アビスシェルダー系超級とアニメ再現系生産型アホ二人。   作:内藤悠月

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Result 世界遊戯

「まず。グランバロアという国の政治体制は極めて特異だ」

「それはまあ、わかる」

 

 そもそも国家という概念は本質的に一枚岩になることはない。

 様々な思惑が絡み合い、それが一つの理念と目的をもってまとまるからこそ国体というものは成り立っている。

 ひとつの民族、ひとつの言葉、ひとつの宗教。どれかを核にして様々な考えが国を彷徨うような形で動きを与えている。

 

 とれる政策には常に最適解は存在せず、各々の視点によってやるべきこともなすべきことも異なる。

 必然的に、国というものは割れる。

 立場によって視点が異なるためだ。

 それをすり合わせること自体が政治である。

 

 翻ってグランバロアはどうか。

 各船団が各々がやるべき役割を理解・全うし、意思統一が不必要なほどに思想が一致し、立場のもたらす重責を理解している。

 

 はっきり言って異常な国家だ。

 アヤカがカルディナを「議長のもとに意思統一された異常な国家」と称したが、グランバロアも相当なものである。

 海という明確な外敵を前に、争っている暇などないとは言え、常軌を逸しているほどだ。

 

 それも、歴史的なパワーバランスによってもたらされた均衡である。

 4つの家。これらがお互いを尊重できる。

 お互いがお互いを対等だと思える。

 

 人外魔境、過酷な海で生存していくには協力が絶対条件だ。

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「前人未到のティアンによるイレギュラー討伐。これをリエラのお嬢さんが成し遂げた。成し遂げてしまったがために、今パワーバランスは冒険船団に傾いている。実際は他国の超級の手を借りたとしても、冒険船団・船団長の手に神話級特典武具がある。すでに大船団長へ推挙する声が市中では上がっているほどだ」

「ああ。そんな話も……聞いた」

 

 ウルティマにとっては耳が痛い話だ。

 自分がいなかったがために、めちゃくちゃな無茶をさせた。

 自身の不在が船団の崩壊を招きかけた、とまで言っていい。

 力を持つものの責務として、必要なときに力を振るわねばならない。

 それを果たせなかった結果、他国の超級の力を借りるという醜態を晒している。

 

「元々武力的なパワーバランスは醤油抗菌を有する軍事船団に偏っていたんだが……それは織り込み済みで、各々の役割でパワーバランスを整えていたところに、神話級特典武具だ」

「当然めちゃくちゃになるのじゃ」

「海賊船団の後継者問題が重なったのもマズい。所属する超級もいないとなると、船団自体が取り潰しになる可能性すらある」

 

 グランバロアの、傾いたパワーバランス。

 冒険船団が勢力を増し、海賊船団が風前の灯。

 馬鹿でもわかる構図。

 何かあれば、グランバロアという国家の枠組みが崩壊する。

 

「はい。ここにイレギュラーUBMを事実上単独討伐した超級が、冒険船団に帰還したらどうなるか?」

 

 答え。

 グランバロアは、冒険船団とそれ以外になる。

 もはや発言権があるのは船団ではなく同格の力があると見なされる超級だけになるだろう。

 神話級特典武具はそれだけの力があり、そして超級もまた同様の力を持っている。

 

「あれ、俺って帰ったらマズい?」

「マズいんだよ! ウルティマやっぱちょっと抜けてるところあるな!?」

「というか同格になった妾もマズい?」

「レオは船団無所属だからノーカン。浮いている駒なのが危険なくらいだ」

 

 で、とA*(エースター)が一息つく。

 

「その状況になると、海賊船団がカルディナに取り込まれる危険性が生じる。手負いの組織はわらをも掴むからな……」

「現船団長はそんなバカではないのじゃが、その部下がそうではないとは言えないからの……」

「船作るときにたくさんお世話になったんですけどねぇ……」

 

