アビスシェルダー系超級とアニメ再現系生産型アホ二人。 作:内藤悠月
【MGD】はもっとやれる子だと思ってましたが……まあ、ステータス複製でハウリング強化できる時点で、もっと化ける可能性はあるのかな?
しかし本当に年内で完結するとは……。
追記:
【MGD】くん、わかっちゃいたけど全とっかえするのは聞いてないよ!?
□【マクロス・アリステア】中央広場
<虚構の裂け目>。<北海>にある巨大な海溝の名である。
そこはウルティマの巡回コースのひとつであり、深く潜ればごく当たり前のように伝説級モンスターが湧いてくるド級の危険地帯だ。
準超級ですら近づくものはごく少数。ウルティマも間引きの一貫でなければあまり近づきたくないと考える難所である。
深く潜れば、
深海の底にあるにも関わらず、普通に呼吸ができるその場所は超常の存在によって意図的に作られたような雰囲気をこそ感じる場所だった。
ただ、それが作りかけでなければ。
テクスチャも何も無い真っ白な石を押し込まれた通路に階段、欠けて向こう側が透けて見える壁、久遠の闇としか言いようがない無が広がる穴。
更には進めば重力の方向すらめちゃくちゃな箇所すら存在し、なんとか最奥にたどり着けば、その先には岩石が浮かんだだけの無が広がっている始末。
しかも水中判定のままなのか、【スクラッシュ・シャーク】をはじめとしたモンスターが空中を泳いでいる。
ひどいときは壁も床もお構い無しに泳いでくる。
判定がバグっているとしか言いようがない。
「という場所を調べてるんだが、【読竜王】はどう思う?」
「場所が正しければ十中八九<神造迷宮>だね。【
「ん? なんだその含みのある言い方は」
ウルティマと【読竜王】の会話に、口を挟むマチュ。
超級職の就職条件となる場所と言い切らない【読竜王】に対して疑問を呈していた。
<神造迷宮>は<墓標迷宮>と監獄のものを除き、そのすべてが【魔王】と呼ばれる超級職の就職条件である。
これらから<墓標迷宮>及び監獄のものとそれ以外とでは起源が異なると考察するマスターも多い。
翻って、<虚構の裂け目>は【魔王】就職のための<神造迷宮>である。……はずだった。
「そもそも【
そう、作成途中で放棄されたのである。
何もかもが中途半端に投げ出された、そういう場。
「それであんな……テクスチャは剥がれてるわ、歩いてると床をすり抜けるわ、最深部はただ無が広がってるだけだわでわけわからないことになってるんだな。伝説級モンスターが湧いて出てこなければもっと良かった」
「……、うん? それはおかしいね。<虚構の裂け目>がいくら途中で作成がやめられたといっても、内部でポップするモンスターは基本的にシルエット……外見だけを使用した黒塗りのもののハズだよ」
「普通に鮫が泳いでた」
「間違いなく<UBM>が巣を作ってるねそれは」
「やっぱりかぁ……」
なんかやたら強いなとは思ってたんだよ、とウルティマはこぼす。
出てくるモンスターが大体《ハザードレベル》というスキルを持ち、スキルレベルひとつにつき1000もの全ステータス補正をもたらしていた。
そして見かけたスキルレベルは4~7。
あまりに強すぎるスキルに、UBMの存在は疑っていたのだ。
「現地に行かないと詳細は読めないけれども、まあ配下改造系の<UBM>だろうね」
「ろくでもないなぁ」
「<UBM>はろくでもないものだろ。【読竜王】なんか初見のはずの
「ははは。それが私の能力特性だからね」
<UBM>は総じてろくでもないものである。エンブリオの多様性に対して、自然界の生存競争によって磨かれた無駄のない異能を持っているためだ。
強みを一方的に押し付けて勝利するためのスキル構造を持っている。
「で、【
「知りたいかい? 知ったところでどうしようもないと思うけれど」
「未完成でもジョブ自体はあるんだろ? ウルティマのいう無の向こう側にさ」
「うん、まあね。就職用のジョブクリスタル自体は無の中に浮かんでいるはずさ」
だが、そこは無である。ウルティマの見立てでは最低でも《極限環境耐性》の類の耐性が必要だと踏んでいる。
なぜなら、莫大なENDの塊であるウルティマですら負傷を負う特異領域であるためだ。
探索を行うだけの時間はない。
……【戦姿伴航 ヴォジャノーイ】ならあるいは、とはウルティマも考えたことがある。だが、本当に何もない場所なので呼びつけるのもどうかとは思っていた。
「【虚栄魔王】の能力は……仕様外能力の支配と隠蔽、の予定だったのだけれど。固有スキルの設計そのものがうまく行かなくて仕様外能力の強化だけになっているはずだよ」
「シヨウガイノウリョク?」
「君たちの手にはまっているエンブリオのことさ」
それはつまり、エンブリオならば種別を問わずに強化可能ということではないだろうか。
そう言っているのと変わらない。
「ただ対象が広範、というか、ブラックリスト形式で登録してある関係で強化値が40%ぐらいなんだよね。ステータスは超級職相応だから使えなくはないのかな」
「それは……うーん……」
かなり微妙だ。それならば自身のエンブリオのタイプに合った上級職につくほうが強い。
無の極限環境を踏破して得るようなものでもない。
「そもそもあそこは世界の法則が破れたままだから私としてはあまりつついてほしくないとは思うね」
「ろくでもねえ~」
「かわりといっては何だけれど、他の超級職の就職条件を教えることもできるよ」
「「あー……」」
ウルティマとマチュが同時に言い淀む。
「今回相手にした機械人形から、完全ジョブリストのサルベージに成功したんだ……」
「おや。私の出番はひとつなくなってしまったかな?」
「まさか、知恵袋として期待してるぜ!」