アビスシェルダー系超級とアニメ再現系生産型アホ二人。 作:内藤悠月
■<南海>・深海
深い海の中を、這いつくばるように進む円盤。
それは闇に息を潜めるように静かに輝きもなく移動している。
その円盤は【スクラップ・アビス】の頭蓋に収められていた物。
ウルティマ・ウェポンがかつて激戦を繰り広げ討伐したはずの物。
【レミナ・クライセラ】だった。
「姉妹を消費したのは正解でしたでしょうか。この身もただの量産品ですが、その思想まで欺いたのは誤っていたような気がしています」
そしてその円盤の内部には、数機の機械人形の姿があった。
【
そのうちの一機に【スクラップ・アビス】が拾い上げた魔眼を組み込み、その忠義を【スクラップ・アビス】に偽装することで、その身のうちに【レミナ・クライセラ】を紛れ込ませていた。
「仕方ありません。あのデビルフィッシュは我々の探していた技術を取り込んでいたのですから。必要なことでした」
「フラグマンの遺跡、ですね。魔眼製造の工場があそこに取り込まれていなかれば潜り込ませる必要もなかったのですが」
「おかげで我らの主の
そう。彼女らは【創造光輝 レミナ・クライセラ】の残した落し子。
もしも自身が死んだときに、それを復元させるために残した保険である。
就いてはいけない超級職。それに就いてしまったがために。死なぬこと、ただそれだけに囚われた狂人の成れの果て。
それを蘇らせるために世界に残された手足だった。
「ところで、主を下ろすための術式の調整状況は?」
「共有します。【
【
自分自身に、自分以外のなにかを呼び込む。それだけだ。
それによって様々な力を得る事ができる汎用的な力を持った職である。
召喚モンスターや精霊、あるいは概念のような目に見えないものを自身に降ろすことができ、それによって特異な能力を発揮する事が可能。
汎用性では【召喚術師】にも劣らない。
そしてその喚起王の最終奥義はというと。その身に過去あった情報を喚起し、自らの人格を上書きするものだ。
極端な話、コレを使えば過去に存在したものならばなんでも呼び出す事ができる。最も、呼び出すことができるのは情報だけ。
その上自らの身体がよほどその情報に適した身体でもない限り、保有していた能力はほとんど使用できない。
一応、喚起術師系統には自身に降ろすものに対する適合率を高めるスキルがあるが、最終奥義ほどの規模となるとほとんど意味をなさない。
一度使えば
魔眼を使用するならば、そのリスクは完全に踏み倒せる。
余談だが。
簡単に言えば召喚は自分の内側に、喚起は自分の外側に超常存在を呼び出す技術である。
これらが混同されて翻訳されているのは、<インフィニット・デンドログラム>が
実際の魔術がどうであるとかは関係なく、ゲーム文化に基づいた翻訳が行われている。
そのため、精霊とエレメンタルのような翻訳の誤差が生じていた。
「当機に提案があります」
「なんでしょう。解決策でしょうか?」
「【スクラップ・アビス】の解析中に《
「! 海水のリソース化ですね。試してみましょう」
《
その本質は海水を異常な高効率で金属へと変換することである。
<超級>の猛攻を防げるほどの強度を、リソースの少ない海水から生成できる。
破格の性能だ。
そして、生み出されたものは金属の鎧。【レミナ・クライセラ】からすればどうとでも使える。
結果、【レミナ・クライセラ】はほぼ無限の資源を獲得するに至る。
◆
魔眼は煌めく。
過去を見通し、そこに生きていた者を現代に呼び戻すために。
【喚起王】は喪われた魂すら呼び戻す。
かくして、焼き付けられた情報に過ぎなかった【レミナ・クライセラ】は。
本来の主の魂を宿し、蘇る。
自らを自嘲的に、3.5代目と騙る、歴代に匹敵する才能の持ち主。
そして、その狂気によって自らの人格を機械に焼き付けた狂人。
機械人形たちは歓喜している。
二度喪われた主の命。
一度目は【レミナ・クライセラ】へ、自身のすべての情報を焼き付けた時。
二度目は計画を進めている中で、【融帝】ウルティマ・ウェポンによって打倒された時。
まさしく、不滅の妄執。
狂気の意志を継ぐフラグマンに非ず。
ただ一代にて、狂気を繰り返す者である。
『
海中に沈む円盤は、それまでの無機質な動きから、生き物を思わせる動きに変わる。
それは、自身の隠し工房の元へ、まっすぐと向かっていく。
狂気を孕む天才が蘇った。一度はUBMにすらなった者がなにをなそうとしているのか。
今はまだわからない。