ。

 最終スキル、《万才はこの時のために》。対象を問わず、生産スキルの効果を生産物に適応するスキルだ。

 これにより、種別を問わずあらゆる生産スキルは機械人形にその効果を発揮する。

 

「これはまた、とんでもない、性能……ん?」

()()()

 

 ウルティマは、目を見張る。

 その平均10万近い物理ステータスだけではない。

 30近い固有スキルが付与されている。

 だが、その中に、目を引くものが存在していた。

 《融合体強化》EX。

 《知性ある獣》EX。

 《適合係数上昇》EX。

 《捕食魔獣》。

 

 見間違えるはずもない。

 それは、先の戦いで失った【融帝(キメラ・エンペラー)】の保有スキルである。

 

「なあ、これ、は」

「私の必殺スキルだ。銘は《コードⅩ:Archetype(シェム・ハ・メフォラシュ)》。能力は『保有するスキルを人形に複数付与する』。ただそれだけの力だ」

 

 A*(エースター)のエンブリオは作成した人形に決め打ちのスキルを付与するというもの。その必殺スキルは自身が持つスキルを付与するという、拡張性こそあるが固定の効果しか持たないものだった。

 自分自身のエンブリオのスキルすら付与できる強度を持つ必殺スキルだが、ジョブ以上の拡張はできない。

 ()()()()()

 

 ウルティマとの同調。それにより、付与可能なスキルの種類は爆発的に増大する。

 それに《融合体強化》の効果によってその付与可能数も爆発的に増大した。

 

 結果としてイレギュラークラスに肉薄する性能を発揮しうる機械人形が完成した。

 

()()()()()、だ。失うものを拾っただけ。ウルティマ、これで対価は足りるか?」

「最高の品だよ」

 

 正直なところ、ウルティマにとって山脈鎧は惜しい気持ちもある。

 だが、あれの本質は無数の魔眼と、工廠。他の要素はウロボロスに積み上げたもので代用できた。

 そして生産型の能力は性に合わない。純粋な戦闘能力として【ウロボロス】を積み上げているのに不純物が混ざるのは望ましくなかった。

 生産型能力でも【れみな・くらいせら】や【スクラップ・アビス】のような戦闘力転化が直接的なものならまだいい。

 山脈鎧はそうではないし、使える魔眼の強さも正直微妙だ。ピンポイントに強いものもまざってはいるが……。

 

 それに比べるならば、失った【融帝(キメラ・エンペラー)】の固有スキルをそのまま取り戻せる【ジフレド】は非常に有用。

 その上、船団の誰かのエンブリオの固有スキルが複数付与されている。

 十分に条件を飲む価値があった。

 

「では次の話だね? 私、フラメタから言おう! これからマクロス船団をクランに再編する! ウルティマ! サブオーナーになってくれ!」

「今回の件、正直なところ勝ちすぎた。このままグランバロアにウルティマが帰ると国が割れる。それを避けるための措置だ、乗ってくれ」

「それ選択の余地なくねぇ!?」




Mu STYLE(ムー・スタイル)
キメラサイクル番外。生産能力の集約によって究極の一品を生成する生産能力。
超級進化した【万才賢姫 レオナルド】を前提に、参加者全員の生産型能力を集約した《メタリアル・マテリアライザー》で機械を製造する。
この時外部から設計図を差し込むことで、《メタリアル・マテリアライザー》の持つ制限を回避することが可能。
50弱ほどいる生産型マスターのエンブリオのスキルを束ねる関係上、超級進化がなければ出力が大幅に落ちる。
それでも必要な要素はエースターだけで事足りるので十分ではあった。


情報撹乱防壁(プロテクション・ノイズ)
【マクロス・アリステア】が保有する異界常識。
感知系能力に対して、若干知覚しづらくするという効果があるのかないのか分かりづらいスキル。
情報に対する迷彩のようなもので、演算型未来予知や受動的な監視に対して絶大な効果を発揮する。
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