「それで、だ。話はクランのサブオーナーになってくれということだが」

「それがそこにつながるんだ」

「そこにつながっちゃうんだよな。本当は雑居ビルみたいな船にしておきたかったんだが、そうもいかなくなった」

 

 そう、【マクロス・アリステア】のせいである。

 神話級の構造体に超級の能力を上乗せした上、神話級UBMの置き土産を組み込もうというのだ。それはもはや……【グランバロア号】に匹敵する。

 能力の多様性を含めれば確実に凌駕していると言っていい。

 

「この船を管理……所有しているのはこのクランだと明言しないといけなくなった。()()()()()()()()()()()()()()()()()

「まあ常識的に考えれば国家に接収されるわな」

「機人氏族の力を借りた以上、それも避けたい。だから……超級二人の後ろ盾を以て、【マクロス・アリステア】を5番目の船団として擁立する。そのためにクランのサブオーナーになってくれ」

「5番目の船団!?」

 

 あまりにも大きく出た発言にウルティマは驚く。

 グランバロアにとって、船団は小さな国のようなものだ。概念としては州に近い。

 行政も船団の特徴に沿って異なるほど。

 

「実際に承認される必要はない。というか承認されると困る。目的は構図を冒険船団とそれ以外、から【マクロス・アリステア】と4家の対立構図に持ち込むことだからだ」

「何回聞かされてものみこめないんじゃが」

「公的には”勝手に5番目の船団を名乗ってる奴ら”になる」

「適当すぎない?」

「適当でいいんだよ。パワーバランスの外側に船とウルティマを配置するのが目的だから。可能なら海賊船団にテコ入れもしておきたいが」

「こいつ……急に世界遊戯(ワールドゲーム)指し始めたな」

 

 そう。

 A*(エースター)がやろうとしているのは、「グランバロアという国の国力を小さく見せる情報戦」である。

 グランバロアと、世界の盤面を同時に指そうとしている。

 

 強力な武器があろうがそれが使えなければないのと同じ。

 グランバロアにとって、【マクロス・アリステア】をないものとして、()()()()()()()。 

 

 そのためにはグランバロアの身内ではなく、外様にならなかればならない。

 それを飲ませるための交渉材料こそが、ウルティマ。

 

「というわけで、ウルティマ。サブオーナーになってくれ!」

 

 頭を抱える。

 これまでは、遺産を見つければ冒険船団へ。

 脅威を排除すれば冒険船団へ。

 望まれればそれを成し遂げ、あとは国に任せられた。

 

 だが、コレは違う。

 冒険船団に、国に丸投げして任せていいものではない。

 ウルティマという超級が得た、世界を揺るがす力。その責任が形となったものである。

 そこに住む人々もいる。

 ひとつの船団を背負うだけの責任がそこにあった。

 

 無視して、A*(エースター)やフラメタに丸投げしてもいい。

 実際のところ彼らならうまくやるだろう。

 

 だがそれは危険な綱渡りである。それも、グランバロアの命運を賭けた。

 舵取りを間違えれば、グランバロアの4つの船団が巻き込まれる。

 

 やはり、選択肢はない。

 

「わかった。サブオーナーになろう」

「ありがとう、ウルティマ。これでやれることが増える……ん?」

 

 A*(エースター)の持つ通信機器に連絡が入る。

 

『おいA*(エースター)! 聞いてくれよ!』

「会議中だが?」

『村正と菫のやつらやりやがった!』

「こっちの都合無視かよ」

『【読竜王】の魔剣、壊していいって言ってたから溶かして遊んでたんだけど! なんか【聖剣鍛冶(セイントスミス)】とかいうジョブが開放されたんだけど!』

「なにやってんの!?」

 

 本当になにやっているんだ。

 

『あと【スクラップ・アビス】の残骸の中調べてる奴らから報告あるんだけど! 円盤が見つからないって!』

「あ、それはだいぶヤバいやつかもしれん」

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